ネギパーティーのかんがえたさいこうのせんじゅつ、茶々丸にあっさりと破られる。
土曜日の朝。
授業もなく、ネギたちは自室にいた。いつもならばここに木乃香がいるけれども、彼女は現在占い部の活動中。朝食をとってすぐ、電車に乗り東京へ足を伸ばしている。今頃は、部員といっしょに占い道具の品定めをしている頃だ。
「山篭り、ですか?」
その部屋で、二日前と同じメンバーがテーブルを囲んでいた。卓上には菓子とジュースが置かれており、彼らはそれを食べつつ作戦会議を行っている。
卓上でカモがチョコレート菓子をかじりながら頷いた。
「そうっす。昨日も言ったけど、エヴァンジェリンは日中には襲ってこないと思うっすよ。けどですね、夜はどうなるか……兄貴は
「うーん……」
「それなら土日だけでも、人里離れたとこに隠れてたほうが良いんじゃないすか? 人目を気にせず特訓だってできる」
昨日の戦闘で、茶々丸を取り逃したネギたちは、エヴァに対して元々少ないカードを切ってしまっていた。もう不意打ちは出来ない。その会話を黙って聞いていた明日菜は、ジュースを少し飲んだ後、会話に参加した。
「それって、私達も入ってるわけ?」
「その方が良いっす。茶々丸には、姐さん達がどれ程の力を持っているのか知った訳だし、あいつらが、こっちと同じように従者を狙って襲うことも十分考えられるっすからね」
「食べ物はどうしますか?」
「せっかく山に行くんだし、バーベキューとかしたいわね」
遅れてのどかも会話に混じり、質問に能天気な回答をする明日菜。その様子にカモは非難交じりの表情を浮かべ、明日菜の顔を見て注意を促す。
「ちょっと姐さん、遊びに行くんじゃないんすから」
「でも、二日も山の中にいるんですから、少しは楽しみがないとさあ」
「あ、寝る所が無いじゃないの。そこのトコどうなのよ、カモ」
「キャンプ道具は図書館部のを持っていけばいいですけど、宿題が……」
エヴァ対策という目的は形骸化し、彼らの会議は山にキャンプに行く話に変貌していた。
■■■
山に入ってから数時間後。彼らは遭難しかけていた。
「どうしてこんなことに……」
ネギと明日菜は頭から水を滴り落とし、体のあちこちに泥が付着している。登山前に用意した衣食はディバックごと水に浸かり駄目になっていた。
彼らのすぐ側には背の高い草が生い茂り、小川が流れている。
つまり、川に落ちたのだった。
もっとも、落ちたのはネギと明日菜だけ。最後尾に付いていたのどか、そして彼女の肩に乗っていたカモは無事だ。
「何か言いましたか、明日菜さん?」
「エロオコジョの言葉に乗せられた、私が馬鹿だったって後悔してるのよ」
「ちょ、姐さん! その言い方は無いんじゃないんすか!?」
カモを見ず、顔についている汚れを手で拭いつつ喋る明日菜。
「ホントの事じゃないの。あんたが野生の勘だか何だかで変な道に入り込んで」
「それは、エヴァンジェリンにこっちの位置を悟らせないように仕方なくしたんすよー」
カモの情けない良い訳を聞くや否や、今は地面に居るカモへと体ごと振り返り、腕を組み仁王立ちをした。
「……それだけじゃないわよ? 食料はドロドロになるわ、川に嵌まってずぶ濡れになるわで。それもこれも全部あんたのせいよ」
「うっ」
「……はぁ。あんたがこんな決断力のある方向音痴だとは想像もしなかったわ」
「ううっ」
明日菜の言葉にうろたえるカモ。『ホントにあんた妖精なの?』と、明日菜の口からカモの存在意義に関わる様な呟きがもれている。
その非難に、明日菜と同じくカモの犠牲となっていたネギも加わる。その口調はいつもの優しいそれでなく、いささか冷たい。
「僕が魔法を使って道を確認しようって言っても絶対ダメって言うんだし」
