バカとテストと愉快犯   作:四宮 (陽光)

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更新♬更新♬

自分にしては早いです。自慢にもなりませんが(苦笑)

決して怠けていた訳じゃあないんだ。ただ時間に置いていかれたというかなんというか……

ということで第三話、どうぞ。


第三話 宣言というかなんというか

何故か翔子が俺のズボンをもう一つ持っていたので、トイレで履き替え、Aクラスに向かう。翔子のことはもう慣れたことなので今更気にしない。気にしたら負けだと思っている。因みに雄二とは既にズボンを履き替えるところで別れている。

教室は三階の新校舎側だ。階段を上り教室の扉を開ければ思わず感嘆の息が漏れる。

 

「ほぉ~。こりゃ予想以上だ」

 

「……そう?」

 

翔子は別段驚きはしていないがそれはお金持ち故であって、平凡な家庭に生まれている俺からしたら十分驚きモノだ。まず広さが違う。一般の高校の教室の六倍はあるだろう。教室に奥行きを感じたのは生まれて初めてかも知れない。それに設備。頭上にはシャンデリアらしきものがぶら下がっていて、個人個人の机と思われるモノにはノートパソコンとエアコンが置いてある。椅子はリクライニングシート。それに冷蔵庫まである。ここは勉強をするところなんだろうか。ホテルのスイートルームと言われたほうが自然だ。

 

「とりあえずどこに座ろうか?見たところまだそんなに人は来ていないようだし、好きなところに座っていいんじゃないか?」

 

「……祭の隣」

 

「りょ~かい」

 

手近に席に座る。さっき言ったがまだ教室には俺たちを含め三四人しかいない。まだ登校時間には大分余裕があるからだろう。特にやることもないので机の上でダラーっと伸びてみる。うん、冷たくて気持ちいい。

 

「ごめん、翔子。ちょっと寝てるわ。先生来たら起こしてくれ」

 

「……添い寝は?」

 

「いらないから」

 

そう告げ、瞼を閉じる。昨日はあんまり寝れなかったからか、すぐに視界が暗くなって意識はブラックアウトしていった。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「……ま……。おき…」

 

「う…、ん?」

 

寝ぼけ眼を擦りながらなんとか目を開くと翔子がいた。そういや起こしてくれと頼んだっけ。周りを見渡せば既に席は全て埋まっていて皆こちらに注目している。中には嫉妬の混じった視線も感じるが、それは多分美人な翔子に起こしてもらっているだろう。ところで俺、なんかしたっけ。

 

「……自己紹介。次は祭の番」

 

「ん。もうそんなところまできてるのか?」

 

「―――ついでですので次席の霜月君にも前で挨拶をお願いしましょうか」

 

突然かけられた声に振り向くと、壁一面に広がるスクリーンの前に我らが担任の……だれだっけ?た、たか…ぎ?先生だっけか。その人が相変わらずのクールな表情で言ってきた。

 

「え~、まぁ別にいいですけど、高木先生」

 

「私は高木ではなく高橋です」

 

「あ、すいません」

 

高木先生じゃなかったらしい。まぁこれで覚えたし問題はないはず。それにしても前にでて、かぁ。一体なにを喋ればいいのやら。

のろのろと席を立ち、壇上に向かいながら思考する。

成績やAクラスらしく――なんてのは翔子や先生が言っているはずだし。とすれば……あれしかないか。

ちょうど壇上に着き、振り向いてクラス全体を見渡せる位置にくる。そして俺に突き刺さる視線。

 

「え~と。一応学年次席の霜月祭だ。小難しいことはしょ…代表と高橋先生から聞いてると思うから言わなくてもいいか?」

 

頷きを返された。翔子って言いかけたときに男子どもの視線が鋭くなったのには焦ったな。とりあえず伝えたいことを言おうか。

 

「んじゃ、俺からは一つだけ。

          ――――――俺たちAクラスは近日中にFクラスに試召戦争を申し込まれる」

 

『ッ!?』

 

一瞬の静寂が教室を支配する。普通ならいきなりこんなことを言われたら騒ぎ出すだろうが、流石Aクラス。顔に動揺は出ているが騒ぎ出しはしない。

そんな中手が一本、空に上がる。

 

「質問か?なら名前も一緒に頼むわ。自己紹介まだだろ?」

 

「久保利光だよ。質問なんだがソレはどういう根拠があってそう言えるのかい?」

 

手の主は久保とかいう知的メガネだった。コイツ確か明久が好きだって噂があったよーな……♂だけど。

どうでもいいか。人には人の幸せがあるしな。

 

「ん。いい質問だ、知的メガネ」

 

「僕名前言ったよねッ!?」

 

「……彼の名前は久保利光」

 

「ありがとう翔子。そしてなんで隣にいる?席に戻ってたよな?」

 

「……妻は常に夫の隣にいるもの」

 

「まず夫婦じゃないから」

 

まったく。どうしてこう気配を消せるのか。小学校の頃はそんなスキルなど持っていなかったのに。そして男どもの視線がキツいです。隣にいて仲良さげというか夫婦やらなんやら言っているから多少の嫉妬の視線があるのは理解できるが、殺意じみたものまで混じっているんだが。試召戦争で落ち着いていてなんでこんなので乱れる。嫉妬の力は怖いです。

 

「んでメガネ。さっきの質問だが答えは単純。Fの代表が俺と我等が代表の幼馴染な訳で。んで俺はこの間宣戦布告された」

 

「名前教えてもらってたよねッ!?ねぇ!?もはや知的も無くなってただの無個性なメガネになってるんだけどッ!?」

 

「おい、うるさいぞ久保利光」

 

『………』

 

おいおい。クラスメイトおろか先生までそんな目で見ないでくれよ。ちょっとした弄りだろ。視線が痛いので話を進める。

 

「とにかく、そういうわけだ。召喚獣の操作に慣れるために一回くらい模擬試召戦争をしようと思っているけど、それ以外は特にないから心の準備はしておいてくれ、以上。他になんか質問あるか?」

 

強引に話を終わらせる。模擬試召戦争の相手はどうしようか。クラスの間でやってもいいが、どうせなら他のクラスとやるのもいいだろう。そこらへんは後でいいか。なんか手が何本か上がってるし。

 

「はい、そこの女子……あれ?秀吉…じゃねえな、姉か」

 

「その認識の仕方は気に入れないんだけど正解だわ、木下優子よ。質問、いいかしら?」

 

「へいへい、どうぞ」

 

「なんでこの話を私たちにしたの?いくら敵になるとはいえ幼馴染なんだから不利になるようなことは普通しないと思うんだけど?」

 

あ~、そういうことね。まぁ確かにそう思うのも不思議じゃないか。そう難しい理由もないんだけど。

 

「そりゃ勿論自分のクラスを優先すべきだし、アイツもガチンコ勝負の方が燃えるだろ―――」

 

「そう…。じゃあ…」

 

「―――というのは建前なんだが」

 

『エッ!?』

 

「じゃ、じゃあなんで…」

 

 

クラスの空気がまたも固まる。そう可笑しいことを言ってるつもりはないんだけどなぁ。まぁ、この際言っといてもいいか。

クラス全体をゆっくりと見渡す。てか翔子はまだ隣にいたのか。席に戻ってても良かったのにな。そして大きく息を吸って教室いっぱいに聞こえるよう堂々と宣言した。

 

 

 

 

 

 

「決まってるだろ、そっちの方が面白いからだ」

 

 

 

 

 

 

 





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