たとえこの身が灰になろうとも   作:マルシーズ

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ついにあの漢がやってきますお~~(・ω・)b


Ⅲ サイト

 

 

20××年、東京 吉祥寺。

 

 

井の頭恩公園のベンチに一人の少年がニコニコと箱を眺めながら座っていた。

彼の名は平賀才人(ヒラガ サイト)17歳のごく平凡の高校生だ。

身長は170cmほどの痩せ型で少し硬質の黒髪と少し太めの眉を持ち、黙っていれば

それなりに可愛い系のいわゆる童顔的な顔つきである。

成績は中の下LVで先生からの評価は負けず嫌いではあるが抜けてるという評である。

今日彼は秋葉原のPCショップで修理を頼んでおいたノートパソコンを受け取り、

意気揚々と帰宅し、途中休憩のためにこの井の頭恩公園のベンチに座っていた。

PCが治って彼は上機嫌であった、これを持って出会い系サイトに登録し初の彼女が作り、

脱童貞ができるという事を(出来るかどうかは別にして)。

だがそれ以上に彼の心を高揚させる掘り出し物があの町で手に入った。

「ふっふっふ」

彼はニヤニヤしながらその掘り出し物が入っている箱からロボットの模型を取り出す。

それは黒い基調に、綺麗な金の装飾がされており、巨大な蝙蝠のような羽、長い首、

赤く光る眼、ロボットにしては珍しい美しいラインの脚とヒール型の足、

脊髄のラインに沿うように蝙蝠のような翼を折りたたんで収納されてある、無数のビット兵器、

そしてそれが持つ武器は取り外し可能(という設定)の柄の長いショットガンの先についてある

液体金属を思わせる色の刃を持つ大鎌というなんとも悪魔的なデザインのロボットであった。

「ついに…ついに手に入れたぞぉ!ボークスの完成版ガレキのディス・アストラナガン!」

この模型、前々からほしがっていた代物であったが、なんせ値段は高くしかもガレージキット

なのでそんな代物を作る技量すらも無いので彼にとって高値の花の存在であった、(しかも

完全塗装版は限定もの)。

しかしたまたま中古ショップに覗いたら、完全塗装、組み立ての奴が見つかった。

相当値が張るが、これを逃したら後は無いと思い親に殺される覚悟で急いでATMに直行して

少ない貯金を引き出し購入した。

思わぬ掘り出し物が見つかり彼は人の目も気にせず上機嫌にそれを眺める。

とその時目の前に突如大きな鏡のようなものが現れた。

サイトはいきなり目の前に非現実的な事が起きて一瞬ビクっとしたが、元々好奇心が非常に

強い性格。彼の心は恐怖より好奇心が勝り無謀にもその鏡を触って中に入ってしまった。

 

 

 

 

 

世界を移って、ハルケギニアのトリステイン魔法学院の広場。

そこでは二年の生徒一同がが続々と集まり、メイジの必須テストでもある召喚の儀に望んでいた。

使い魔、その存在は魔法と同じくメイジにとって非常に重要な存在である。

この世界のメイジにはこういう言葉がある、「メイジの力量を知るなら使い魔を見よ」

そういう言葉がある通り呼び出す使い魔はそのメイジの力量に沿ったものが召喚されるので

これが成功するか否かはメイジにとっては死活問題である。

よってこの儀式が成功しなければ当然落第である。

それゆえに全ての生徒の意気込みは強い。

 

 

 

