とある英雄の伝説大戦(レジェンドウォーズ)   作:マッスーHERO

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更新またおくれました。
ペース戻しのつもりだったのですが思った以上に長くなってしまいました。

申し訳ありません。


霧と怒りと三人の姫

激しい爆発音とともに立体駐車場が大きく揺れ、大量の煙がもくもくと湧き上がる。その原因は駐車中の車の爆発…そしてそれを引き起こしたのはファイズのスパークルカットだ。オーズ=御坂はそれを見て会ったこともないなかなかの高級スポーツカーのオーナーに心の中で合掌した。これで12回めの合掌だ。こんなときだからこの階、いやこの立体駐車場に止まっている車はそこまでの数ではない。故にこの階に止まっていた車の殆どは廃車…というよりは灰となってしまっている。

 

「おらおら!逃げんじゃねえよクソが!」

 

「あらあら、これだから体育会系力にはついていけないわ☆」

 

薄暗い立体駐車場の中でファイズとファイズエッジの発光が映え、その横にたつディエンドも爆発した車の炎に照らされて怪しく輝いている。しかし二人にすこし距離をとった位置にいるオーズはすこし様子が違っていた。今のオーズはライオン・ゴリラ・バッタのラゴリバといえるようなパワータイプの形態なのだがパワーと固さが売りのゴリラボディに焦げと細かい傷が幾つかついている。すべて怪人との戦いではなく、この二人の攻撃の余波で付けられたものだった。

 

「ちょっと…あんたたちねえ…」

 

「お、3色団子!頭下げろ!」

 

オーズが文句を言い終わる前にファイズは手に持っていたファイズエッジをオーズの頭めがけて投げつける。慌てて頭を下げるオーズ。投擲されたファイズエッジはそのままオーズの後ろにいたピスケスゾディアーツの銛を弾き飛ばす。さらに身体を反転させたオーズの右フックがピスケスゾディアーツの腹部に突き刺さり、ピスケスゾディアーツを吹き飛ばす。そのまま壁へと激突すれば大ダメージを与えられるはずだが流石はホロスコープス、ピスケスゾディアーツは自身の能力を発動して壁の中へと潜るように入り込み、そのまま壁を泳ぐように移動してスコーピオンゾディアーツとアクエリアスゾディアーツの近くへと飛び出した。

 

「ふ、なかなかやるじゃない」

 

「珍しい魚だな。地面を泳ぐとはよ」

 

「そういう怪人なのよ、そいつはね」

 

ファイズに向かいファイズエッジを投げ渡しながらオーズはいう。彼女の頭には当然ながらホロスコープスとその中身の能力者のデータが入っている。それをほかの二人に伝えられればかなり戦いが楽になるのだが…。

 

「で、その横の水色のやつが…」

 

「行くぞ、おらァ!」

 

アクエリアスゾディアーツのことを伝えようとするオーズだが、ファイズとディエンドは完全に無視して怪人たちへと向かっていく。

 

「ちょ!?ちょっと!!」

 

二人を追ってオーズも走りだす。この三人、先程からこんな調子でまったくといっていいほど団体行動ができていない。もともとお世辞にもお互い仲がいいとは言えない上に三人共なかなか我が強く、プライドが高い。むりやり同じグループに押し込むと三人共自分の主張を押してチームを崩壊させるタイプの人間たちである。

 

「夢、藍。あの手で行くぞ」

 

そんな三人を見たピスケスゾディアーツはこれを好機と見て行動を起こした。周囲に水流を散布、そしてピスケスゾディアーツが両腕を前につきだすと、突如として周囲に濃い霧が発生し始める。霧は三体の怪人を完全に包み込み、次いで三人の仮面ライダーたちも飲み込んでしまう。

 

「ちっ!小賢しいんだよ!」

 

[Burst Mode]

 

怪人たちを攻撃しようとしたファイズのファイズフォンから発射された光弾が霧の中を進んでいく。しかし霧がこすぎるため光弾が着弾したかの判断がまるでできない。視界は完全に奪われ、固まっていた三人は自然と背中合わせになって三方向を注意し始めた。

 

「ちっ!うぜえなあ」

 

「でも、こんな霧が濃かったら相手の攻撃力も意味が無いと思うんだけど」

 

「いや…あの蠍怪人と水瓶座怪人の中身の能力は…」

 

オーズがすべてを言う前に霧の中から何かがすごい勢いで何かが飛んできた。とっさにゴリラアームで打ち落とすオーズ。その何かの正体は鋭く巨大な氷柱だった。それをみて首をかしげるディエンド。

 

「霧の中に…氷柱?」

 

「おい!次が来るぞ!」

 

ファイズが叫ぶのと前後して大量の氷柱がすさまじい勢いで彼女たちの周囲から襲いかかる。瞬時に反応した三人はそれぞれオーメダル、ミッションメモリー、ライダーカードを取り出した。

 

[ライオン!トラ!チーター!ラタ、ラター、ラトラータ!]

