壊れてびっくりしました;
メールとかくれたお方有難うございました
そしてご心配とご迷惑をかけてすみませんでした;
けっこうこの話のファンがいてくれたみたいで、すごく嬉しかったです^^
私はいつもの湖にある船の上で泣いていた。
また魔法が失敗してお母様に怒られたからだ。
しばらく丸まってふさぎ込んでいると風が吹いた。
顔を上げるとそこに銀髪で黒いコート着た男の人が立っていた。
私は気づいた。
ああ…またあの夢…と。
いつもの船の上で泣いている夢を見るとよく銀髪の男の人が現れた。
黒尽くめの服に切れ長で赤い瞳の眼を持つ怖いくらいに綺麗な容姿を持つ男の人だ。
どこか私がよく知っている人と雰囲気がよく似ている。
銀髪の男の人は温かく微笑んで、私に近づいてしゃがみ頭を撫でてくれる。
私はそれが嬉しくて顔をうっとりと綻ばせてしまう。
不思議な人だった、話したことも無いのにここまで心を許せてしまうなんて…。
男の人は立ち上がって後ろに振り返り、
コートの裾が二つに分かれ、黒い蝙蝠のようなドラゴンのような翼になる。
そして私に顔を振り向かせ寂しそうににこりと笑って翼をはためかせ飛び立ってしまった。
私は立ち上がってあの人が飛び去った空へ手を上げて叫ぶ。
待って…!行かないで…!置いてかないで!!
アドリアン兄様!!!。
「は!?」
ルイズは眼を覚ますと周りをキョロキョロ見て頬をなぞる。
「涙のあと…またあの夢か…」
ベットから降りて、鏡の前に向かい髪をとかす。
「なんであの人の事をアドリアン兄様って言ったんだろう…」
たしかにあの男の人の雰囲気はすごくアドリアン兄様にそっくりだ…。
髪型も似てるし、私を撫でる手の暖かさも…。
たしかにアドリアン兄様は不思議な所はある。
顔は親戚はおろかお母様やお父様に似ていないし、たまに実は隠し子なんじゃないか?と
囁かれることもある。
性格だってそうだ、アドリアン兄様みたいな性格の親族はいないしどちからといえば
ヴァリエールというより…。
「…!!??」
私はふとヴァリエールの仇敵である隣の国の家の名前を思い出してしまい頭を抑える。
「違う違う!兄様はあんな下品なゲルマニアンと違う!!!」
頭を振り回し、なんどもあの家の事を忘れようとする。
とりあえず私は無意味に気合を入れタンスからとある服を出す。
「これが魔法学園の制服」
そう私は明日からトリステインの魔法学校に入学する事になった。
実はアドリアン兄様やジャンヌも。
なぜあの二人が私と同じ年に入学するかは知らないけど、明日からお兄様とジャンヌは
私と同級生となる。
「お兄様か…」
ふとまた兄様の顔を思い出す。
最近の兄様…前からそうだったけど…益々かっこよくなった…。
背も180近く大きくなったし、体もほっそりとしたシルエットだけどその分脱げば
猫型の肉食獣みたいにスマートに引き締まってて逞しい、
メイジなのに肉弾戦がすごく強くて魔法もスクウェアクラス…、
1年前あのトリステインを騒がせた吸血鬼4人を倒すほどの実力で、
あのお母様も兄様には絶対に勝てないって言うくらい…。
スケベで女たらしでガラが悪いけど優しいアドリアンお兄様…。
いくら私でも兄様が他の人とは違うと感じてる。
でもいい…たとえ兄様が化け物でもエルフでも。
だって私を見てくれる優しい眼差しは本物だもん。
トリステイン魔法学院。
王都トリスタニアから離れた場所にある貴族が通う学校である。
ここは貴族に必要な魔法などを教える場所だ。
歴史は非常に長く、アドリアンの父も母も姉も全てここの学校の卒業生である。
学校の真ん中にある塔の一室で、白髪で立派な髭を生やした老人が、今年新入生の資料を
苦々しく見ていた。
この老人はオスマンという名で、この学院の学院長である。
年齢は長命という以外は謎に包まれ、300歳も生きると囁かれている。
「失礼します」
