超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神 Re;Birth   作:ミオン

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Game6:魔神の烙印

パープルハートの降臨と共に汚染門番蟲との戦闘が開幕。背中の人型が持つ大剣に雷属性の魔力が収束する。汚染化の影響で前回戦った時と比較すると強力な物になっていた。

 

「来るよ…! 散開っ!」

 

舞の指示を受けたネプギア達は散る。先程まで自分達がいた場所を汚染門番蟲の大剣が薙ぎ払った。攻撃の後に生じた隙にパープルハートとネプギアが突撃。お互いに住む世界は異なれど、息の合った連係で汚染門番蟲に攻撃を叩き込む。

 

「クロスコンビネーション!」

 

「ミラージュ・ダンス!」

 

紫の女神姉妹の流れるような剣舞が汚染門番蟲の体を斬り裂いた。ダメージを与えていることを示す蒼い光が飛び散るが、汚染化によって本体の耐久値が上がっているのでこれだけでは怯まない。

 

「ヴァリアブルアーツ!」

 

飛び込んできた舞が太刀の連撃を叩き込む。元の世界のネプテューヌが編み出した二つの剣技の複合技。元の世界のネプテューヌとのハード・リンクは生きているので技を使うことができるが、必殺技(エクゼドライブ)と固有能力の紫電の行使には元の世界のネプテューヌの力が必要。舞の力は銀の女神としての力だけではない。ハード・リンクが発現した守護女神の力も舞の力となるのだ。

 

三人の女神の連撃を受けた汚染門番蟲は怯むが、体勢を立て直すと雷属性の魔力を全身に行き渡らせて自身を強化した。禍々しい紫色の体の表面に電気が走り帯電状態に。迂闊に近接攻撃を行うと逆にこちらが感電させられてしまう。だが、攻める手段が無いわけでは無い。舞がアイエフに視線を送るとアイエフは舞の考えを読み取ったのか、魔法の詠唱を始めた。赤い魔法陣がアイエフの足元に現れる。

 

「魔界粧・轟炎!」

 

詠唱が完了したアイエフの魔法が発動。汚染門番蟲の足元から噴出した火柱が体を焼いた。火属性の魔力が戦場に拡散したのを舞は見逃さない。シェアの運用技術の収束を利用して火属性の魔力を体の中に取り込む。

 

「コンパ・ラブ・ハートですっ!」

 

続いてコンパの体から桃色のエネルギーが放出される。エネルギーが収束して大きなハートマークを作り出した。コンパは注射器でそれを突いて、汚染門番蟲に直撃させた。コンパの体から放出されたのは光属性の魔力。今度はネプギアが収束を使いそれを体の中に取り込む。

 

汚染門番蟲はまだ倒れない。標的をネプテューヌに定め、帯電した状態で突撃してきたが、ネプギアが間に入る。汚染門番蟲が目の前に迫った瞬間に双剣を地面に突き刺すと同時に取り込んだ光属性の魔力を解き放った。

 

「バーチャストライダー!」

 

双剣を突き刺した地面からネプギアを守るように薄紫色の光の柱が立ち上ると汚染門番蟲の体を飲み込む。邪なる物を打ち払う光属性の魔力が汚染門番蟲の雷属性の魔力を弱めたことで帯電状態が解除された。それを確認したネプギアは舞と手を繋いでシェアの力を解放する。ネプギアの体が薄紫色の光の粒子となって舞の体の中に溶け込むと舞の銀色の髪はネプギアと同じ薄紫色に変化。服装はパーカーワンピからネプギアのプロセッサユニットになった。

 

ネプギアと舞が行使したのはハード・ユニゾンと呼称される女神化。守護女神と融合することでさらなる力を発揮する非常に強力な女神化である。持続時間は通常の女神化と比較すると短い。こちらの世界において舞達の女神化の持続時間は現状で約三分。ハード・ユニゾンの持続時間は約二分。これを行使した以上は一気に討伐まで持っていかなければならない。ネプギアと融合した舞はパープルハートと手を繋いだ。パープルハートの頭の中に一つの技の動作が流れ込む。

 

「この動きは…」

 

「私達がネプテューヌに合わせる。自分の思うままに動いてみて」

 