生徒達は気合を入れて次々と己の使い魔を呼び出す。

今年の生徒の呼び出す使い魔はかなり豊作であった。キュルケは大型犬の大きさもある火トカゲ、

ジャンヌはプレシオサウルスの様な姿の水竜の赤ん坊。

タバサにいたっては風竜を呼び出し周囲の度肝を抜かした。

「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!前に出なさい!」

コルベールは生徒名簿を見ながらルイズを呼び出す。

「はい!」

ルイズは緊張しながら前に出ようとする。

ジャンヌはルイズをガチガチに固まった妹のような娘に優しく背を叩く。

「そんな緊張してると、失敗しなくていい物も失敗しちゃうぞ?」

と言う。

ルイズはそれに力強く頷く。それを見たジャンヌは「やれやれ」と苦笑いした。

しかしルイズがここまでガチガチになるのも当然だ。

彼女は学院に入ってからもやっぱり魔法を使うことができず爆発ばかり引き起こして

そうとう困った状態であった。

それを見た生徒は普通馬鹿にする所であったが…やっぱりアドリアンの事が恐ろしく馬鹿に

する事は無かった、

だがその中にうっかりと彼女の事を「ゼロのルイズ」と馬鹿にする者がいたが、

それを地獄耳が如く聞いたアドリアンはぶち切れてその生徒を半殺しにしてしまい、

また数週間の停学を喰らったのも言うまでも無い。

ちなみにアドリアンというと、度重なる停学と謹慎により進級が危ぶまれていたが、

彼の成績は座学の評価は興味無い学科以外、意外にいい点を取り魔法においては学園中

トップの成績というはちゃめちゃな成績でなんとかぎりぎり進級ができた。

もっとも、コルベール、オスマン以外の教師が

こんな手に負えない問題児はさっさと卒業していなくなってくれと願う理由もあったが…。

今ちなみに彼は、一週間前に知り合いの田舎マフィアから自分のシマである村がオーク、

コボルトなどの群れが大量に襲い掛かり手に負えないで加勢してくれと言う手紙が届き、

それを読んだ彼はマフィアどもの不甲斐なさに切れて、亜人どもの殲滅とマフィアに気合を

入れるために単身に馬で向かったという、この儀式にはぎりぎり間に合うように帰ると

仲間に言付けはしていたが。

 

 

 

 

魔方陣を作り、いざ召喚を詠唱をしようとしたその時、目の前から数10メイル離れた場所に

ひとが集まっていた。

良く見るとルイズの兄の取り巻きの男女の生徒とシエスタ、マルトー始め使用人達だった。

皆はなにかごそごそやって桃色の大きな旗を取り出して振りはじめた、その旗には

「がんばれ!我らのお嬢!」と大きく書かれていた。

それを見た周りはクスクスと笑い始め、ルイズは少しの感謝を感じながらもやはりこれでは

羞恥の感情の方が勝ってしまい顔を赤くして「勘弁して…」と心底恥ずかしそうに俯く。

そしてルイズはなんとか顔を引き締めしっかり顔を魔方陣に向け唱えだす。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。

 五つの力を司るペンタゴン!我の運命に従いし使い魔を召喚せよ!」

そう力強く唱えると魔方陣から煙が回るように出てくる。

それを見た生徒達は「ついに魔法が成功したか!」とざわめいた…。

だがやはり魔方陣から轟音と共に爆発が起きてしまい、何も出てこなかった。

ルイズは頭を振り、「こんなの想定内」とつぶやき、また詠唱をする。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。

 五つの力を司るペンタゴン! 我の運命に従いし、使い魔を召喚せよ!」

再度気合いれて詠唱するのもやはり爆発が起きて何も起きない。

生徒達はそんなルイズを見て嘲笑しようにもやっぱりアドリアンが恐ろしくて嘲笑もできず

何も出来ないでいる。

ジャンヌとタバサは心の中で応援しながらもじっと彼女を見据え、

キュルケ、モンモラシーも文句いいながらもしょうがないわねえと彼女を応援し、

ギーシュに限っては自分の使い魔であるつぶらな瞳が特徴のジャイアントモールを抱き締めなが

ら、気障ったらしくバラを挙げて「大丈夫僕がついてる」と応援するが、

ルイズに「気が散る!」と叱咤された。

 

 

 

