とある英雄の伝説大戦(レジェンドウォーズ)   作:マッスーHERO

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今回の話はあまり自信がありません。(いつもそんな感じなんですが)
場合によっては書き直しもあるかもしれません。


230万分の1(前編)

「この植物の構造は…」

 

柵川中学の教室では、新任の星川学が理科の授業をしていた。

 

「よし、初春。この問題を解いてみろ」

 

「…」

 

星川が初春を指さして言う。しかし初春は窓の外をぼうっとしながら見ていて、星川の言葉は届いていないようだ。

 

「おい!初春!」

 

「は、はい!」

 

星川は初春の席まで行き、机を叩きながらすこし声をあらげながら言う。

 

「無視とはひどいな…内申点が要らないのか?」

 

「い、いえ。そんなことありません」

 

「どうかしたのか?ぼうっとして」

 

星川は心配そうに初春を見る。

 

「本当に大丈夫です…」

 

初春はそう言うと問題に取り組み始める。その姿を後ろの席から心配そうに春上が見ていた。今の初春も見れたものではないが、それでもずいぶん回復した方だと思いつつ春上はあの日のことを思い出していた。

 

 

 

ガスドリンカーズ戦の後に起こったバスコの襲撃…ファイブレッドの助けでバスコは撃退できたものの、その代償はあまりにも大きかった。固法は右腕を折られて重症を負い、初春たちは一時的にだが変身能力を失った。変身アイテムのセーフティによるロックでダイボウケンもデカレンジャーロボも出撃出来ない状況のなか、ただ一人戦えた御坂は先日のアンコウネジラー戦でギャラクシーメガとデルタメガのピンチを指をくわえてみることしか出来ずに悔しい思いをしたと言う。そして、一番ダメージを負った佐天はというと…

 

 

 

「いやあ、階段から落ちてこの様ですよ。はっはっは」

 

放課後、第七学区の病院のとある病室には佐天の笑い声が響いていた。病室のベットには佐天が座り、傍らの椅子には彼女の文通友達である重福省帆が座っていた。

 

「入院したって聞いて、とても心配したんですよ」

 

「もう、皆心配症だな。私はほら、この通り!」

 

佐天は両手を上に上げて、ボディビルダーのようなポーズをとって言う。それを見た重福は少し笑うが、突然何かに気づいたように時計を確認する。

 

「ごめんなさい。今日これからちょっと大事な予定が…」

 

「ええ!?そうなの…じゃあしかたないね。すぐに退院してまた手紙出すから!楽しみにしててね」

 

「はい!それじゃあ、私はこれで」

 

重福はそう言うと席をたち、病室を後にする。彼女は終始笑顔で佐天に接していた。しかし、病室がドアがしまったことを確認した重福は突然表情を変えた。その表情は驚きと困惑に満ちていた。彼女自身、あの病室にはいる前に御坂からの忠告は聞いていたが、まさかあそこまでの物とは思わなかった。

 

「どうだった?」

 

佐天の病室の近くの壁に寄りかかりながら立っていた御坂は重福に問いかける。重福は言葉に詰まっているようだがその表情を見た御坂には彼女の言いたいことがわかっていた。あの病室を訪れたものは大体同じ表情をしていたからである。重福は意を決して口を開く。

 

「あれは…本当に佐天さんなんですか?」

 

「ええ…そうよ」

 

「怪人に襲われたのがいくらショックだったからって…あれじゃまるで…」

 

重福はハンカチを取り出し、目頭を抑える。重福はそれから先は何も言わずに廊下をとぼとぼと歩いて去って行った。御坂はその後ろ姿を見ながら、佐天の主治医伊達明との会話を思い出していた。

 

『今のあの子の状態はPTSD…いやASD(急性ストレス障害)に近い』

 

『ASD…』

 

『日常生活では感じないようなストレスを受けた場合に発症しやすい…本来は戦争とかのショックが多いな。国境なき医師団にいたころは飽きるほど見たが…まさかこんなところで見ることになるとは』

 

『治るんですか?』

 

『本人次第としか言えない…本物のPTSDだってなおらない場合も多いってのにあの子の症状は俺が見てもおかしく思うもんだからな』

 

『…』

 

『まさか表情を失うなんてな…』

 

そう今の佐天には表情が消えてしまっているのだ。普通のPTSDのようなフラッシュバックなどの症状も出ているが、最大の症状はこれなのだ。先程の笑い声もまるで感情がこめられておらず、非常に渇いたものだった。体の傷はすでに治療が終わり、頭や腕に包帯が巻かれているが、それほどでもない。しかし彼女の心の傷はとてつもないほど大きかった。

