ちょっと今までの話も章で区切ってみました。
では、どうぞ♪
第25問
「なんでこんなに教室ががらんとしているんだ」
HRに来れない担任の福原先生に代わり、伝言を授かって教室に帰ってきたのはいいが…どうして秀吉と女子2人しかいないんだ。
「野球じゃよ」
「は?」
「運動場を見てみるのじゃ」
秀吉に促されて窓から運動場のほうを見ると、確かに見覚えのあるやつが遠目からでもわかる。野球しているな。今休み時間だっけ。思わず時計見て確認したじゃねえか。
「なにやってんだ」
「さあね~ところで岡田は今までどこに行ってたわけ?」
「職員室に用があって行ったら今度は福原先生に捕まっててな」
歳だからかな。なかなかこの教室には現れないんだよなあ。ホントに担任はこれでいいのかな。
「HRには福原先生はいらっしゃらないのですか?」
「ああ。自分たちで勝手に決めろと」
「勝手に?」
「清涼祭のことだよ」
清涼祭ってのは文月学園で行われる文化祭のことで、珍しく春にあっている。秋にすると体育祭と被り、2学期が行事で忙しくなるなどの都合で、体育祭を春にずらすのはよく聞く話だが、ここは逆。なんでだろうな。
「清涼祭のクラスの出し物の件なんだが…4人で決めるか」
「あやつらはどうするのじゃ」
「その場にいないので決定権はなしということで」
「それは可哀そうすぎじゃないかしら」
じゃあ、あいつらが野球しに行くの止めておきなさいよ……
「呼びに行きましょうか?」
「あー姫路、わざわざそんなことをする必要はない」
「じゃが、話し合いにならぬであろう」
「仕方ねえ。呼びに行くか」
と教室を出ようとしたら、運動場のほうから大音声が聞こえてきた。
「今のって」
「西村先生ですね」
「じゃな」
「そろそろ戻ってくるわね」
みんな安心安全!?西村先生に敵う者はいないでしょう。
☆
「おい坂本、清涼祭のクラスの出し物を決めろって福原先生が」
「めんどくせえな~岡田代わりに仕切ってくれ」
「おおかた自分が面倒くさいと思うものは他人も面倒くさいからな」
押し付けるな。この特殊なクラスで話し合いをさせる技量なぞ持ち合わせてねえよお前以外には。
「んじゃ、クラスの総意があれば仕切ってくれるよな」
「どういうことだ」
「まあ見てな」
そういうと気だるそうに教室の前に立ち、少々ざわついているのにもかかわらず話を進めた。
「あーお前ら。清涼祭の季節だが、その出し物を決めねばならん」
『デートしたい』
「お前らの個人的欲求はひとまずおいておくとして」
『坂本は霧島という彼女がいるから余裕なんだろ。総員狙え!』
須川だったか、そいつの掛け声一つでクラスのほとんどが坂本に襲い掛かった。
「な、何があってるんだ」
「これがFFF団の活動じゃ。気を付けておくのじゃぞ」
いや待て待て。気を付けるも何も…言いがかりじゃなかったか今? そういえば秀吉と土屋がこの前言っていたな。リア充を見つけるとすぐに襲い掛かると…ここは治外法権なのか。
『お前ら静まらんか!!』
先ほどの大音声と同じ声色を持つ方がこの2-Fの教室にも現れた。その名も鉄人こと西村宗一。
「ったく野球をしていたかと思うと今度は乱闘か」
返す言葉もございません。私共は苦笑いをするしかなかった。
「清涼祭のクラスの出し物を決めろと言われていたのではなかったか」
「今からその話し合いをしようとしたんだが…」
「乱闘でか」
なるほど。実力行使。勝ったもののいうことを聞くという帝国主義の世の中なのかこのFクラスは。
「そんなわけねえ」
「それならば早く話し合いを始めるんだな」
そういうと教室から出て行った。出来れば治安維持のために話し合いが終わるまでは教室にいてほしいんだけどなあ。
「あー話し合いに際して、実行委員長を決めたいと思う」
「坂本が仕切らないのか」
