バカとオレと彼女たちR   作:いくや

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 勇樹が保健室に連れていかれたあとの体育館。


 では、どうぞ♪





第40問

 

「ムッツリーニ、カッターを」

「………これ」

 勇樹が鉄人に担がれて体育館を出て行くのを見ながら、雄二は囚われの身となっていた姫たちを助け出す。ムッツリーニはさっき回収したカッターと自分でいつも持ち歩いていた!?カッターを人数分取り出して、雄二と明久と秀吉と久保に手渡した。

 

 

「姉上っ…!」

 秀吉は真っ先に自分の姉の救出に取り掛かった。既に半分涙目で、普段は自宅で弟を罵倒している気の強い姉とは思えない。そんな姉の姿を見て自分がふがいないと思うと同時に自然と涙がこぼれてきていた。

 

「ありがとう、秀吉」

 解放された優子はその一言を弟に告げ立ち上がり、そのまま体育館の出口の方へ向かった。おそらく体育館から出て保健室 ー 勇樹の元へ向かうのじゃろう。その後姿を見届けると再び救出作業に入った。

 

 

「ごめんね姫路さん。島田さん。怖い思いしたでしょ…」

 同時に明久も2人の囚われのお姫様の救出をしていた。その言葉にはいつもの彼なりの明るさが見られない。それもそのはず、姫路は未だ恐怖におびえた表情を浮かべ、島田は目が充血していた。おそらく先ほどまで泣いていたのだろうが、明久にその泣き顔を見られるのは許せないと考えたのか、意志の強さで泣き止んでいた。

 

「明久くん!!」

「ひ、姫路さん!?」

 解放されたと同時に姫路は明久に飛びつ ー いや、抱き付いた。突然のことでびっくりしてしまった明久はそのまま体育館の床に押し倒される格好となる。

 

「あ、ありがとアキ………葉月、今から助けるからね!」

 少し顔を赤らめ明久と目を合わせないようにして島田はつぶやく。本人に聴こえたかどうかは微妙だが、その思いは伝わったのか。そんな自分の思いよりも妹を助ける姉としての役割を果たしていないと感じたのかすぐに行動に移した。

 

「あ、あの姫路さん……?」

「こわかった…こわかったです~」

「ごめん。巻き込んでしまって…助けに来るのが遅くなって…」

 明久の胸に顔をうずめながら号泣する姫路。明久もそれに抗うことなく姫路をなだめていた。その様子を横目で見ている島田はうらやましそうな表情をちらっと見せたのち、再び妹の救出に取り掛かった。

 

「それにしても…明久くんにアキ……?僕、今までそんな呼ばれ方していたかな…?」

 泣き続けている姫路や妹を助ける島田の後姿を見ながらつぶやいた明久だった。

 

 

「………すまない」

「ムッツリーニくんが謝ることではないさ…」

 素早い行動でいつの間にか愛子を救出していたムッツリーニ。解放されてすぐに未だにガムテープで身動きが取れなくなっていた清水の口のガムテープを取る。それを見たムッツリーニは、本当は怖かっただろうに泣きたいだろうに押し殺して『工藤愛子』という自分をふるまっているんだろうなと感じ取り、こう告げた。

 

「………たまには工藤愛子の仮面を脱ぎ捨てろ」

 そのムッツリーニの言葉を聞いた愛子は、一瞬清水の口元に手を伸ばしていた右手を止めた。

 

「ど、どういうことかなムッツリーニくん。ほらほら清水さんだっけ彼女。早く助けてあげないと」

 だが、何事もなかったかのようにふるまう。彼女は聡い。自分が泣くわけにはいかない、工藤愛子はそういった人間であり、そうであるべきなんだ。そういう空気を感じ取っていたのだろう。それは彼女の思い込みにしか過ぎないのだが。

 

「………ああ」

 ムッツリーニはその短い返事と共に、清水の手足のガムテープを切った。それと同時に愛子も清水の口をふさがれていたガムテープも取ったみたいだった。

 

「ありがとう……あの豚野郎ども、今度会ったら容赦しませんから」

 清水はそこまで気落ちしていなく普段通りだったみたいだ。後から人質になった形だったから、他のメンバーよりも恐怖は薄いのかもしれない。

 