ルイズはそれからも何度失敗しても詠唱を続けた。

日はもう暮れ、生徒の中には「もうやめにしてくれ」と抗議が出るが、コルベールはそれを

一蹴。

だがたしかにもうすっかり日が暮れもうすぐに夜になろうとしている。

本当ならさっさと切り上げたいという所だがいまだ目の前の少女は一向に魔法を成功しない。

さすがにマルトーなどの料理人達は夕飯の支度をせねばならず、申し訳ない顔をしながら

その場を離れた。

生徒達もすっかり飽き飽きしてあくびを出すものもいる。

コルベールとしてもまだ続けさせてやりたいところだが、このままでは埒がいかない、

彼は苦渋の決断をして、続きは特別に明日にさせてやめさせようと足を踏み出した。

その時、ルイズが爆発をおこして作った煙からなにかのシルエットが帯びる。

コルベールやジャンヌ達は顔を綻ばせルイズの元へ駆けつけた…だが…。

「あんた誰?」

ルイズは微妙そうな顔をして召喚されたものに問う。

召喚されたものは黒い髪とまだ幼そうな顔立ちに中肉中背の体格で、ハルケギニアではまず

お目にかかれない服をきている妙な少年であった。

「げほ!ごほ!誰って…。俺は平賀才人だよ」

サイトと名乗った少年はゲホゲホとむせる。

ジャンヌはむせる少年を見て冷や汗をかきながら嫌な予感を感じていた。

「どこの平民?」

ルイズは微妙な顔を崩さずに言う。

「どこの平民って…お前…貴族みたいな言い方だな」

「どうみても貴族なんですけど…私…」

「はぁ?おま!ここはどこだと思ってんだよ!日本!東京!吉祥寺だぜ!?

 なんでそんな所に貴族がいるんだよ!」

サイトのその台詞にジャンヌは懐かしさと共に…やっぱり嫌な予感が当たったと頭を抱える。

「にほん?とうきょう?なにそれ?」

「ほわっつ!お前…!」

文句を言う途中彼は…とんでもない物を見て唖然とした。

二つある月…どこのドラクエだと言わんばかりの西洋的中世の建物そして…そこにいるものは

マントと来た少年少女が多数…しかも金色…それはどうでもいい、中には青とか赤とか

の髪色をしている…さらに目の前の少女はピンク色の髪をしていて、お前はどこのHI●E

だ!馬鹿野朗!と思った。

サイトは思った。井の頭公園にどこぞのテロが幻覚ガスを撒き散らし、俺はそれを吸って

こんな幻覚を見たのではないか…と。

「おい!お前!」

「お前って!平民のくせになんて口を聞いてんのよ!

ルイズは無礼な口を放つサイトを怒鳴るが彼はそんな事気にもせず、ルイズ両肩に手をおいて

深刻な顔をして口を開く。

「殴ってくれ」

「はぁ!?」

「これは幻覚なんだ!そうだ!そうに違いない!お前の拳で俺の眼を覚まさせてくれ!!!」

「よしきた!」

「蹴りですかーーーーー!」

サイトの目の前に何者かの足の裏が飛んできて蹴り飛ばされた。

サイトは白目を剥いてこふ!こふ!とぴくぴくと痙攣する。

その蹴りは強烈で彼の頭の中で脳みそがぐわんぐわんと揺れていた。

サイトは朦朧とする意識をなんとか立ち直しながらフラフラと起き上がる。

「だれだでめえ…!って…フ!フリオニール!?」

サイトは目の前にいる、多分自分を蹴り飛ばしたものを見て驚愕した。

その者はサイトをお馬鹿な子を見るような目で見るアドリアンであった。

(なんだ!コイツ・・・!昔のFFの絵に出てきそうな人相悪い目しやがって…!…て

 なんか片目に傷があるぞ!?…ヤクザ!?最近のヤクザはFFのコスプレするのか!?)

