バカとオレと彼女たちR   作:いくや

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 意外と話がふくらんだ。

 この話で終わらせようと思ったのに。

 では、どうぞ♪




第12問

 

「……きっちぃ~」

 校舎内をものすごいスピードで駆け巡った。自然と声が出てしまった。単独行動しているというのがバレないようにというのと、他の人に宝を取られるわけにはいかないという思いが重なり、もっと速く走らないとという気持ちになる。

 流石にこれほどものすごいスピードで走り続けると、他の人からの注目の的になってしまうため、早めに目的は終わらせねばならない。指定された宝の場所に全速力で駈け込んでも、物陰に隠れていたり死角になっていたりとすぐに見つけることが出来ないこともあるので焦りが生じる。

 

「ハズレも作ってるんかい。なかなか手がこんでやがる!!」

 あれだけ走らせておいて、宝が入っていると思しきカプセルを開くと『ハズレ』と書かれた紙が。非情に腹立たしい。他の人たちもこういう悔しい目に結構あっているんだろうなあ。その他にも数か所巡っているんだけど、どいつもこいつもハズレもしくは既に誰かにとられている。おいおい嫌がらせかよ。オレまだ何も獲得できてねえ…

 

「まずいなそろそろ5分経つ。集合場所に向かわねえとやべえな」

 何とかすべての場所を回り終えたんだが戦果は0。土屋には顔向けできねえ。そんなことよりも早めに合流しないと。急ごう。

 集合地点に向かうと反対側から全速力で走ってくる土屋の姿が見えた。ホントに5分ジャストになるようなルート設計していたんだな。お前何者だよ。スパイかなにかやってんのか。

 

「お疲れさん土屋。戦果はどうだった。オレは残念ながら0」

「………これ。こんなもの手に入れた」

 手にしていたのは木箱だった。なんだやけに演出がいいな。オープンするときBGM流しておいたほうがいいんじゃないの。まさかとは思うけど浦島太郎みたいに爺さんになるとかはないよな。

 

「とりあえず、人目につかないところに向かおう」

「………こっち」

 わらわら人はいるが、手に持っているのがバレないように人垣をすり抜け、ようやく人影が薄いところにやってきた。普段生徒が寄り付かない教師たちの喫煙室があるのは知っていたんだが、まさかその付近に踊り場のような小スペースがあるっていうのは知らなかった。こんな場所あるんだ。穴場スポットみたいなところだな。

 

「なんでこんな場所を知っているんだよ」

「………しょうば ー なんでもない」

 絶対に今さ商売って言おうとしたよな。ここで商売しているのかよ。よく摘発されねえな。こんな喫煙教師たちがよく通るようなスペースを。いや、あちら側から見ればここは死角だな。なんとまあ…

 

「この木箱開けてみたか?」

「………中身はよく確認していない」

 だろうな。制限時間がある中で出来るだけ多くの場所を回るということを考えたら、そんな暇はなかったよな。

 

「開けてみようぜ」

「………紙切れ1枚?」

 土屋が箱の中から取り出したのは紙切れ1枚だった。ここまで引っ張っておいてハズレのオチはないよな。

 

「何が書いてある」

「………この紙の持ち主はオリエンテーリング大会終了後、学園長室に来るように」

 なあ。これってどう見てもハズレじゃね? というかハズレよりひどいんじゃね。

 

「呼び出し食らったな…」

「………すまん」

「土屋が謝るようなことではない。…それより小さい文字で何かまだ書いてあるぞ」

「………シークレットアイテム」

 お、気になってたやつじゃん。ハズレとか疑ってごめんなさい。あたりですね。

 

「これは気になるな。わざわざシークレットとか言ってぼやかしてるのも」

「………しょうもないかも」

「いやあこれだけ商品が豪華なんだから、シークレットとかそれ相応じゃないとな」

 これでしょぼいやつとかやったら怒るぞ。そうやって考えていたら土屋がふと廊下に耳を澄ませ、こうつぶやいた。

 

「………足音が聞こえてきた。そろそろこの場所も使えない」

「おいおい秘密基地じゃねえのか?」

「………数少ないが客はこの場所を知っている」

 もう客って言ってしまったよ。しかし普通に考えてみればそりゃそうか。それならば早く逃げないと。この場所の唯一と言っていいほどの難点は、袋小路だから退却路=やってくる道なんだよな。鉢合わせ必至。

 

「しっかし、ここにもないとなるとどこにあるんだよ!!」

 わざと近寄ってきたやつにも聞こえるように大声で嘘の不満をぶつける。土屋には視線で制して話に合わせるようにと目で語った。

 

「このままじゃ何ももらえないまま終わるぞ…それに1つも持ってないから勝負を仕掛けることも出来ねえ」

 袋小路から出ると、土屋の読み通り3人の生徒がこちらにやってきているのが見えた。あちらから人が歩いてきているからなんだと言わんばかりに普通に土屋に話しかけながら向かっていく。

 

「もうあらかた漁ったよな。もしかしてもう全部取られちまったのか?」

「………その場合放送が入るはず」

「へえ、そうなんか」

 と歩いて向かって行っていると、向こうから歩いてきた3人が『ここにもなかったのか』『他の場所行こうぜ』『後探していない場所どこだよ』と言いながら引き返して行った。よし、作戦成功。後はこの一本道を脱出し、再び逃走劇が始まるのみ。

 

「他に何か人が少ない場所とかないのか」

「………こういうイベントだから人が少ない確証はない」

「だよなあ。堂々と正面突破って言ってもなあ」

「………数的不利だからそれは避けたい」

 そうなんだよ。3人と戦うとなってしまった場合、あまりにも不利な条件からスタートしてしまう。このまますべての戦いが終わってしまえばいいのに。

 

「いいこと考えた」

「………なんだ」

「補習室に自ら赴くというのはどうだ。誰も来ねえだろ」

「………冗談でもそれはひどすぎる」

 あ、ごめん。本気とボケを混ぜた感じの提案をしたら、びっくりするくらい冷たい視線とともに返事された。オレは補習室行ったことないからホントのところはわからねえが、そんなにひどいものなのか。あ、いや。土屋が行ったことある前提で話すのはおかしいな。彼もやはり噂で聞いているからだろう。うん。

 

「それならば今後どうするか。新しい問題を解いて他のを探す。もしくはこの1つを守りきる」

「………新しいのを探しに行きたいのだが、おそらくこの時間ではほとんどとられている」

「だよなあ。ということは勝負を挑んで奪うとい選択肢も現れるわけか」

「………自ら不利な条件に顔を出す必要もない」

 となると、逃げ回るという選択肢しかないわけだな。なんかこの頃逃げてばっかだよな。大丈夫かオレ。

 

「だが、何か探しているフリでもしないと」

「………岡田、新たに問題を解いてほしい」

「あー問題解いているところを襲って来たりはしないかもな」

「………そう」

 ひとまずわざと目立つ中庭のベンチに赴き、新たな問題に取り組む。こんなオレらを見て周りの人間は、誰も宝を持っていると思わなかったのか勝負を挑んでくることはなかった。このまま終わればいいんだがそうは問屋が卸さないんだよな。

 

 





 おそらく次の話で終わるでしょう。

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