 

[Ready]

 

[Attack Ride Blast]

 

オーズの全身から放たれたライオディアスが、ファイズのファイズエッジが、そしてディエンドのドライバーから放たれた青い光弾が次々に巨大な氷柱を粉砕していく。

 

「う!?」

 

しかし次に放たれた氷柱にライオディアスを放ったオーズの腹部に一本の氷柱が突き刺さった。幸い傷は浅くダメージは殆どないが、氷柱は強力な熱線であるはずのライオディアスを軽々と通過してオーズへと迫る。だがラトラーターの武器はライオディアスだけではない。トラクローを展開し、チーターレッグの蹴りとともにつぎつぎと氷柱を破壊していくオーズ。

 

「熱線で溶けない氷って、なんなの一体」

 

「だから少しは人の話を聞きなさいよ!」

 

「お前ら、こんなときに言い合いをしてんじゃね…」

 

横で言い合いをされて苛ついたファイズが二人に文句を言おうとするが、その時ファイズエッジに青い鞭のようなものがまとわりつきその動きをとめてしまう。困惑するファイズに向け更に氷柱が迫る。エッジは完全に動かなくなって役に立たないファイズは空いた左腕と両足で氷柱を撃ち落としていく。同時にメモリーをエッジから外して青い鞭がまとわりついている刀身を消滅させて鞭の拘束を解いた。

 

「く、なんでやつらにはこっちの場所が正確にわかる?」

 

「それがあいつらの能力だからよ!いい加減私の話を聞きなさい!」

 

「うるせえ!あんたの指図はうけねえ!」

 

「私もあんまり御坂さんのこと信用できないしぃ」

 

三人が言い合いをするあいだにも氷柱と鞭の激しい攻撃が三人を襲ってくる。そのあまりの激しさに防戦一方となる三人。

 

「く、このままじゃやられる…」

 

「…しかたねえな。おい、第三位!これ以上奴らにでかい顔されるのも癪だ、あんたのもってる情報よこしな」

 

「私もこれ以上ボロボロになるのは柄じゃないわねぇ。しかたない、すこし利用させてもらおうかしらぁ☆」

 

「あんたたち、口が裂けても協力って言葉はでてこないのね…まあいいわ。まずあの三人の…」

 

 

 

 

一方その頃、ピスケスゾディアーツとスコーピオンゾディアーツは霧の中を高速で移動しながら氷柱を三人に向けて放ち続けていた。

 

「それにしても藍のやつはこの霧の中でも見えんのか?」

 

「あいつの能力…こういう音の反響する場所では威力が半減するけど…敵が動いていないからプラマイ0…」

 

「ふうん。まあ最悪あいつもろともあの三人つぶしちまえばいいしな」

 

「うん…私もあいつ、気に入らないし…」

 

二人はそう言いながらも三人への攻撃の手を休めなかった。二人は長天上機にはいる前からの友人であり、お互いに親友と呼べるような存在だが、アクエリアスゾディアーツ=藍かおりと彼女たちは不仲だった。常に人の影に隠れ、強いものに媚びているその姿勢を藤岡はなぜか高く評価して自分のグループに入れていたが彼女が藤岡以外と親しくしているところを見たことはまったくない。今回は藤岡の命令でしかたなく一緒に戦っているが隙さえあれば一緒に始末してやろうかとさえ彼女たちは考えていた。

 

「最近、急に暗くなりやがって。ますます気に入らねえな」

 

「ほんとにね…あの力が妙に気に入ってるみたいだし…」

 

「だからって四六時中変身してるなんて、頭おかしいんじゃないのか?」

 

「まあね…」

 

