とある英雄の伝説大戦(レジェンドウォーズ)   作:マッスーHERO

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連日の投稿遅延申し訳ありません。
なんとか二周年に間に合いました。
たぶん今年最後の投稿です。
来年こそリクエスト編頑張りたいと思います。
どうか来年もよろしくお願い致します。


先生、生きて…(後編)

リベンジャーの襲来は、なにも学園都市側だけにダメージを与えていたわけではない。事実、最初の学園都市襲撃と同時期に魔術の総本山であるローマやイギリスにもリベンジャーは襲撃を仕掛けており、そしてその魔の手はさらに当時世界の影で暗躍していた組織『グレムリン』にも及んだ。グレムリンを無力化した未知なる組織リベンジャー…結果的にグレムリンを知る一部の者達を恐怖させるには十分すぎるほどの肩書となる。しかしこの襲撃、実はリベンジャー全体の本意ではなかったことはリベンジャー以外で知るものはほとんどいない。そもそもリベンジャーはグレムリンのリーダーを生け捕りとして自信の作戦に組み込めればいい程度の認識をグレムリンに持っており、特段なにかしようとは考えていなかった。この襲撃、それはさきほどFも語っていた通り、救星主のブラジラの独断によるもの…彼はそのリーダーの能力が自信の思想とかぶるということだけでリベンジャーに怪人を差し向けてしまう…その怪人の名は皮肉にも『グレムリンのワライコ僧』…機械類を故障させる怪人は科学をも利用しようとするグレムリンとの相性は悪く、その大半の外様というべき魔術師だけでなく正規メンバーも幾人かを犠牲となり、幹部のマリアン=スリンゲナイヤーは重症をおい、ウートガルザロキなどの死亡者を出す結果となる。この絶望的状況の中唯一無事だったのはベルシ=木原加群のみであり、リーダーからその理由を問われた際『何者かに助けられた』と語っていた。

 

「行くぞ…木原病理!!」

 

だが、その報告には大きな誤りがある…ベルシは確かに何者かに助けられた。しかし怪人を倒したのはベルシ本人。ベルシはその何者かに力を授かり、その力で怪人を撃退したのだ。

 

「(たとえこの身が朽ち果てようとも…この力を授けてくれた彼のためにも復讐は果たす…)」

 

その何者かはベルシがなんとしても復讐を果たしたいという思いをしり、それを果たすことがある理由から困難だと語った。今にして思えば、それは復讐相手がメモリを手に入れたということだろう。ベルシはその何者かに対して疑いをもつことはなかった。なぜならその何者かはベルシに対して綺麗事による復讐の阻止などはせず、自分の思うままにこの力を使えとベルシに語ったからだ。事実この力で彼は生き残り、そしてこの場にいる。目の前の相手への復讐を果たせるというだけで彼は満足だった。

 

「きなさい、加群さん。こんどこそあなたにあきらめてもらいますよォ!!」

 

一方、木原病理が能力を授かったのは、単に彼女の異常性を救星主のブラジラが歪んだ感情から評価して、それを利用しようとしたため。しかし、木原病理にとってはそれでも構わなかった。彼女の目的は『諦めさせること』…目の前の力はその目的を果たすには最適なものなのだから彼女は迷わずその誘いにのり、学園都市のすべてを諦めさせるべく行動を開始する。それが彼女に残された唯一の行動指針だ。

 

「おおおおおお!」

 

「ハハハハハハ!」

 

2人の異形の戦士が地を駆け、短剣とキバがぶつかり合って火花を散らす…というありきたりな結果はこの戦いにおいて非常識にあたるようだ。ドラゴンレンジャーはすんでの所で短剣をわざと止めて横から来るキバを脇腹で受け止める。さすがのスーパー戦隊のスーツといえどもあれだけ鋭利なキバを受け止めることはできず、脇腹に深く突き刺ささる。裂け目から吹き出す血が緑色のスーツを赤く染めていくが、ドラゴンレンジャーはそれを気にしなかった。短剣と青白い光の刃を放つ剣、それらを瞬時に持ち替えてユーマドーパントの両肩へと突き刺す。

