さて遊園地回。
まずはこの方々から。
では、どうぞ♪
~その週の土曜日~
「びっくりした。まさかそっちからそんな誘いが来るなんて」
「あ、アタシだってそんなつも ー いや何でもないわ。チケットがもったいなかったからよ」
昨日の夜、突然優子から連絡が来たんだよ。何で連絡先知ってんのと思ったけど、秀吉に教えていたから多分その流れ。まあこんな内容だった。
『明日暇?』と。
特にすることもなく暇だったので『暇』と送ったら、
『秀吉が遊園地のチケットくれたから一緒に行かない? 別に誰とでもよかったけれども他の人ダメみたいだったし。もったいないから』と返ってきた。
その文章を見て素直に受け止めればいいものを何か裏があるのではないかと勘ぐってしまった。だってさ、あの時はっきりとオレ聞いたよ?『なんで一緒に行かなくちゃ ー 』みたいな言葉。その後にこれだからな。まあ、別にいいけどさ。
『暇だしいいよー』と送ったら、集合時間・場所だけ送られてきてその日のやり取りは終了。そして今日にいたるというわけだ。
「というよりさっきからアンタ挙動不審。何キョロキョロしてるわけ」
「えーっと、監視されていないか」
「な、なんで?」
「秀吉が仕組んだんじゃねえかなとつい思ってしまってだな」
弟ならではの姉の隠し事をつかんでて、それを人質にされているんじゃねえかなと思ったが、まあ結果こういう優子と遊園地に来ていることには変わりないんだから楽しもうかな…と思った時に優子の顔見てみるととてもわかりやすく動揺していた。
「あのな優子、秀吉までとは言わないがポーカーフェイスって必要だと思うんだ」
「な、何の話かしら。アタシにはさっぱりわからないわ」
「そして誤魔化し方が ー まあいいや。そんな裏事情知ったことじゃねえ。せっかくこのでっけえ遊園地にタダで入れるんだろ。楽しもうぜ。もったいない」
「そうね。じゃあ入りましょう」
プレオープンだから、一般客は入れず、関係者しか入ることできないため、お客さんは少なめだった。これはさらに楽しめるんじゃないか? 人が多い時の遊園地って自分たちが遊びたいもの遊べないじゃん。あれ嫌なんだよね~
『いらっしゃいませ~プレチケットはお持ちですか?』
「はい、これです」
『カップル様ですね~お手を繋いでご入場ください』
「「は?」」
思わず2人とも声をそろえて聞き返してしまった。あまりのことにしばらく2人とも動けないでいると、スタッフがとどめの一撃を刺してきた。
『このチケットはカップル限定なのですよ~お手を繋いでこちらへどうぞ』
な…!? 何だこのシステム!? というよりこのチケット!? そんな前提あったのかよ!!
『どうされました?』
あまりのこと優子は思考停止していた。ここで手を繋がないとどうも入れてもらえなさそうだな。ここで帰るのももったいないし…せっかくのプレチケットが台無しになるのは避けたい。
「な、な、な…そんなこと書いてあったのか…」
「し、知らなかったわよアタシだって…」
「知らなかったで済ませるレベルなのかこれは!?」
『あーもうじれったいわね、このカップル!! いいからとっとと繋ぎなさいって言っているでしょうが!!』
突如、怒り出したスタッフ。その剣幕に立ち向かう術は2人には持ち合わせていなかった。されるがままに手を繋ぐとそのままスタッフの誘導に従うしかなかった。
『ここで写真を撮ります。2人とも笑顔で~』
懐から一眼レフを取り出し、早速写真を撮る準備をする。あまりの突然さにオレらもついていけず、ぎこちない笑顔でスタッフの言うとおりにする。早く嵐が通り過ぎ去ってくれ。
『ありがとうございます~では、お楽しみください♪』
と風のようにスタッフは去っていった。2人取り残された感じだ。はあ…ようやく落ち着きを取り戻してきたな ー 。
「き、気づかなかった」
写真に写った時のバック、全然気にもしてなかった ー というより余裕がなかったんだけども…でかでかとハートマークが模されたやつじゃん。
「な、な、なんだったの?」
「こっちが聞きたいわ」
優子がこのハートマークを見て絶叫しないようにさりげなくその場を外れる。
「こんなチケットだったとは」
「多分、入場のときだけだよ。他に大したことはない」
「そう言い切れるのかしら?」
「いや、願望」
優子の言葉にキレが戻ってきた。立ち直ったか。あれはびっくりするよ。