「毎度毎度俺が仕切るのも疲れるんだよ。俺以外だと ー 岡田に任せるがいいだろう」
『いいんじゃね』
かっる!! というか有無を言わせずオレに押し付けやがったな。全員の視線がオレに向きだしたじゃん。教室の前に出ざるをえねえ状況。しゃーねーさっさと終わらせようぜ。
「あー、何がいいよ。到底無理な意見言ってもすぐに却下するから、バンバン言ってくれ」
チョークを片手に持ち全員に話しかける。あきらかにだるそうな感じだ。学生のイベントごとって結構こういうところあるよな。かったるいみたいな。全力で取り組むことはない。だがな、時間を無駄に浪費はしたくないんだよ。ちゃっちゃと終わらせようぜ。
「俺らで出し物か~」
「女の子にモテたい!」
「それじゃあ女の子を呼べるような店じゃないとな!」
「何がある何がある?」
女の子のワードが出るだけで元気になりすぎだろ。興奮しすぎとでもいおうか。お前ら野生児か。
「そうだ。言うの忘れていたが各クラス予算が振り分けられているが、もちろんFクラスは雀の涙ほどのものだから、自分たちで調達できるレベルだからな」
ウェディングドレスがどうのこうのっていう言葉が聞こえてきたから先に釘を打っておく。
「ムッツリーニの写真を集めて写真展するっていうのはどうだ!」
「それならば人集まるかもしれないな!」
「嫌な予感しかしないんだけど…?」
島田の表情が一変した。なんだそんな写真を撮るのかあいつは。秀吉も苦笑いをするな。
「お、もう一つ言うの忘れていた。売上で利益が出るとその分をクラスの設備向上に充てていいそうだ」
『おおおおお!!!』
『これでFクラスにいながらAクラス並みの設備が!』
それは無理です。そもそも教室の広さが6分の1くらいだろ。学園祭の出し物でそこまでの利益を獲得することが出来たらもうオレら会社立ち上げようぜってなるぞ。
「ちょっといいか。中華喫茶というのはどうだろう」
「何をするんだ」
「本格的なウーロン茶と簡単な飲茶を出す。そもそも ー 」
須川ってこんなにしゃべるやつだったっけ…? 中華喫茶について延々としゃべられたんだけどあまり頭に入ってこなかったな。まあその中華喫茶にかける情熱は買う。
「中華喫茶の他に何かあるか?」
「お化け屋敷!」
あー雰囲気はあるなこのクラス。もっとも教室の味を出せるんじゃねえかと思うけども…
「お化け屋敷ってリア充の巣窟だよな…」
こいつらがどんな問題起こすかわからないから却下で。
「他には」
「どれもこれもコスト不足じゃねえか」
「Fクラスの定めと思え。その中でうまくやりくりをして成功したら設備向上だぞ」
みんながう~んと悩みだした。普通の教室くらいならばもう少し幅は出るのだろうけれども…この小屋みたいなところで何かしようと思っても結構難しいものだな。
「このままじゃ中華喫茶になってしまうんだが…須川、コスト的には」
「お手軽価格で」
「その値段は」
「良心的価格」
具体的な数字を言えっつうの!!
「そこまで自信があるならば中華でいいんじゃねえか」
「ああ。他にアイディアも思いつかん」
「さんせーい」
ちらほらとこういった声がクラス中から出始めた。いい傾向じゃねえか。
「んならこれでいいか。異論は今のうち。姫路と島田、何もしゃべってないがいいのか」
「え、あ、はい。私ですが。いいと思いますよ」
「ウチも特に異論はないかな」
「そうか。それならば中華喫茶で決めてもいいな」
全員が承諾したところでこの話し合いは終わりを告げた。疲れた。非常に疲れた。寝ていた坂本をうらやましく思うぞ。人に仕事押し付けて…
評価+コメントをしてくださった方ありがとうございます。
非常に身になる話をありがとうございます!
今後改善していく所存にございます。
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