とある英雄の伝説大戦(レジェンドウォーズ) 作:マッスーHERO
駿河編のラストです。
大気圏を突破する間、真レギオンドーパント=駿河秋はあるときのことを思い出していた。あの6月の昼の日のことを…
『…やっぱり見えないか…はあ…』
屋上に登るために特別な許可を取り、今日の日のために望遠鏡を減光フィルタを応用して改良してみたというのにその苦労がすべて無駄になったと落胆しながら駿河は壁に背を預けて座り込んだ。
『来年は電波観測の方法をしっかりと研究しておくか…その前に天体観測同好会の部員を集めて部にしないとなあ…』
現在、天体観測同好会の部員は駿河一人…なかなか天体の興味のある人間はいないものでいたとしてもこの学園都市では別の学校に行ってしまうだろう。
『ふう…ん?』
そんなことを考えているとドアの方からバタバタと足音が響いてきた。程なくしてドアが勢い良く開き、一人の男子生徒が屋上に入ってくる。男子生徒はすぐさまドアを閉め、はあはあと息を吐きながらゆっくりと座り込んだ。
『はあ…はあ…ようやくまいたか?』
『…』
男子生徒は未だに駿河のことに気づいていないようだ。ツンツンした短めの髪型、それといって特徴がないのにどこか人を惹きつける風貌の男子生徒に駿河は面識こそなかったが、それが隣クラスでは有名な唐変木のフラグ建設男、その名は…
『上条…当麻?』
『ん?お前誰?』
男子学生こと上条はようやく駿河に気づいたようだ。そこでようやく普段開いていない屋上が開いていることにも違和感を持ったようでドアノブを捻り、開けたり閉じたりを繰り返している。
『なんで屋上が開いてるんだ?』
『ああ、俺が許可とって開けてもらったんだよ』
『ああそうだったのか。お陰で助かったよ。ええっと…』
『俺は駿河。駿河秋。君のとなりのクラスの一般生徒さ』
『俺だって一般生徒だよ』
『いやいや、ちょっとした有名人だよ、君は』
唐変木の男の敵という言葉を飲み込んで駿河はかたわらの缶コーヒーを一すすりした。上条はようやく落ち着いたらしく周囲をゆっくりと観察し始めた。なぜ駿河がこんなところにいるのかを探るためだろう。程なくして彼は屋上に鎮座した天体望遠鏡を見つめた。そして頭を捻っている。それもそのはずだ、今は昼食時間なのだから。
『ううん?うう…』
『それなあ、流星群を見ようとしたんだよ』
『流星群?でも今は…』
『そう昼だよ。でもな流星群には昼間に来る奴もいるんだよ。そいつを見てみたかったんだが…やっぱりこんな方法じゃ無理だな』
駿河が観測しようとしたのはおひつじ座流星群という昼間群と呼ばれる昼間の流星群の中で、年間でも屈指の大流星群だ。しかし昼間来る故に普通に観測できないのだ。
『夢ってのには叶えられないものがどうしてもあるんだな…』
『ん?』
『いやさ、最近自分の夢がいまいち現実見がないなと思い始めてさ…』
かねてから宇宙飛行士になりたいと考えていた駿河だが、宇宙飛行士という職業は簡単になれるものでもないという現実をいやでも感じていた。もっと確実で長く安定した将来を目指すべきなのではないかということを最近思い始めていたのだ。そんなことをかんがえながら寂しげに笑う駿河を上条は静かに見つめていたが、すこし考えて口を開いた。
『…ううん…出会って数分の俺が言えることじゃないかもしれないけど…その夢は捨てないほうがいいと思うぞ』
『え?』
『だってさ、ずっと目指した夢ってことは一年とか二年じゃないだろ?十年とか十数年、それだけ長い間思い描いていた夢を捨てるなんてもったいないよ』
『そ、そうか?』
『夢みるだけならタダなんだしさ、たとえ別の道に行ってもその夢はきっと無駄にはならないんじゃないかな?』
『…』
出会って数分の人間がいうことではないが、妙な説得力を駿河は感じていた。同時に納得もした。この噂の上条当麻という人間がどうして人を惹きつけるのか、その不思議な魅力を…そんなとき、学校中にチャイムが響いた。
『やっべ!休み時間が終わっちまう!またな駿河!助かったよ』
『あ、ああ。またな』
上条は慌ただしく屋上から出て行ってしまい、駿河一人屋上に残された。
『…確かにこんなに長く追い続けた夢だもんな。もう少し頑張ってみるか』
空を見上げながら駿河はつぶやいた。おひつじ座流星群が広がっているはずの青空に向って…
この数カ月後、駿河は脳に腫瘍が発見され…上条は記憶を失い…二人のこの出会いは駿河一人の頭の中に記憶されるだけの出来事となった。この時のこの言葉がある意味、彼とレギオンメモリをつなぐ糸になってしまったことは否定出来ない真実だった…しかしこの時の言葉が駿河の心の支えとなっていたことも事実であり、この言葉が駿河と上条の絆をつなぎ、これから起こるある奇跡をおこすきっかけとなったこともまた事実だった。
