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プロローグ
大いなる太陽はその身を傾け、黄昏が大地を飲みこもうとしている。
風が一つそこを過ぎ去ると原色の花弁が宙を舞った。
そこにただひとつ、人型に押し固められたような闇が居る。
それは漆黒の翼を携えた一人の悪魔。
ただがむしゃらに羽ばたいた悪魔はひどく疲れていた。
なんのために?
なんども頭をよぎったその問いはその都度殺してきた。
なぜならばそれは約束。なによりも大切で愛しい約束だから。
どれだけの時間、彼女を待たせてしまっただろうか?
振り返った少女に悪魔はふと気恥ずかしさを感じる。
短い謝罪のあとに悪魔はゆっくりと立ち上がった。
向かいあった少女は翡翠のように鮮やかな髪を揺らし両手を大きく開く。とても美しい少女だった。
悠久に等しい時を経ていようとも、それが刹那の瞬きであろうとも。
彼女達の前ではなんの意味も持たない。