こんな会話の最中にも激しい攻撃は続いている。白い霧の中へと消えていく氷柱だが、それがあの三人へと届いていることをピスケスゾディアーツは確信していた。もし届いていないのなら横のスコーピオンゾディアーツがちゃんと伝えてくれるはずなのだから…。

 

「夢、あいつらはどうだ?」

 

「まだ、あがいてるよ…なんか獲物を変えたみたいだけど…」

 

「なら、そろそろ決めるか!!」

 

長引いてしまった戦いに決着をつけるためにピスケスゾディアーツは今日一番大きく鋭い氷柱を3つ作り出し三人へと放った。氷柱はまっすぐと進んでいき、霧のなかの三人の身体に突き刺さる。倒れる三人の姿を能力によって確認したスコーピオンゾディアーツはジェスチャーでピスケスゾディアーツに静止を促した。それをうけてピスケスゾディアーツは動きを止める。

 

「やったか?」

 

「うん…倒れたのが見えたよ…」

 

「よし、このまま霧の中で死体を確認して…うん?」

 

ピスケスゾディアーツが三人の死体を確認しようとしたその時、異変が起こった。突如周囲の霧が少しずつだが、薄くなり始めたのだ。

 

「樹座ちゃん、能力解除したの…」

 

「いやそんなことないんだけど…」

 

どんどん薄くなっていく霧、周囲の燃えている車や床のアスファルトも視認できるようになっていく。同時に湿ったアスファルトの表面にゆっくりと薄い氷が張り始めている。

 

「まさかあいつら私の能力に…」

 

「…!樹座ちゃん!見て!」

 

スコーピオンゾディアーツの叫びを聞いてピスケスゾディアーツが指差す先を見てみるとそこには三人のライダーが氷柱に貫かれて倒れている姿があった。しかし…

 

「あ、あいつら誰よ?あの三人はどこに?」

 

そこに倒れていた三人はピスケスゾディアーツの知る三人ではなかったのだ。倒れているライダーは緑色のライダー『レンゲル』白いボディと双爪が目立つ『レイ』白くまのようなイメージを受けるライダー『凍鬼』という三人の仮面ライダーだった。そして、その横には床に開いた巨大な穴と倒れているアクエリアスゾディアーツの姿があった。

 

「く、どこよ。いったい…」

 

「ここだ!」

 

ピスケスゾディアーツの言葉に返答するかのようにアスファルトをグランインパクトで砕きながらファイズがピスケスゾディアーツに襲いかかった。そしてできた穴からオーズ・ディエンドも飛び出し、それぞれアクエリアスゾディアーツ、スコーピオンゾディアーツへと向かっていく。

 

 

ピスケスゾディアーツの鋸とファイズのファイズショットがぶつかり合い火花を散らす。ピスケスゾディアーツの二つの鋸に対抗するためファイズもファイズショットからメモリを外し、エッジにセットし直す。ファイズショットを手甲として使い、鋸を受け止めるためだ。

 

「(さっきの霧ばらいといい、こいつらには私の能力がばれてる…どうする)」

 

「なに考え事してんだ!オラ!」

 

ピスケスゾディアーツが考える通り、ファイズにはすでにピスケスゾディアーツの能力者の能力がすでにわかっている。先ほど下の階に降りたとき3人は情報交換を行い、作戦をたてていたのだ。

 

『ピスケスゾディアーツの中身の能力者、名前は魚見樹座。あいつの能力は…』

 

『多分温度変化力の能力じゃないのぉ?霧や氷柱で攻撃してるしぃ』

 

『いやそうじゃねえな。それだと霧と氷柱を一緒に産み出すことはできない。奴の能力はおそらく物体の融点や沸点を操作する能力だ』

 

『なによ、知ってたの?そう、あいつの能力は『温点操作〈チェンジポイントチェンジ〉』。物体の融点、沸点、あと応用することで露点も変えることのできる能力よ』

 

温点操作〈チェンジポイントチェンジ〉それは物体の状態変化、すなわち固体から液体へそして液体から気体へと変化するときの温度である融点・沸点を変更する能力である。ピスケスゾディアーツ=魚見はこれで霧を生み出したり、氷柱を作って攻撃を仕掛けていたのだ。この能力は書庫にも隠さずに登録されている能力なのだが…

 

「あんたの能力、今バレたと思ってるんだろうが最初に戦った時からバレバレなんだよ!」

 

「は!?」

 