真レギオンドーパントが肥大化を始めた直後、無人となった学園都市のあるところを歩いていた一人の少女が何かを感じ取り青空を見つめた。黒いパーカーに隠れた少女の顔にはわずかに驚きとそして喜びの表情が見て取れる。
「…歌いたいのか?」
青空に向かって放たれたはずの言葉、しかしそれは自分の中に向けて放たれた言葉だった。
「そうか…あいつのために歌いたいのか…私もあいつには返しきれない借りがあるしな」
少女はパーカーの頭の部分を取り、長い黒髪をたなびかせると青空に向って歌を歌い出した。
「ありがとう~♪」
[仮想BGM:そら (ガメラ2OP) ???????&???バージョン]
少女の歌が学園都市に響く。胸の中から沸き立つ歌詞を…その声には誰かもう一人の少女の声が重なっているようにも聞こえるのはけして錯覚ではないだろう…
「ン?なンだこの歌ァ?」
「きれいな歌ですわ」
「この歌って…佐天さん」
「ええ、この歌声は」
各地で戦っていた戦士たちの耳にもその歌は届いていた。そして上条当麻にも…
「このうたは…もしかして」
自分がこれまでに一度だけ、壊せなかった…だからこそあれは幻想ではなかった。紛れも無い奇跡によって生み出された少女…彼女の顔が上条の脳裏をよぎっていた。あれ以来どこにいったかもわからない彼女、いや彼女たちが歌っている歌が自然に上条の混乱を収め、冷静さを取り戻させた。
『当麻くん…彼のことを救ってあげて…』
「ああ…そのために力を貸してくれ…俺に!そして駿河に奇跡の力を!!」
[ ON]
上条=フォーゼが天に叫んだ瞬間、破壊されたはずの彼の右腕のスイッチソケットに透明な何かが出現し、同時に右腕にいままでにないような力が集まってくることをフォーゼは感じた。それは新たな力ではなくむしろ逆、上条が唯一持っていた最大の武器…。これまで多くの野望を打ち砕いてきた彼の最強最弱の武器。
[おおおおおおおおおお!!!]
[ ]
エンターレバーを引くとともに響く電子音。同時にフォーゼは右腕を振りかぶりながら肥大化を続ける真レギオンゾディアーツへと突っ込んでいく。
「いいぜ…異世界の地球の記憶だろうとなんだろうと…それが夢を追いかける男の邪魔をしようっていうんなら…まずは…」
スラスターマニューバを起動させて飛び上がったフォーゼは真レギオンドーパントに向けて拳を振り下ろす。
「その!幻想を!ぶち殺す!!!」
「グオオオオオオオオオオ!!!」
フォーゼの拳が真レギオンドーパントの頬を捉え、同時に何かか崩れるような音とともに真レギオンドーパントが苦しみ始め肥大化した部分が崩壊を始めた。程なくして人間に戻った駿河が地面に倒れた。排出されたレギオンメモリは
真レギオンドーパントがフォーゼの一撃を喰らった瞬間、駿河秋の意識はあの日へと戻っていた。記憶を失ったあの『オリオン号事件』の日へと…
凄まじい衝撃が機体を襲い、まだ少年だった駿河はシートベルトを忘れていたこともあり自分の席から吹き飛ばされてしまった。彼の体は転がり、どんどん前方へと進んでいく。そして壁に衝突して止まった。
『う…』
『ひえええええ!!』
その直後、近くにあったドアから制服姿の男が悲鳴をあげながら現れ、後ろの方へと逃げていってしまった。頭をぶつけたこともあり、混乱していた駿河は先ほどの男が飛び出してきたドアの中へと入ってしまう。そこはどうやらコクピットのようであり、2席ある操縦席のうちの1席には先ほどの男と同じ制服を着た男が必死の形相で操縦桿を握りしめていた。機長と思わしき男は操縦に夢中で入ってきた駿河には気づいていないようだ。
『ぬう…諦めんぞ』
機長の口から苦しそうに漏れる言葉が駿河の耳に確かに届いていた。
『シャットアウラ…いやそれだけじゃない…オリオン号に乗る87人の命は私が守らねばならないのだ…そしてこれから先に宇宙へと挑戦する人々のためにも…ここで私が負けるわけにはいかんのだ!!』
『…』
その姿に駿河は只々圧倒され、コクピットの隅で座り込むことしか出来なかった。やがてオリオン号は空港へとなんとか不時着に成功し、その際に駿河はコクピットから投げ出されてしまう。意識を取り戻して彼はすぐにコクピットへと戻ったが、そこで見たものはあまりにも惨い機長の遺体だった。それを見た直後、彼は意識を完全に失ってしまった。
「(そうか…俺は…あの人の戦う姿を見て宇宙へ挑戦することを夢見るようになって…そしてあの人の死に様を見て記憶を失ったのか…)」