ネプギアと融合した舞が火属性の魔力を解き放つと舞の体が薄紫色と銀色の炎に包まれ大きな火の鳥になった。ここから銀の女神と紫の女神姉妹の奥義の披露が始まる。最初に動いたのはパープルハート。汚染門番蟲との距離を一気に詰める。汚染門番蟲は体から電撃を放ちパープルハートを迎撃しようとするが、火の鳥となった舞が火の魔力で生成された羽を飛ばして汚染門番蟲の攻撃を封じる。

 

「ここはわたしの距離ね。この大地を荒らすあなたにはここで消えてもらうわ」

 

距離を詰めたパープルハートは紫の太刀で汚染門番蟲の胴体に連撃を叩き込む。ある程度攻撃を加えたら後退。太刀の切っ先を汚染門番蟲に向けたら火の鳥となった舞と共に突撃。

 

「これで終幕だよ。ヴィオレットフェニックス!」

 

銀と薄紫と紫の三つの輝きが汚染門番蟲の体を突き抜けた。舞が元の姿に戻ると同時に汚染門番蟲は追撃で発生した爆発に飲み込まれる。煙が晴れると汚染門番蟲の体は黒焦げになっていた。

 

銀の女神と紫の女神姉妹の奥義を受けた汚染門番蟲は地面に倒れ、光となって完全に消滅した。舞達の勝利がここに確定。それに合わせる形でパープルハートと舞の体が光に包まると女神化が解除される。舞と融合していたネプギアは舞の隣に現れた。

 

「ぷはぁ…。疲れた…。プリン食べたい…」

 

守護女神としての力を最大限に発揮する女神化はシェアエナジーは勿論のこと、体力もそれなりに消費する。疲れが出るのは必然だ。

 

「変身したねぷねぷ、とってもかっこ良かったです! あれ? 変身したねぷねぷが名乗った名前って…。もしかして、ねぷねぷが…!?」

 

「コンパが察している通りだよ。革新する紫の大地プラネテューヌの守護女神。パープルハート。それがネプテューヌの真名。昨日の話し合いの時には伏せていたけど、ネプテューヌは私やネプギアと同じ守護女神だね」

 

「まさか、この世界を守護する四女神の内の一人に会えるとは思わなかったわ。ここ最近になって天界から下界に降りてきたって噂は聞いていたけど…。下界のモンスターが増えてきたのを感知して降りてきたってわけ?」

 

「降りてきたというよりかは落とされたっていうのが正しいのかなぁ? 舞とネプギアが言うにはわたしは地面に頭から突き刺さってたみたいだから。そのせいなのか、自分が何をしてたのか全然思い出せないんだよね…。だから自分が女神だってわかってもいまいち実感が持てないって言うか、本当にわたしでいいんですか?って感じだよ」

 

「記憶喪失の守護女神…か。これからあんた達はどうするつもりなの?」 

 

「このゲイムギョウ界を巡る旅に出ます。お姉ちゃんの記憶を取り戻すのが一番の目的なんですけど、実はわたし達も色々あって大切な人達と離れてしまって…。合流するためには四つの大陸を回る必要があるんです」

 

「よかったらアイエフも一緒に来ない?」

 

「そうね…。ここで会ったのも何かの縁かもしれない。あんた達の旅に付き合ってあげるわ」

 

「やったー! 四人目の仲間だ! よろしくね! あいちゃん!」

 

「あいちゃん? それってわたしのこと?」

 

「アイエフだから、あいちゃんってところかな。そういうところは変わらないね」

 

「あいちゃんか…。あだ名で呼ばれるのは初めてだから、何だか新鮮な気分ね。わたしのことは好きに呼んでもらって構わないわ。わたしもあんた達のことは好きに呼ばせてもらうから」

 

「じゃあ、わたしもあいちゃんって呼ぶです! あっ、わたしはコンパって言うです。ねぷねぷ達とは昨日バーチャフォレストで出会ったですよ」

 

「あんた達とは長い付き合いになりそうな気がするわ。これからよろしく」

 