 

「く!」

 

わずかに苦悶しつつも瞬時に2つの剣を肩から抜き、反撃に転じるユーマドーパント。彼女は左腕から矢のようなものを放ち、ドラゴンレンジャーの右足首を抉る。

 

「ぬおお!」

 

ユーマドーパントの左腕はどうやら『スカイフィッシュ』と呼ばれる高速移動を得意としたUMAをモチーフとしており、その高速移動を利用した弾丸を発射したのだろう。銃撃によってバランスを崩すドラゴンレンジャー。だが瞬時に立て直して2つの剣をユーマドーパントへと振り下ろした。2本の剣による斬撃はユーマドーパントの体に浅くない傷を刻みこむ。

 

「く…そんな戦い方では私を殺す前にあなたが死にますよ」

 

「…お前の心配することではない!」

 

お互いに激しく血を流しながら2人の戦いはどんどん激しさを増していく。

 

 

 

 

 

[[Rocket Limit Break]]

 

「「ライダーロケットパンチ!!」」

 

まったく同じ姿、動作、掛け声の技がぶつかり合うその姿は見るものを困惑させてしまうだろう。さきほどから出す技が何度もかぶって相殺されてしまっている。

 

「「くっそ、真似ばっかしやがって!」」

 

「だんだんどっちがどっちだか混乱してきたんだけど…」

 

そんなことをつぶやくキョウリュウピンクだが、的確にダミーフォーゼの方を攻撃している。最初の対面から彼女は本物のほうをずっとチョックしており、どちらが本物かが彼女にはしっかりとわかっているのだ。ダミーフォーゼもその援護のせいで攻めあぐねている。

 

「やっぱりおんなじじゃ、ァだめエかア…ナらここハ尊オネエちゃんならこうすルよね」

 

そう呟いた次の瞬間、ダミーフォーゼは一瞬ダミードーパントの姿へと戻ると今度はオーズの姿へと変身する。

 

「今度は御坂に化けたのかよ!」

 

「これはなかなかビリビリするわよ!」

 

[クワガタ!カマキリ!バッタ!ガッタ、ガタガタキリバ!ガタキリバ!]

 

本物と寸分たがわぬ動きでメダルをチェンジしてガタキリバコンボへと変身するダミーオーズ。さらに8人に分身したダミーオーズは2人へと襲いかかる。

 

「ちくしょう、分身なんて卑怯だぞ!」

 

「「「「戦いに卑怯も糞もないわよ!」」」」

 

「私は一応分身できるけどね!」

 

[ガブリンチョ!フタバイン!]

 

ダミーオーズの分身戦法に対してキョウリュウピンクも同じ獣電池の2連続使用によって4人に分身して対応する。だが、本物と同等の力を持つダミーオーズを前にフォーゼは焦りを覚え始めていた。

 

「(このまま一方通行や浜面に変身されたらマズイ…なんとかしないと…)」

 

しかしなんとかしようにも次々の変身するダミードーパントにはフォーゼのスイッチ戦法でもステイツチェンジがない状態では限界がある。それ故にガタキリバ4体の連撃に苦しむフォーゼだが、対称的にキョウリュウピンクは善戦していた。分身したキョウリュウピンクのカポエラやダンスに近い独特の格闘技は御坂美琴を限りなくコピーしたダミーオーズと互角かそれ以上の戦いを展開している。

 

「「「「やるわね!?」」」」

 

「「「「ふん、どんなコピーしてもあんたみたいなのにはその力は非相応なのよ!」」」」

 

4対4の激しい戦いを繰り広げ火花を散らすキョウリュウピンクの足技とダミーオーズのカマキリソード。だが、お互いに独立した戦い方をするダミーオーズに対してお互いに協力して時に踏み台となり、時に敵の背後をとるという器用な戦いを行うキョウリュウピンクはすこしずつ状況を有利にしていく。さらにフォーゼも戦隊へのチェンジとスイッチの併用で何とか4人と互角の戦いを展開する。

 

「それならこれはどうかしら!」

 

[タカ!クジャク!コンドル!タージャードルー!]

