第一話
-夢を見ていた。
少年には守りたい少女たちがいた。少年は少女たちを救う方法を見つけるために戦場にも赴いた。でも、世界は簡単ではなく、少年がどれだけ傷ついても、少女たちを救う手段を見つけることは出来なかった。それでも、少年は足掻いた。みんなで幸せな日々をすごす未来をみたかったから。約束を、守りたかったから。
「てやぁぁぁ!」
「うわっとと、せい!」
早朝。まだ寝てる人が多い時間帯に、僕は道場にいた。いつもは恭也さんに基礎などを教えてもらっているが、時々美由希さんと打ち合ったりもしている。
正面は無理…なら下から斬り込む!
「はあぁぁぁ!」
「っと、たあ!」
うわぁ…しっかり反応してきたよ…
「せい!」
「ぐっ、くっそ」
鍔迫り合いで勝てるわけがない…なら受け流して、
「てい!」
「!?」
足払いでバランスを崩せば!
「貰ったぁぁ!」
「うわっと、危なかったぁ…」
……うわぁいしっかり反応してきた。僕こういう無理ゲー大っきらい。
「二人とも、今日のところはそこまで!」
「っと、(やっと)終わりですか」
「ありゃ、もう終わりなの、恭ちゃん?私まだ動けるけど」
あんたは僕の心を木っ端微塵にする気か。
「一応続けたいなら続けてもいいが、学校の準備があるだろう?」
「あ、そうだね。じゃあ、続きは学校から帰ったあとで」
「ありがとうございました」
「ああ、それと悠斗、お前は攻撃する位置を目で見ながら攻撃する癖がある。その辺をなくしてしていこうな」
「はい、分かりました」
え?なんでそんな戦士必須スキルを平然と受け入れようとしているかって?この2年間、ちょっとでも手抜いたら恭也さん特製トレーニングフルコースをやらされたんだもん、そりゃしっかり言うこと聞くよ。あ、ちなみに僕、3年生になりました。図られたかのように他の4人とも同じクラスです。キリエも海聖小に入って2年生になってます。
「さて、それじゃあ朝の分は終わりだ。遅刻しないようにしろよ」
「わかってます。それじゃあ、これで失礼します」
「うみゅ〜、眠い〜」
「ほらアミタ、ちゃんとしろって。電柱とかに頭ぶつけても知らんよ」
「う〜、じゃあおんぶしてください〜」
「小学校3年生にもなってそんなこと言ってくるやつを、僕は生まれて初めて見たよ…」
「にゃはは…アミタちゃん、気をつけてね?」
「全く、うちのお姉ちゃんは…」
こんなんでもフローリアン家の長女なんだよなぁ…次女の方がしっかりしているってアニメではよくある話だけど、現実の、しかも身内がそれだとなんだか複雑な気分だよ…
「ったく、夜ふかしでもしたの?」
「あ、いえ、そういうわけではないんですが、ちょっと不思議な夢を見まして…」
「夢?」
「はい、私たちと同じくらいの男の子が、黒い何かと戦っている、みたいな夢を」
「あ、それ私もみたかも」
「あたしも」
「ありゃ、みんな似たような夢みてたのか」
「悠斗は見なかったんですか?」
「うーん、不思議な夢は見たんだけど、みんなとちょっと違うような感じなんだよなあ」
結局、あの夢はなんだったんだろう?妙に既視感があったのが気になるんだけど…
「と、バス停についたよ」
「ふー、これで少し眠れます…」
「よし、みんな、起こさずに放置しよう」
「えー!?なんでですか!?」
「なんでって、眠い原因が不思議な夢を見たことなのに、なのはとキリエは眠くないんだぞ?」
「うぅ、それを言われると…」
「まあまあ悠くん、その辺にして、バスに乗ろう?」
「そうだよ、悠斗。お姉ちゃんを弄るのはいつでもできるんだから」
「…そうだな。んじゃ、乗ろっか」
「ちょ、キリエ!?悠斗も、待ってくださーい!」
「はあ…」
「…ねえみんな、なのはちゃん授業で何かあったの?落ち込んでるように見えるけど…」
「いや、特に変なことはやってないし、怒られるようなこともしてないけど…」
「将来の夢、かぁ…」
「ああ、なるほど、納得した」
「納得しちゃうのか、まあ多分ここにいるみんな今ので納得してるけど」
昼休み。いつもの1:5という明らかにおかしい比率で屋上に集まっていた僕たちはなのはの様子を心配していた。
「で、一応聞いておくけど、どうしたのよなのは?」
「うん、今日の授業で将来の夢についての話が出たでしょ?それで、何かあるかなって…みんなは、何か考えてるの?」
「あたしは、パパとママの会社経営を継ごうかなって」
「わたしは、工学系の専門職につきたいと思ってるけど…」
「ちなみに、フローリアン3兄妹はグランツさんがいろんな仕事してるから、それの手伝いをしようかと考えてます」
うん、地球とミッドチルダの仕事で普通の仕事と魔法関係の仕事してるからね、別に嘘は言ってないよ。いろんな=複数とは言ってないからね。嘘言わない僕凄くいい子。
「そっか…みんなすごいね…」
「でも、なのはさんは翠屋を継ぐんでしょう?」
「あたし、桃子さんが作るケーキやシュークリーム好きだよ!」
「うん、確かにそれも将来のビジョンの一つではあるんだけど…なにか、ほかにやりたいことがあるような気がして…でも、それがなんなのかまだはっきりしてなくて…」
『なのは(ちゃん•さん)』
「それに、私ってなんの取り柄もないし…」
ん?なんだって?このおバカさんなんて言ったの?