「工藤さん、でしたか」

「なにかな?」

「男はいけ好かないですから語りたくもありませんが……その男の見る目は鋭いようですよ」

「あはは…」

 ムッツリーニの言わんとすることが清水には伝わっていたらしい。愛子は笑ってごまかしたが、観察眼の鋭いムッツリーニ、普段から自宅で接客業をしている清水の眼にはそれが危ない証に見えて仕方がなかった。

 

 

「久保くん、ありがとうございます」

「無事で何よりだ」

 少し手間取っていたが、久保も玉野の救出に成功したらしい。

 

「熱くなった美春ちゃんを止めようとしましたが無理でした…」

「自分の身も大切にね」

「ありがとうございます。ところで、久保くん! メガネメイドに興味はありませんか!?」

 玉野も心身ダメージはほぼ0のようだ。既に通常運転に戻っていた。

 

「お姉さま~!!」

 既に妹を解放し終えていた島田の元へ清水が駆け寄る姿を玉野は眺めがらこう言った。

 

「ああいうところが美春ちゃんのいいところでもあるんですけれどね。それよりもこれを着て!!」

 一瞬、まともに友だち思いな子に戻ったかと思いきや、再び玉野美紀モードに。

 

 

「……絶対助けに来てくれると思ってた」

「すまなかったな巻き込んでしまって…あーあと抱き付くのやめてくれないか」

 優子が秀吉に救出される時間と同じくらいには既に霧島を助け出していた雄二は、その霧島に抱き付かれていた。

 

「……あの時みたい」

「そんなことあったかな」

 すっとぼけている雄二だが、忘れているわけがあるまい。彼が神童と呼ばれていた存在から一変、悪鬼羅刹と言われるようになった事件なんて、忘れたい過去というわけでもあるまいが、坂本雄二の人生でのターニングポイントと言っても過言ではないはず。多分照れ隠し。

 

「翔子、みんな解放されたみたいだから、保健室に行かねばならん」

「……おんぶ」

「誰がするか」

「……歩けない」

 ここぞとばかりに甘える霧島だが、それに構う雄二でもない。

 

「姫路、いつまで抱き付いているつもりだ~そろそろ行くぞ」

「は、はわあっ! 私ッたらなんてことを!!」

「落ち着いて姫路さん」

「ご、ごごごめんなさい明久くん」

 時間も経って冷静になり出した頃、雄二の言葉をきっかけにして姫路は反射的に明久から距離をとった。

 

「保健室に行く前に一つ言いたいことがある」

 雄二がそう言うと、自然と話が鳴りやみ、みんな雄二のほうを向く。

 

「先に謝っておかねばならん。すまなかった、事情は保健室でわかる」

 雄二が頭を下げている!と驚いた明久などもそれに倣って同じことをする。

 

「君たちが悪いわけじゃないんだからさ」

「お兄ちゃんたちはヒーローみたいでかっこよかったです!!」

「お姉さまたちがこんな目にあった理由を早く聞きたいですねええ。保健室に向かいましょうか。ねえお姉さま」

「美春、離れなさい!!」

 優子に遅れて数分後に後を追う12人だった。

 

 

 





 三人称視点頑張ってみました。
 三人称というか確実に筆者目線。それが三人称っていう扱いでいいのかな?

 ま、どうでもいいとして(笑)

 いかがでしたでしょうか。この話見て思ったでしょうけれども、私はムッツリーニ紳士だと思っていますから←
 愛子も何か絶対心の闇を抱えているんじゃねえのって思いながらバカテス最後まで見たけどなんもなかったなあ原作では。この話ではそこらへん描きたいと考えている。 

 こんなにいいペースで更新できていたのに、すぐそこに迫ってくるは前期テストという名の恐怖。毎日更新が厳しくなってきた…ここ何話かストックではなくてその日に書きあげているやつだし…ちょっとばかし不定期更新になると思います。テスト勉強と車校に追われる日々…さっさと抜け出して再び毎日更新になる日をお待ちください。
 不定期ですから、ちょくちょく更新するので見に来てくださいね~

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