 

分身戦法を不利と見たダミーオーズは分身を解いてタジャドルコンボへと変身、大きなクジャクのはね状のオーラを展開して2人に爆撃のような激しい攻撃を仕掛ける。

 

「うお!?」

 

持ち前のスピードとうごきでこれを避けるキョウリュウピンクだったが、フォーゼは爆風で吹き飛ばされてしまい地面を舐める結果となった。

 

「ちくしょう…なんでもありかよ…」

 

かなりの衝撃でマスクの機能が一時停止したのか真っ暗になる視界。フォーゼは手探りしながら立ち上がろうとするが、そんな彼の右腕に何かがあたった。何か棒状の物体、やがて視界が元に戻ったところでフォーゼはその正体を認識する。

 

「これは…ガイアメモリ?」

 

それは緑色のボディにGと刻印されたガイアメモリだった。フォーゼが拾い上げるとそのガイアメモリは緑色の輝きを放ち、同時にその光を浴びたダミーオーズが苦しみ始めた。そしてダミーオーズの体をノイズのようなものがはしり、しばらくすると元のダミードーパントの姿へと戻っていく。それを見たフォーゼはなにかを感じ取り、懐からアポロスイッチを取り出してベルトへと装填した。

 

[Apollo On]

[Case Open]

[Scanning GaiaMemory Gaogaiger]

 

左腕に現れたアポロモジュールへと緑色のメモリを装填するフォーゼ。スキャニングの結果どうやらこのメモリは先ほどエターナルの使っていたガオガイガーメモリのようだ。もちろんそんなことなど知らないフォーゼだが、そのメモリの力の凄まじさだけは認識できる。なぜならメモリから漏れだす緑色の光がアポロモジュールすら透過して辺りの暗闇を照らしだし、その光は再びダミードーパントを照らし苦しめているのだから…

 

「一か八か…これで行くしかない!」

 

[Apollo Limit Break]

 

「行くぞ!ライダーアポロシューター!!フューチャリングガオガイガー!!」

 

獅子の咆哮のような音が辺りに響くと同時にアポロモジュールからまばゆい緑光の矢が放たれ、ダミードーパントを貫いた。しばらくは苦しむ悶えていたダミードーパントだったが、ダミーメモリの排出とともに元の少女へと戻る。しかし少女はなおも苦しんでおり、頭を腕で押さえていた。そのせいか団子ヘアが崩れそこに隠されていたあるものが露出する。それは大きなネジ、それが彼女の頭を貫通しているのだ。そのネジはさきほどのガオガイガーメモリと同じように緑色に光り、やがて粒子となり、その粒子は一本のメモリへと再形成されていく。

 

[Chemicalbolt]

 

聞いたこともないような単語を一度発した後、そのガイアメモリは粉々に砕け散った。それと前後して少女は力を失ったように地面へと倒れこむ。フォーゼは慌てて彼女に駆け寄るが、残念なことに少女はすでに息絶えており、その死に顔は目が見開かれて顔全体が歪んだ悲惨なものであった。フォーゼはゆっくりと手でまぶたを閉じさせ、腕を組ませてやると静かに彼女に黙祷を捧げる。しかしその横をキョウリュウピンクは何もせずに駆けていく。

 

「お、おい待てよ!」

 

フォーゼは彼女の亡骸を目立たないところへと安置すると、あとで必ず戻ると誓ってキョウリュウピンクの後を追った。

 

 

 

 

 

「…」

 

「ずいぶんと粘りますね…もうスーツが緑だか赤だかわからないじゃないですか」

 

