とある英雄の伝説大戦(レジェンドウォーズ)   作:マッスーHERO

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今日でとあるシリーズも十周年となりました。
私もとあるのファンとなって四年ほどたち、今日という日をとても嬉しく思います。
この小説もとあるあっての小説なので原作者の方(すいませんが名前は伏せます)には感謝してもしきれません。
多くのメディアで作品を発表されている原作者さんには今後も頑張ってほしいと思う反面、無理はしないでもらいたいと思うばかりです。
急遽投稿なので話としては短いですが、今後のとある及び原作者さんの刊行されたシリーズの発展を願い、投稿させていただきます。


決戦前夜

「どういうことですか?手出しをしないと言うのは…」

 

「そのままで意味ですよ」

 

第七学区のとあるビルの屋上で、アニェーゼは五和にそういいはなった。この日の前日、学園都市統括理事会にフューチャーからの宣戦布告が行われ、明日にも総攻撃が開始されるという状況でのこの発言は五和にとって寝耳に水のようなものだった。

 

「なぜですか?」

 

「なぜと言われても…それが決まりだからですよ」

 

五和の隣には目を閉じ、腕を組む建宮、アニェーゼの後ろにはルチアとアンジェレネの姿がある。

 

「え…」

 

「私たちがここにいるのは、あくまでも怪人や怪獣の調査のため。そのための科学サイドとの協力に制限はありませんが、敵が学園都市の能力者で構成されているフューチャーとの戦いにてを出しちまったら、魔術と科学のバランスを損なってしまう危険だってあります」

 

アニェーゼは屋上から下の街を見渡す。前日の宣戦布告もあってか、街には人や車が少ない。皆、フューチャーの攻撃が怖いのだ。

 

「彼らに手を貸すことは、私たちがその決まりを破るということになりかねないってことになっちまうんですよ。わかりますよね?」

 

「だからって、私たちは幾度となく上条さんに助けられてきたじゃないですか…それを!」

 

「たとえ恩を仇で返すような真似になっちまったとしても、たったひとりへの恩のためにあんたは世界のバランスを崩しちまうつもりですかい?」

 

「う…」

 

アンジェレネの言葉に黙りこむ五和。今でこそ、特例として学園都市に来ている彼女たちだが、そもそも彼女たちは魔術サイドの人間…科学サイド同士の戦いとも言えるフューチャーとの戦いへの介入は新たな争いへの火種を作りかねないのだ…

 

「もちろん負傷者の救出などへは力を貸しましょう、ですが、直接的な戦闘に手を出さずに行くというのが我々三人の総意です」

 

ルチアの言葉に五和が歯噛みをして黙ってしまう。場が重い空気となる中、建宮は腕組を説いて目を開くと、突然体の前で十字を切り十字教の祈りのポーズをしだした。

 

「俺達の本来の目的は神に仕え、祈ること…あいつらの勝利を祈ってやるしかないのよな…」

 

「…」

 

「(大丈夫、彼らは勝っちまいますよ。かならずね…)」

 

アニェーゼには確信があった。根拠は何一つない…ヒーローの力と怪人の力、どちらも強力な力であり…それ自体での戦力差は殆ど無い…いや、怪人側のが有利かもしれない。それでも彼女は信じることができた。彼女の脳内には上条=フォーゼの右腕がすべてを撃ち砕く姿がはっきりと見えていた。

 

 

 

 

 

 

 

「よし、ジェットイカロスとジェットガルーダの分離開始!グレートイカロスへの合体整備を開始する!」

 

「アルティメットダイボウケンの各エンジンの整備を開始せよ!」

 

「ゴーカイオーのハッチの開閉テスト開始!」

 

「スーパーデカレンジャーロボのスラスター交換終了!ナックルパーツの強化に入る!」

 

「スーパーギャラクシーメガのガトリングブラスターの弾薬補充OK!」

 

「メガボイジャー、パルサー部冷却装置の交換急げ!」

 

「豪獣ドリル最終チェック!豪獣神への変形開始!」

 