仲が深まったところで最奥部を目指して進むことに。汚染門番蟲は討伐したので目的は既に達成されてはいるのだが、まだ奥の方に続いている道があったので奥の方まで見に行ってみることになった。モンスターを討伐しながら進むと最奥部と思われる行き止まりの場所に到着した。

 

「あっ! 宝箱があるよ!」

 

最奥部に置かれていたのは紫色の宝箱。舞が宝箱を開けようとすると不思議な紋様が宝箱の表面に浮かび上がった。力を入れてみるが宝箱は開かない。舞はこの現象に心当たりがあった。

 

『舞、この鍵を。これで宝箱を開けることができると思う』

 

頭の中に語りかけるアリアの声。舞の手の中に銀色の光が集まると銀色の小さな鍵が現れた。強力な魔力が込められたこの鍵は舞が過去にプレイしたゲームに登場する魔法の鍵を模してアリアが開発した物。強固に閉じられた特殊な宝箱を開けるための鍵だ。消費アイテム扱いなので一つの鍵で開けられる宝箱は一つだけ。

 

「手が早いね。早速使わせてもらうよ」

 

舞は銀色の鍵を宝箱に向けると鍵の先端から銀色の光が放たれて宝箱に直撃する。先端から放たれた光が収まると銀の鍵は光となって消滅した。舞が再び宝箱に手をかけると宝箱が開く。中に入っていたのは見たことのない形の物体。

 

「これは何かな?」

 

「不思議な形ですね。何に使う物なんでしょうか?」

 

「わかった! RPGお約束の換金アイテムだよ! これを売ったお金でプリンをいっぱい買っていけばこの先の旅も安心だね!」

 

「売ることが前提な上に使い道がプリンって…。プラネテューヌの女神がこんなのでいいの?」

 

「わたしはいいと思うですよ? ねぷねぷはやる時はやるって感じの人だと思うです」

 

「そうですね。わたしも本気を出したお姉ちゃんの凄さは何度も見てきましたから」

 

ネプテューヌは普段のやる気がないが、内に秘められた才能には目を見張る物がある。重要なのは如何にして彼女にやる気を出させるかどうかだ。ちゃらんぽらんでメタな発言をすることが多いが、コンパが言ったようにやる時はやる人というのがネプテューヌだ。舞とネプギアはそのことをよく知っている。

 

宝箱の中の物体を回収した舞達は洞窟を後にしようとするが、背後の壁から突如として禍々しい光が放たれる。光の中から現れたのはモンスター。光の発生源を見ると水晶に隠れる形で白いディスクが設置されていた。

 

『まさか、この世界にこれがあるとはね…』

 

「モンスターディスク…!」

 

モンスターディスクから次々とモンスターが現れる。その数は五体となった。発生源を破壊しなければキリがない。舞は銀の銃を取り出して設置されたディスクに向けて銃弾を放つ。。ディスクの耐久値はそれほど高い物ではない。銀の銃から放たれた銃弾が直撃すると罅が全体に広がる。洞窟の壁に設置されたモンスターディスクは砕け散り、破片は光となって消滅した。ディスクから現れたモンスターを手分けして討伐する。幸いにも雑魚モンスターだったので特に苦戦せずに討伐することができた。

 

「び、びっくりしたぁ…! モンスターが出てくるなんて聞いてないよ!?」

 

「最近現れ始めたモンスターの出所は解明されてなかったけど、これは大発見ね」

 

「舞さんが壊したディスクがモンスターさんが現れた原因ってことです?」

 

「そうなるね。このディスクは誰かがこの場所に仕掛けた物。誰がこんなことを…」

 

『仕掛けた本人かどうかはわからないけど、疑わしい人物が後ろにいるよ』

 

「ハーハッハッハッハッハ!」

 

アリアの声の後に響き渡る女性の笑い声。舞達が振り返ると一人の人物が立っていた。黒色の魔女のような衣服と帽子に少し濃い化粧を施したかのような肌が特徴的な女性だ。

 

「ガーディアンの反応が消滅したから何事かと思って様子を見に来たのだが、まさかここで貴様と会うとはな! ネプテューヌ!」

 

「ねぷねぷのことを知ってるみたいですね?」

 

「えー。こんな時代遅れの笑い声に悪趣味なメイクのおばさんと知り合いになった覚えはないよ? 人違いじゃないかな?」

 

