バカとオレと彼女たちR   作:いくや

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 ちびっこ登場!

 では、どうぞ♪





第31問

 

「………ただいま」

「お疲れ様土屋。遅かったな」

 がらんとしたFクラスに姿を見せる土屋。お客さんが誰もいないため、自然と全員の目が土屋のほうに。因みに須川ら他の連中は一斉に休憩に入ってもらった。今しか休むチャンスがないだろうからな。

 

「ん? その後ろの子は?」

「まさかムッツリーニとうとういたいけな女の子にまで!」

「今ならばまだ間に合うぞい」

 よく見えないけれど土屋が小さい子を連れてきたみたいだ。どこかで出会ったのだろうか。

 

「………失敬な」

「葉月はバカなおにいちゃんを探しに来たです!」

「え、葉月!? どうしてここに?」

「お姉ちゃん! 来ちゃったですよ!」

 土屋の妹ではなかったが島田の妹だったらしい。……島田葉月? 人垣で距離が出来てあんまり見えないけれども、同姓同名でしかもこんな似た声をする人なんてそうそういないから、オレが知っている島田葉月と同一人物。坂本の後ろから背伸びして顔を確認する。うん、葉月ちゃんだね。

 

「あーバカなお兄ちゃんです!」

 葉月ちゃんは、吉井を見つけるとそちらの方に駈けて行った。あんたも知り合いなのか、バカなおにいちゃん(笑)

 

「え、えーっと僕?」

「そうです! バカなおにいちゃん!」

「アキどうして葉月を知っているのかしら?」

「ちょっと落ち着いて島田さん。僕何も ー 」

「忘れちゃったんですか? 葉月のファーストキスをあげたというのに ー 」

 爆弾発言。空気が一気に凍り付いた。と思ったらすぐに燃え上がるような空気が。この熱の源は島田と姫路か。

 

「どういうことかしら。こんなに小さな子に手を出して」

「説明してもらいますよ吉井くん」

「誤解だ誤解!! まずは話を聞いてよ」

「あ、ぬいぐるみのキレイなお姉ちゃん、こんにちはです」

「えと、あ、私。はい、こんにちは。毎晩ぬいぐるみと一緒に寝てますか?」

「はいです!」

 どうやら姫路も以前に会ったことがあるらしかった。何が何だか…坂本と秀吉は様子を見るほかなかった。因みに土屋はというとカメラを持って既に写真撮影始めちゃってるよ。

 

「ぬいぐるみ、お姉ちゃん…あ! 思い出した! あのぬいぐるみの子か!」

「ぬいぐるみの子じゃありません。葉月です!」

「葉月ちゃんか~よくここの学校ってわかったね?」

「この制服を着ていたから覚えていたです!」

 愛するバカなおにいちゃん(笑)を探していたんだな。小学生にまでバカっていわれるって……笑いがこみあげてしまって…

 

「あー岡田先生!!」

 オレを見つけると葉月ちゃんは話しかけてきた。それと同時にみんなの目線が刺さるように痛い。

 

「やあ葉月ちゃん。おはよう」

「おはようです! 岡田先生も高校生だったんですか!」

「そうだよ~ちょっとみんな怪訝な顔で見ないで」

「岡田、まさかあんたも葉月に手を ー 」

 島田が暴走寸前。それにみんなもそれに同調するような顔をするな。

 

「先生と生徒だなんて特別な ー 」

「妄想の世界から帰ってこいアホ」

「じゃあ説明してもらうわよ」

「といいつつ指をポキポキ鳴らしながらやって来る時点で聞く耳持ってないよね」

 暴力反対。さっさと説明終わらせよう。

 

「お姉ちゃん、岡田先生は先生です!」

「え? それはわかったけどどういう意味?」

「塾の先生です!」

「そういうことね」

 そういうことです。落ち着いてくださって何よりです。

 

「先生、大人だと思ってましたです!」

「高校生だよ~」

 老けてなんかいない。

 