 

「私だって信じたくない。あんなに明るかった佐天さんが…あれじゃあ、まるでロボットじゃない…」

 

御坂は壁に拳を叩きつける。今ので傷がついたのか拳から血が流れ始める。

 

「感心しないわね、ここは病院よ。けが人を増やしちゃだめよ」

 

突然の声に御坂が振り向くとそこにはスーツ姿で花束をもった女性が立っていた。

 

「巽さん…」

 

その女性は、あの戦いの後に真っ先に彼女たちのもとにやってきた救急救命士だった。名前は巽祭。彼女の的確な応急処置で固法の傷はそうひどくはならなかったのだ。

 

「ちょっと腕を出して」

 

「いいですよ、このくらい…」

 

「いいから!」

 

拒む御坂を無視して祭は御坂の腕をとる。そして祭は御坂の腕を治療し始めた。

 

「…私なんかより…佐天さんを治す方法を考えてくださいよ…」

 

「それを探すのは私の役目ではないわ」

 

祭は御坂の手に包帯を巻きながら言う。確かにこの女性はあくまで救急救命士…こういった病気を治すことは専門外だ。だからといって中学生相手なのだから、希望のある言葉をかけてやるべきではないのか?と御坂は心のなかで思っていた。

 

「そして、伊達先生の役目でもないわ」

 

「えっ?」

 

「それを探して見つけ出せるのは…あなたたちだけよ」

 

祭は御坂の腕の治療を終えると花束を御坂に渡して、佐天の病室には入らず帰っていった。

 

「私たちだけ…」

 

一人残された御坂はただ去っていく祭の背中を見つめるだけだった。

 

 

 

病室のなかで、佐天はただ窓の外を見ていた。ベットから手を伸ばせば様々な雑誌を見ることができる。都市伝説、料理、漫画…だがどれも今の佐天を満たすことは出来なかった。

 

「どうなっちゃったんだろう…私」

 

自分のことは自分が一番分かっている。自分が正常ではないということは周りの反応を見ればわかる。だからといって、解決する方法があるわけではないが…。

 

「なんでだろ?」

 

無能力者だと言われたことやその現実を突きつけられたことは何度もあった。なのになぜ、彼の、バスコの言葉がこんなにも重く心に響いたのだろう?佐天はずっと自問自答していた。最もあまりそれを考えすぎるとフラッシュバックで自分が苦しむのだが…

 

「私には…無能力者には…背負えないもの…」

 

佐天は右手に一本のレンジャーキーを握る。それは初めてこの力を手に入れる前の白い状態だった。

 

 

 

177支部のパソコンの前で初春が頭を抱えていた。初春はなかなか佐天の見舞いにいくことが出来なかった。もちろん全く行かなかったわけではない。二回だけ彼女は佐天の見舞いに行っていたのだが…

 

「…」

 

一度目は治療が終わって一番に病室に入った。しかしそこで佐天が表情とゴーカイジャーの力を手に失ったことを皮肉にも最初に知ることになったのだ。そして二度目はアケミや枝先たちクラスメイトと共に見舞いに行った。彼女たちには佐天が怪人に襲われたと嘘をついていたのだが、彼女たちは変わり果てた佐天を見てショックを受けていた。それ以来初春は佐天の病室のドアを開けることが出来なくなっていた。

 

「初春さん」

 

「固法先輩…」

 

初春の肩を固法が叩いた。彼女は前の戦いで腕を折られており、現在は腕を吊っていた。

 

「佐天さんのところへ行ってあげないの?」

 

「私には行く資格がありませんから…」

 

「資格なんて必要ないわよ」

 

固法は椅子に座り、初春の目を見る。

 

「私があの時、戦えていたら…佐天さんはあんなに傷つくことはなかったんです…だから私には…」

 

「いい、初春さん…私はね、今の佐天さんを救えるのはあなたたちだけだと思ってるわ」

 

「えっ?」

 

「強い絆や愛は時に奇跡を起こす…らしくないロマンチストみたいな言葉だけど私はそう信じてるわ」

 

固法は立ち上がると、部屋のすみにかけてあった赤いジャケットをとって羽織った。

 

「大丈夫、彼女はきっともとに戻る。だから私たちはできることをやりましょう。」

 

「…」

 

固法の言葉が初春の心に響いていた。

 

 

 

黒子は第七学区をパトロールしていた。彼女もまた佐天の病室に見舞いにほとんどいっていなかった。周りから見れば薄情だと罵られるかも知れないが、これには訳があった。

 