TPC科学アカデミア地下のメガゾード開発部では現在出撃できるロボが集め、万全の状態への整備が進められていた。月面基地やフェニックスベースの職員たちも懸命な整備に参加している。各ロボがすでに合体済みなのは、たとえ乗員が一人でも動かせるようにという配慮だろう…同時に明日の総攻撃への不安によるものでもある。SD…スパークドールズの存在が明らかになった今、もてる巨大戦力はすべて使ってでも迎え撃つという考えは正しい。そんななか、片隅の机にはリュウジとその向かい側に何故か初春の姿があった。その表情はいつになく真剣だった。彼女の持つ携帯端末のスクリーンにリュウジは驚きを隠せていなかった。

 

「…信じられない、よくこんなことが思いついたものだね…」

 

「どうでしょうか?」

 

「確かに、これを搭載することは可能だ…でも…」

 

[こんなことをしたら君への負担がとんでもないことになってしまうよ!]

 

リュウジのよこのゴリサキがハンドル型の顔を回して、初春を静止しようとする。当然だ、彼女のやろうとしていることはいままでの戦士たちでさえしたことのない偉業であるのだから…

 

「これまでにもこういった試みがないわけじゃない…その一例が、テトラボーイなんだからね」

 

「はい、私もそれをヒントに考案しました」

 

「でも、さっきのゴリサキがいったように…君にはとんでもない負担がかかるんだよ」

 

「構いません!」

 

すさまじい剣幕で机を叩く初春。その目には覚悟の炎が灯っている。

 

「佐天さんも…白井さんも…御坂さんも…みんな、みんな傷ついて…それでも必死に立ち上がって戦ってきました。だから、私だってそれなりの覚悟で戦いたいんです!」

 

「…わかった。いまからこれを取り付けよう…」

 

「よろしく、お願いします…」

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、第七学区のとある高校の屋上に上条と伊達の姿があった。沈みゆく夕日が二人を照らし、背後に大きな影を作り出している。

 

「ほらよ、前の戦闘で破損したスイッチの修繕は完了したぞ」

 

アタッシュケースを手渡す健太だが、上条はそれを受け取ろうとしない。いまだに彼は悩んでいるのだろう、駿河との戦いに…。それを悟った健太はアタッシュケースを地面に置くと、なんと上条に殴りかかった。そのすさまじいパンチが上条の頬を襲う。その衝撃でフェンスに激突して倒れる上条。

 

「ぐ…」

 

重い…以前受けた土御門のパンチとは比べ物にならないほど重い…が、どこか優しさを感じる一発だった。

 

「甘ったれるな!いままで勝手に戦ってたくせにかわいそうな敵一人のせいで自信がゆるんじまったのか?お前はそんなに弱い人間だったのか?」

 

「…俺だってまだ高校生ですよ…迷うことだってありますよ!」

 

「高校生か…俺もお前くらいの頃に戦い始めた…迷う暇なんてなかったさ!」

 

健太はフェンスに手をかけ、夕日を見つめる。その表情には哀愁が漂っていた。おもえばこの人が戦っていた頃のことを聞いたことはあまりなかった…。高校生の頃にメガレンジャーになったという以外には何も聞いたことがない気がする。

 

「お前にはたくさんの友や仲間がいる…おれもそうだった。仲間や久保田のおっさん、優作さん…昇吾…でも、それを超えるような困難もたくさんあった…なんのために戦っていたのかもわからなくなって、苦しんだよ。でもな、敵は容赦なく襲いかかってくる」

 

「…」

 

「あいつを助けてやるのは、お前の手であいつを倒してやることしかないんだ。お前と同じ苦しみを持って、その夢にとりつかれたアイツを助けるにはな!」

 

「俺だけ…」

 

上条は立ち上がると、ゆっくりアタッシュケースを開いた。戦う覚悟をきめたように…しかしそこには上条も予想できない秘策が隠されていた。

 

 

 

 

 

 

 

夜の寮のへやのなかで土御門はトレーニングマシンに座り、ゆっくりとトレーニングを行っていた。

 

「…」

 

傍らのベッドには数枚の資料が散乱し、その横には黒い秘伝ディスクが独特の光を放っている。

 

「(明日の戦い、ただで切り抜けるものじゃないだろう…自分も相手も…)」

 

トレーニングをやめ、黒い秘伝ディスクをゆっくりと持った土御門はこの部屋にすこししか置かれていない写真立てを見つめた。そこに写っているのは笑うメイド服の少女だった。彼の愛する妹、土御門舞夏の写真だ。

