バカとオレと彼女たちR   作:いくや

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 清涼祭話の第一の山場。

 結構オリジナル改変しました。

 あのキャラも出てきますよ!

 では、どうぞ♪





第37問

 

「いらっしゃいませ」

 何回か来たお客さんの波がひいた頃だった、珍しい客が目の前にいた。

 

「岡田くん」

「久保…?」

 我が学年の次席、2-Aの久保利光だった。去年は同じクラスでたまに話していたが、わざわざオレと話したいがためにクラスを超えてやって来るような仲ではなかった。

 

「今、少し時間あるかい?」

「いいけど、何か深刻な顔をしているな」

 だからと言って相談を受ける仲でもなかった。いわゆるクラスメイトくらいの存在だった。

 

「ああ。あまり人に聞かれたくない話なんだが」

「……須川、これ持っていくぞ」

 既に準備されていた胡麻団子とウーロン茶を持って、教室の端っこの席に着いた。久保もそれにならって正面に座る。

 

「久保がオレに相談とは珍しいな」

「あ、ああ…」

「まずは食え。サービスだ。霧島たちには世話になったからな」

「ありがとう。…その代表たちの話なんだが」

 胡麻団子を1つ口に持っていき食べる。久保も同じようにした後、こう発言した。

 

「シフトの時間になっても帰ってこないのだが、心当たりはあるか?」

「なに? 霧島と誰が」

「代表と木下さんと工藤さんの3人なのだが」

「あの3人がシフトの時間を忘れているなんてことは考えにくいな」

 どうした。何があったんだ…? ウーロン茶を飲みながら考える。

 

「電話してみたのか?」

「ダメだ。3人とも出なかった」

「それでどうしてオレのもとに?」

「昼間、何か約束事をしていたようだから、それが今の時間なのかと思ったのだが…」

 確かに約束事をしていたが……時間は決めてなかったし、暇があったらと言ってたから、シフトが入っている時間に来るということもあるまい。

 

「Aクラスの状況は」

「急遽シフトを交代してもらったりして対応しているよ」

「そういえば召喚大会に行っているとかではないのか」

「もう彼女たちの出番は終わっていた。そちらのクラスの坂本君と吉井君のペアに負けてね」

 そんな戦いがあったのか。それにあの2人勝ったのかよ。見に行きたかったな。どんな試合だったんだ。

 

「勇樹はおるのかの!」

 突然ドアが開いて、秀吉が駆け込んできた。

 

「いるぞ~ここだ」

 オレの姿を見つけるとすぐにこちらに駈けよってきた。あのポーカーフェイスが売りの秀吉の顔に異変が…何かあったのか。

 

「む、久保かの」

「どうも。急用なら話しても構いませんよ」

「お言葉に…はぁはぁ…甘えるのじゃ…はぁ…勇樹よ」

「なんだ。落ち着け。まずは息を整えるんだ」

 息を切らすところもあまり見たことがないんだけれども…よっぽどのことがあったんだな。

 

「さらわれたのじゃ」

「は?」

 突然の言葉に脳がついてこなかった。秀吉はようやく息が整うとしっかりとした口調でこう告げた。

 

「姫路と島田と島田の妹がさらわれたのじゃ」

「それは確証があるんだな」

「うむ。既に雄二と明久とムッツリーニが向かっておる。ワシは雄二から勇樹に伝言を頼まれたでの」

「その伝言は」

「こちらは俺たちに任せろ。ただ一つ気がかりなことがある」

 任せろってったって相手誘拐犯だろう。オレたちだけでどうにかなる問題なのか。

 

「どうも俺の予想通り行き過ぎる」

「あいつは何を予測しているんだよ」

 クラスメイトやその妹が誘拐されることも予測していたって言うのか。普通じゃありえないぞ。オレの知らない何かをつかんでやがるな。オレには伝えられないことなのか。

 

「何かそちらで起きるかもしれないから頼む。だそうじゃ」

「坂本くんはいったい何者なんだい」

 久保の指摘はごもっとも。ただ、少しくらいオレらにも真実のかけらを教えてくれてもいいじゃないか。こういったごまかしだと対策の練りようがないぞ。

 

「お姉さま~!! 美春がやってきましたよ~!!」

「よし ー いやアキちゃんはいるの?」

 闖入者。客にしては騒ぎすぎだろ…誰なんだ?