ノックの音ともに頭の光が眩しい(失礼)眼鏡をかけた中年の男性が現れた。
「うむ。コルベール君どうしたのかね?突然入ってきて」
その言葉にコルベールと言われた男性は笑顔で顔に血管を走らせ、羊皮紙の束をバンと
テーブルに置いた。
「どうしたのかじゃないでしょう!貴方が私に押し付けた仕事が終わったので
提出に来たんです!」
「そだっけ?」
「そうだっけじゃないでしょう!。まったく相変わらずですね!」
仏のような顔を段々と鬼と化する部下をオスマンは無視して鼻毛を抜きながら
資料を読み続ける。
コルベールはため息を吐き、オスマンが読む資料に気づく。
「どうしました?。新入生の資料を見て」
「ふむ…」
オスマンはため息を吐き、資料をコルベールに渡す。
「これがどうしたのですか?」
「よう目をかっぽじって新入生名簿を見てみぃ…とんでもない奴の名前がおるぞい」
「?」
コルベールは言われたとおり新入生名簿を見る。
「こ…これは…」
コルベールは光る(失礼)から一筋の汗が流れる。
「…わかったようじゃのう。
ついに…この学院にあのヴァリエールの暴れん坊が入学するんじゃ…」
「…ついに…ですか…」
「うむ…ついにじゃ…。まいったのう…いつかはこの時が来るかと覚悟はしていたが…」
「通称「狂犬アドリアン」。まだ16歳でありながら今まで数々の伝説的戦いを繰り広げ…、
1年前には…あのヴァルヴァトーレなる吸血鬼の一味を滅ぼしたあの…」
「そして数々の貴族どもを半殺しした悪名高い「ヴァリエールの鬼子」じゃ…」
二人の間に沈黙が流れる。
「はぁ~~まいったわい。ただでさえ貴族のボンボン共に苦労されているというのに
あの暴れん坊まで世話せんとなるとは…」
オスマンは机に頭を寝かせ盛大にため息を吐く。
「まぁ。仕方ないですよ。いくら評判悪い生徒でも生徒は生徒です。
私は一教師としてしっかりと彼と接するつもりです」
「フン、主も相変わらずじゃのう。幸いあの暴れん坊はマンティコア隊、グリフォン隊
両隊長と仲ががよいと聞く。それなら案外、根は悪い奴でもなさそうじゃしのう」
「そうですね」
「まぁじたばたしても始まらんわい、なるようになれじゃ。奴が暴れたとしても眠りの鐘
でなんとかしようかのう」
「それで大人しくなればいいんですがね」
その言葉に風の流れる音が鳴り、また沈黙が流れる。
「くらぁ!このコッパゲール!せっかく明るい話題になろうとしているのに水を刺すな!
はげ!はげ!コッパゲ!ゲーハー!」
激怒したオスマンは机に上がりコルベールの首を絞める。
「うるさいですぞ!このひげ!人が傷つく事を言うのは教育者として失格ですぞ!
ヒゲ!ヒゲ!ヒゲール!」
コルベールはオスマンの手を跳ね除け、ヒゲをぎゅうぎゅうと引っ張る。
実はこのコルベールと言う男…見た目は冴えない中年だが「炎蛇」という二つ名をもつ
実力の高い火のトライアングルメイジである。
下手したらこの学院の中でもオスマンの次に実力があるかもしれない。
朝日が照るトリステイン学校。
その真ん中にそびえる塔から、いい年こいた爺さんとおっさんが喧嘩する騒音が鳴り響いた。
同時刻、ラ・ヴァリエールの屋敷。
「わぁ」
ルイズは見たことも無い様々な料理を見て目を輝かせる。
「ふふ、いいでしょうルイズちゃん。これ私が作ったのよ?」
明日入学式というので一緒に登校しようと父と共にヴァリエール屋敷に訪れたエプロン姿の
ジャンヌがにこにこと笑う。
立派な淑女(?)に成長したジャンヌの素肌はいつにもまして艶が増して輝いていた。
ヴァリエール公爵の隣に座っているルノワール公爵はそんな娘の姿を見て口がひくついていた。
「これ全部ジャンヌが作ったの?すごい…」
目をキラキラさせるルイズにジャンヌは幸せそうに笑う。
「そうよ~。ルイズちゃんも立派なレディーになりたければちゃんとご飯作れなきゃだめよ?
