神々の狂乱   作:初代小人

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皆さん、こんばんは。
毎日書いてると前書き、後書きに書く事が無くなってきました。
なので前書きはこれだけです。それではどうぞ。



獅子

「私達は勝たなければなりません。常に勝利を手にする。それこそが最強と言われる第1分隊のあり方だからです!」

私は第1分隊の詰所でMSF対抗戦直前の演説をしていた。

「今回はクィンドに張り合うほどの阻害魔法の使い手であるカロン君が入隊してくれました。彼は私達の新しい戦力として活躍してくれることでしょう!しかし、油断していてはなりません。勝って兜の緒を締めて、日頃の訓練の成果を、圧倒的な戦力の差を見せてやりましょう!」

既に詰め所には男達の熱気がこもっている。

気合十分である。

そして詰め所を出て、会場のサーバールームに入る。

ヘッドギアを被り、私は電脳世界へと飛び立った。

 

五感が戻ると、わたしは既に氷で覆われた鎧を身につけていた。

接近戦をする際に展開する尖った重装備は今の所カットしており、動きやすさを重視した(一部では通常型と呼ばれている)ほぼ素体の形のままの、女性らしい丸みを帯びた装備である。

腰にはバトン形態のレイピアが吊られている。

普段はこうして柄の部分のみにしておく事で軽量化が出来る上に、そこから氷弾を打ち出すなど応用的な戦法を取れるようになるのだ。

ステージは砂漠。気候が高く、乾燥しているため、草属性魔術の使い手には苦手なステージである。

徐々にダイブしている人数が増えていく。段々と各部隊から全員揃ったという報告が来るようになった。

あと数分で戦闘開始という時に第1分隊は全員揃った。

そして大きなゴングの音が鳴り、いよいよMSF分隊対抗戦が開幕する。

サラが率いる第1分隊は有名であるが故に狙われるため、最初の位置からほとんど動かずに待ち伏せをする戦術をとっていた。

包囲して勝とうとした隊もあったものの圧倒的攻撃力で包囲網を突き破り、分散した敵を駆逐した。

それくらい最強の名は伊達ではないということだ。

 

 

最初に攻撃してきたのは第5分隊だ。

お調子者の「焔獅子」ウィルソンが率いるこの隊には勢いがあり、油断していると猛烈に攻撃を受けて倒れてしまう事になる。

だが彼はお調子者であるが故に相手の隊長は自ら倒そうとする。

サラもその心意気を受け、隊員達に手出しをしないように言ってある。

他の隊も横槍は入れないであろう。

サラとウィルソンの一騎打ちというイベントが開始早々起きようとしていた。

 

「よ~うサラ、相変わらず寒々しい鎧だなぁ。一人だけ氷河期なんじゃねえか?」

とウィルソンは手始めにサラを挑発する。

負けじとサラも「いえいえ、誰かさんのせいで酷くなってる地球温暖化を止めようとしてあげてるんですよ?存在だけで暑苦しいんですよ。」と言い返す。

「いや、ここバーチャルだから地球は関係ないと思うけどなぁwま、砂漠でせいぜい蒸発してろよ“最強”さん?」

「はいはい、雑魚の僻みはいいですよ。所詮ザコはザコなんですから分を弁えて引っ込んでてくださいよ?いまなら見逃してあげますよ?」

「んな事するわけ、ないだろっ!と」と、ウィルソンは錆色の焔弾をサラに向けて投げる。

サラは魔術で焔弾そのものを凍結させて撃ち落とす。それと同時にレイピアに手をかけ、針のような鋭い刃を具現化させる。

「なら、徹底的に叩き潰すまでです!」

サラは一呼吸で5回もの刺突を繰り出す。

一発一発が的確に急所を狙った精密な攻撃をウィルソンは両手のトンファーを使って軽く逸らし、更に圧力魔術を乗せた打撃をサラの腹部に向けて打ち込む。

しかしサラも手練。足元の砂を蹴り上げてそのまま凍らせて一枚の大きな盾にして防ぐ。更に砕けた砂混じりの氷を操ってウィルソンに向けて打ち出す。

ウィルソンは地面を殴り、衝撃波で散弾のような小さな数百個もの氷の粒を吹き飛ばす。

サラはいつの間にかレイピアを柄だけにして腰に戻し、ウィルソンに殴りかかる。

その手には氷で出来た棘が幾つも付いている。

これこそがサラの鎧の強みである。

本来鎧とは定形のものである。しかしサラの鎧は氷で出来ているが故に変幻自在であり、多彩な使用方法をすることが出来るのだ。

人はこれを「変形外装」と呼ぶ。

しかしこれはまだ第一形態。鎧の一部のみにしか変形させていない。

とはいえこのまま殴られてはウィルソンも無事では済まない。即座にトンファーで受け止める。

本来空気中の水蒸気を凍結させて戦うサラにとって乾燥した砂漠は戦いづらい戦場なのである。

それを察しているウィルソンは好機とばかりにサラに反撃を仕掛け、そこからラッシュに繋げる。

一撃、ニ撃、三撃と打ち込むトンファーをサラは全て躱し続ける。

そして詠唱を始める。

「魔女さん魔女さん、背中に翼を下さいな。私にあの大空を翔ばせておくれ。も一つお願い魔女さんや、この身には棘を。大きな氷柱で私を守っておくれ。」

サラのシンデレラの物語をモチーフにした独自魔術。その効果は絶大である。

背中には大きな氷の鳥の羽が出来、なめらかだった氷の鎧はゴツゴツとして、たくさんのトゲがついている。

変幻自在の鎧の第二形態であった。

最終形態である第三形態までサラを追い込んだ事があるのはMSFでは第二分隊のグラウン&グロウド兄弟のみである。

細かい変化としては、両手に手甲と、ネコ科動物のそれを彷彿とさせるような長い爪が付いたことくらいである。

空を翔んで氷弾を撃つサラ。その狙いはまばらでどれもウィルソンには当たらない。

しかしサラが「標識起動(マーカー・オン)」と唱えた瞬間、外れた氷弾が着弾した位置から大きな氷山が盛り上がる。

ウィルソンは完全に囲われた形である。

トンファーでそれを砕こうと殴りつけるのと、トンファーが砕けたのとは同時だった。

右手のトンファーが粉々になり、錆色の光の粒となって魔力に還る。

そもそもサラが檻として用いる氷をそんなヤワなものにしておくはずが無いのだ。そしてサラは長めに延ばして最早槍となったレイピアを空から投擲する。

それは寸分違わずウィルソンの胸部を貫き、仮想の心臓を破壊し、無傷だったウィルソンを一撃で葬った。

大将が倒れた第5分隊は主に司令系統が崩れて統制が取れなくなり、敗北したのであった。

 

To be continued…

 

 

 




今回はウィルソンvsサラの一騎打ちを書いていきました。次回はいよいよ第二分隊戦です。
結果がどうなるのか、エキサイティングな戦闘シーンを書けるように頑張ります。
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