「高校生で塾のバイトとか出来んのかよ」

「普通は出来ねえな」

「普通は?」

「もともとオレもそこに通ってたからな」

「OBが現役をしごきに来るっていう感じだな」

 随分と雰囲気は違うが間違ってはいない。ただお金はちゃんともらっている。

 

「しかしアンタも災難ね。せっかくコネでバイト出来たのに ー 」

「あーまあ塾長が元気に復活してくれればそれでいいよ。特に高校でバイトする予定はなかったし」

 今年の3月に突然病に倒れたから塾はたたんだ。あの塾長1人でもっているようなものだったからな。他の先生もオレだけだし。オレが全員引き継ぐっていうのは実力的にも制度的にも無理だ。だから葉月ちゃんをはじめ生徒たちには非常に申し訳ないが辞めてもらった。というのを思い返してたけど今はとても関係ないよね。

 

「葉月ちゃん、今は楽しい?」

「楽しいです! お友達もたくさん出来たです!」

「そりゃよかった」

 よくよく考えてみると島田とも何回か会ったことあるはずなんだよな。塾の迎えとか来ていたから。覚えてないって…相変わらず人を覚えるのには時間がかかること。

 

「それより、ここはお客さん少ないですね」

「あーそうだね、いろいろと ー 」

「葉月、ここに来る前に変なお話いっぱい聞いたよ」

「ん?どんな話だ」

 坂本がしゃがんで目線を合わせて話を聞きだす。何か大事なことかもしれない。

 

「中華喫茶は汚いところだから行かないほうがいいって」

 葉月ちゃんの言葉を聞いた瞬間、全員の考えが一致した。

 

『あいつらの仕業だな』

「常夏コンビもやってくれるね」

「誰だよそれ」

「常村と夏川でしょ」

 それで常夏コンビか。いいネーミングセンスしてるじゃん。言いやすいし。常夏コンビ。まだ春だから登場には早かったんじゃないですかね。

 

「バカなおにいちゃん遊ぶです!」

「ごめんね~葉月ちゃん。僕どうしてもこの中華喫茶を成功させたいから、しなくちゃいけないことがあるんだよ~」

「せっかく来たのに残念です」

「ごめんね~」

 葉月ちゃんも姉の友人がバカなおにいちゃんだとわかったからには、今までみたいに探さなくても遊ぶ機会はあるんじゃないかな。

 

「それよりもさっきの話 ー 」

 オレの話を遮って坂本が継いだ。

 

「それってどこで聞いたかな?」

 坂本がらしくない口調で葉月ちゃんに向かってしゃべる。ぶっきらぼうに対応するのかと思いきや…子どもの対応慣れているな~見た目に似合わず子ども好きなのかもしれない。

 

「きれいなお姉ちゃんがいっぱいいるところです!」

「明久、それはどうしても行かなければならないな」

「そうだね。絶対に行かなければならないね!」

「最低」

「ひどいです吉井君」

「お兄ちゃんのバカ!」

 罵倒にも屈しない坂本と吉井。きれいなお姉ちゃんの効果はすごいな。気にならんでもないが。そして土屋こっそりカメラの準備を始めるんじゃない。

 

「葉月、その場所に案内してもらえる?」

「わかったです!」

「私も行きます」

「勇樹、お主も行ってきてよいぞい。店はワシだけで十分じゃ」

「でも ー 」

「心配はいらぬ。須川もそろそろ帰ってくるじゃろう」

 別にきれいなお姉ちゃんにつられたわけじゃないぞ。気になったから行きたかっただけだ。

 

「じゃあ頼んでもいいかな」

「任せるのじゃ」

「じゃあ行こうか」

「………楽しみ」

 お前は別の意味で犯罪になる。それにしても…きれいなお姉ちゃんねえ。

 

 





 経験談を混ぜていくスタイル。
 葉月と勇樹の間にも何か少しつながりがあったほうが面白いかなと考えた結果、こうなりました。
 キレイに自分の経験談入れれるじゃんと思い、あの部分だけはノンフィクション(笑)
 
 この伏線!?が後々使われるかは知らない。
 ただ、薄いかもしれないけど関係があったことだけにはしたかっただけだから。


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