そんでその料理を持っていい男捕まえなきゃね?」
その言葉をエレオノールの耳に入り、ビシっと眼鏡にヒビが割れるような音がなった。
公爵はびくっと娘の方を見るが、眼鏡にヒビが割れてなく気のせいかと思ったが…、
エレオノールからなにやら恐ろしげなオーラーが漂っていた。
この高貴で気高い長女は実は最近またお見合い相手から逃げられていたのだった…。
たしかにこの長女は美しい…公爵の長女として申し分ないほどに…。
しかしその分その性格は非常にきつく…そのせいで次々と見合い相手が逃げ出し
おかげで彼氏いない暦(御免なさい)。
公爵はそんな娘を見て「この様子だとしばらく孫の顔が見れないな」と盛大にため息をし、
あの愚息の異性を簡単にたらしこむ能力が少しでも娘にあれば…と思うばかりである。
「そういえば、アドリアン兄様はまだ起きて無いんですか?」
ルイズはきょろきょろと兄の姿を探す。
「そういえばそうだな。あの愚息め、せっかくジャンヌ嬢が料理を作ってくれたというのに」
「あ!私が見てきます」
ルイズはとことことアドリアンに部屋に向かった。
「兄様?」
アドリアンの部屋に入ったルイズはベッドに寝ている兄の顔を見る。
「兄様~朝ですよ~。起きてください~」
ルイズはアドリアンの肩をぐいぐいと引っ張る。
「…ん?…。ルイズか?」
アドリアンはゆっくりと目を開き、眠そうな目で妹を見る。
「兄様起きました?。もう朝ですよぉ」
アドリアンはルイズを見て、何かに気づく。
「ルイズ、その格好はどうしたよ?」
ルイズの服装はいつものドレス姿ではなく、裏地が赤紫の紺のマント、
その下に白いブラウスとマントと同じく紺のプリーツスカート、そして黒いニーソックスと
茶色の革靴だった。
ルイズは自分の姿を見て、照れながら微笑みアドリアンに見せ付けるように体をくるくると
まわす。
「えへへ、これ学院の制服なの。似合いますか?」
顔をほんのり赤く染め、顔をかしげて見る妹をアドリアンは微笑む。
「ああ、かーいーじゃねぇか。こんなに可愛かったら世の男なんざ、一ころだねえ」
アドリアンは悪戯っぽく笑い、華奢な妹の体を持ち上げベッドに寝かせる。
「ちょちょちょちょっと!兄様!恥ずかしいですって!…ていうか兄様上半身裸じゃないですか
!!!」
逞しい上半身を晒す姿で過剰なスキンシップする兄にルイズの顔がさらにぼっと赤くなる。
そしておお慌ててですぐにベッドから降りて体をはたき、
もう!と文句言った後、思い出したようにアドリアンに顔を向ける。
「そういえば…。兄様!すごいですよ今日の朝食!ジャンヌがよりどりみどりの料理作って」
「へぇ、ジャンヌがねぇ。あいつは料理うめえからな。楽しみだねぇ」
棚からタバコを取り出して火をつけて吸う。
「そうなんですよ…たしか…ぽーくすとろがのふとか、カレーとか、おさしみとか、
ぎょうざとかティラミスとか」
ジャンヌの料理のチョイスに作りすぎだろ!と心の中で突っ込む。
「あ!、そういえば…お米を赤く炊いてあずきっていうお豆を混ぜたせきはんって奴とか」
その言葉にアドリアンは盛大に吹く。
「どうしました?兄様?」
「いや…なんでもねぇ…」
(赤飯つーたらたしか、ジャンヌの前世の故郷で色々な祝ん時に食うやつじゃねえかよ…)
アドリアンは布団をめくって見ると、シーツの真ん中辺りに血が滲んでいた。
「…ルイズ。兄ちゃん今から着替えてすぐ行くからよ、お前は先に飯に行ってな」
アドリアンは顔に汗をかきながらルイズの頭を撫でる。
