僕は今、ズシリと重い箱を持って歩いている。
中身は今まで没収され続けたPFPだ。
少なく見積もっても50はある。
リアルなんてクソゲーだ…。
ずっとそう思っていた。
いや、今でもその気持ちは変わらない。
ただ、リアル女達は、思ったよりも悪くなかった。
僕は駆け魂を集める生活で少しだけ
リアル女みる目が変わったのかも知れない。
これも全部あいつらのお陰だ。
でも僕はもう、リアル女と深く関わらないことにしようと思う。
今日の朝早くに人生最後の告白をした。
これは攻略じゃない。
桂木桂馬の最初で最後の告白だった。
そして、僕がリアル女と仲良くする最後の可能性だった。
ちひろ以外と恋仲になる気も、仲良くなる気もなかった。
だか、それも断られた。
もう僕にはこの世界で暮らす気はない。
これからは二次元に生きる。
いや、二次元の世界に戻ると言った方がいいのかもしれない。
そう決断をしたその時だった。
なんとなく横を見た僕は驚いた。
そこには確かにちひろがいたんだ。
親指で鉄格子をなぞりながら少し俯いてこっちへ歩いて来ていた。
その時、僕の足は自然とちひろの方に向かった。
僕から声をかけようにもかける言葉がない。
心の中で選択肢をあさっている時だった。
ちひろから声をかけられた。
「……その箱、なに?」
「なんでもいいだろ。」
僕は素っ気なく返事を返す。
僕たちの目線は合わない。
「あれ、なんなのさ…何考えてるのあんた。」
"あれ"とは勿論、朝の告白だろう。
何考えてる………か…。
「何も考えてない。」
素直な気持ちだった。
別に何も考えてなかった。
好感度とか選択肢とか何にも考えてない。
だって攻略じゃないんだから。
「………………」
ただ、ちひろの事が好きだと思ったから…。
伝えなくてはならないと思った。
「だから…僕もどうなるかわからん!!」
もし、ちひろと付き合えたら…。
何が起こるかなんて…。
僕のギャルゲ脳じゃ分析出来ない。
いや、したくない。
だって、好きなのだから。
「なんだそりゃ!!」
僕はこんなにもリアルに本気になるなんて思わなかった。
けど、期待してもいいんだな?
今、ここに来るということは…。
お前に本気になってもいいんだな?ちひろ。
「ま…なんつーか……」
「…………………」
僕は落とし神を辞める。
それに、さっきまでの決断は…全てなしだ。
僕は………ちひろに生きる。
やっと目線が合った。
その時だった、
僕は確かにこう聞こえたんだ。
「茶でも、飲みに行かん?」
確かに聞こえた恋が進む秒針と波のさざめきが心地よく聞こえた。