「お……漢たる者、簡単に助けは求められないっすよ!」
「カモさん……もう諦めて、先生に上から見てもらいましょう?」
三方向からの非難を受けてしまったカモは、ようやく自分の非を認めた。
「……うぅ、分かりやした。じゃあ、兄貴。ここがどこか上から、」
突然ガサリと、草むらが揺れた。薄暗い林の中、小川の反対方向――ネギたちが歩いてきた方向から、その音は聞こえてきている。
「え、な、何?」
「あわわわ……」
「落ち着くっす! まずは迎撃の準備を、」
段々と音を上げていったそれは、一際大きな音を出し止まった。距離にして10メートル程度。そこに背の高いシルエットが浮かび上がる。
「おや、ネギ坊主。と、それに……のどか殿、明日菜殿ではござらぬか?」
「な、長瀬さん!?」
現れたのは、のどかたちのクラスメイトだった。薄茶色の長髪を後ろでひとつに束ね、あずき色の忍び装束らしき服を身にまとっているのは、長瀬楓である。
いつもの彼女は、目が閉じているのではないかという位に目が一文字になっているのだが、今は驚きのためか、まぶたを片方、半分ほど開いて彼女は彼らを見つめていた。
「どうしてここに? 真名が此処を教えたとも思えぬし……何をしに来たのでござるか?」
「えっと、そ、そうです、キャンプ! キャンプに来たんです!」
「そうなのよ長瀬さん!」
「そ、そうなんです!」
その疑問にいち早く答えたのはネギだ。楓の問いに対して真っ先に頭に浮かび上がった単語を口に出す。そして明日菜とのどかもそのネギの言葉に口を合わせた。
「ふむ……?」
彼らの焦り具合は、楓に不信感を抱かせるに十分だった。
楓は手荷物を地面に転がす。大事なものは入っていないようだ。そうして、楓は右手を口元に添え、思ったことを口に出した。
「その割には軽装でござるな。荷物も無いようだし。おまけに、如何したのでござるか、そんなに汚れて?」
ネギたちは明らかにバツの悪そうな顔をし、俯いて黙り込んでしまう。エヴァが怖くて逃げてきましたなど、言えるわけがなかった。
「……ふむ。何か事情でもあるようだが、取り敢えず体を洗ったほうが良いでござろう? いい場所がある」
「長瀬さんは、このあたりをよく知っているんですか?」
「うむ」
ネギの問いに、楓は微笑み頷いた。
楓はここ一体の地理を知っているようだった。小川を飛び越え、彼女はネギたちの側へ着地する。そして、小川の上流へと視線を移す。
「着いて来るでござる。陽の差し込む、暖かい水場があるでござるよ?」
■■■
「綾瀬さん、こんなとこでなにやってんだ?」
自分の名を呼ばれ、学生寮ロビーの窓から外を眺めていた彼女は振り向いた。
綾瀬夕映。濃い紫色の長髪を後ろでふたつに纏めている、小柄な少女である。のどかのルームメイトでもあった。
「……ああいえ、ちょっと考え事を」
「ふーん」
「でも、珍しいですね。長谷川さんが声をかけてくれるなんて」
言葉に、夕映の正面に立った少女がむくれた。苦笑し、夕映は首を横に振る。
「すいません。珍しく思ったのは本当ですけど、うれしかったんですよ」
「いいよ気にしなくて。ちょっと深刻そうな顔してたから、声を掛けただけ。憎まれ口叩けるんなら大丈夫そうだな」
長谷川千雨。茶髪をうなじ辺りでまとめ、大きな丸い眼鏡をかけている、夕映の同級生だ。
時刻は一時を回った頃。ふたりとも私服だが、千雨は夕映と比べて外行きの格好をしていた。
「千雨さんは、これからお出かけですか?」
「ちょっとあきばっ……もとい、あー、品川、にちょっと用事があってな」
「……あきば?」
「品川! し、親戚のとこだ!」
不審がる夕映の視線を避けるように、千雨は手に持っていた帽子を深くかぶり、目を背ける。