「って、いつまで手を握っているつもりかしら?」
「………」
無言で手を離す。うん、いつも通りに戻ったね。よかったよかった。このままだとオレももたなかったからね。
「さ、さて楽しもう!」
「………」
「うっひょ~なんだこの豪華な遊園地」
今までのことは忘れて、ふとアトラクションの数々を見てみたら思わず声を上げてしまった。これほどまでにすごいものとは。高校生になっても楽しめる遊園地の規模ってすごいと思う。
「勇樹、あまり恥ずかしいから大声出さないでちょうだい」
「すまんすまん。ついな」
「それよりも遊園地っていう割に人が少ないわね」
「そっちのほうがたくさん遊べるから好都合だがな」
雰囲気はちょっと違うけど、ただアトラクションを楽しむという点ではこちらのほうがいい。
「まさか、ライバルのあなたとこんなことしているなんてね。信じられないわ」
「オレとしては優子がライバルと認めてくれていたことが嬉しい」
いつまで経ってもアタシに勝てないカス、みたいな評価じゃなくて非常にホッとしている。結構ちゃちなプライドだが、その自分のプライドにかかわる問題。
「バカね。あなたがいたからアタシだって頑張れたのよ」
「嬉しいこと言ってくれる ー 」
「なしなしなし!! 今のなし! ちょっとアタシ何言ってんの恥ずかしい!!」
「今日は忙しいな赤くなったりそわそわしたり…」
今の発言も取り方によっては確かに恥ずかしいが、文脈からして別におかしくねえよ…ついでになしっての取り消してくれると嬉しい。
「もうこういうのはいいから、何から遊ぶ?」
「お、切り替わったな。平常運転だ」
「うるさいわね! はい、これここのパンフレット。さっきとっておいた」
「おーサンキュー…どれどれ? ジェットコースターからお化け屋敷に観覧車にコーヒーカップに…いわゆる遊園地ってやつの定番はもちろんのこといろんなのあるな!」
空中ブランコとか楽しそう! あとあれなんて言うんだろう。思いっきり真上に上がったり、突然急降下したりすうアトラクション。あれは怖い、見てるだけで怖いから…他楽しもう。
「んじゃ、まずジェットコースターから」
「…まずってわりに難易度高くないかしら?」
「そうか? なんだ怖いのか?」
「こ、怖くなんかないわよ! ただ、他に慣れてからという順番があるんじゃないかしら」
なるほどなるほど怖いんだな。怖くないと楽しくないだろジェットコースターってもんは。まあ、優子の希望通り何か ー 。
「ここに行くわよ!」
と地図で指さしたのは何とグッズショップ。待て。もう土産買うつもりか、そしてもう帰りたいのか。そんなに嫌なのか。
「それは最後だ」
スタスタと歩いてグッズショップのほうへ向かう優子の腕をつかんで止める。
「秀吉からお土産頼まれて ー 」
「そんなの帰る前でいい」
「売り切れるかもしれ ー 」
「在庫をなめるな。この客の少なさでそんなことがあるかよ」
「アタシはショッピングの時間長くて ー 」
「ウソつけ。ちゃちゃっと決めるだろうが」
「えっとえっと…グッズショップの営業時間が朝だけで ー 」
「ちゃんと閉園時間まで開いているぞ」
「う…な、なんでもいいからグッズショップに ー 」
これほどアトラクションが嫌いだとは思わなかった。これじゃ1時間も遊園地にいないことになるぞ。せっかく来たのに。
「死ぬわけじゃねえ。グッズショップは最後に、今日は全部回るぞ!」
「ぜ、全部?」
「大丈夫だ。信じろ」
今まで腕をつかんで優子の動きをとめていたが、ラチが空かないと思うやいなや、手を引っ張ってアトラクションのほうへ向かう。
「はず、はずかし恥ずかしいからこの手をはな ー 」
「グッズショップに逃げ込まないためだよ」
「もうそれはいいから ー 」
「よっしゃ最初はジェットコースターに乗るぞ~!」
テンションを上げすぎたのか、いくつかのアトラクションで楽しんだ後、スタミナがきれた。ガス欠状態。最初にあんなことなかったらもうちょっとペース考えれたような気もするけど…
如月ハイランドパークの規模ってどれくらいなんだろう。
モデルは富士急? 行ったことないんだよなあ。
福岡に住んでいる私は遠くてとてもじゃないけど……行ってみたい。
この2人の遊園地回は結構シンプルに次の話で終わる予定です。
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