「はい!わかりました!」
ルイズは笑顔でとことこと部屋から出て皆が待つ部屋へ歩いた。
ルイズを見送った後、アドリアンはため息をつく様な感じで紫煙を吐き出す。
「そういえば昨日、あいつとやっちまったんだよねぇ…」
アドリアンは昨日ジャンヌとの情事を思い出す。
「へっ。なかなかいい感じに俺好みに育ちやがって」
18歳となったジャンヌの体はアドリアンの予想以上にエロティックな体へと成長していた。
雪の様に白い肌、ほどよい肉つきに、形の良い大きい乳房。
普通の男だったら涎がでるほど欲するであろう。
「感度もいいし、セックスの相性も良し…と。俺の思った以上だったねえ」
と満足そうににやつきながら、短くなったタバコを灰皿に押し付け消し、着替え始める。
ジャンヌの破瓜による血で染まったシーツをメイドに金を握らせて、
証拠隠滅するという計画を考えながら。
今日のヴァリエール家の朝食は微妙な空気に包まれていた。
カトレアとルイズとカリーヌ婦人は味わったことも無い異郷の味を楽しみ、
エレオノールは料理作るなんて平民のすることじゃない!と文句言いつつもなんだかんだで
美味しかったらしく、けっこうスプーンの進み具合は軽い。
ヴァリーエル公爵はすっかり近所のお見合いおばさんもといおっさん化し、
次のエレオノールの見合い相手を誰にしようかと頭を抱えながら悩む。
ルノワール子爵はいつもの柔和な顔に密かに父親としての嫉妬とも怒りとも言える
何ともいえない感情をもってアドリアンを笑顔で睨む。
その子爵の視線を浴びせられているアドリアンは胃をキリキリと締め付けられ、食事を取る
動きが鈍い。
そんな二人の心情を知っているジャンヌは幸せそうにニコニコと心の中でアドリアンに
「あんたのような罪作りは一生その業を感じ生きていきなさい」言い、愉しげで魔女の
ような紫色のオーラーを放って眺めていた。
楽しく微妙で気まずい(二名)朝食が終わり、
アドリアンは庭園の庭にある白く薔薇の装飾がされているチェアー ガーデニングに座り、
タバコを吸いながら屋敷を眺めていた。
「明日は俺も学生か」
と背伸びをする。
本当ならアドリアンは別に学校などどうでもよかったが気がかりな事があった、その気がかりは
妹である。
恐らく妹は魔法が使えない理由で苛められるであろうと思った。
妹はたしかにヴァリーエル家の人間に相応しく気高く意地っ張りで頑固な所がある、
だが性根は(こんな事をを言ったらおかんに殺されるが)母親と似てけっこう脆い、
そういった脆さをルイズはプライドと意地で凝り固めていくのだろうがやはりそうやって
生きると絶対心に亀裂が生じると感じた。
それに恐らくアドリアンの偏見もあるが、生徒のほとんどは典型的な貴族のクソガキが多い
と思っている。
奴らはきっとルイズを精神的にじわじわと追い詰めて苛めるに違いない。
たしかに個人的にルノワール一家、ジャンにゼッサールにマザリーニ枢機卿、そして数年前
アルビオンへ家族旅行で行ったとき出会った金髪で爽やかな笑顔が眩しいウェールズ殿下と
貴族もなかなか捨てたものではないと思う人物は多い。
しかし大半の貴族は悲しいかな、己の私腹を肥やし…そこはどうでもいいむしろこれくらい
図太く無ければ貴族として生きていけないしそういう能力も必要だ、しかし手段がよろしくない。
平民をゴミクズや家畜とみなし血税を吸い上げ虐げるような連中が多い。
そしてその子供達もろくでもないのが多かった、
今まで会った貴族の子息の大半は自分が偉いのだと勘違いして、