「そうなんですか? 何故か今日は親戚の家に行く人が多いです」
「へ、へぇ。他にも誰かいんのか」
「のどか、です。急に荷物を整えて出ていってしまいましたが」
「ふーん。宮崎もねえ」
泊りらしいですと付け加え、夕映は片手に持っていた紙パックのジュースを一気に飲み干す。『黒酢トマト』とラベルにある。
「まーた気色悪いもん飲んでるのか、綾瀬さんは……そろそろ私はいくわ」
ジュースのラベルを見て顔をしかめた千雨は、逃げるように学生寮の玄関へとかけていった。
「……おいしいのに」
辺りには別学年の生徒がちらほらといるが、夕映の知った顔はいない。空になった容器をゴミ箱に捨て、ひとり呟いた。
近くの自動販売機で一般的な飲み物を買い、夕映はロビーの椅子に座って読みかけの本を開く。だが、続きを読む気にはなれなかった。
思うのは、のどかのこと。朝食後にふらりとどこかへ行っていた彼女は、部屋に戻るなり外出の準備を始めていた。問いかければ、「親戚の家に行くことになった」との一点ばり。
明らかに何かを隠しているのは、夕映にはよく分かった。
それでも、誰にだって隠し事のひとつやふたつ位あるだろうと見て見ぬふりをし、夕映はのどかを見送ったのだ。
「親戚の家でお泊り……ですか? アスナさんと一緒に?」
夕映は、のけ者にされた気がして、すこし寂しかった。
■■■
カフェテラス。
休日の午後ということもあり、その店もそこそこに繁盛していた。
その一角に『仕事』帰りの茶々丸はいた。コーヒーの入ったティーカップをテーブルに置き、しかし彼女はそれを口にしようとはせず、ただひたすら、主の到着を待っている。
そこにようやく、待ち人が現れた。
「ここに居たか」
「茶々丸ー、定期メンテナンスに来たよっ」
待ち人は私服姿のエヴァと、同じく私服で白衣を羽織った三つ編みの眼鏡少女、葉加瀬聡美である。
礼をする為に茶々丸は立ち上がろうとするが、ドライバー片手に葉加瀬がさえぎった。
「はい、そこに座ったままで。頭は動かさないでね」
「了解しました」
葉加瀬はそのまま茶々丸の後ろに回り込む。エヴァは茶々丸の反対側の席に座り、茶々丸の注文した冷めたコーヒーを、断りも入れずに口を付けた。
「マスター、花粉症はよろしいのですか?」
「あぁ。昨日は薬を飲んで早めに寝たからな、調子はまだ良い。それと、昨日のじじいの話だがな……釘を刺された。やはり、次の満月までには派手に動けんな」
「了解です」
エヴァは、茶々丸が昨夜帰宅する前に寝てしまった為に話せなかった話を、ぼかしつつ口にした。
ハカセが後ろで作業しているため、茶々丸は頷かずに返答のみをする。
「それと……」
少し、間が空く。腕を組み、コーヒーの揺れる水面を眺めつつこう切り出した。
「……メモで見たんだが、昨日の件な。お前の目から見て、どうだった?」
「まだまだ甘い、と推察されます」
茶々丸はネギと手合わせしてから帰宅した後、『仕事』のため、また家を出なければならなかった。再び帰宅した時、エヴァは具合が悪く眠っており、茶々丸はネギと戦ったことを直接報告できていなかった。
かといって放って置いても良いような内容でもあらず、仕方なくエヴァ宛にメモを残しておいたのだ。
固有名詞を用いず、茶々丸はその問いに答える。
「ただ」
言葉を濁らす。エヴァは怪訝な表情を浮かべた。
「ただ……何だ?」
「前衛に私の攻撃を回避されました」
「ん?」
「何の話してるんですかぁー?」
固有名詞を出さずに会話をするふたり。葉加瀬が作業をしながら話に入ってきた。
「ん、ハカセには関係のない話だよ」
「ふーん?」