「こら!アドル!」

ジャンヌは顔をしかめアドリアンの頭をはたく。

「あんだよ…」

「あんだよじゃないっての!めっちゃ遅刻じゃない!もう日が暮れちゃってるわよ!!」

と片手で闇夜に光る二つの月を指で指す。

「そうですよ!まったくどこまでほっつき歩いてるんですか!」

同じく顔をしかめたルイズはアドリアンの背中に飛びつき頬をつねる。

「お前…最近俺に厳しくないか?」

「とーーーっぜんです!。お兄様ったら停学謹慎の繰り返しばっかじゃないですか!

 今回はなんとか進級できましたけど来年は下手したら私の下級生になっちゃいますよ!」

さらにルイズは兄の頬をつねる指に力を入れる。

「ほらほら~、二人ともいい加減にやめなさいよ?ダーリンが困ってるわよ?」

ため息をつきなが止め様とするキュルケに二人は睨む。

「そうやってアンタがアドルを甘やかすからつけあがるんじゃない!。駄目な子になったら

 どうすんのよ!」

「お前は俺のおかんか」

(だーりん!?…だとぉ!?あの褐色巨乳姉ちゃんはあの兄ちゃんの彼女か!?しかも蒼い髪の

 姉ちゃんもそれっぽい雰囲気だし…まさか!!二股!?二股なのか…?…ジーザスクラーイスト…。

 しかもあのピンク…あのおっかない兄ちゃんの事…兄さまって…

 まさか…あれが兄なのか!兄なのか!?全然似てない…)

「なんか言ったか?小僧」

「いえ!なんでもないっす!はい!なんでもないっす!二股してるとか兄妹そろって

 似てないって言ってないっす!!!…は!」

アドリアンに胸倉掴まれたサイトは元々混乱していたのもあって思わず恐ろしい事を口走って

しまい、顔を青ざめ手で口を塞いだ。

二つの月が光る夜…、アドリアンにぼっこんぼこにされたサイトの悲鳴が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとかアドリアンはジャンヌとキュルケに諌められ一端は落ち着き、

コルベールは滝のような汗を流しながらサイトに今の現状を伝えた。

サイトは使い魔としてこのハルケギニアに召喚された事、

そしてこの使い魔の儀を成功させないとルイズは留年してしまうこと…。

サイトはようやく頭をフル回転してこの現状を悟った。

自分はこのピンクのテストのために異世界に召喚されたという事に。

(ジーザス!なんてこった!この俺がダンバインみたいな現象を体験するはめになるとは!!。

 ま…いっか)

元々彼は楽天家な性格。なんとかなるだろうと軽い気持ちで納得させた。

しかし…その時ギーシュがサイトの命を脅かす事を口走った。

「そういえば…ルイズはこのサイトなる平民に契約の義をやるんだよね?」

その言葉で場の雰囲気が一気に絶対零度の冷気で凍りついた。

ルイズは目に涙を貯め露骨に嫌な顔をし、ジャンヌ、キュルケ、モンモラシー、ギーシュは

サイトに向かって手で十字を切る。

サイトの背後から無表情のタバサがぽんと肩を叩き「がんばれ」と声をかける。

彼はこれから何が起きるんだと顔を青ざめ挙動不審に周りを見る。

その時アドリアンと目が合い、全身から泡立つように鳥肌がびっしり浮かび上がり、だらだらと

油汗を流しながら心が凍りついた。

アドリアンの顔からみるみる無数の血管が浮かび上がり目が赤く染まる。

サイトは…その顔を見て愛読していた格闘漫画の主人公の父親を思い出した。

(鬼!ここは恐ろしい貌をした鬼が棲んでいるっっっっっ!!!)