貴族の特権を振りかざし威張り散らしているのが多かった。
そんな妖怪共が群れとなす箱庭に可愛い妹を一人で放り込むなど
アドリアンには耐えられるはずも無く、妹と同じ時期に入学する事に決めた。
「まぁ、俺も親父の権力のお陰でこうやって無事に生きていけられるんだけどねぇ」
アドリアンは思う、家族を守ると誓っておきながら結局自分は父や母に護られてるんだなと…。
もし父や母の身分が低かったら自分は単身に奴らの毒蛇の如き牙と戦う毎日だったんだと。
それはそれでいい、一人で戦うのは慣れているしその覚悟もある。
だがそうだとして今のように家族と笑いあって生きていけるのかと自問自答する。
そう思うたびにアドリアンは父と母の偉大さを知りそして感謝をする。
自分がこのハルケギニアで明るく笑っていけるのも父、母、そして家族と友のおかげなんだと。
「結局人と人は支えあって生きるか…その通りなんだねぇ。一人でいきがっても…
しょうがないってわけか」
アドリアンはタバコを消して、また新しいタバコを取り出し吸う。
「へっ。またらしくもねぇ事を…。ま、俺は俺でてめぇでやれる事をやるしかねぇか」
「そう思ってるならちょっとは自重しなさいって言ってるの!」
突然ジャンヌがアドリアンの後ろに忍び寄って目を塞ぐ。
「ジャンヌかよ」
「そそ。ご名答」
ジャンヌはにこりと笑って回るようにアドリアンの前に行き抱きつく。
「こんな所でなに黄昏れっちゃってるの!全然渋くない」
そう悪戯ぽく笑い、人差し指をふっくらした悦のある唇に当てる。
「うるせーよ阿呆、別にかっこけつじぇねぇよ」
アドリアンも笑いジャンヌの頭に手をやり、顔を上にやり屋敷を見る。
「ただよ…、明日からしばらくこの家ともおさらばだな…てよ」
「ええ?、まだ学校に行って無いのにもうホームシック?可愛いねぇ~」
「ち、タコスケが。別にそんなんじゃねえよ、ただもう16年たったのかって思ってよ」
アドリアンの寂しげな瞳を見てジャンヌも屋敷を見る。
「16年か…そういえばそうね…私なんかもう18歳だしね…」
ジャンヌはしばらく何かを思い、口を開く。
「私ねアドリアン」
「なんだよ?」
「前世の頃夢があったの」
ジャンヌはアドリアンから離れ後ろ向きで歩く。
「夢?」
「そう。私の前世の時…小さい頃ね。アニメていう絵が動く…、簡単に言えば高度な紙芝居…
ていうのかな?そういうのがあってね、その無数にある作品の内ですっごく憧れたアイドル
のキャラがいたの」
そうジャンヌは後ろに振り返ってゆっくりと歩き出す。
「すっごく可愛くてね、綺麗で歌とか上手で、その話の世界ではアイドルの国と宇宙から来た
侵略者とすっごい戦争しててね…でもその子の歌を聴いた侵略者の一部がそれに感動してね
最後はアイドルの国と歌に感動した侵略者が手を取り合って悪い奴を倒したのよ」
「へぇ。なかなか斬新な話だねぇ」
「素敵は話よね。私は子供の頃そのアニメを見てすっごく感動したもの、だから私も大きく
なったらアイドルになって地球の全部の人たちの手と手を取りたいなって思った」
「それがお前の前世の頃の夢か?」
「うん。だから私はお父さんやお母さんに頼み込んで東大に行くって条件で歌とかダンスの稽古
したの…東大受かった日に死んじゃったけどね」
ジャンヌは当時の事を思い出し寂しそうに笑い…そして片足のつま先をトントンと地面に
叩いてリズムを取りながら口ずさむ。
「Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ…」