「(私だって佐天さんが心配じゃない訳じゃありませんの…ですが、私が行ったところで佐天さんがもとに戻るとは思えませんの…)」

 

黒子には佐天をもとに戻す力も言葉もない。そういったことは初春や固法、そして御坂たちのが適任だろう。ならば自分は今できることをしよう、彼女はそう考えていた。

 

「ヤッホー、久しぶり。白井黒子ちゃん」

 

黒子は突然の言葉に驚きながら振り向く。そこにはあの赤いスーツの男が立っていた。

 

「あなたは…」

 

「こんにちわ~」

 

手を振りながら黒子に近づくバスコ。臨戦態勢をとる黒子をバスコは片手を突き出して制する。

 

「やめときな、君一人では俺には勝てないよ」

 

「問答無用!エマージェンシー!」

 

黒子はデカイエローに変身し、ディースティック片手にバスコに突っ込む。

 

「はあ~、まったく…」

 

バスコは、ディースティックを片手でキャッチする。

 

「ならば!」

 

デカイエローは瞬間移動でバスコの背後にまわる。そしてディーナックルでバスコを殴りつける。

 

「いいね、なかなか楽しめるね」

 

しかしデカイエローのディーナックルはディースティックで受け止められ、バスコの蹴りでデカイエローは吹き飛ばされた。

 

「うっ…」

 

「だめだよ。君は一応この街の警察機関の一員なんだから、一般市民をいきなり攻撃しちゃあ」

 

「ふ、ふざけないでくださいの、どこが一般人なんですの!」

 

「まあまあ、今日はこれを渡しに来たんだ」

 

バスコはスーツの懐からカードを一枚デカイエローに投げつける。

 

「じゃ、また後で!」

 

そういうとバスコは人の多い通りのほうへ去って行った。残されたデカイエローは変身を解除し、バスコの残したカードを拾い上げる。

 

「いったいなにを…!これは…」

 

カードに書かれたメッセージに黒子が衝撃を受ける。それと同時に周囲から爆発音が響いた。

 

 

 

「『今日第七学区の病院を襲うから、準備よろしく!』ふ、ふざけんじゃないわよ!」

 

御坂はカードをくしゃくしゃに握り潰すと壁に叩きつけた。

 

「私たちだけでバスコに勝つのは無理です。他のヒーローに応援を…」

 

「こんな状況では無理ですの、初春」

 

そう言いながらテレビを指差す黒子。テレビには学園都市外周部でたくさんの怪人と戦うヒーローたちが映し出されていた。映像にはフォーゼやクウガ、オーイエローたちの姿もある。とてもではないがこちらへ増援を送れる余裕はない…。

 

「私たちだけでやるしかないわ…」

 

ポケットからオーメダルを取り出して握りしめる御坂。

 

「ならせめて、病院から人を…」

 

初春は御坂たちに背を向けて走り出すが、黒子に制止される。

 

「だめですの!他の学区は敵がうじゃうじゃしているんですのよ!移送中を狙われたらどうするつもりですの!」

 

「そうね、この病院ならむしろ籠城してもらって、中に入れるのを防ぐ方が戦いやすいわ」

 

御坂は携帯を取りだし、婚后たちにメールを送信する。

 

「あのカードに書かれたことが正しければ…」

 

「襲撃まであと一時間ですの…」

 

「アンチスキルのほうにも上手く言って来てもらいます」

 

「本来なら正しい判断じゃないかもしれないけど…バスコ相手じゃね」

 

「では、私がアンチスキルの方に連絡しますの」

 

そう言うと黒子はテレポートで虚空に消えた。あとに残された二人は暫く黙ってテレビを見つめる。テレビの中でフォーゼが怪人の一匹にロケットドリルキックを決めていた。

 

「初春さん…私に三十分だけ時間もらえないかしら?」

 

「えっ?」

 

「佐天さんと…話してくるわ」

 

「…」

 

真剣な顔の御坂の一言が初春の動きを止めた。

 

「別に佐天さんを戦力に戻そうと思っているわけじゃない…ひょっとしたらもう戻ってこれないかもしれないから…せめて言いたいことは全部いっておきたいの」

 

御坂の言葉が終わった瞬間、初春が御坂の胸ぐらを掴む。突然のことに御坂は驚く。

 

「…そんなこと言わないでください…かならず…かならず戻ってくるんです!」

 

初春はいつになく強い言葉を御坂にぶつける。

 

「私たちが…命がけで戦うのは、みんな一緒に笑顔で笑いあうためです!一人も欠けちゃいけないんです!私も、白井さんも、御坂さんも、春上さんも、婚后さんも、湾内さんも、泡浮さんも、そして…佐天さんもです!」