「本当に知り合いだったら流石のわたしもドン引きよ」

 

「お姉ちゃんの知り合いにこんな人がいたら嫌ですね」

 

「時代遅れは余計だ! それに貴様らも好き勝手に言いおって! 人をおちょくる意地の悪さは相変わらずのようだな!」

 

「ネプテューヌのことを知ってるみたいだけど、誰なのかな?」

 

「ほう…。貴様のその瞳。守護女神か。まさか四女神以外の守護女神がいたとはな。これは好都合だ。本命はネプテューヌの力なのだが、先に貴様の力を貰い受けるとしよう」

 

女性は舞に狙いを定めると体から紫の光を放つ。舞はそれを受けたが何事も無かったかのように平然と立っている。いつの間にか舞の瞳は普段の銀色から濁った金色に変化していた。

 

「バカな! 何故力が奪えない?」

 

「奇妙な力の干渉があったので防いでおいたが、他人の力を奪い取る能力とはな。仮に奪い取ったとしても銀の女神の力はお前の身には収まりきらぬよ。身が滅ぶのが目に見えている。事後承諾にはなるが、舞よ、お前の体を使わせてもらうぞ」

 

『私の体を使うのは全然構わないけど、今度からは先に言ってほしいかな。デルフィナス、どうするつもり?』

 

「ふむ。残念ながら戦って押し通る以外の方法が無いな。面妖な能力だけではない。相応の実力を持っていると見受ける。お前は何者だ?」

 

「それはこちらの台詞だ。私の能力を防ぐ相手がいるとは思わなかったぞ…! だが、お前の力を奪うことができなければネプテューヌの力を奪うまでだ!」

 

「残念だけどそれは無理ね。私と新たな主様がいる限りネプテューヌに手は出させないわ」

 

突如として聞こえてきた声の発信源は何とネプテューヌの影。影の中から一人の少女が現れネプテューヌを守るように立った。紅色の長髪と瞳。闇を連想させる漆黒のドレス。頭から生えているのは歪に曲がった黒き双角。背中から生えているのは先端に鉤爪がついた一対の黒き翼。

 

『どうしてあなたがここに? あなたはあの時にわたしが…』

 

問いかけるのは紫の太刀に宿る元の世界のパープルハート。

 

「正直に言わせてもらうと私にもわからないわ。確かに私はあの時にあなたに願いを託して消滅した。いつの間にかこの世界のネプテューヌの影になっていたのよ。意識が覚醒したのは新たな主様がネプテューヌと出会った時から。大体の事情は把握しているわ。細かい話は目の前の敵を何とかしてからにしましょう」

 

少女は自身の内に秘められた力を開放する。右側の角と翼が漆黒と対になる白金色に染まる。手に握られるは白と黒の長剣。彼女の体に流れるのは忌まわしき悪魔の血。彼女は過去にとある女神を守護していた六人の少女の内の一人。魔神の烙印と銀の女神は並び立つ。

 

「貴様らは何者だ!」

 

「デルフィナス。それが我の名だ。我が器である舞と舞の友に手を出したお前は我の敵であることに変わりはない。何が目的かは知らぬが、ここは押し通らせてもらう」

 

「私の名前はリリム。魔神の烙印よ。ネプテューヌ達は下がっていなさい。この人の狙いはあなた達の女神の力。女神の力を奪わせるわけにはいかないわ。この人の相手は私と主様で引き受ける」

 

「調子に乗るなよ。小娘ども。私の悲願を貴様ら如きが止められると思わないことだな。既に運命の歯車は回り始めている。守護女神達が守護女神(ハード)戦争を始めた時からな!」

 

『まさか、この人が…!』

 

「守護女神達の運命を裏で操る黒幕のようだな。嘗ての我に相当する存在と言ったところか。ならば、尚更負けるわけにはいかない。貴様の悲願、我らの手で阻止してみせようではないか」

 

銀の女神を器とした犯罪神の残滓。三度目の生を受けた魔神の烙印。守護女神の運命を操る魔女。並の強さを凌駕した者達の戦いが始まる。三人が動いたのは同時だった。

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