僕、ちひろ、えり、ハクア、歩美、結、かのん、月夜、栞、天理…この全員が皿とはしを片手ずつに持ち、グツグツと音を出す鍋を囲んでいる。
「おい。何故こんなことになってる。」
「あ、ごめん。ボクとした事が気が付かなかった。もしかして、すき焼きが嫌いだった?」
「そうじゃない!何故、僕たちは全員で鍋を囲んでいるんだ!」
「確かに狭いのですね。」
「だからそうじゃない!」
僕が言いたいのはなんでお前達がいるかってことなんだ!
僕はお泊りを許したつもりはないぞ!
「それより早く食べようよ」
くそ!ちひろまで…僕の味方はいないのか!?
「じゃ、食べようか!」
「「「「「いただきまーーーーす!!!」」」」」
…………もうどうにでもなれ。
───────
────────────
──────────────────
僕は今、屋上にいる。
「へぇ。こんな所にも登れるんだ」
「ちひろか。ほかの奴らはどうしてるんだ」
はしごを登ってくるちひろを横目で見ながら
月を見る。今日は満月だ。
「色々だよ。お風呂とかおしゃべりとか」
「そうか。」
「うん。」
「……………………」
「……………………」
夜風が心地よい。
それと同じように、この場には心地よい雰囲気が漂う。
なんだかくすぐったい気持ちだ。
「ねぇ。」
「なんだ。」
「………私さ…後夜祭のバンドの時、翼を見たんだ。」
なんの話しだ。
「翼?」
「…………私、悔しくて……。私だけ…女神がいなかったから恋が叶わなかったんだって…そう思うと悔しくて…。」
………女神でもいたのか?
それとも…まさか歩美達に翼がはえたとか?
馬鹿馬鹿しい。そんなわけないか。
「でもね。今はそんなことどうでも良かったんだって気付いた」
「だってさ…この先ずっと…桂木が一緒にいてくれるからさ」
やばい…。僕の心臓がバクバクいってるのがわかる。
なんだってんだ!なんでこんなに…こいつは可愛くなるんだよ!
普段はそんな予兆を見せないくせに!
これだからリアル女は困るんだ!
でも…まぁ…悪くない。
「ちひろ。お前は僕達のキスを全部覚えてるか?」
「…へ?………ななな、何言ってるのさ!」
「僕は覚えてるぞ。初めてのキスは僕が不意打ちをした。2回目のキスはちひろが強引にしてきた。3回目は僕が強引にした。」
「ややや、やめてよ!恥ずかしいじゃんか!」
「………まだ、2人が望みあってキスをしてないよな」
「!!!」
「……………ちひろ。いいか?」
暫しの無言………。
家から聞こえるはずの賑やかな声も聞こえない。
この世界には、僕とちひろしかいない。
そんなことすら思ってしまった。
ちひろは小さく頷くと共に目をつぶった。
それを確認した僕はちひろの肩に手をおいて
綺麗な星空と満月の月を背景に
軽く唇にキスをした。