とある英雄の伝説大戦(レジェンドウォーズ)   作:マッスーHERO

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大変遅くなってすいません…。
また先日の件では心配をお掛けしてしまい申し訳ありませんでした。
今後お知らせやリクは活動報告で行います。

今後も拙作をよろしくお願いいたします。


切・札・四・神

剣と杖がぶつかりあう音が周囲に響く。第二三学区と第一八学区の境目付近の飛行機工場の一つでシンケンブルーとリブラゾディアーツの戦いは続いていた。

 

「ランドスライサー!奮闘土力!」

 

時速300キロ、秒速変換で83メートルという超高速で放たれた巨大手裏剣『ランドスライサー』がリブラゾディアーツへと迫る。しかしランドスライサーはリブラゾディアーツの身体を透過してそのまま工場の壁をぶち破った。リブラゾディアーツの姿は消え、シンケンブルーの背後にへと現れる。得意の幻覚のようだ。

 

「また、幻覚か!そんな手が何度も効くと思うな!」

 

しかしそんなことシンケンブルーには予測がついている。工場の壁を抜け、外を飛んでいったランドスライサーが工場の天井をぶち破り、再びリブラゾディアーツのもとへと迫ってきた。どうやら『導』のモヂカラが込められていたようだ。

 

「ぬ!」

 

ギリギリで回避したリブラゾディアーツだが、刃はクロークを切り裂いていたようで、クロークが地面へと落ちる。さらにシンケンブルーはランドスライサーをキャッチするとシンケンマルに戻し、リブラゾディアーツへと振るった。

 

「なんの!」

 

リブラゾディアーツの杖とシンケンマルがぶつかりあい火花を散らす。

 

「どうしても私たちに協力してもらえませんか?」

 

「生憎と組織にはいい思い出がなくてな!」

 

「あなたほどの人材がこんなところで埋もれていいはずがないのだ!」

 

ディケを振り、シンケンブルーと距離をとるとリブラゾディアーツはディケを地面に当てて一度鳴らした。するとリブラゾディアーツの姿が白いロケット頭の戦士、仮面ライダーフォーゼへと変わっていく。

 

「上やんをコピーするとは悪趣味なやつだ!」

 

偽フォーゼに向かいウッドスピアーを突きつけるシンケンブルー。それをディケで受け止める偽フォーゼ。

 

「やはりこの程度のことでは動揺してくれないか」

 

「当たり前だろ。こちとら上やんに義理はあっても、敵になったら容赦なく切り捨てるつもりにゃあ」

 

「そうか…なら」

 

「とどめだ!」

 

ウッドスピアーを烈火大斬刀へと変化させ、偽フォーゼへと振るうシンケンブルー。一方偽フォーゼは再びディケを鳴らした。

 

「…なに!?」

 

烈火大斬刀は空中でピタリとその動きを止めた。なぜならシンケンブルーの前に立っていたのは偽フォーゼでもリブラゾディアーツでもなく、シンケンブルー=土御門舞花だったからだ。

 

「さすがにこの姿を斬ることはできまい」

 

「…」

 

舞花は土御門にとって最愛の妹、すべてを犠牲にしてでも守りたいものなのだ。それを斬ることなど普通の人間なら出来はしない…

 

「ふふふ」

 

「…」

 

そう、普通の人間なら…

 

「おりゃあ!」

 

掛け声と共に空中で止まっていた烈火大斬刀が再び舞花へと振り下ろされ、舞花の体を切り裂いた。

 

「ぬお!?」

 

舞花の体から鮮血が飛び散り、幻影が解かれてリブラゾディアーツへと戻っていく。

 

「…な、何故?」

 

「馬鹿か、おまえ?目の前で変身したら舞花じゃないことくらい解る。それに我が愛しの舞花はそんな気持ちの悪いしゃべり方はしないぜよ」

 

再び振られた烈火大斬刀が受け止めに入ったリブラゾディアーツのディケをまっぷたつにへし折る。なんとか距離をとったリブラゾディアーツだったが、その傷は浅くなく、少なくない血が周囲を染めている。

 

「くっ…」

 

「バレバレだったとはいえ、我が愛しの舞花を愚弄した罪は重いぜよ。お前にはこのとっておきのディスクを使ってやるにゃ」

 

そういうとベルトのホルダーから黒いディスクを手に取り、リブラゾディアーツに見せつけるシンケンブルー。ディスクには黒と水の文字が交互に並んでいるもので、全体が怪しく輝いている。

 

「それは…」

 

「俺の魔術を込めたオリジナルディスク…威力はその体で味わえ!」

 

黒いディスクをシンケンマルへとセットし、回転させるシンケンブルー。するとシンケンマルの刀身がすこしずつ黒い水流を纏い始める。水流は龍のようなかたちをとりシンケンマルの刀身を覆いつくした。

 

「シンケンマル、黒の舞!」

 