エヴァはコーヒーを飲みながら答える。葉加瀬は茶々丸のメカニックであり、茶々丸の構造上、魔法についての知識も持ち合わせている。
しかし今回の一件を話すことは出来ない。ネギを襲う話をしているとは言いにくかった。
「まあいいや。あ、泥が詰まってる。もっと丁寧に動いてねー茶々丸。推進剤も減ってるし、家で補充ヨロシク。それと、なるべく飛ばずに歩くか走るかにすること」
「申し訳ありませんハカセ」
「まぁ……データは取れるからいいんだけどさ」
葉加瀬はこういうことに対して、あまり深い追求はしない。彼女と出会って数年、そういった事は多々あったからだ。
エヴァはコーヒーをすすり、茶々丸とハカセは点検により無言。その状態が数分続く。
小さな駆動音を最後に、電動ドライバーの動きが止まる。葉加瀬は工具を片付けながら茶々丸に話しかけた。
「ん、他は何ともなしと。はい終わったよ。もう動いて良いからね」
「ありがとうございます、ハカセ」
「修学旅行に行く前にも点検するから。その時は研究室に来てね」
「いや、ハカセ、点検はいい。私たちは修学旅行に行かないからな」
茶々丸が答えるところを、エヴァが代わりに答える。その内容にドライバーを持つ手が止まった。最初は怪訝な顔をするも、葉加瀬は一転して納得したような表情を浮かべ、ぽん、と手を叩く。
「あ、そうでしたね。すっかり忘れてました」
エヴァは薄く笑い、コーヒーを飲みほした。
「ハカセは研究以外に興味が無いからな」
「あ、今ちょっとひどい事言いませんでした?」
「さて、な」
「……はぁ、いいですよもう。じゃあ、修学旅行が終わったらやるよ」
「はい、ハカセ」
「じゃあね」
点検道具を片付け、そこからひとりで去って行く葉加瀬。
「行ったか」
その姿が見えなくなったことを確認し、エヴァは淡いピンクの液体が入った試験管を取り出し、テーブルの下で割った。そして、ささやくように呪を紡ぐ。すると、それまでの喧騒が嘘の様に静まり返った。防音結界である。
「ま、その頃私は麻帆良にいないんだが……では、話の続きだ。神楽坂がどうしたのだ?」
一転して真剣な表情へと変わったエヴァが、その従者へと問いかける。もちろんその内容は第三者が居た為に話しづらかった、今後の作戦について。
「はい。交戦中、私が神楽坂さんのアーティファクトを奪おうとしたのですが、彼女にそれを躱されました」
「それのどこがおかしい? メモにも書いてあったが、神楽坂は契約執行で身体能力を強化されていたのだろう? もともとあいつは体力馬鹿なのだし、それぐらいはやりかねんと思うが」
「それは、そうなのですが……」
「何か納得がいかない、か。まぁ構わんさ。所詮ハリセン、それで私を倒せるとも思わん」
俯く茶々丸に楽観的な思考でもってその話を終わらせるエヴァ。
「それよりも、あの件、どうなのだ? 夜から夜明けまで調査に行っていたのだろう?」
「はい。やはり、登校地獄の呪いの他に、別種の結界を探知しました。どのような物なのかはまだ不明ですが……この土日で、データベースに侵入、解析の予定です」
「ん、そちらのことは任せる。私は……監視が付いてるだろうからな、しばらくは大人しくしているさ」
空となったカップをテーブルに置き、空いた両腕をその上に伸ばす。身長が低いため、茶々丸から見て、エヴァの体はわき辺りから上しか見えない。
「午前中に調べましたところ、監視カメラにネギ先生たちが映っていました。登山らしき準備をして、学園外へ行ったようです」
「学園外、ね」
エヴァは、学園外に出ることは出来ない。監視が付いているものの、これでこの土日に仕掛けることは完全に不可能となった。茶々丸はその山を指し示し、エヴァは顔を顰める。
「あいつは逃げたか。本当にアイツの子供なのか?」
