バカとオレと彼女たちR   作:いくや

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 さて妄想妄想。

 では、どうぞ♪





第38問

 

「お姉さまが誘拐!? こうしちゃおれません! 美春が助けますから!!」

「待って美春ちゃん!?」

 道中、簡単に説明していたら、清水が突撃していった。学園祭があっている人混みの中、人の間をすり抜けてものすごいスピードで走っていった。それについていく玉野も超人なのかよ。オレらは人混みに飲まれてしまって先を越されてしまったんですけど…

 

「あやつら、もしやそのまま乗り込む気では!?」

「なんだって!? それは危険すぎる」

「ああ、正直ミスったと思っている」

 ギリギリで伝えればよかったと。これじゃ、あの2人が先に体育館に着いてしまって後先考えずに暴走するかもしれない。

 

「オレらも出来るだけ急ぐしかない」

 状況を知らない他のクラスの生徒が執拗に売り込みにやってくるが、ごめんけど今はそんな余裕ないから。全てを無下に断って急いだ。

 

 人混みをかき分け、学園祭の表舞台とはかけ離れたところにある体育館に近づいてきた頃、あちらの方から声が聞こえてきた。

 

『お姉さま無事ですか!!!』

『んん!?んんん!?』

『この美春が助けにやって参りました!!』

『優子ちゃんも大丈夫ですか?』

『んんんんん!?』

『何をなめたことを…この小娘2人が』

『小娘だと言ってバカにしないことですね、この豚野郎!』

『こいつ武器持ってやがるぞ! フォークだ!!』

『フォーク? スパゲッティでも食いに来たのか』

『たかがフォークといえども、投擲技術を磨けば立派な武器ですよ』

『あぶねえぞこの小娘! おい、お前ら、この娘たちがどうなってもいいのか?』

『お姉さま!?』

『優子ちゃん!?』

『今だ!取り押さえろ!』

『何をするのです離しなさい! 豚野郎が美春に触るなど汚らわしい』

『や、やめ!!』

『確保した。たかが2人に乗り込もうとはな。頭に血が上った小娘がやりそうなことだ』

 体育館の入り口に着く頃にはどうやら2人は捕えられてしまったらしい。完全にオレのミスだ…しかも捕まった後の声がはっきり聞こえないことからおそらく口をふさがれたのだろう。くっ……情けねえ。

 

「どうするのじゃ」

「このまま僕たちが突っ込んでも、おそらく彼女たちのようなことになるだろうね」

「ああ。人質を武器にとられているのは大きいな。あの様子だとおそらく人質を傷つけるための何かを持っているな…」

 と考えていたら、全力で走ってくる3人の影が。坂本たち3人だ。

 

「どうだ」

 何がどうだ、なのか…あまりにもいろいろと起こりすぎてどれから説明していいものやら。

 

「清水と玉野も捕まったのじゃ」

「清水さんと玉野さん?」

「2人にも状況を伝えたのか」

「流れでな…だが、これは想像以上に危ないぞ。人質を盾にとられているから、ただ無防備に突っ込んでも意味がない」

 下手すればただ捕まるだけに終わる。あちらの目的が何かを知っていそうな坂本が交渉すれば話は別なのだろうが。

 

「この中に姫路さんや島田さんたちを誘拐した人がいるんだよね…それなら考えることなんてないじゃないか」

「お、おい吉井! 策を考えもなしに突っ込んだって一緒だと」

 引き留めようとしたとき、坂本が目の前に立ちふさがってこう告げた。

 

「明久はこうなってしまうと俺の静止でも止まらねえ。俺とムッツリーニはこいつについていく。3人一緒にいることはあいつらも知っているから、1人だけで行くと怪しまれる。出来るだけのことはやってくるつもりだ。いわゆる俺らは囮だ。お前らは何か作戦を考えてどうにかしてくれ。久保、お前らも巻き込んで悪かったな。秀吉も頼んだぞ。岡田、後は任せた」

 そういうと、吉井が乗り込んだ体育館に坂本と土屋も一歩遅れて乗り込んだ。

 

『なんだ~また新手か』

『おっと、悪鬼羅刹がいるじゃねえか』

『作戦を見破ってきたんだな』

『ただ、3人でこの大人数で勝てるのか?』

『こちらには人質もいるんだぞ?』

 かわるがわる聞こえてくる根性が悪い声。残されたオレら3人はとりあえず中の様子をうかがう。見えないので声で判断するしかないが。

 