ユーマドーパントとドラゴンレンジャーの戦いは今も続いていた。一見すればこの戦いはドラゴンレンジャーに分が悪いと見える。なぜなら彼のスーツはユーマドーパントの言うとおり夥しい量の血に染められ、裂け目からは血肉が飛び出しているからだ。しかし、ドラゴンレンジャーの闘士に陰りはない。いや、むしろ傷つくほどに力を増しているようにさえも思える。

 

「…その長いほうの剣、なにやら秘密がありそうですね」

 

「お前に言う必要性はない…次で決める」

 

マスクのバイザーについた血を拭き取り、2つの剣を握る腕に力を込めるドラゴンレンジャー。対するユーマドーパントも拳を握りしめてドラゴンレンジャーを睨み合い、2人の間にわずかな沈黙が訪れる。永遠に続くと思われたその沈黙を短剣から落ちた一滴の血が破った。

 

「おおおおおおおおお!!!」

 

「はああああああああ!!!」

 

咆哮とともに2人が走りだす。人を超えた驚異的な脚力の2人が交錯したのはまさしく刹那であった。

 

「ぬ…」

 

苦悶したのはドラゴンレンジャーのほうだった。ユーマドーパントの持つチュパカブラのキバはドラゴンレンジャーを護る黄金のアーマーを貫き、そこから夥しい量の血液が辺りに吹き出していく。

 

「…ふふふ、やりますね」

 

だが、ドラゴンレンジャーの双剣もまた彼女の胸へと突き刺さっている。しかも傷はかなりひどく致命傷となり得るであろう大きなものだった。食い込んだ2本の剣はユーマドーパントによって無理やり引き抜かれるが、そこから緑色の血液が溢れ出す。人間なら確実に致死量だが、彼女は笑みを浮かべながらドラゴンレンジャーを睨む。

 

「なるほど…その剣は使用者が傷つくほど力を増すわけですか」

 

「はあ、はあ…これで終わりだ!」

 

再び斬激を喰らわせようとするドラゴンレンジャーだが、ユーマドーパントはそれを避けると彼から距離をとる。

 

「逃げるか…」

 

「逃げる?ふふふ、そんなつまらないことはしませんよ。あああああ!!」

 

咆哮を響かせたユーマドーパントは次の瞬間、屋上から飛び降りてしまう。そして…

 

 

 

「ダイシンケン・侍斬り!」

 

「ファイブビームエンド!」

 

同じ頃、二大ロボの必殺技が幽魔獣たちとの戦いに終止符をうっていた。問題視されていたスターファイブも旧式とはいえさすがは長きに渡って前線で戦ったロボット、幽魔獣との戦いでもなかなかの活躍を見せており、目立つ破損はない。

 

「さすがはスターファイブ、星川先生と長く戦ってきただけのことはあるわね」

 

そう言いながらねぎらうようにコクピットを撫でるゴーカイレッド=御坂。しかしその直後凄まじい振動が二大ロボを襲った。

 

「な、なんや!?」

 

「なんですの、この揺れは!?」

 

地震のような激しい揺れはそれからまもなくして収まった…が、しかしすぐさま次なる異変が起こる。二大ロボのコクピットのモニターに黒くそまったのだ。それがなにかの影であることに気づいた彼らはゆっくりとロボットを反転させる。すると…

 

「…な、なによあれ」

 

後ろにいたのは二大ロボの二倍はあろうかとゆう巨大な怪獣。長い首と太い胴体はさながら白亜紀の首長竜を連想させる怪獣、それはさきほどのユーマドーパントが巨大化した姿『ビッグ・ユーマ』ともゆうべき巨大化ドーパントだった。

 

「オオオオオオオオオ!!」

 

ビッグ・ユーマの凄まじい咆哮に二大ロボの動きが一時止まってしまい、その隙に巨大なヒレの腕による強烈なビンタがシンケンオーを襲い吹き飛ばす。

 

「「おわあ!!」」

 

吹き飛ばされたシンケンオーは建築中のビルに激突、激しい爆音とともにシンケンオーは破損して地面へと倒れてしまう。ビッグ・ユーマはさらにスターファイブにも攻撃を仕掛けるが、これは間一髪のところで回避された。