腰がガクガクと振るえ膀胱が暴れだし、溜まりきった水分を押し出そうと猛り狂う。

さすがに漏らしたら状況が悪化しそうなので、下半身の力をフルに引き出しなんとか

抑えることに成功する。

「と…とりあえず!アドルは私達がなんとかするから、ルイズちゃんはこの子に契約しなさい!」

ジャンヌはサイトに申し訳ないと思いつつ、とにかく今の状況をなんとかしないと

サイトが殺されると思いアドリアンを抱き締め、さすがのキュルケもやばいと思いアドリアンの

両目を塞ぐ。

「やだ」

「やだって!!!?」

あっさり切り捨てるルイズにジャンヌは馬鹿ーーー!と叫ぶ。

「だって…せっかく召喚成功させたのに…よりによって平民を召喚するなんてぇ~」

ぽろぽろと泣くルイズをジャンヌは両手でつねる。

「こら!そういう言い方しないの!この子だって好きで召喚されたわけじゃないのよ!?」

「ひっぐ…わかってるけど…わかってるけど…」

やれやれと思いながらルイズの頭を抱いて撫でてやんわり言う。

「気持ちはわからないでもないけど…とりあえず今はこの子を助けるために抑えとくから今のうちに

 さっさと契約の儀式して終わらせようね? このままじゃアドル、サイトって子半殺しにしちゃうから」

「まじでーーーーーー!?」

それを聞いたサイトは絶叫する。

ルイズは涙を拭き、ズカズカとサイトに近づいて彼の頬をがしっと掴む。

「…我慢しなさいよ…ていうか…私が我慢するんだけど…ね!」

きっと涙目で睨むルイズにサイトは無言で頷く。

「はいはい!アドルも我慢しなさいよ!?ルイズちゃんだって我慢するんだから!

 兄のアンタが我慢しないでどうすんのよ!!」

抱き締めながら説教するジャンヌの言葉にアドリアンはしぶしぶ承諾する。

ルイズは一息を入れ、ぶっきらぼうにルーンを唱え出した。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリーエル。

 五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

呪文を唱えたルイズはゆっくりと震えながら顔を近づけさせる。

「ちょ!ちょっと!!!おま!!!」

ルイズの唇とサイトの唇が合わさった。

(…これが…契約の義って奴?なるほど!これじゃシスコンだと思われるあの兄さんが

 ぶち切れるのも無理はない)

とサイトはおそろおそろとアドリアンを見るが…アドリアンはキュルケの手で両目を塞がれ、

体はジャンヌに抱き止められているのでほっとする。

「ふぁ…ふぁーすと…キスだったんだから…」

契約の義を終えたルイズは涙をぽろぽろと流しながら擦れた声で言う。

(泣きたいのはこっちじゃーー!ダァーロー!こちらたぁ!勝手に異世界に召喚されたあげく、

 あのおっかない兄ちゃんに命脅かされそうになっとんのじゃああああああああ)