 

「って、あれ? お店にはこれだけですか」

「いらっしゃいませ。どなたかお探しですか?」

「豚野郎は近寄らないでくれます!?」

「み、美春ちゃん…」

 須川が精神的にノックアウト。他に誰も対応できそうな人がいないので、オレが行くしかないか。

 

「秀吉、久保、少し待っててくれ」

 2人を待たせて、誰かを探しているお客さんのところへ向かう。

 

「お姉さまはいらっしゃらないんですか?」

「アキちゃ~ん!」

「失礼ですが、どなたを探していらっしゃるのですか、私の店員でございましょうか」

 さっき豚野郎と言ったほうじゃないほうに話しかけてみた。人間はこうやって成長するものだ。

 

「アキちゃんっていないの?」

「…申し訳ありませんが、フルネームをお伺いしても」

「アキちゃんはアキちゃんよ! メイド服が似合ってたわ~」

「お姉さまは美波お姉さましかいませんわ!!」

 おーけーわかったことがいくつかある。一つ。アキちゃん+メイド服=吉井明久に間違いないということ。一つ。島田の妹はこの学校にもいたのかということ。

 

「あ、あそこには優子ちゃんの弟君!!」

 そういうと秀吉のほうに向かって走っていった。優子と知り合いか?

 

「ちょっと美紀、待ちなさいよ!」

「あ、お客様!」

 常夏並に面倒くせえお客さんだな……

 

「お主は、姉上の友人の玉野じゃったか」

「はい、玉野美紀です! ちょっと弟君、これ着てくれない?」

「な、何を言うのじゃ、それはメイド服ではないか」

「いいからいいから! アキちゃんもいいけど弟君もいいよね~」

 隣で見ている久保君もオレも完全に入っていけない雰囲気だ。秀吉、対処は任せた。

 

「落ち着くのじゃ。今ワシらにはそんな暇はないのじゃ!」

 怒ることなんて滅多にない秀吉だったが、珍しく感情をあらわにした。

 

「弟君?」

「勇樹よ、こんなことをしている場合かの」

「あ、ああ。そうだな…」

「何かあったわけ?」

 美春、と呼ばれていた方がオレらの会話の中身が気になったのか、突っ込んで聞いてきた。

 

「岡田くん、電話が鳴っているよ」

「ん、ホントだ。失礼、ちょっと待っててくれ」

 会話を一時切り上げ、電話に出る。ディスプレイ先に表示された名前は坂本雄二。今一番話を聞きたい相手だった。

 

「もしもし」

『秀吉から話を聞いてるか』

「ある程度は」

『ムッツリーニが仕掛けていた発信機を元に誘拐犯を追っていたんだが…やつらこちらにムッツリーニがいることを知っていたのか逆手にとってきやがった。ダミーにその発信機がついたバッグを持たせて自分たちは姿をくらましやがった!』

 これが坂本が言っていたうまく行き過ぎている直感か。

 

「何か手がかりは」

『こちらにはそんな余裕がない。そっちはないのか』

「……手がかりというか、優子と霧島と工藤も行方不明らしい」

『なんだと? あいつらそっちまで巻き込みやがったのか』

「いい加減ネタをばらしてくれねえか。オレも急展開過ぎて予想がたてられん」

『それは終わった後だ』

 この野郎…今そんな場合じゃないのに、そんなに固く口止めというか言えない事情があるのかよ。

 