 

「なんて威力よ!?」

 

「お姉さま!あれを喰らったら旧式のスターファイブでは持ちませんの!」

 

「なら…もう一度ファイブビームエンドよ!」

 

スターファイブは再び必殺の砲撃技を放った。強烈なビームはビッグ・ユーマの腹に直撃し、小さくない穴を開ける。

 

「グオオオオオオ!!」

 

「やった!!」

 

しかしビッグ・ユーマは苦しみながらも体を回転させ、その長い尾をスターファイブへと叩きこむ。

 

『うわあああああああ!!』

 

衝撃で機体を大きく回転させながら吹き飛ばされたスターファイブはボディに深い傷を負い、そのまま地面に倒れこんで機能を停止してしまった。

 

「ウガアアアアアアア!!」

 

2体のロボの残骸を踏みつけて吠えるビッグ・ユーマ。その視線の先には未だにビルの屋上で佇むドラゴンレンジャーへと向けられている。我が物顔で周囲のビルを破壊するビッグユーマだが、それを止められるものはもはや誰もいなかった。なぜなら現状で稼働できるロボは機能を停止したあの2体だけだったのだから…。

 

「(どうです!これならすべてのものを諦めさせられるでしょう!)」

 

暴れ狂うビッグ・ユーマ。その姿を見つめていたドラゴンレンジャーはおもむろに短剣の鍔をマスクへと近づける。そして…

 

「…」

 

短剣から穏やかなそれでいて力強い音色が学園都市全体に響き渡る。その音色はキョウリュウピンクを追いかけていたフォーゼの耳にも届いた。

 

「なんだ…この音色は…うお!?」

 

驚いて立ち止まるフォーゼ。なぜなら先程のビッグ・ユーマが出現してきた時と同じくらい激しく地面が揺れているのだから…

 

「なんだこの揺れ!?」

 

揺れをどんどん激しさを増し、ついには地面が割れる。どんどん地割れが起こり、ついには地面に穴ができてしまう。そしてその穴からなにかの巨大な影がゆっくりとせり上がってきた。

 

「オオオオオオオオオ!!」

 

巨大な影の正体は銀と緑色の装甲に包まれた巨大な龍。それはかつてオリジナルのドラゴンレンジャーとともに戦い、数日前にスーパー戦隊の世界から姿を消した守護獣『ドラゴンシーザー』だった。

 

「オオオオオオオオオ!!」

 

「オオオオオオオオオ!!」

 

ビッグ・ユーマの咆哮に対してドラゴンシーザーもまた強烈な咆哮を返す。ドラゴンレンジャーはビルから大きくジャンプするとドラゴンシーザーの頭部へと飛び乗ってビッグ・ユーマへと対峙した。

 

「行くぞ、木原病理…決着をつけよう!」

 

「オオオオオ!!」

 

咆哮とともに振り下ろされたビッグ・ユーマの尾とドラゴンシーザーのドリル状の尻尾『スピニングシーザー』がぶつかり合う。高速回転するスピニングシーザーの一撃はビッグ・ユーマの尾を軽々と引きちぎり、周囲に血肉を飛ばす。その痛みから隙を見せたビッグ・ユーマに対してドラゴンシーザーはさらに指から強烈な超高熱光弾『ドラゴンハーレー』を連続で放った。

 

「ウオオオオオオオ!!!」

 

激しい連続攻撃の前にビッグ・ユーマは少しづつ弱っていき、その頭部に人間の顔のようなものが浮かび上がっていく。それはメモリの使用者である木原病理だ。それを発見したドラゴンレンジャーはドラゴンシーザーに指示を出し、ビッグユーマの体にしがみつかせてその動きを封じさせる。そして…

 

「はあ、はあ…うおおおお!!」

 

ドラゴンシーザーの頭部から飛び立ったドラゴンレンジャー。彼は2つの剣を突き出しながら、木原病理の顔へと突っ込んでいく。そして…

 