『このばかちん!』
「ひゃう!?」
気付いたらアリサと一緒に怒鳴っていた…って、
「アリサ、食べ物を人に向かって投げるのはいくらなんでもどうかと…」
「あ、そうね…って、今はそうじゃなくて!なのは!なんでそういうことを自分からいうのよ!」
「そうだよ…なのはちゃんにしか出来ないこと、きっとあるよ…」
「アリサちゃん…すずかちゃん…」
「だいたいね…」
あ、これあかん、アリサが怒ってらっしゃる。
「あんたは理数はこのあたしよりも上でしょ!?それで取り柄がないとかどの口が言うわけ!?」
「ふええ〜!だってなのは、文系苦手だし、体育も苦手だし〜!」
「ちょ、ちょっと二人ともやめて!」
「そうですよ!二人ともダメです!」
「うわぁ、1年のとき懐かしいなぁ」
『そんなこと言ってないで、悠斗(くん)も止めるの手伝って!』
「と、言うわけで、色んな分野から調べてはいるんですけど、なかなかアリシアを蘇生させるための手段は見つかってなくて…」カチャカチャ
〈ああ、いいんですよ。こちらは手伝ってもらっているんですから、謝ってもらわなくても…〉
学校が終わったけど、恭也さんと美由希さんがまだ帰ってこない上に、みんなは塾に行ってるため、リニスさんに現状報告をしていた。
「いえ、こっちももう少し調べてみます。…それで、今そちらにいるのはリニスさんだけなんですか?」ガチャガチャ
〈はい、フェイトとアルフは訓練が終わって休憩中、プレシアは病院に行ってます〉
「あ、そうなんですか」カチャ
〈…ところで、悠斗は今何をしているんですか?〉
「ああ、ちょっとデバイス作ってます」
〈あ、そうなんですか…って、そんなことをちょっとお茶飲んでますみたいに言わないで下さい〉
「すみません、通信中に。でも、もう少しで完成しそうなんで」
〈いえ、構いませんが…ところで、どんなものを作っているんですか?〉
「ちっさいころから持ってるパーツを使って自分専用のデバイス、あとは妹たちへのプレゼント用のを。見た目とかは、見てのお楽しみってことでお願いします」
ちなみに、僕が持っていたらしいパーツも使ってる。取り敢えずコアパーツっぽかったのでコアパーツにしておいた。
「っと、そろそろ切りますね」
〈あ、はい。それでは、また次の連絡の時に〉
さてと、そろそろ恭也さんたちが帰ってくるだろうから仕上げるか。
「つ、疲れた…マジで見ずに狙ったところに正確に攻撃を当てれるまで続けるなんて思わなかった…」
「お疲れ様です、大丈夫ですか?」
「けっこうやばいけど、なんとか…」
「今、キリエがカレーを作ってるので、もう少し待っててくださいね」
「…あぁ、グランツさんがこもり始めたから今日の料理担当キリエか」
小学校に入るまでは普通だったけど、キリエが入ってからは魔法研究でこもるようになった。なので、うちでグランツさんを見かける回数が少なくなってきた。…ちょっと寂しい。
「あ、そうだアミタ」
「はい?何ですか?」
「その、いつもお世話になっているお礼というか、何と言うか…」
「?なんでしょうか?」
「その、だな…これ…」
「?なんですか…ってこれデバイスじゃないですか!」
「いや、ぬいぐるみとかそういうのがいいのかなって思ったけど、僕そういうセンスないし、作れないし…」
「いや、デバイス作れるだけでもすごいですよ!でも、なんで急に?」
「いや、昔からデバイス作ってあげようかと思っててな。それで今日、やっと二人分のデバイスが作れたから、プレゼントしようかと」
「…二人分、ですか?」
「うん。キリエにもあげないと寂しがるし」
「そうですか…私だけじゃないんですね(ボソッ)」
「?なんか言った」
「あ、いえ!なんでもないんです!」
「?ならいいけど… 」
その後、カレーを食べたあとにキリエにもあげたが、ほとんどアミタと同じ反応をしていた。
「あ、そうだ」
「うん?何?」
「あのですね、今日塾に行く途中に怪我をしたフェレットを見つけたんです」
「怪我って…大丈夫だったん?」
「うん、大丈夫だったよ。…それで、そのフェレット、首にペンダントを下げてたから、どこかの家のフェレットだと思うんだけど…」
「なるほど、親が出てくるまで預かりたいってことか」
「はい、そうなんです」
「うーん…グランツさんに聞いてみたいけど…」
「お父さん、完全にこもっちゃって話できないですよね…」
『はあ…』
「ま、取り敢えずなのは達もこのことは話し合ってるんだろ?なら、みんなから連絡が来るまで待てばいいんじゃない?」
「そうだね。…うん、そうしよう」
「じゃあ、もう遅くなってきましたし、寝ましょうか」
「だな。アミタはちゃんと早く寝ろよ」
「そのこといつまで引きずるんですか!」
〔と、いうことで、フェレットはうちで預かることになりました〕
「こんな遅い時間に返信か…なのはのことだから、寝る寸前になって思い出して送ったとかそうなのかな?まあいいや。とりあえず寝よう」
〈誰か…聞こえますか…?〉
「…これ、念話?」
〈ボクの声が聞こえる方…お願いです…力を貸して下さい…!お願い…〉
「…途切れた」
なんか切羽詰まってる感じだったな…面倒事は嫌いなんだけど…知っちゃったしなぁ…それに、アミタとキリエは行っちゃうだろうし…
「しょうがない、いくか」
最初はマテ娘たちしかヒロインにしないつもりがいつの間にかアミキリまで入ってきた…まあいっか(適当)