 

「初春さん…」

 

御坂を離すと、初春はポケットからすこし膨らんだ封筒を取り出す。

 

「これを…佐天さんに渡してください。私はどうしてもあのドアを開ける勇気がないので…佐天さんのこと…お願いします」

 

深々と御坂に向かって頭を下げて、初春は廊下を走り去った。御坂は初春から受け取った封筒を見つめる。

 

「…濡れてるじゃない…強がっちゃって、あの子…」

 

便箋に新たな力をもらった御坂は、佐天の病室へと向かった。

 

 

 

佐天の病室のドアが開き、御坂が入ってくる。御坂が入ってきたことに気づき、表情のない顔を向ける佐天。

 

「御坂さん、いらっしゃい」

 

「ちょっと話があるの…」

 

佐天の座るベットのそばに立つ御坂。その時、遠くの方から爆発音鳴り響いた。

 

「今日はすこし騒がしいですね、何があったんですか?」

 

「ちょっとね…」

 

御坂は一度深呼吸をして佐天の目を見る。

 

「…バスコがこの病院を狙っているわ」

 

「!」

 

バスコという単語に反応し、佐天の脳裏にあの日の光景がフラッシュバックする。

 

『死ねよ、クズ…お前に伝説の海賊は背負えない』

 

頭を押さえて、うずくまる佐天。

 

「大丈夫!?佐天さん」

 

「へ、平気です…話を続けてください」

 

佐天は両手を頭から離して、背筋を伸ばす。

 

「私たちは、これから奴と戦うわ…必ず戻ってくるつもりよ…けど、無傷では無理かもしれないわ」

 

「…」

 

「ひょっとしたら、もうあなたに何も伝えられなくなるかもしれない…だから、いまから伝えたいことを伝えたいの」

 

御坂は窓の方へ移動する。窓には精神患者用の鉄格子がはめられており、開けることはできない。

 

「思い出すわね…枝先さんのお見舞いに行ったときにテロリストに襲われて、屋上から落ちた春上さんをあなたが助けたこと」

 

「はい」

 

「あなたたちと出会って、いろいろなことがあったわよね…」

 

佐天に向かい振り向く御坂。

 

「私ね…考えたの。あの巽さんっていう救急救命士さんにあなたを救うカギは私たちが見つけるられるってきいて…」

 

「…」

 

「あなただっておかしいと思ったはずよ…あなたはたとえ無能力者だと馬鹿にされても、それでこんな風になってしまうような弱い人間じゃないって…」

 

「それは…」

 

「なんであなたがこんな風になってしまったのか…それを固法先輩と考えてたの」

 

 

 

今から少し前の177支部に御坂と固法がいた。

 

『どうして佐天さんはあんな風になってしまったんでしょう?』

 

『う~ん、ひょっとすると佐天さんは、重圧に耐えられなくなったんじゃないかしら?』

 

『重圧?』

 

『私にね、戦いながらあなたたちを見てて一つ心配だったことがあるの』

 

固法はゆっくり立ち上がる。

 

『この力をもらった誰かが、悪い言い方をすると調子にのって何かとんでもないことをしでかすんじゃないかと』

 

『そんな…』

 

『実はそれで私が一番心配してたのが佐天さんなのよ』

 

『えっ…』

 

『佐天さんはレベル0、それがあんな強大な力をもったら精神的にいつかはって…』

 

『そんな言い方ないですよ!』

 

『でも、彼女はそうはならなかった』

 

『当然ですよ!』

 

『それは彼女が私たちの想像を絶する出来事を乗り越えたこと、そしてあなたたちとともに数々の事件をくぐり向けたことが彼女をはるかに成長させた。その結果彼女は強大な力を制御できたのよ』

 

『想像を絶する?』

 

『それは、私や御坂さん、白井さんたちができずにまたあってはならないこと。それを私たちは耐えきることができないかもしれないから…』

 

『…』

 

『おそらく彼女も最初はゴーカイジャーの力をもって、喜んだはずよ。でもあなたが負傷したときや巨大怪人に多くの人が傷つけられたとき、彼女はこの力の重大さと託された重さを感じたのよ』

 

『だから、その力を託されたことを否定されて…』

 

『精神的にひどいショックを受けた…』

 

『でも、佐天さんを成長させた想像を絶する出来事って…なんですか?』

 

『それは…』

 

 

場面は佐天の病室へと戻る。

 

「それは、あなたが能力を得て、そして失ったことよ」

 

「えっ?でもそれはレベルアッパーを使用した多くのレベル0に…」

 