「ぎゃあああああ!!」

 

2つの剣は顔へと突き刺さり、夥しい量の赤い血液を吹き出す。しばらくの間、もだえ苦しむビッグ・ユーマだったがやがて息絶えるように地面に倒れると、しばらくすると粒子となってその姿を消していった。

 

 

 

 

 

 

それからすこしたって太陽が沈みかかったころ、ようやくフォーゼは人気のない道で座り込むキョウリュウピンクへと追いついた。その傍らにはすでに息も絶え絶えのドラゴンレンジャーの姿がある。メットは外れ、血まみれのスーツは黒く変色しかかっており、青白く光っていた剣も折れて地面に落ちていた。キョウリュウピンクは…いや、メットをすでに外している雲川鞠亜はドラゴンレンジャー、いや木原加群の体を自分のほうへと寄せ、力強く抱いた。木原加群の顔には大量の水滴が落ちている。それは彼女の涙だった。彼女は只々嗚咽を挙げて木原加群を抱いている。もうすでに言うべき言葉はすべて出しきったあとなのだろう…。やがて木原加群の体が光の粒子となって消滅し、空へと上がっていく。雲川鞠亜はそれを見上げながらなおも泣いていた。そして夕日に染められたドラゴンシーザーはその粒子を見つめながら悲しげに吠える。まるで主人が消えていくのを悲しむように…

 

 

「グオオオオオオオ!!」

 

彼の消えた後に残されたバックラーと短剣を抱いて雲川鞠亜は再び泣いた。

 

 

 

 

「…う」

 

体に心地のよい風を感じて木原加群は目をゆっくりと開ける。そこは暗い夜道で彼は人力車に乗せられているようだ。人力車を引くのは和傘をかぶった黒装束の男…加群はゆっくりと口を開いた。

 

「この車はどこにいくんだ?」

 

「…きみをあの世へと連れて行く」

 

「そうか…」

 

「心残りはないのか?」

 

「ないといえば嘘になるが…一番したいことは済ませたからな」

 

「…」

 

「…あなたなんだろう?俺にあの力とあいつを貸してくれたのは」

 

「ああ」

 

「なぜだ…なぜ、名も知らぬ俺に…」

 

加群の問に男…いや、かつてのドラゴンレンジャー=ブライはしばらく黙っていたがしばらくして口を開いた。

 

「俺は現世に心残りをたくさん残して死んだ…だからきみには…俺とよく似ているきみには心残りをしてほしくなかった…」

 

「…ありがとう」

 

加群の乗る車の前に一本の街灯に照らされたベンチがあった。そこに座るものは一人もいない…。それをみた加群は初めて笑顔を見せた。

 

「気持ちの良い風だ…なんて…気持ちの良い風だ…」

 

人力車はそのままとまることなく夜道を進んでいった。

 

 

 

 

 

 

数日後、上条は雲川芹亜とともに学校の屋上にいた。雲川はゆっくりとあるものを上条へと手渡す。それはクロノチェンジャー、ガブリボルバーと獣電池、そして加群のダイノバックラーと専用武装の短剣『獣奏剣』だった。上条はそれらを戸惑いながらも受け取る。

 

「いいんですか、ほんとに?」

 

「ええ、妹はしばらく落ち込んでそうだし…私も頼まれた分は捕まえ終わったから」

 

あの後雲川はスナイパーレイホウの圧縮冷凍に無事成功しており、自分が戦う理由はないとそれらの武装を上条に譲渡しようというのだ。

 

「でも、このバックルはあの人の形見じゃ・・・」

 

「そういうもんがあると妹はいつまでもうじうじしているから…私はそういうことないけど」

 

雲川はそういうと上条に背を向け、すぐさま屋上から去っていった。残された上条は渡されたそれらをみつめながら青空を見つめた。彼の脳裏に筋グゴンと加群の死に際の笑みが過る。

 

「…俺は、なんのために戦っているんだろう…」

 

曇のない青空はその問には答えてはくれなかった。

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