『許せない…誘拐なんて犯罪だぞ!!』

『何とでも言え観察処分者。お前のバカさも犯罪級だ』

『………女子を縛るだなんてうらや ー けしからん』

 今本音がちらりと見えたぞ。土屋、お前大丈夫か。

 

『発信機仕掛けてきた人間が何を言っているんだ』

『受験勉強やらなくていいんすか先輩。こんなことしている暇なんてないでしょう』

『黙ってろ悪鬼羅刹。俺らはなこれと引き換えに大学進学がもらえるんだよ』

『屑だな。なんだここにいる10人は全員その屑か』

 なるほど。10人いるのか。坂本ナイス。中の状況はよくわからないが敵の数がわかったのは大きい。

 

「ワシらもただぼーっとしているわけにはいくまい」

「先生を呼んだ方がいいのでは?」

「後は任せたと言われたから、何をやっても構わないんだろうが…ちょっと待てよ」

「どうしたのじゃ」

「うかつに教師にも話せねえな」

「どうしてだい?」

「大学進学を餌にあいつらは誘拐してるんだろ、ということは」

「学園内でも立場の高い人間がこの黒幕ということだね」

 誰が黒幕なのか……学園長なのか? いや、これが学外に広まったら一気にイメージダウンだからそんなことをしたら…と考えるとデメリットが圧倒的に大きい。

 

「なあ、久保。この学園内で権力を持っているのは誰だと思う」

「学園長・教頭・3学年主任・西村先生だろうか」

「西村先生、それほど権力あったのかの…」

 威厳というもので補正されている気がしないでもないがあながち間違ってはないだろう。

 

「それならば久保は教頭を探して動向を探ってほしい」

「教頭を?」

「ああ。権力が高い者にしか、大学進学を餌になんて出来ないだろう」

「なるほど。そうだね。わかった。」

「もし体育館に近づきそうだったら、何か話をでっち上げて遠ざけてほしい」

 今この段階で体育館に近づく人はクロ。そんな人間にかき乱されるわけにはいかない。

 

「秀吉は3学年主任だな。誰だったか……あまり縁がないからわからんな」

「誰じゃったかの」

「すまない。僕もわからない」

「とりあえず、どうにかしたらわかるだろ。そいつをよろしく、内容は久保と一緒だ」

「了解なのじゃ」

 他学年の学年主任とか本当に縁がないからわからないよな。違う学年にも授業を教えに来てくれている先生ならともかく……

 

「他の2人はどうするんだい?」

「学園長と西村先生じゃな」

「シロだろ。そう思いたい」

「ここにきて願望が入るとはあまりいい傾向ではないね」

「そうだが、数を絞らないと人手不足だ」

 学園長はないとしても、西村先生ではないことを証明するものがないんだよなあ。でも、あの人の人格を考えればないとは思うんだが…

 

「それで岡田君はどうするつもりだい?」

「オレはここでやるべきことがある」

「まさか乗り込むのかの?」

「そのようなものだが、なーに心配する必要はない。策を思いついたから」

 とはいっても相手10人というのはきつい気がする。

 

「オレのほうはいいから、2人は頼んだぞ」

「無理しないようにね。僕のほうは承知した」

「ワシもワシなりに頑張るぞい」

「よっし。中で吉井や坂本が地味に頑張っているみたいだし、オレらも頑張るぞ」

 ところどころ聞こえてくる会話から、まだ人質を盾にとられていることに対して屈していないらしい。強いやつらだ。時期を見計らってオレも突入するぜ。

 

 





 学校において権力者なんてバラバラでしょうが…そこは放っておいていいんですよ(笑)

 所構わず突っ込んでいく無鉄砲さが時には命取りとなる。

 明久のそういう部分を知っているからこそそれを受け入れて自分たちも覚悟を決めている雄二と康太。それを見守る秀吉。未だそれがわかっていなかった勇樹。わかっていなかったが、それなりにベストな方法を考え出す。
 
 美春と美紀もそう。
 自分の作品では美春や美紀・久保といったメンバーを描くことはほとんどなかったですから、今新鮮な気持ちですね~

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