バカとオレと彼女たちR   作:いくや

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 暇している勇樹の元に初めて訪れたお見舞いの友人は誰だろう。

 では、どうぞ♪





第45問

 

 昼前後に母親が来て1週間に2枚という条件付きでTVカードを置いて行ってくれたので、多少は暇を感じることもなかったが、後のことも考えると流しっぱなしというわけにはいかないから、相変わらず携帯とにらめっこという時間が長い。

 学園の連中にはこちらから連絡することは、あいつらを信用していないことになるから憚られる。かといってTwitterに張り付くっても飽きる。だからひとまず『文月学園 清涼祭』というワードで検索してみたんだが、写真付きでたくさんのリア充どもが呟いていたのを恨めしく思い出したからやめた。リア充爆発しろとかそういったことじゃない。自分がその場にいないことの歯がゆさをこれ以上感じたくないからだ。

 

 そんなことをぼーっと考えていたり、他の妄想したりしていると世界は夕方になっていた。散歩でもするか。と思い立ちポケベルを作動させ、恵さんに連絡をする。すると、すぐに駆けつけて車いすに乗せてくれた。他の仕事は大丈夫なのか不安になる。

 散歩の時についでに聞いてみたら、そのことは心配しなくていいとのこと。いかんせん病院内での仕事はもともと多くないらしい。ホント何者なのだろうか。そんなオレの胸の内を察したのか、恵さんはベルモットばりに『A secret makes a woman woman』とかぶちかましてくれた。それを聞くと平泳ぎ泳者並に『何も言えねえ』とか思ってしまうよな。

 

 夜飯の時間になるくらいを見計らって部屋に戻る。恵さんはオレがベッドに座るのを見届けると部屋を去っていった。ありがとうございます。また明日以降もよろしくお願いしますね。

 お、数分もしないうちに夜飯がきたきた。入院しているとある意味規則正しい生活だね。朝飯も昼飯も夜飯も決まった時間に出てくるからさ。そんなことを食べながら思っているとあっという間になくなるんだよなあ。やっぱ足らねえ。好きなだけ食えないのが難点。

 これ好きなだけ食べれねえから痩せるんじゃね、新たなダイエット法なんじゃね?と思ったけれども、怪我してて運動できないからほぼ消化できないことを考えたら、太っていく一方だと察した時はただただツライなあと思ってしまった。

 

 そんなこんな考えていると、ドアをノックする音が聞こえた。来訪者が現れた。だーれかな~

 

「はーいどーぞ~」

 オレの声が聞こえたのか、誰ともわからぬ来訪者はガチャリとドアを開けて入ってくる。ベッドからは水回りの部屋でドアが見えず、コツコツと靴の鳴り響く音だけが頼りである。この靴音は2人来ているようだな。耳だけが訓練されるような気がしてきた。

 

「どうも」

「こんばんは~」

 やってきたのは、清水と玉野だった。この2人がお見舞いに来てくれるというのは想定外だ。

 

「びっくりした。学園祭はもういいのか?」

「ええ。終わりましたよ。今から打ち上げです」

「そうか」

 もう終わった時間なのか。そりゃあ日も暮れてきたしそうだよな~

 

「その場所に向かう途中に近くでしたので、様子を見に」

「わざわざありがとうな」

「豚野郎は嫌いですが、あなたは一応助けてくれた人なので礼を言わねばなりませんから」

 豚野郎っておい。要するに男嫌いってことか…? そこについてはわざわざ言及する必要もないか。

 

「ありがとうございます。美春やお姉さまがたを助けていただいて」

「私からもお礼を。ありがとうございました」

「そんなことを言いにわざわざ来てくれたのか。こちらこそありがとう。その言葉だけでもオレが怪我したことの意味があるってもんだ」

 とりあえず、暇なときに来てくれてありがとう。話し相手がいるだけでも嬉しいよ。

 

「かっこつけてるつもりですか。美春たちにするのではなく、木下さんに言ってはどうでしょう。喜ばれると思いますよ?」

「余計なお世話だ」

 それ以上のことを言った気もするから。

 

「あ、その優子ちゃんだけどね、優子ちゃんたちやアキちゃ ー 吉井くんたちは最後のお仕事が残っているようでした。だから心配しなくてもそれが終わったらお見舞いに来てくれると思いますよ」

「そ、そうか。わざわざありがとう」

 アキちゃんと言う不穏な単語が聞こえてきたのだが、これもスルーするべきなのだろうか。

 

「今日はついでに寄っただけなので、申し訳ないですが手土産を持ってきていません」

「そんなの求めてないのに。清水さん、そういうところしっかりしているんだね」

「バカにしているのですか? それが当たり前です」

 思わず目を瞠った。これはこれは、強烈な方なのかと思いきやこういったことも身につけてらっしゃると。

 

「美春ちゃん、私たちそろそろ行こうか。岡田くん。お邪魔しました、お大事になさってください」

「お、おう。打ち上げだろ、楽しんで来いよ~」

「少し待ったら木下さんや他のメンバーも来てくれることでしょう。美春たちは退散します。ご迷惑をおかけしました」

「……なんか調子狂うな」

 清水のイメージが全然違うんだけど。

 

「失礼ですね。こういったことをしっかりしてからこその人間関係でしょう」

「その通りだな。悪かった。ありがとうな2人とも」

「いえ、では、お大事に」

 ものの3分くらいの話だったか。それでも何か今日1日を充実させてくれた時間になったような気がする。これは新たな発見だな。本当にありがとう清水、玉野。

 

 





 清水と玉野でした。

 他のメンバーは後処理をしていると思ってもらって構いません。

 学園祭の後夜祭?打ち上げ?そんなものしてみたかったな~
 そもそも学園祭らしいものもなかったし…

 大学で楽しめと?
 それはきついっす。

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