そう叫びだしたい所だったが…アドリアンがおっかなくてなんとか堪えた。

「と…とりあえず無事?に契約の儀を終えましたね」

コルベールはヒヤヒヤしながらも言う。

その時サイトの手が焼け付くような感覚に襲われた。

「ぐわあああああああ!あっちい!」

あまりの熱さに手首を押さえる。

「すぐ終わるわよ!。あんたの体に使い魔のルーンが刻まれてるだけだから」

「刻む!?俺は贄なのか!?」

サイトは恐る恐る手の甲を見たが、刻まれているルーンは例の烙印ではなくてほっとした。

「と…とりあえず。ミス・ヴァリエールの召喚の義はこれで終了しました」

コルベールは咳をしてアドリアンを見る。

「次はミスタ・ヴァリエールの番ですぞ?前へ出なさい」

「へいへい」

アドリアンは言われた通り前へ出る。

ルイズ達はサイトを連れて行き、生徒達の元へ戻る。

すると生徒達は一斉に避難する様にさらに間を空ける。

「どうしたのよ」

ルイズは不機嫌そうにぽっちゃりの男子に問う。

「どうしたって…。お前…あのアドリアンが召喚する使い魔だぞ!?何が出てくるかわからない

 だろ!下手したら凶暴な奴が出てきたらどうするんだよ!」

震えながら言うぽっちゃり…もういいだろう彼の名はマリコルヌと言う名である。

マリコルヌの言葉にルイズ達は納得して頷く。

「え?え?また何か起こるの?」

サイトは周りのやばそげな雰囲気に嫌な予感を感じさせる。

「じゃ、やりますかい」

アドリアンは気だるげに魔方陣を地面に描き、詠唱しだす。

「我が名はアドリア…以下省略」

と適当に呪文を唱えた。

すると魔方陣から凄まじいほどの風が吹き出し、何かが現れる。

それを見た生徒達はごくりと唾を飲みそれを凝視した。

それは、ライオンほどの大きさに、狼のような体躯、鋭い銀の爪、硬質の長い尻尾と

長い角のドラゴンの貌と銀に輝く長い鬣と毛をもった獣のような

ドラゴンのような生き物であった。

「おお…」

コルベールは見たこともない…幻獣だと思われる竜?に驚きを色を見せる。

アドリアンとその竜は互いに貌を向ける。

そして長々と睨みあったあとアドリアンは嬉しそうな顔をして生徒達に向かって

呪文を唱えた。

「ライトニングプリズン」

杖から電撃が飛び散り、アドリアンの周り半径50Mほどの電撃のドームを作り出す。

「アドリ…いやミスタ・ヴァリエール!何を!?」

「こいつ…使い魔にしたかったら俺を倒してみろだってよ…くっくっく、いいねぇ」

アドリアンは歓喜に肩を震わせる。

その時竜は強烈な雄たけびを放ち周りの生徒達の体と鼓膜をびりびりと震わし飛び掛る。

アドリアンは腕で防ごうとするが竜の顎が腕に噛み付く。

それをアドリアンはにぃと笑いそのまま持ち上げて振り上げ膝に叩き付けた。

竜のテンプルが肘にめり込み口から血を吐きながら顎が外れる、それをアドリアンは腹を

目掛けて思いっきり蹴り上げた。

ギャゥ!と声とともに竜は空へ飛び上がり、竜は地面に堕ちる前に背から翼を出し舞い上がる。

目をギラギラと赤くしながら睨む竜に向かいアドリアンは悪鬼のような笑みを作った。

「くっく。てめぇの力はそんなもんじゃねぇだろ?さっさと来な…もっと遊ぼうや…」

「カァーーーーー!!!」

竜は怒りの咆哮を挙げて突っ込む。

「?」

クワっと口を開きそこから黒い炎のようなものを吐き出してきた。

アドリアンは素早く詠唱をし、自らの前に回転する風の壁を作り出しそれを防いだ。

風の力で遮られた黒い炎は四散し、まだ生き残ったものは地面に付着し土を腐らせる。

「へぇ…、闇の力で構成されたブレスってわけかい」

闇のブレスを防がれてもまだ勢いを衰えず襲い掛かる竜に目掛けて拳を放った。

「ギャゥ!ガ…ア!!」

アドリアンの拳が竜の口内を打ち、喉までえぐりこませる。

そして頭を掴み何度も腹に膝を入れ、横顔に目掛けてハイキックを放ち吹き飛ばす。

バウンドしながら地面に叩きつけられて倒れこむ竜に飛び掛り、馬乗りになって何度も

顔を殴りまくった。

 

 

 

 

 

 

 

アドリアンと竜の戦いに回りは唖然と見る。

「わ~、やっぱダーリンって強いわねえ…。こりゃ先生方もびびるわけね…」

キュルケの言葉にジャンヌは無言で頷く。

思えばあれが本気になって戦ってる所は彼女も初めて見る。

ジャンからはあれとはまともにやりあわない方がいいなと聞いていたが、この戦いを見て

ほんとそうだと感じたのと同時に。今まで散々自分達の前で暴れまわっていたがあれでも相当手加減していたんだなと思った。

「おめぇの兄ちゃん…なんだよ…ありゃ…化け物みてえに強ぇじゃん…

 しかもけっこうえげつねぇ…」

サイトはまるでヤンキー漫画みたいなやり方で超人漫画のようなパワーで戦うアドリアンを

見て開いた口が塞がらなかった。

「とーぜんよ!兄様に適う奴なんてハルケギニアどこ探してもいないわ!。

 2年前なんか吸血鬼4人を倒したんだし」

「…まじっすか…」

ふふんとルイズはまるで自分の事のように兄自慢する。

 