ファイズの言葉に動揺したピスケスゾディアーツの隙をファイズは見逃さなかった。ファイズショットを装着した拳から放たれたパンチが腹部にめり込み、その威力にピスケスゾディアーツの身体は空中へと浮いた。スポーツなどでもそうだが翼でもない限り、空中に浮いたものは着地までの間は無力だ。たとえ潜地能力のあるピスケスゾディアーツもそれは同じ…それをファイズは狙っていた。

 

[Complete]

 

[Start Up]

 

アクセルフォームへとチェンジし、高速移動を開始したファイズ。ファイズエッジとショットの連続攻撃に蹴りを絡めた高速コンビネーションがピスケスゾディアーツの身体をズタズタにしていく。

 

[Exceed Charge]

 

空中へと完全に浮かされたピスケスゾディアーツへと畳かけるように連続スパークルカットを放つファイズ。なんとか鋸で防ごうとするピスケスゾディアーツだったが連続攻撃には耐え切れずすぐに粉砕されてしまい、続くスパークルカットの連撃をまともに身体に受け続ける。

 

[3]

 

電子音が響くとともにファイズは連続技の締めへとはいった。空中を浮いているピスケスゾディアーツに向けてドロップキックを放ち、横向きに飛ばすように蹴り飛ばす。現在は高速移動中のため、ゆっくりとピスケスゾディアーツは横向きに進んでいく。

 

[2]

 

横向きにゆっくりと進んでいくピスケスゾディアーツに背を向け、ファイズは素早く距離をとってからクラウチングスタートの体制をとると凄まじい勢いで助走を開始する。

 

[1]

 

助走しながらメモリを外したエッジを投げ捨て、再びメモリをショットにセットするファイズ。

 

[Exceed Charge]

 

エンターボタンを押しながらショットを前に突き出し、同時に地面を大きく蹴って前に飛ぶファイズ。その勢いは凄まじく、周囲の空気を引き裂くようにショットは進み、ピスケスゾディアーツの頬に突き刺さった。

 

[Time Out]

 

高速移動が終了し、ファイズは地面へと着地するがピスケスゾディアーツはそのまま吹き飛ばされていく。だが、いくらダメージを受けていても地面か壁に潜地すればピスケスゾディアーツもすこしはダメージを防ぐことができる。そこで能力を発動しようと自身の着地点を確認しようとするピスケスゾディアーツ。

 

「…え?」

 

間抜けな声を出しながらピスケスゾディアーツは燃え盛る車へと飛び込んでいった。潜地などさせるほどファイズは甘くない、最初から車に突っ込ませるためにドロップキックを放ったのだ。程なく車は爆発し、ピスケスゾディアーツは爆風に吹き飛ばされながら地面へとたたきつけられた。倒れこむピスケスゾディアーツの頭を踏みつけながらファイズはボロ雑巾のようになった彼女を見下ろす。

 

「能力を隠すならもっとうまくやれや。最初に襲った時、オマエがつくったでっかい氷柱が立ち去った途端に水に戻ってる時点で気温操作とかじゃねえ、おおざっぱにいやあ高温で発生する霧のなかにいきなり氷柱ができてんだから水限定の操作でもない。ならもうそれしかねえだろうが」

 

「うう…」

 

「これで終わると思うなよ…レベル5を敵にまわしたことを一生後悔させてやるよ。最初はどこをふっとばされたい?目か?腕か?それとも☓☓☓かなあ?」

 

 

 

 

「あっちは終わったみたいね。こっちも早いとこ終わらせましょうか?」

 

「…」

 

「つれないわ…さっきから一言も喋らないなんて…あ!そうかあんたの能力『反響定位〈エコーロケーション〉』は雑音が大敵だものね」

 

一方、オーズ・ラトラーターコンボとアクエリアスゾディアーツの戦いも佳境に入っていた。アクエリアスゾディアーツ=藍かおりの能力・反響定位はその名の通り音の反響で周囲の状況を正確にしる能力である。これがあったからこそ霧のなかでも正確に彼女は鞭を振るっていたのだ。しかしこうなってはそれも役にはたたない。

 

「(問題はアクエリアスゾディアーツの再生能力ね…)」

 

しかしアクエリアスゾディアーツにはある恐るべき能力がある。それはどんな攻撃でダメージを負っても両肩の水瓶の水で身体や物体を再生させる能力だ。前回常盤台組の激しい攻撃を耐え切り、フラッシュマン最強の技である『ローリングバルカン』すら耐え切ってしまう恐ろしい能力に常盤台組は最後まで決定打がうてずに時間稼ぎと逃走を許してしまった。