この時の衝撃的な出来事が駿河秋から記憶を奪い取ったのだ。だが、その時の機長の行動が駿河の潜在意識の中に果てしない宇宙への挑戦心を植えつけていたのだ。
「(…あの歌…どこか懐かしさを感じたな…どこで聞いた歌だったか…)」
「…駿河!駿河!!」
自分を呼ぶ声に駿河は現実の世界へと引き戻された。ひらけた駿河の視界にフォーゼのマスクが飛びこんでくる。どうやら自分は上条の手によってレギオンメモリの呪縛から開放されたようだ。なんだか頭がすっきりとしている、言いようのない開放感を駿河は感じていた。
「…思い出したよ…」
「え?」
「清々しい気分だ…ありがとう上条」
「お、おい!?駿河!!」
それだけ言うと駿河は目を閉じ、気を失った。脳に腫瘍のある駿河にとってこれまでの戦闘は相当な負担なっているはず…本来ならすぐに病院へ連れていかなければならないのだがフォーゼにはまだ藤岡との戦いが控えている…それでもフォーゼは駿河を抱きかかえ、病院へと急ごうと立ち上がった。その時、突如として凄まじい風が辺りに吹いた。
「うお!?」
風はフォーゼの姿勢を大きく崩させ、その手の中にいた駿河の体を浮かせて、空へと舞い上げた。それと前後して後頭部に痛みを感じるフォーゼ。驚くフォーゼが辺りを見渡すと、空に浮かぶ駿河を翼を広げた影がキャッチする場面を彼は目撃した。その影は黒いローブに緑色のマスクとボディを持つ仮面ライダー型の戦士…ウィザードにそっくりの戦士だった。
「お前は…」
「こいつはワタシがめんどうみてやる。アンタにはまだやることがあるだろう?」
「だけど…」
「つべこべ言うな!もう一度殴られたいのか?」
先程の後頭部への衝撃波この戦士によるものだったようだ。先日のウィザード・ウォータースタイルとは明らかに違う緑の戦士はそういってフォーゼに背を向けると駿河を傍らに抱き、翼を大きくひろげて大空へと舞い上がった。その姿をフォーゼはしばらく見つめていたが、覚悟を決め再び走りだした。主悪の根源である藤岡の元へと…その手にはヒビの入ったレギオンメモリ、そして心には駿河の夢を追う心を利用した藤岡への強い憎しみの心を宿して…
御「お久しぶりにあとがきコーナーよ」
黒「読者の皆さんには本当にご迷惑をお掛けしていますの…」
佐「今回の3連続投稿も所詮は作者の自己満足ですからね…」
初「まあ次回もこんな調子で行くといいんですけど…」
御「さて今回の三連戦、駿河秋こと真レギオンゾディアーツとの戦いはどうだったかしらみんな」
黒「いつもの作者の常套手段である、武装破壊が連発しすぎでしたの」
初「藤岡戦どうする気なんでしょうね?」
佐「ステイツチェンジ☓・ウルザードファイヤー☓・大半の攻撃スイッチ☓…クウガもペガサス・タイタンが多分☓…ディケイドの一人舞台になりそうですね」
御「まあそれだけ真レギオンドーパントが強かったのよ…」
黒「元ネタのレギオンがガメラ最強の敵って言われてますからね」
初「レギオンレオゾディアーツがスピードタイプなのに対してこっちは完璧なパワータイプ…そしてレギオンプラントバスター…」
御「ベビィソルジャーレギオンの蜂球戦法やレッドロッドとどれも強力な戦法はフォーゼをぎりぎりまでおいこんだわね」
黒「原点のレギオン同様目立った弱点がなく…装甲は攻撃を弾きまくる…チートキャラですの」
佐「マイクロブラックホールが何度も作れてたらもう勝ち目がなかったよね…」
初「だからこそ上条さんもわざわざ動きにくい宇宙まで飛ばしてトドメを指すなんて方法をとったんですね」
御「さて、今回ようやくあのキャラが登場したわね」
黒「奇跡の歌姫ですの」
佐「あの歌が上条さんにくれた力のお陰で駿河さんを助けることができたよね」
初「今後も登場あるんでしょうか?」
御「特撮と歌は相性いいからでるかもしれないわね」
御「最後に登場した新戦士」
黒「正直言ってまたって感じしますの」
初「身元不明の戦士が10人近くいますしね」
佐「でも今回の戦士はいままでとちがってなんか謎ですね」
御「ウィザードは登場済みだもんね」
黒「ほかのウィザード系じゃないですの?」
初「でも翼があるのは…」
御「まあその辺は読者さんのご想像にお任せしましょうよ」
御「というわけで次回予告ね」
佐「こんかい早いですね」
初「新章入ったらこのコーナーも本格改装する予定みたいですね」
黒「なんだか不安ですの」
初「次回は私が活躍します。皆さんお楽しみに!!」
次回予告
怪獣の攻撃によってつぎつぎと破壊される巨大ロボ。
そんななか、ついに二人のウルトラマンが新たな姿を…
『燃えるぜ!4つの魂』