バカとオレと彼女たちR   作:いくや

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 ネタばらし回。

 では、どうぞ♪





第23問

 

『ムッツリーニくん!? ー それよりも大丈夫なのこの出血量!』

 昨夜からずっと優子手作りの卵焼きばっかり食って、疲れてテレビを見ながら休んでいたところにこんな悲鳴が聞こえてきた。

 

「悲鳴!?」

「様子を見に行かないと!」

「落ち着くのじゃお主ら」

「「でも」」

 外から出血多量で倒れている人を見つけてびっくりしたような悲鳴が聞こえてきたのに、落ち着けとはどういった了見だ。

 

「あれは、工藤の悲鳴じゃ」

「愛子?」

「うむ。血を出しているのはムッツリーニじゃな」

「土屋?」

 なんだその組み合わせ? というか知り合いが大量出血しているだろうに何でこんなに落ち着いていられるんだよ。

 

「ムッツリーニは、みなが初めて見たら驚くくらいの鼻血を出すのじゃが、それが日常な故、ワシらはこうやってのんびり構えておるのじゃ」

「そうは言っても ー 」

「本当にダメなときでも輸血パックを持ち歩いておるからそこまで心配する必要はないぞい」

「「一市民が輸血パックを持ち歩く状況って!?」」

 さっきから驚くときの反応が優子と丸被りなんだけど、そんなことはどうでもいいくらい土屋の状況が心配だぞ?

 

「2人をリビングに入れるからの」

「そういうことは早めに言いなさいよ!!」

「おや、人に見せられぬ何か ー 」

「秀吉? それ以上言ったら」

「すまぬ。と言うわけじゃ。迎えに行ってくるでの」

 そういうとそそくさとリビングを飛び出し、土屋と工藤を迎えに行った。

 

「隠し事があることをそんなに隠さなくてもいいだろ」

 秀吉がいなくなって優子と2人きりになったリビングで会話を切り出した。さっきの会話で気になった部分だ。優子は何かオレらには見せられない隠し事をしている。だが、別に人の隠し事に興味はない。

 

「どういう意味よ!」

「隠し事あるって言えば終わりってことだ」

「何それ、気になって追及してくるでしょ」

「誰にだって隠し事はあるだろ。オレもある。みんなが思っている以上にな」

 秘密を全く持たないで生きていくのは不可能だろう。それを無理やり人に見せねばならない状況ってなんだよ。

 

「そうなの?」

「ああ。オレは追及しないな。自分がされたくないから」

「そこまで言われると無性にアンタの秘密が知りたくなったわ」

「それは勘弁してくれ。親ですら知らない秘密なんてゴロゴロあるからな」

 おそらく素のオレってのが自分でわからないくらい分厚い仮面かぶっているからな。

 

「そう…少し安心したわ」

「隠し事がいけないことだなんて思わないし、他人にもそういう感じで接する」

「昔から思ってたんだけど、普通の人とちょっと感覚ずれてるわよね」

「いいんじゃね? 別に」

 人間てのはそんなもんでしょ。何でマジョリティが作ってくれた道を歩まないといけないわけ。だからと言って好き好んで何でもかんでもマイノリティを選ぶってわけじゃないよ。自分の意見ってのを持っているだけで。

 

『お邪魔しま~す』

「愛子たちがやってきたようね。突然何の用なのかしら?」

「2人の組み合わせがまた驚く」

 何をしてたんだ? それに工藤は秀吉の友だちというよりは優子の友だちだよな。何で家に来ることを優子が知らないんだよ。

 

「お~優子の家ってこんな感じになっているんだ ー って優子!?」

「………それに岡田もいる。これはどういうことだ?」

「まあ、お主ら座るのじゃ」

 何でオレらの顔を見てびっくりされたんだ? 工藤の驚き方を見る限り、優子が家にいることも想像してなかったようだな。いったい何を…?

 

「愛子、土屋くんと何をやっていたの?」

「何って、優子たちこそ今日何してたの?」

「家にずっといたわよ」

「「はい??」」

 本当のことを言ったはずなのに、工藤と土屋が声をそろえて聞き返した。なんだどうした。話が噛み合ってないぞ。何か秀吉が一枚かんでいるんだな。

 

「えっと、今日2人は遊園地に行っていたわけでは ー 」

「ゆ、遊園地は昨日行ってきたけどなぜそのことを知っているわけ?」

「昨日!? 弟くん? どういうことか説明してもらえるかな?」

「秀吉、アンタ愛子たちにも何か仕掛けたのね?」

 おい秀吉。やけに今回手が込んだことしているじゃないか。それに最後までバレないその演技力。よくよく考えてみると穴があったところはあったけど、オレらがそこをつくことが出来なかったこともあり、見破れなかった。シナリオを考える人が上手い人が秀吉に何かを演じさせると、これ以上ないくらい普通に信じてしまいそうだ。