 

「(でも過去にフォーゼと戦ったオリジナルのアクエリアスゾディアーツには決定的な弱点があった…うまくそこをつければ勝てる!)行くわよ!」

 

チーターレッグで大地を蹴り、オーズが弾丸のような速度でアクエリアスゾディアーツへと突っ込んでいく。迎撃に飛んでくるアクエリアスゾディアーツのネクタルと呼ばれる鞭を華麗に避けながら一気に接近するオーズ。そして懐に飛び込んだオーズの両腕のトラクローがアクエリアスゾディアーツの決定的な弱点を狙い振り下ろされた。しかし、アクエリアスゾディアーツは強引に身体を捻り、トラクローを胸であえて受け止めた。胸には6本の痛々しい傷がついてしまうが、すぐに両肩の水瓶からでた水がその傷を瞬時に癒してしまった。

 

「わざと受け止めた!?」

 

狼狽するオーズにできた隙にアクエリアスゾディアーツは腹部へと蹴りを当てふきとばして距離をとる。そしてさらにできた隙をネクタルで連続攻撃を仕掛け、オーズの動きを止めて釘付けにする。

 

「(なにがなんでも両肩の水瓶を破壊させないつもりね…)」

 

そうアクエリアスゾディアーツの弱点とは再生能力の源である水をだす、その両方の水瓶なのだ。それを両方共同時に破壊できればアクエリアスゾディアーツは再生能力を封じることができる。しかし、どうやらアクエリアスゾディアーツもそのことを知っているらしく、懸命に水瓶を破壊させないように立ちまわっている。

 

「(ラトラーターをつかったからもう後使えるコンボは2つ…ひとつは藤岡との戦いのためにとっておきたい…となるともうひとつはあれしかないわね。でもなにか大きい隙を作らないと…)」

 

「…」

 

そのとき、アクエリアスゾディアーツが胸をわずかに触って苦しんでいるところをオーズは見た。

 

「(そうか、いくらダメージや痛みを回復できてもすぐ後にはある程度衝撃が残る…なら!)」

 

あることを思いつき再び加速するオーズ。懐に飛び込んだオーズの狙いが水瓶であると考えたアクエリアスゾディアーツは水瓶を守ろうと身体をひねるがオーズの狙いはそこではない。

 

[ライオン!ゴリラ!バッタ!]

 

再びラゴリバへと変身したオーズは太いゴリラアームの怪力でアクエリアスゾディアーツを持ち上げると両足をつかみ、首を自分の肩で支えてあの技の体制に入った。

 

「ぬ?」

 

「喰らいなさい!オーズバスター!」

 

オーズストライカー改めオーズバスターの体制からそのままジャンプして尻餅をつきながら着地、アクエリアスゾディアーツの身体に深いダメージを与える。技から開放されたアクエリアスゾディアーツはすぐに水瓶の水で回復するが、さすがに衝撃が強かったらしくわずかにふらついている。それをオーズは見逃さず、ゴリラアームを振りかぶりながらアクエリアスゾディアーツの元へと突っ込む。それを見たアクエリアスゾディアーツは右肩を前につきだした状態でネクタルをふるう。こうすることで右の水瓶を破壊されても左側は破壊されないという算段なのだろう。しかしネクタルを右腕で受け止めたオーズはそれを読んでいた。どうじに左腕でオースキャナーを掴んでベルトのメダルをスキャンした。

 

[クワガタ!カマキリ!バッタ!ガッタ、ガタガタキリバ!ガタキリバ!]

 

電子音とともにガタキリバコンボへと変身、グランドドーパント戦依頼となる分身能力で二人の分身を作り出し、二人の分身が水瓶を同時にカマキリソードで破壊した。これによりアクエリアスゾディアーツは再生能力を失う。

 

「ぬあ…」

 

「これで終わりよ!」

 

[[[スキャニングチャージ!]]]