とアドリアンの方へクルッと回ってにっこり微笑んで。
「天使の絵の具」
そう言ってエプロンを脱ぎ天に投げる。
ヒラヒラと宙に舞うエプロンはテープの様に落ちる。
ジャンヌは口ずさんで杖をマイク代わりにして振り付けをしながら歌う。
アドリアンは異世界の曲を歌うジャンヌをじっと見ていた。
ヴァリエール屋敷の周りに明るくも切なげなメロディーが流れる。
それを聞いた屋敷中の者は途中で作業をやめ、しばらく聞き浸っていた。
そして歌が終わり、ジャンヌは両手を腰に組んでにこりとアドリアンを見る。
「この世界も歌で皆が一つになればいいな…。ま…現実はそこまで甘くないけどね」
とジャンヌはステップしながらアドリアンに近づいて抱きついた。
王都トリスタニア王城のとある一室。
円卓の真ん中にある燭台の光が闇に包まれた部屋を照らす。
周りには数名の厳しい表情をした貴族が座っていた。
「己…あの小僧…」
一人の貴族がワイングラスを砕かんとばかり強く握り締め、ぎりぎりと歯を鳴らす。
「ウィンプフェン参謀長落ち着きたまえ」
奥に座るリッシュモンがウィンプフェンを制す。
「これが落ち着いてられるものですか!あの小僧のお陰で私の威厳が失墜したわ!
おかげで部下から影で「少年一人を吸血鬼退治に送った臆病者」と陰口され
それを1年も耐えていたのですぞ!」
テーブルを思い切り叩いてリッシュモンに怒鳴り、それが引き金になりざわざわと
周りが騒がしくなる。
「まさかあの小僧が吸血鬼どもを滅するとは思いませんでしたからな…」
ポワチエは顔を苦々しく歪ませ腕を組む。
「まったく!ワルドもゼッサールも勝手にヴァリエール公爵とマザリーニの鳥の骨めに許可
もらい、奴の後を追いよって!!」
「おかげで奴らと会議にいなかったグラモン元帥以外、我ら軍部は良い笑いものだよ!」
「ヴァリエール公もヴァリエール公もだ!、その場にいたアニエスという女をシュヴァリエの
推薦して貴族にしおって!、これではゲルマニアの野蛮人どもと同じではないか!」
「知っておるか?噂だがヴァリエール公は不仲であったはずの鳥の骨と共謀してトリステインの
改革を密かに推し進めてるのを」
「まことか!?。それが本当なら最悪ではないか!…ヴァリエール公め…トリステインの大貴族
であろう者がそんな事しおって…。あの小僧の猛毒にやられたか!?
貴族の伝統をなんと心得る!」
ざわざわと憎悪の言葉を走らせる貴族達にリッシュモンは満足に笑い、手で制する。
「まあ落ち着け皆の物、貴殿らの気持ちはよくわかる。だからこそこの場へ皆を集めたのだ」
と一息入れて口を開く。
「貴殿らはこの1年よう耐えた…。
わしはあの狂犬を抹殺する計画を立てようかと思うたのだ。
どうであろう?協力してもらえるかな?」
その言葉に周りが歓喜のざわめきとなる。
「それはいい!。我らは何度あの狂犬に頭を悩まされてきたか!奴のおかげでトリステインの
伝統に綻びを生じていたからな!」
「リッシュモン法院長!あの小僧めを殺すというならなんでも協力しまぞ!」
「やりましょう!。あの狂犬…!いや!狂犬だけではない!ワルドやゼッサールも闇へと
葬りましょう!」
貴族達が大喜びで騒いでいる中、一人難しい顔をしたウィンプフェンは口を開く。
「だが、どうやってあの狂犬を殺す?相手は吸血鬼四匹を殺すほどの実力者だぞ…。
やつを相手にする事は恐らくトリステインの全ての軍を動かさければならぬのだぞ?