両手持ちの状態で勢いよく振られたシンケンマルの刀身の龍を象った水流が真っ直ぐリブラゾディアーツへと放たれた。水の龍はとぐろを巻くようにリブラゾディアーツを締め付けていき、やがてその姿は水流で完全に覆い尽くされた。このまま、水流によってリブラゾディアーツは圧迫され、倒される…そのはずだったのだが…

 

「ふふふ…まさかこれが切り札とは、拍子抜けしましたよ」

 

「なに!?」

 

その言葉とともにまとわりついていた水流がすこしずつ土の壁へと変換されていったのだ。そして土の壁はボロボロと崩れていき、その中から無傷のリブラゾディアーツが現れた。その姿にシンケンブルーは驚愕する。

 

「ば、馬鹿な…」

 

「うかつでしたね、この戦い知るものが勝者となる戦いだったようです」

 

「く、もう一度!」

 

再びディスクにてをかけるシンケンブルー。だがその瞬間、ディスクはひび割れていき、粉々にくだけ散った。

 

「な、ディスクが!?」

 

「欠陥品…いや強い力に耐えられなかったようですね。さすが陰陽博士の能力だ」

 

「こ、この!」

 

再びリブラゾディアーツに斬りかかろうとするシンケンブルーだが、その脚を何かが止めた。みると脚に地面から生えた太い木が蔦のように絡み付いている。

 

「なんだこれは!?」

 

「ふふふ、『Patria495』私の魔術で止めを刺しましょうか!」

 

魔法名を名乗るとともにシンケンブルーの体をどんどん木が絡み付き、覆い尽くしてしまった。その圧力は先ほどの水流と同等に強力だろう、おそらくなかのシンケンブルーはひとたまりもない。

 

「だからいったでしょう、知るものが勝つ戦いであると…あなたの魔術を知っていたからこそ対策は簡単だったのだ、ふふふ」

 

もはや一本の木となってしまったシンケンブルーを見つめながらリブラゾディアーツは静かに笑った。

 

「ふふふ…ふは「ははは」!?」

 

突如としてかぶった笑い声に驚くリブラゾディアーツ。それと同時に木から煙が出始め、瞬く間に全体が燃え始める。そしてその炎の中からゆっくりとシンケンマルを担いだシンケンブルーが現れた。

 

「な、馬鹿な」

 

「面白い魔術だが、いうほどのこともないな」

 

「く、もう一度!」

 

リブラゾディアーツの言葉とともに再び木が地面から生え、シンケンブルーを狙う。しかしシンケンブルーに慌てる素振りはなく、彼はショドウフォンを使い一つの文字を空に描いた。

 

「金剋木!」

 

描かれた『金』の文字によってできたうすい金属の壁が木を簡単に受け止めた。木の生える勢いからするとそんなうすい金属の壁で受け止められるはずがないのだが…さらに太く生命力のあふれていた木は切り裂かれ、バラバラになってしまった。

 

「ぬ…」

 

「五行の相生と相剋を応用した魔術か、俺の得意分野である黒の式の特性は『水』…だからこそそれによっていかされる『木』を選んだわけだ」

 

シンケンブルー=土御門のいう五行とは『木』『火』『土』『金』『水』〈もっかどごんすい〉という森羅万象を司る5要素のことである。これらは持続循環しており、あるものがあるものを生かす相生とあるものがあるものを剋する〈こくする〉、つまりあるものの特性を殺す相剋という関係がある。例えば『火』には燃えることで灰=土を生み出す『火生土』とどんなにも硬い金属を溶かしてしまう『火剋金』という関係をそれぞれ持っているのだ。さきほどのシンケンブルーを木が覆い尽くしたのはシンケンブルーや土御門の持つ『水』の特性によって水によって木が成長する『水生木』が発動したことによるものでシンケンブルーはそれを木が火を生む『木生火』と大木であっても鋸や斧によって切り倒される『金剋木』で無効化したのだ。

 

「この魔術は仕組みがわかっちまうと破られやすい、だからお前はリブラゾディアーツの能力ばかりを使ったり、様々な能力を持つフォーゼを無理に追わなかったわけだ。対策をとられちまうからな」

 

「くっ、だがまだ私にはリブラゾディアーツとしての能力がある!」

 

幻術で再びシンケンブルーを惑わそうとするリブラゾディアーツ。だがシンケンブルーは慌てる素振りを見せない。幻術によってシンケンブルーには正面にリブラゾディアーツの姿が見えているはずだ。本物のリブラゾディアーツは距離をとってシンケンブルーの背後へと回った。

 

「ふ、四獣ニ命ヲ。北ノ黒式、西ノ白式、南ノ赤式、東ノ青式(働けバカ者ども。玄武、白虎、朱雀、青龍)星々ノ煌メク夜空ヨリ降リ注グ、未知ノ力ヲ封ジヨ(宇宙から落ちてくる馬鹿馬鹿しい力をテメエらの力で消しちまえ)」