 

三人のオーズが同時にオースキャナーでメダルをスキャンし、三人でガタキリバキックを繰り出した。それを受けたアクエリアスゾディアーツは技の余波で立体駐車場の外へと吹き飛ばされながら地面へと落下してしまった。

 

「し、しまった!やりすぎちゃったわ!」

 

すぐに地面を確認しようと縁に近づこうとするが、突如起こった凄まじい衝撃と爆音でその場に跪いてしまった。同時に天井のアスファルトの破片がボロボロとオーズの周りに落ちてくる。何事かと思い後ろを見るとそこのは同じように跪いているディエンドとファイズ、倒れている魚見、そしてその傍らで巨大な化け物が咆哮をあげていた。

 

「あ、あれって…」

 

立ち上がったオーズは二人のもとへ向かい、そして化け物の姿をよく見た。その化け物は上半身こそスコーピオンゾディアーツだが、下半身は六本足と尾をもった巨大な蠍のような姿の『スコーピオンノヴァ』と呼ばれる怪人だった。

 

「おい第三位!あれはなんだ!?」

 

「たしか超新星…ホロスコープスゾディアーツの究極の力…」

 

「ず、ずいぶんと巨大力のある姿になっちゃったわぁ…」

 

「うおおおおおお!」

 

驚く三人に向けてスコーピオンノヴァの巨大な尾が迫る。三人はなんとかそれを避け、ディエンドとファイズは銃撃を開始した。一方オーズは尾の風圧で魚見の近くまで吹き飛ばされてしまう。

 

「く、なんてや…う!?」

 

オーズはあるものを見て狼狽した。それは倒れている魚見だ。魚見の腕と脚はすべてあらぬ方向に曲がっており、二十の指もすべて折れている。ズボンのまたの部分は湿っていて、どうやら失禁しているようだ。

 

「うう…」

 

唸っているのはどうやら痛みからではない。歯がなん本か無理やり抜かれ、口から大量に血を流している魚見はしゃべることもままならないのだ。

 

「あの馬鹿、いくらなんでもやりすぎよ…これ見てあの蠍怪人キレちゃったんじゃないの」

 

超新星には感情の昂ぶりが大きく係る場合もある。魚見の変わり果てた姿を見てスコーピオンゾディアーツは超新星を覚醒させたのだろう。

 

「うおおお!!」

 

「クソが!」

 

「効かないわぁ…」

 

二人のライダーの攻撃はまるで効果がなく、スコーピオンノヴァの猛攻を止めることはできない。オーズは分身を大量に創りだして、スコーピオンノヴァに飛びかかるがその凄まじい怪力で吹き飛ばされてしまう。戦闘を分身に任せてオーズは二人を柱の影へと連れ込んだ。

 

「なんだよ、第三位」

 

「あんたねえ、やりすぎなのよ!どう考えてもあれみてあいつキレちゃったんじゃない?」

 

「言い合いよりもあいつを倒すこと考えないかしらぁ」

 

「超新星をしたホロスコープスは大爆発を起こす危険性がある…なんとかして空とか被害の起きそうにない場所に運ばないと…」

 

「ち…めんどくせぇ」

 

[You've got mail]

 

「こんなときにメールかよ!浜面の馬鹿か?」

 

ファイズフォンをチェックしたファイズはわずかに首をかしげた。そのとき、スコーピオンノヴァの巨大な尾が柱ごと三人を吹き飛ばし、オーズとディエンドは一緒に地面に倒れ込んだ。ファイズだけはエッジを展開し、巨大な尾の連撃を受け止めている。

 

「あんなの無理よぉ…ほかの人に任せましょ…」

 

「あんたって時々そうなるわよね…あんまり使いたくなかったけど…」

 

オーズはゆっくりとあるものを懐から取り出した。

 

「これ、使いなさい!」

 

「え、これって…」

 

オーズがディエンドに差し出したもの、それはゴーゴーファイブとジェットマンの十本のレンジャーキーだった。

 

「こういうことがあるかもしれないと思って、佐天さんから借りといたのよ。あんたなら使えるでしょ。これであいつの動きをとめて」

 

「利用されているみたいで、いやだけどぉ…しかたないわねぇ」

 

レンジャーキーを受け取ったディエンドはラッパラッターを二回使用し、ゴーゴーファイブとマスクマンを出現させる。さらにディエンドはドライバーにカードを装填した。

 

[Kamen Ride Drake G3]

 

ディエンドによって呼び出されたドレイクとG3、そしてゴーゴーファイブとジェットマンにオーズとディエンドの総勢14人のヒーローが並び立った。

 

[Attack Ride Cross Attack]

 

[タカ!クジャク!コンドル!タージャードルー!]