「優子ちゃんたちなら、どのくらい前だったかな? 先輩たちに連れられて体育館のほうに行ってたよ? ね、美春ちゃん」

「そうね。学年主席とあと1人緑色の髪をした人も一緒だったわね」

 会話が少し聞こえてきたのか、オレらの会話に関することをつぶやいた。ただの迷惑な客かと思いきや、今ここでとても欲しい情報をさらっと言ってくれた。

 

「坂本聞こえたか」

『ああ、体育館だな。……何? ムッツリーニそれはホントか』

「どうした」

『どうも姫路たちも体育館にいるらしい。盗聴器で6人が同じ場所にいる音声を拾ったそうだ』

 何者なんだ土屋康太。犯罪だぞというツッコミは今は置いておくとして、誘拐犯の場所がわかった。

 

『俺らもすぐに体育館に向かう』

「了解」

 すぐに電話を切ると、準備に取り掛かる。

 

「秀吉、久保、6人は同じ場所だそうだ」

「そうとわかればワシらも」

「警察に連絡はしなくていいのかい?」

「坂本があそこまで口を閉ざしているのだ。警察を通さないほうがいいということだろう」

「…わかった。僕もお供させてもらおう」

 所詮、学校内部でのこと。誘拐という行為は卑劣だが先輩がやっているとわかれば、場所さえ突き止めさえすればそんな荒っぽいことは出来ないだろう。そう思いたいが…わざわざ誘拐までする人たちだ…何を考えているかわかったものじゃない。教師にくらいは話を通しておくべきなのだろうが、そのせいで坂本が考えていることがおじゃんになっても困る…今はあいつの策に乗ってやるか。

 

「警察って…優子ちゃんたちがどうしたの?」

「いや、2人には何でもない…情報ありがとうな」

「ちょっと、それはあまりにひどくありませんか、美春たちだって話は気になります」

「清水よ、すまぬが ー 」

 美春という人の苗字は清水というのか……お姉さま…島田美波…一体どういうことだ? 今はここに突っ込まないでおこう。この一連の事件が終わった後でもいいだろう。

 

「木下君は黙っててください。警察が関わらなければならないというのは何かあったんですよね。お姉さまもそれに関わっているんですよね。それならば美春たちにも何があったのか教えなさい!」

 本気でキレられた。あまり他の人にはバラしたくはない内容なんだけどなあ。2人とも目が真剣だし…といっても誘拐犯のところに直接乗り込もうとする段階で、2人に被害が及んでも…

 

「そんなに聞きたいなら教えてもいいが、命の覚悟はできているのか?」

 オレが問えるのはそれが精いっぱいだ。興味本位で首を突っ込まれても困る。

 

「お姉さまのためなら」

「私は美春ちゃんについていきますよ」

 動機が不純? それでも結構。清水美春と玉野美紀(であっているかな…?)は覚悟を見せた。目がそう語っている。ならばオレが拒否する理由も見当たらない。

 

「じゃあついてこい」

「いいのかの本当に」

「危険じゃないかい?」

「覚悟した人間をどうして止めることが出来るだろうか」

 ここから先は誘拐犯との戦い、すなわち戦場へと赴くのだ。覚悟がない人間は引っ込んで、覚悟のある人間だけがその場所に赴く。ただそれだけのこと。

 

「須川、店は任せたぞ。説明は体育館へ走りながらだ。行くぞ」

 未だに清水の精神攻撃を食らって倒れたままだった須川に一言残して、すぐさま教室を飛び出した。待ってろよ誘拐犯…

 

 

 

 





 久保・清水・玉野といった、サブメンバーが登場~
 この3人は今後この話を書いていくうえで一つのカギとなる人物だと思います。

 これ以降もおそらく登場機会はあるのでは?

 さて、人質回。
 原作では、簡単に?居場所を突き止めてぼこったんですが、そうはいかなかった。ムッツリーニを信頼していたからこそ起きてしまったミス、どう挽回していくのか。

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