 

「…俺の守るものはもうこれひとつだけだ…命に変えても守りきってみせる!」

 

右拳をサンドバッグに叩きつける土御門。彼の目には再びあの黒いディスクが写っていた。

 

 

 

 

「…」

 

「襟衣ちゃん、寝てる?」

 

「うんん…寝れないの」

 

人は極度に緊張するとなかなか寝付けなくなるものだ。それが楽しいことならいいが、悪いことなら本当に質が悪い。しかし明日は過酷な戦いが待っているのだ…緊張もするだろう…そんな緊張から第七学区の寮で二段ベッドに横たわる春上と枝先はなかなか寝付けないでいた。

 

[寝といたほうがいいぞ…明日は長い一日になるんだからな]

 

[ああ…]

 

二人の会話を聞いて、机に置かれたケータロスとコスモプラックからモモタロスとコスモスの声が響いた。二人も…いや、ウラタロスやリュウタロスもまた大きな戦いを前に寝付くことなどできなかったのだろう…

 

[zzz…]

 

一人だけ本当に寝ているのだが…

 

「…ねえ、ふたりとも前から一つ聞きたいことがあったの…」

 

[何だ?子守唄なんか俺は歌えねえぞ]

 

「あなたたちが前に一緒に戦ってた人たちのこと、教えて欲しいの」

 

[あん?]

 

「私も聞きたい!どんな人と戦ってたの?教えて!」

 

これはある意味、彼女たちの特権だった。かつてオーズやゴーカイジャーの話を伊達や星川に聞いた時もはぐらかされたり、あくまで第三者としての視点で詳しいことはわからなかったりで自身の視点からそれを知ることができるのは重福=ミライくらいなもので、彼女たちは自身の力の本当の持ち主について知ることはなかなかできない。いい機会かもしれない、彼らならどんな気持ちでこの戦いに望むのだろうか…彼女たちは知りたかった。

 

 

[ちっ!あんまりおもしろい話じゃねえぞ…]

 

[私は別に構わない。久しぶりに彼のことを考えていたところだ]

 

「やった!」

 

「楽しみなの~」

 

[聞いたら、寝ろよ…まず俺からだ]

 

星明かりだけがわずかに部屋を照らす中、モモタロスの語りが始まった。

 

[俺はもともと強くカッコよく戦えりゃあいいと思っててな、イマジンの使命になんざ興味は全くなかった。適当な奴に取り付いてそいつの体で楽しんでやろうかと思ってた。それでたまたまついたのがオリジナルの電王だった奴さ…ところが、そいつはとんでもなくひ弱で臆病者で不幸で…そのくせ、他人を助けようとしたり、変に頑固だし…でもそこがあいつのいいとこでもあった…カメもクマもリュウタもそこに惹かれたのかもしれねえな…やべえ戦いがなんどもあって…終わったと思ったら、また戦いが始まって…きりがなかったぜまったくよ…おかげで未だにあいつとの契約を果たせちゃいねえ]

 

「契約?」

 

[面倒臭え契約さ…あいつは最後になると思ってた戦いのまえにようやく俺と契約を結びやがった…この世界にきたのはあいつが珍しく俺たちに頭下げやがったからだよ]

 

それだけを語るとモモタロスは突然黙ってしまった。長かったこれまでの戦いを振り返っているのだろうか…それを察してか今度はコスモスが口を開いた。

 

[次は私の話をしよう…私は様々な星を放浪して、邪悪なものと戦っていた…あるとき、敵との戦いで倒れ、地球で命尽きようとしていた私を一人の少年が助けてくれた…その少年がやがて青年となったころ、地球に再び危機が迫っていることを知った私は彼の力を借りて地球で戦うことにした。長い戦いの末、彼は私でさえできなかった敵との和解を成功させた。そして彼は会うたびに自らの夢を叶えていった…私は彼に多くのことを教わったんだ]

 

「「…」」

 

あまり長い話ではなかったが、二人には一つだけはっきりとわかったことがあった。彼らほどの戦士がこれほどまで楽しそうに、愛しそうにかたる人物…それはとても偉大な人なんだということを…二人、特に春上は彼らとそこまでの信頼関係を作っていけるかがすこし不安になった。しかし緊張が薄らいだのか、睡魔に襲われて、夢の世界へと二人は落ちていった…