 

オーズがタジャドルコンボへと変身すると同時に13人のヒーローが一斉に銃撃を初め、スコーピオンノヴァの動きを封じる。その隙にオーズは飛翔してメダジャリバーでスコーピオンノヴァの尾を切り裂く。

 

「はあ!」

 

[トリプルスキャニングチャージ!]

 

[Exceed Charge]

 

「おら!」

 

オーズのオーズバッシュが巨大な尾を、ファイズのスパークルカットが六本中三本の脚を斬り落とす。さらにディエンドがスコーピオンノヴァの真上の天井を撃ち抜き、召喚されたジェットマンたちがスコーピオンノヴァを大空に運んでいく。

 

「行くわよ!」

 

「おいちょっと待て、三色団子!」

 

それを追ってオーズも飛び立つが、その脚をファイズが掴み一緒に空へと舞い上がる。

 

「ちょ、ちょっとなにすんのよ!」

 

「ちょっと試したいことがあってな。いいから連れてけ!」

 

ファイズはそのままオーズの身体を登り、首に捕まる一緒にスコーピオンノヴァのもとへと向かう。一方、大空のスコーピオンノヴァは周囲のジェットマンたちを振りほどきオーズたちのほうへと落下してくる。レンジャーキーに戻ったジェットマンを回収しつつ、オーズはタジャスピナーにメダルをセットする。一方ファイズはファイズフォンをフォンブラスターへと変形させ、上部にポインターを装着した。そしてファイズフォンに『4・4・4』とコマンドを押して最後にエンターキーを入力する。

 

[Melt Downer Mode Exceed Charge]

 

ファイズフォンには本来ないはずの電子音が鳴り響く。先ほどのメールには『444のコマンドを押せ』という文章が書いてあり、それを試してみたのだが想像以上の結果にマスクの下で麦野は微笑した。ポインター付きフォンブラスターを両手でしっかりと持ち直すと、ポインターを覗きスコーピオンノヴァに狙いを定めた。

 

「おい第三位!私に合わせな!」

 

「冗談でしょ!私に合わせなさい!」

 

[クワガタ!カマキリ!バッタ!ウナギ!ギ!ギ!ギ!ギガスキャン!]

 

落下してくるスコーピオンノヴァと飛翔するオーズ・ファイズ、二人の距離がどんどん詰まっていく。スコーピオンノヴァは咆哮しながら二人を威嚇する。しかし二人はまるで動じずフォンブラスターの銃口とタジャスピナーに凄まじいエネルギーをためていく。そしてその時がきた。

 

「セイヤー!!!!!」

 

「オラァ!!!!!」

 

「うおおお!!!!!!!!」

 

オーズの『レールガンブレイズ』とファイズの新必殺技の光線『フォトンメルトダウナーシュート』が発射されスコーピオンノヴァの撃ちぬく。いかに凄まじい力をもつ超新星覚醒のホロスコープスもライダーとレベル5の力を組み合わせた力には耐え切れず凄まじい爆発を起こし、その衝撃でオーズとファイズは大きく吹き飛ばされてしまった。地面すれすれのところまで落下したところでファイズは離脱し、オーズは体制を立て直すと再び飛翔して人間へと戻った佐曽利をキャッチしてふたたび立体駐車場へと着地した。

 

「ふう…食蜂はどっかに言ったみたいね」

 

立体駐車場には倒れた魚見の姿しかない。どうやらディエンドは去ったようだ。そしてファイズも戻ってくる様子はない。

 

「ならこいつを病院に運んでから私も藤岡の元…へ?」

 

佐曽利と魚見を担ごうとした時、オーズの身体が大きく揺れ地面へと突っ伏した。同時に変身が解除されて御坂の姿に戻る。何が起きたのか御坂にはまったくわからなかったが、よくみると彼女の腹にスコーピオンノヴァの尾の先が突き刺さっている。オーズバッシュを撃ちこむ瞬間にカウンターの針が突き刺さっていたのだろう…。その毒が身体を回り始めたのだ。

 

「う…こ、こんなところで…」

 

なんとか立ち上がろうとする御坂だったが、ついに力尽きて目を閉じ地面に完全に突っ伏した。

 

 

 

 

 

 

 

三人の人間が倒れて人気のなくなった立体駐車場…そこに一つの人影が現れた。人影は御坂を見下ろし…そして…

 

 

 

続く

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