さらにワルドなぞ最近では「烈風のカリン」に匹敵するやも知れんほどの噂を持つほどまでの
実力を持つ、そんな連中を簡単に殺せると思うのか?」
その言葉を聞いて辺りが沈黙を作る。
だが、リッシュモンは笑みを崩さず紅茶を飲みながら口を開いた。
「ウィンプフェン参謀長の心配もわかる、たしかに暗殺も考えたが吸血鬼を殺すほどの実力者だ
万が一の事もあってそれは諦めてしまったが…
心配する事は無い、なぜならわしはアルビオンから 協力者を得た」
その言葉に貴族は驚きを色を見せる。
「ア…!アルビオンですと!?。何故アルビオンが!?いったい何者なのです?」
「それは私が説明しよう」
闇の中から金髪の聖職者姿の男が現れた。
「ようこそお目にかかる。親愛なる同士の諸君…。私の名はオリヴァー・クロムウェル。
まあ、まあ今は一介のアルビオンの聖職者にすぎんが、
リッシュモン法院長からハルケギニアの貴族の存亡の危機と聞いてこうして参上した」
そのクロムウェルと名乗った聖職者にポワチエは眉をひそめ苦々しく言う。
「一介の聖職者?舐めてるのか貴様!、たかが聖職者一匹に何ができると言うのか!?」
「まあ、ミスタ・ポワチエ、彼の言葉を聞け、文句はそれからでもよいであろう」
困った顔をしたリッシュモンはポワチエを制す。
「ふふ、貴殿がそう言うのもわからないでもない。私はたしかに今は一介の聖職者…だが
私は今の貴族の現状に憂いレコン・キスタなる組織を作っている」
「ほう」
ウィンプフェンは興味深そうに顎をかく。
「今のアルビオンもろくでもない状態であるからな…貴殿らの気持ちは痛いほどわかる。
だからこそ、そういった今の貴族社会に憂いてレコン・キスタを結成した。
今はまだ小規模の組織だが、今や続々と貴殿らと同じく志をもった貴族が同士として
集まりつつある、その規模はこれから益々膨れ上がるであろう」
「それは頼もしい事だ…それほどの御仁とは知らず怒鳴ってしまい、申し訳ない事をした」
ポワチエはクロムウェルに頭を下げる、それにクロムウェルはにこりと微笑む。
「頭をお挙げください、私もいきなり一介の聖職者と言ってしまい、
貴殿らに誤解をさせ、不安にさせてしまったのは詫びよう」
とクロムウェルは一度咳をして。
「話を戻そう。 私はこのリッシュモン法院長から、あのアドリアンという少年により
あなた方が屈辱を味わい、そして貴族の伝統及び存亡の危機が訪れていると聞いた。
そんな事になれば始祖ブルミルが創ってくれたこの理想郷が破壊されるであろうなぁ。
それは私としても懸念すべき事だ…。
なので我がレコン・キスタを持って貴殿らに協力したいと思う」
「ミスタ・クロムウェル。貴方の御協力、そしてその志、感謝する。
情けないながら……私は怖かった…あのアドリアンという小僧めがいつ私達に
あの凶牙を放ってくるか…。
あなたの様なものが協力してくれるのなら…これから安心して眠れるであろう…」
ウェンプフェンは汗をかきながら、申し訳無さそうに言う。
「恥ずかしがる事はありません、あなた方に眠る恐怖も打ち払うために私はここに来たのです」
クロムウェルは一息を入れて、杖を掲げ盛大に声を張り上げる。
「あのアドリアンという小僧を殺すにしても色々と計画を立てなければならぬ。
なんせあの悪魔の情報は少なすぎるからな、じっくり念入りに情報を集め、計画を
練らなければ成功しないであろう…恐らく実行するまでに1年はかかるかも知れん。
だが誓おう!我がレコンキスタは貴殿らを協力し、あの悪魔を打倒すると!。
そして護ろうではないか!始祖ブルミルが創ったこの地を!貴族を!メイジを!!」
我はクロムウェル!。レコン・キスタの盟主にして虚無の使い手なり!!!
ついに学校偏です!
がんばってみんなを青春させたいと思います^^
ちなみにジャンヌがほざいてるのは例の某時空要塞…。