 

 

 

 

 

 

 

「お前は気づいているのか?」

 

「…なにをだ?」

 

明け方の学園都市、第七学区のとあるビルの屋上でフェンスにより掛かる駿河の背中にあの黒ローブの人物が話しかけた。黒ローブの接近に全く気付けていなかった駿河は驚きを隠しながら振り返る。

 

「お前は私や藤岡に利用されているということをだ」

 

「…なぜそれを俺に言うんだ?」

 

「お前には素質がある…リベンジャーの一員として迎えたいと上から提案があった」

 

「なに?」

 

「脳内の血腫も我々の技術なら造作も無い、宇宙へも好きなだけ行かせてやろう」

 

「…」

 

駿河は顔を伏した。破格の条件だろう、リベンジャーは多次元さえ征服する技術を持った組織…彼らの技術ならひょっとすると、いや必ずこの血腫は治り、彼は宇宙に行けるだろう…それにリベンジャーの魔の手から自分の肉親や友人を救えるかもしれない…

 

「思えば、父さんとも長く話してないな…」

 

「?」

 

「いや、こっちの話だよ。それへの答えは…NOだ」

 

「…」

 

「良い条件だとは思ってる、でもいっちゃ悪いが俺はこれ以上悪に染まることはできない。俺は自分の夢を叶えたら、自分の罪を精算するつもりなんでな…」

 

「死ぬ気か?」

 

無機質な黒ローブの言葉に駿河はわずかに笑った。最初から覚悟はできている。タイムカプセル郵便サービスに自分の肉親や恩師・黄泉川宛の遺書を一ヶ月後送付するようにしてある。宇宙への旅が終わったら、その足で…藤岡をとる覚悟だ。もちろん未来予知を持つ藤岡に勝てる望みは薄いが、どうせ自分は死ぬ運命…刺し違えれば勝てるかもしれない。いや、ここでこんな答えをしたのだからその前にこのローブに殺られるかもしれないのだ。だが、ローブは特に怒っているようでもなく、一枚のメモを駿河に投げ渡した。

 

「…第二三学区の廃工場に大量のシリコンが保管してある。それは先日怪獣に奪わせたものだ。それを使えばお前はレギオンメモリの真の力を使うことができるだろう」

 

「…なんだって?」

 

「そのかわり、レオスイッチをこちらにわたせ。レギオンレオゾディアーツの状態では真のレギオンの力は発現しない」

 

その言葉が本当なら、それはとんでもないことである。レギオンレオゾディアーツでさえ、相当な力を持ている…それを超える力とはすでに仮面ライダーやスーパー戦隊を超えて、藤岡にも匹敵する力を得られるだろう…。だが…

 

「当然ながら、リスクはある。真のレギオンの力は必ずお前を蝕む…お前は人を捨てることになるだろう」

 

「…」

 

沈黙した駿河だが、彼はすぐさまレオスイッチをローブに投げた。それは彼の覚悟だ。どうせ死ぬなら人であろうと化け物だろうとかわりはない。

 

「…お前の夢が叶うことを少なからず祈っている」

 

それだけいうとローブはゆっくりと銀色のオーロラの中へ消えていった。残された駿河は赤くなりかかった夜空を見つめる。そこには一筋の流星がきらめいていた。

 

「…皮肉なもんだな…」

 

流星は日本で願いを叶える象徴であるが、中国では死を呼ぶものとされ、諸葛亮孔明も赤く大きな3つの流星に自分の死を察したといわれている。あの流れ星はどちらを表すものなのか…

 

「俺は止まらない。たとえ、誰が俺の目の前に現れようと…俺は止まらない!」

 

それぞれの誓いと覚悟が交錯する中、運命の日は始まるのだった。




御「とある十周年おめでとうございます!」

黒・佐・初「おめでとうございます!」

御「本当は週末に連射投稿する予定だったけど、急遽投稿したのよ」

黒「今週末にも投稿してリベンジャー開戦戦をやっていきますの」

佐「怪人・怪獣の連続出現に学園都市は大ピンチ!」

初「それに立ち向かう私達を書いていきます!」

御「次回もよろしくね!」
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