 

「そうじゃな。姉上と勇樹、工藤とムッツリーニがそれぞれ仲良くなってもらうためにワシと明久が考えた作戦じゃ。姉上と勇樹はそれほどハードルは高くないじゃろうから、行くお膳立てだけしたら後は大丈夫じゃろうと思ったが、工藤たちじゃな。普通にしても恥ずかしがって行ってくれぬと思うたゆえ、このようにしたのじゃ。姉上たちが土曜日に行くと言っておったから、わざとそれに被らないようにして2人を日曜日にセッティングさせ、ペアチケットで楽しんできてもらったのじゃな。我ながらうまくいった作戦じゃと思うておるぞい」

 

 長々と語った秀吉だったが、ところどころ穴が多い。第三者の目から見てみないと気づかないものだな。当事者になると穴だらけのシナリオでもいかにも秀吉の演技でコロっとやられてしまう。

 

「そうだったのか~やられた~」

「………工藤、その顔は気づいていたな」

「途中からね…2時間くらい探しても見当たらなかったからこれはと思ったね」

「遊園地の中に入りさえすれば、後は工藤が楽しむ故大丈夫じゃろうと思うておった」

 2人の様子を見る限りどうやら成功したようだな。まんまと秀吉と吉井の作戦に引っかかった4人。優子に関しては怒りを抑えているのがわかるが流石に抑えているようだった。

 

「………秀吉、俺をどうする気だ」

「異端審問会のことかの。気にするでない。ワシからは何も言わぬ」

「………からはって」

「あやつらは異常にハナがいいからのう。勇樹も気を付けておかねばならぬな」

 何の話だ…異端審問会ってなんだよ。あまり聞き慣れない言葉だが?

 

「それに明久のことじゃ、うっかりがあるかもしれぬ」

「………殺されたくないぞ」

「殺されるって物騒だな。何の話か教えてくれよ。それオレも入ってんのか?」

 こえーじゃねえかよ。殺される動機わからんのに殺されるんだぞ。

 

「Fクラスの男子ほとんどで結成している”FFF団”なるものがあるのじゃが」

「FFF団?」

「うむ。いわゆる『リア充爆発しろ』を実行する集団じゃな」

「恐ろしい」

 ああいうのは口だけじゃねえのか。ある意味すげえぞ実際に行動するやつがおるとは。

 

「そんなに凶暴な集団がFクラスにはいるんだ」

「………主に吉井を筆頭に坂本と2人、既に被害者になっている」

「何その危ない組織、Aクラスとして見逃すわけにはいかないわね」

「姉上、下手な口出しはやめておいたほうがよいぞい。あやつらFFF団の時はFクラスの人員とは思えぬほどの行動力・団結力(以下略)を持ち、数段パワーアップするからの」

「アタシたちはAクラスよ、負けはしないわ」

「お主らじゃから伝えておく。FFF団の話は異次元の話じゃ。ワシらの常識で語られる話ではない」

 あのクラスメイト達そんなに常識外れな人間たちだったのかよ。

 

「わかったわ。でも、あまり治安が悪くなるようだったら看過できないから」

「出来るだけ暴走は抑えているんじゃが…」

「何か心配事?」

「………リア充を見つけると見境なく私刑を下す」

 あいつら何をやっているんだ。実際どんな感じなのか見てみらんことには判別できんが、話聞く限りアホなことしてるぞ。

 

「この話はここでしまいじゃ。自己防衛を怠るなということで終わりじゃ」

「………だな」

「了解」

「なんか不安になっちゃったよ…」

「あ、そうだ! 愛子、土屋くん。卵焼き作りすぎたから食べて行ってくれないかしら」

 こちらにも被害者が増えたようです。オレと秀吉はもういっとき卵焼きはいいです。

 

「卵焼き? いいよ! どうしたのそれ?」

「昨日、勇樹にバカにされたから、練習してやろうと思って」

「岡田くん、何を言ったわけ?」

「えと、いや、普通のことを言ったんだが…」

 まずいな…これはなんか説教が来る予感がする。そう覚悟していたんだが、既に工藤の興味はオレの話から昨日の話を優子から聞き出そうということに移っていた。

 その後も、優子が昨日のことを工藤にお話するという形で軽い卵焼きパーティーは時間が過ぎて行った。何でオレらまた食っているんだろうな…

 

 





 そういう無粋なところに突っ込むなとは言われそうだが…鼻血の量…FFF団の存在…
 まあいいや。うまく付き合っていきますけども。

 さて、予定としてはこの後1話閑話を挟んで大きい話に入ろうかなと。

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