その表情のまま、エヴァは茶々丸の示した方角にある山を見据え、呟いた。
「どちらにせよ、この二日は仕掛けられないな」
■■■
先程の暗い山の中とは打って変わって、そこは陽の当たる暖かい水辺だった。
ネギたちは、冷えた体を温めるため、たき火を囲んでいる。ここの所は晴れ続きだったため、少し探すだけで枯れ木はすぐ手に入った。
ネギたちは川で汚れを落とし、今は楓の用意した白いバスタオルで顔以外をすっぽりと覆っている。日光の当たる岩場には濡れた服が並べて干してある。
「長瀬さんって毎週山の中にいるんだ。知らなかったわ」
「このコトを知ってるのは、そうでござるなぁ……刹那に真名、古、あとは風香と史伽ぐらいでござるよ」
話しつつ、楓はたき火に枯れ木を投げ入れる。
「いつもは、ひとつ山を越えたところでキャンプをしているのでござるが……ま、たまには違う所でも良いでござろう」
楓の話によると、土日は何時もこの山に入って寝泊りしているらしい。
そしてあの時、楓はキャンプ地へと移動していた最中だった。テントや風呂に使うドラム缶などは、寮の部屋の中に全部入れられるほど小さくない。そのため、それらは山の麓や山中に保管してあるらしく。
あの時の楓は、物資を運ぶために麓からキャンプ地まで往復している途中だった。
「でも、山に入って何をしてるんですか?」
「修行でござるよ、のどか殿」
「修行、ですか?」
「おっと、何の修行かは秘密でござるよ」
「は、はあ」
のどかに向かい掌を突き出す楓の言葉を聞き、ネギたちが心で思ったことは一致した。
「それで、どうするのでござるか? 服が乾くのを待って下山したら、中腹辺りで日が落ちてしまうでござるよ?」
「いえ、今日は山で寝泊りしようと思うんですけど、どうしましょう? 食べ物もぐちゃぐちゃですし」
「ん、どうするって言われてもねぇ」
「そういえば、どうしてキャンプをしようと思ったのでござるか?」
「う……」
明らかに、しまった、という様な顔をするネギ。他の二人も気まずそうな表情だ。その様子に楓は微かに笑みを浮かべ、
「いや、言いたくなければ良いでござる。悪いことをしたでござるかな?」
「あ、いえ……」
そして一つ、提案をした。
「では、拙者の道具を貸すから、一緒にここでキャンプをせぬか?」
「え、いいんですか長瀬さん?」
「大丈夫でござるよ、のどか殿。幸い今晩はそれほど冷え込まないようだ。テントを使わなくともハンモックで事足りる」
「あ、ハンモックは僕たちが持ってきた荷物にありますよ」
楓の所持するテントはふたり用の小さなもの。ふたりは外で寝なければならない。
拙者が外で寝ると楓は付け足し、もうひとり、誰が外で寝るかを聞く。
「それじゃあ、僕が外で寝ます。明日菜さんとのどかさんはテントで寝てください」
ネギはいち早く、外で寝ると告げる。反論はなく、明日菜とのどかは頷いていた。
「ごめんね、長瀬さん。こんなにしてもらって」
「ありがとうございます、長瀬さん」
「良いでござるよ。たまには修行を休んでも罰は当たらないでござろう。しかし」
楓は人差し指をピンと立てる。
「食料は自給自足。それと、風呂も用意できぬ。取り敢えず、保存食を摂ってから魚でも採ることにしよう」
「働かざる者食うべからずって訳ね。私はよく分かるわ」
「いい意気でござるな」
「でも、僕魚採った事なんて無いですよ」
「私もないです」
「大丈夫。最初に拙者が手本を見せるでござるから」
不安げな表情を浮かべるネギとのどか。それを安心させる様に、楓は明るく言葉をかける。
カモはと言えば、一言も喋らず明日菜の肩で小さくなっていた。
中継ぎ回。だいたい7000~8000字くらいで区切ろうと思います。