 

 

アドリアンに散々殴られまくった竜はよろよろと立ち上がる。

そして彼に向かって平伏し、ここに使い魔の印を刻むがいいと額を見せる。

アドリアンはそれを見てにやりと笑い、ルーンを唱え掌に杖でルーン文字を刻みそれを竜の額に押し当てた。

コルベールはやり方が違うだろ!と心の中で突っ込みを入れたが、きちんと竜の額にルーンが

刻まれているので…まぁそれは二人きりの時に聞くからいいかと思い、良しとした。

しかしコルベールからそのやり方をルイズに教えればいいんじゃないかと言われて、妹を傷

つけたくない事とサイトとキスをさせたくなかった心がせめぎあってもがき苦しむアドリアン

の姿を見るのはそれはまた少し後の事であった。

アドリアンは心の中で竜に問う。「お前の名はなんだ」と。

頭の中で竜の言葉が響いた。

狼竜(ろうりゅう)ヴィトー…

「そうかい。なかなか洒落た名前だねえ…マフィアっぽいし」

アドリアンは嬉しそうにヴィトーの頭を撫でた。

 

 

 

 

 

コルベールは生徒に向かって手を叩く。

「誰も落伍者が無く皆全員無事(?)に召喚の儀を終えてなりよりです」

と心の底からコルベールはそう思った。

「ではこれで召喚の儀は終わりとします。皆さんご苦労様でした」

生徒たちはようやく終わったと、フライを唱えて次々と一斉に浮いた。

サイトは次々と飛ぶ生徒達の姿を見て口を開いたままであった。

まぁ事前にこの世界の事はルイズに聞かされてたし、目の前で散々暴れまわったアドリアンを

見たのもあり、それくらいじゃなんとも驚きもしなかったが。

アドリアンはその場に残っているルイズ、サイト、ジャンヌ、キュルケ、タバサにギーシュと

モンモラシーの馬鹿ップルに向かって笑みを作り口を開いた。

「とりあえずよ、マルトーの親父がみんなの為に飯作ってくれたと」

その言葉を聞いてサイトと相変わらず無表情のタバサ以外(といっても目はキラキラ輝いている)

全員喜んだ。

「おい小僧」

「は!はい!!!!」

アドリアンに声を掛けられたサイトは殺されると思い体がびくっとする。

そんなサイトにアドリアンは彼の頭をバシっと叩き笑みを作った。

「お前も来な。おっさんに頼めばお前の分も作ってくれるだろうよ」

「い…いや…遠慮しときます…」

サイトは意外といい人なのかもと思ったが、やっぱり怖いのか苦笑いで断った。

「ばーたれ。せっかくの好意を無視すんなよ」

アドリアンはサイトの顔面を殴ったあと担ぎ上げて踵を返して皆に向かい。

「じゃ、みんなで飯喰いにいきますか」

「「「「「おーーーーーーーー!」」」」

アドリアンの言葉に皆は喜んで拳を上へ挙げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アドリアンに担がれてサイトは心の中で思った…。

 

せっかくディス・アストラナガンのガレキ手に入れて…PC修理していざ出会い系をして

彼女作って…人生これからだと思ったのに…うっかりあの鏡に入ってこんな事になるんなんて

俺の馬鹿!馬鹿!馬鹿!

んで…異世界にうっかり行っちまって…、なぜかピンクな貴族の使い魔にされて…しかも…

ご主人様の兄様ときたら…スケコマシで…喧嘩めちゃくちゃ強くて…しかもド級のシスコン…

お…俺はこれからどうなってしまうんだ…。

こうなってしまうなんて俺の溢れる好奇心が恨めしい…。

俺は…これからどうなってしまうんだ…教えて…バー(自重)。

 

 

 

 

 

 




サイト=おれらの分身
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