「確かにそう、でもあなたはそのあと、私たちとともに多くの事件を解決した。テレスティーナの事件,相園さんの事件、桜坂さんの事件、エンディミオン…それがあなたを私たちよりも強く成長させた。だからあなたはゴーカイジャーの力を正しく使い続けることができた」

 

「そんなの過大評価ですよ…私にはそんな資格はありません」

 

「あなたはそう思っているかもしれない…でもね。能力を得てそれを失うっていうのを乗り越えるのは大変なことよ」

 

御坂は佐天の方へ歩み寄る。

 

「私は昔、あなたにこういったわよね『レベルなんて関係ない』って。でも私はそんな偉そうなことを言っても自分が能力を失ったら絶望すると思うわ。ひょっとすると自殺するかもかもしれない…」

 

「そんなこと、嘘でも言わないでくださいよ」

 

佐天と御坂の目がしっかりと合う。

 

「嘘じゃないわ。私のような高位能力者はその能力がどうしても行動指針…つまり生きる意味になってしまうのよ。それを失うことはつまり生きる意味を失うってことに等しいのよ」

 

「そんな…」

 

「私はオーズの力を託された時に、こう言われたの。『君は自分の力を他人のために使うことができる』って。うれしかったわ、私を『超電磁砲』だの『常盤台の電撃姫』だの言わずに、一人の人間として見てくれたような気がしたもの」

 

御坂は佐天の肩に手をやる。

 

「だからあなたに力を与えた人たちもきっとあなたをこの街をいえ、星を守れる一人の人間として選んだのよ。バスコの言ったことは決して正しくない」

 

「御坂さん…」

 

「私もあなたもこの街の230万人分の1人としてこの力を受け継いだのよ。私は御坂美琴として、あなたは佐天涙子としてね。そして私は佐天涙子はあの力を受け継ぐのに最もふさわしい人間の一人だと信じてるわ」

 

御坂は佐天のベットに初春の封筒を置くと、病室から出ていった。

 

「…」

 

残された佐天は御坂から渡された封筒と白くなったレンジャーキーを交互に眺めていた。

 

「230万分の1…佐天涙子…」

 

佐天は迷いながらも初春の封筒を開ける。中には便箋と青い石が入っていた。

 

『佐天さんへ お見舞いに行けず申し訳ありません。アケミさんや枝先さんたちのあの顔を思い出すと、どうしても病室のドアを開けることができませんでした。そこで今回はお手紙で思いを伝えたいと思います。覚えていますか、クラスで一人だった私を仲間に入れてくれたのは佐天さんでしたよね。それだけじゃないです。テレスティーナとの戦いのときや桜坂さんとの戦い、白井さんが倒れた時に私を励ましたり、みんなを助けてくれたのは佐天さんでした。佐天さんは私たちよりずっと強い力を持っているといつも思います。これは私だけじゃなくて、白井さんや固法先輩も言ってるんですよ。みんな、あなたのことは凄い人だって思ってます。だからバスコの言ったことなんて気にすることないですよ!私は佐天さんが私たちのなかで一番あの力を受け取るべき人だと思っています。わたしは佐天さんがもとに戻ると信じてますよ 初春飾利  追伸 同封した石は春上さんが拾ったもので持っていると力を与えてくれるそうです。治ったら春上さんに返して、私には究極至高冷菓でもおごってください待ってますよ』

 

読み終わった手紙を佐天はベットに落として、うずくまってしまった。

 

 

 

ついにバスコが第七学区の病院の門の前に来た。周りには何人かのスゴーミンを連れている。

 

「さてと、行こうか」

 

「行かせないわ!」

 

御坂をはじめとした7人がバスコの前に立ちはだかる。

 

「邪魔しに来てくれたんだ、それでこそいいコマーシャルになるよ」

 

「みんな!すべての力を出し切ってでもあいつを止めるわよ!」

 

『はい!』

 

七人が変身ポーズをとる。

 

「変身!」

 

[タカ!クジャク!コンドル!タージャードル!]

 

「変身!」

 

[Sword Form]

 

「エマージェンシー!デカレンジャー!」

 

「レディ!ボウケンジャー!スタートアップ!」

 

「クロスチェンジャー!」

 

「レッツ!チェンジ!チェンジマーメイド!」

 

「プリズムフラッシュ!シャットゴーグル!」

 

七人のヒーローが並び立ち、バスコに向かい突っ込んだ。

 

 

ついに始まったバスコとの再戦。はたして御坂たちは勝つことができるのか?そして佐天は…




すいません。来週はテストの都合でアップできないかもしれません。
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