梅雨だというのに雨があんまり降っていない気がする九州北部に住む作者がお送りするお話。
では、どうぞ♪
「………なぜいない!?」
かれこれ数時間は探しているはずなのだが、全く見つからずに焦りを隠せないムッツリーニ。
「ボクたちとアトラクションが入れ違いになっているのかな」
「………外から見える範囲でしか探してないからな」
「じゃあ、ボクたちもジェットコースターに乗って探してみる?」
「………どういう理屈でそうなる?」
「高いところからまずは一望してみるんだよ」
「………あのスピードから見つけろと?」
ジェットコースターを指さしながらムッツリーニは愛子に問う。あれ、数百キロ出てるのかな? 確かに景色が動きすぎて動体視力がよくないと見つけれそうにない。
「ムッツリーニくんでも出来ないかあ」
「………やってやろう」
「ふふっ。面白いね♪」
「………俺で遊ぶな」
豚もおだてりゃ木に登る。ムッツリーニは簡単な挑発に引っかかってしまった。愛子と一緒にジェットコースターに乗り込むことに。もちろんだが、カメラなど持ち物は全て乗る前には預けないといけない。
「………写真撮影を」
『申し訳ございません。それは出来ません』
「まあまあ仕方ないよ。置いていこう」
「………くっ」
商売道具を片時も離さなかったムッツリーニだったが、こういう場合は仕方がない。何事も任務のためと割り切り、ジェットコースターに乗り込む。
☆
「………見えなかった」
「想像以上に速かったね~♪」
「………ただ楽しみたかっただけか」
「両方♪」
愛子はどうやら、依頼を最重要視しなくなってきており、若干だが遊びたいという気持ちが出てきたみたいだ。
「じゃあ後は巡ってないところは……」
「………お化け屋敷・観覧車といったところか」
「観覧車は最後だね♪」
「………お化け屋敷に入るのか?」
「えーっと、体感してみないとわからないものもあるんじゃないかな♪」
どうやら完全に遊園地に遊びに来た感じになってきた。ムッツリーニもこれ以上手当たり次第に探すのはキリがないから、愛子についていくしかなくなったのである。
☆
「結局、見当たらなかったね…」
「………の割に何故楽しそうなんだ」
「だって遊園地なんて久しぶりだからね♪」
「………秀吉に何と言おう」
6時間近く探し回った(途中完全に自分たちの世界に入り込んでいた部分もあった)が、遊園地内で優子と勇樹を見つけることは出来なかった。
「一度連絡してみてよ、弟くんに」
「………わかった」
と言って携帯を取り出すムッツリーニ。すぐに秀吉と連絡がついたらしく話し出した。
「………秀吉」
『おお、ムッツリーニか…今忙しいでな』
「………またかけ直そうか?」
『それよりも我が家に来てくれまいか? ちょうどその頃には話せるじゃろう』
「………工藤、まだ時間大丈夫か? 秀吉の家に行くが」
「優子の家に! 行きたい♪ まだ行ったことないんだ」
「………そうかわかった。秀吉。2人で向かう」
『よろしく頼むのじゃ』
最低限の会話をするとすぐに電話を切られた。ホントに忙しそうだった。ただ、卵焼きと苦戦していただけだが。
「満喫した~遊園地!」
「………途中から探す気なかっただろう」
帰り際(木下宅に向かう途中)、2人は歩きながら今日のことを振り返る。
「ムッツリーニくんとボクが探してもいないんだから、もういいかなあって」
「………俺もいい写真がたくさん撮れて収穫だった」
「勝手に他のお客さん撮ってるんじゃない?」
「………被写体は人間とは限らないだろう」
実はムッツリーニはあんなポーズやこんなポーズを撮るのが好き、というよりかはただカメラで写真を撮るのが好きと表現したほうが正しいのかもしれない。が、やはり商売上売れるのは前者のほうであり、個人的にもそれのほうがより好みだということもあって、その手の写真しか撮らないと言われている。
「噂によると商売しているらしいね」
「………それがどうした?」
「どんなの売ってるの?」
主にギリギリな写真を売っているとは流石に言えないムッツリーニは誤魔化すより他なかった。
「………売り場に来たらわかる」
「お店を構えてるわけ!?」
「………まあな。場所は教えないが」
「いいじゃん、教えてくれても~ケチだなぁ」
売り物の中には工藤愛子の写真もあるわけで、当人の許可を取らずに売っていることがバレてしまうとどうなるかわからな。だから、出来るだけ秘密にしておきたかったことだ。
「………その観察眼でどこで売っているか探すといい」
「何を隠しているんだか。あ、わかった! ボクのえっちなポーズを売っているんでしょ~」
ほぼ図星だったムッツリーニは動揺したのか、妄想したのかどちらかはわからないが、住宅街のど真ん中で鼻血を盛大にぶちまけた。
「ムッツリーニくん!?」
「………貴様、俺を殺す気か?」
「何の話!? それよりも大丈夫なのその出血量!」
応急処置で止血しようと試みるも、量が量だけに止まらない。普通だと救急車レベルだが、慣れというものは怖い。すぐにムッツリーニは立ち上がった。
「………心配するな」
「いや、そうは言われても今日2回目だから…」
「工藤よ、心配するでない」
「弟くん?」
2人の目の前に現れたのは秀吉だった。
「何せここはワシらの家の前じゃからな。工藤の悲鳴が家まで届いておった」
「そうなんだ~でも心配するなというのは?」
「ムッツリーニはいつもこうじゃから」
「いつもってそれ病院にお世話になるべきなんじゃ…?」
本来、自由奔放な性格で周りを振り回している愛子だったが、今回ばかりは正論で突っ込まざるを得ない状況に追い込まれていた。
「まあよい。とにかくあがるのじゃ」
「………秀吉、2人は見つけることが出来なかった」
「ごめんね。全然いなくて…」
「そのことじゃな。詳しく家で話そうではないか」
秀吉が先導して、木下宅に入っていった。
大事なとこをカットしていくスタイル。
書いたところでありきたりなシチュエーションしか思いつかなかったからいいだろうと思って省いた。
さて、大きく遊園地回は次の話までかな。
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