 

そう唱えるとともシンケンブルーは背後のリブラゾディアーツに向けてランドスライサーを投げつけた。突然の攻撃に動揺したリブラゾディアーツはそれをまともに喰らってしまい、地面に倒れた。

 

「おお…な、なぜ?」

 

「確かにこの戦い知るものの勝つ戦いだったな」

 

 

 

 

 

 

『このディスクはすげえな。解析した担当のヒロも度肝を抜かれてたよ』

 

話は数日前の職員室での土御門と健太の会話に遡る。健太はもっていた例のディスクを裏表に何度もめくりながら見つめていた。

 

『ただ…力が強すぎることもあってな。ディスクが耐えられないようだ』

 

『やっぱりにゃあ…自信作なんだけど…』

 

『いやでもな、ディスクが耐えられないってのは相当なことなんだぞ。現在お前の力に耐えられるディスクを作っているが…かなり難航してるそうだし』

 

『ううん…』

 

髪を掻きながら困った顔になる土御門。おそらくフューチャー戦に耐久性のあるディスクの開発は間に合わないだろう…。

 

『ところであっちのほうはどうでした?』

 

『ああ、それならここに資料があるぞ』

 

そういってかばんから資料を出して土御門に渡す健太。

 

『おお、これさえあればあの天秤野郎に一泡吹かせられるぜよ!』

 

『ふうん…それにしてもお前すげえな。こんなディスクを…』

 

 

 

 

あの時、健太からもらっていた資料…それこそが土御門の逆転のカギだった。

 

「そ、そんなバカな!」

 

再びリブラゾディアーツが幻術を発生させるが、シンケンブルーはそれに構わず本体をどんどん攻撃していく。どんな幻覚をみせようとしてもシンケンブルーの手はとまることもなく、どんな位置に自分の幻影を置いても本体の場所がバレてしまう。

 

「な、なぜ…」

 

「ふふ、なぜかにゃ?」

 

リブラゾディアーツはまったく気づいていないが、戦っている工場の四隅には土御門がよく魔術に使う折り紙の四神が設置してあったのだ。これがシンケンブルー=土御門の秘策だった。

 

「(なにごとも予習が肝心ってな)」

 

実は健太にもらっていた資料はフォーゼやゾディアーツの力の源であるコズミックエナジーについてのものだった。この戦いの前、ゾディアーツ関連についてを調べていた土御門は偶然コズミックエナジーと陰陽道の関連性を知り、それについての詳しい資料を健太に取り寄せてもらったのだ。その資料を熟読した土御門はフォーゼ世界の1000年前の京都の人々が陰陽道や占星術を応用してコズミックエナジーを制御しようとし、その技術がフォーゼシステムに応用されていることやその制御に四聖獣の力が使われていたことをしり、土御門は新しい術式を考案したのだ、四神を利用しコズミックエナジーを無効化する術式を…。もちろんだが、この術式はゾディアーツの能力の一部無効化だけでなくアストロスイッチの無効化、すなわちフォーゼ・メテオの無効化にもつながる。だからこそシンケンブルー=土御門はフォーゼを先に行かせたのは、リブラゾディアーツの狙いではなく彼の力に干渉しないようにした土御門の配慮だったのだ。

 

「う、うおおおおお!」

 

自分の能力が効かず、自棄になったリブラゾディアーツは腕を振り回し、シンケンブルーに向かってきた。それに対して、シンケンブルーはゆっくりとホルダーに手を伸ばしディスクを取り出した。あの怪しく光る黒いディスクを…

 

「まさか俺が壊れるとわかっていたディスクを一枚しか用意しなかったとおもっていたのかにゃあ?」

 

「うおおおお!」

 

狂ったように突っ込んでくるリブラゾディアーツ。対照的に落ち着いた感じでディスクをセットし回転させるシンケンブルー。彼らの距離はどんどんつまっていき、そして…

 

「うおおおお!」

 

「シンケンマル!黒の舞・二式!」

 

水流を纏ったシンケンマルの刃がすれ違いざまにリブラゾディアーツの腹を斬り裂いた。リブラゾディアーツはそのまま数歩歩くが、やがて苦悶の声を上げて地面に突っ伏した。同時にあの黒いディスクが砕け散り、パラパラと地面に落ちていく。地面に倒れたリブラゾディアーツは人間へと戻り、その姿をシンケンブルーはシンケンマルをしまいながら見下ろした。

 

「Patria…ラテン語で祖国か…陰陽の出自は中国なんだがなあ。そのへんがどうもいいかげんなやつだったぜよ」

 

シンケンブルーは周囲に怪しい物がないかを確認し、彼に背を向け工場の外へと歩き出した。未だ街をおびやかすフューチャーとの戦いのために…

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