このヴェラ・ガルフ、全然アメリカ人っぽくない。
ヴェラ・ガルフと第三艦隊の面々は、江田の執務室を出てから即、食堂での会議を始めた。ある程度のことは予想していたが、やはり実際に聞くと衝撃を覚えるものだ。おそらく、このようなことを言われるとは思っていなかったであろう第三艦隊の面々は特にだ。
会議、と言っても話すことはそう多くない。あっても旗艦を誰にするかとか、どんな敵がいる可能性があるか、それに対する対処法など重要ではあるがさほど急いで話合わねばならないようなものばかりだったが、やはり何かしらの愚痴は言いたいということの言い訳に過ぎなかった。
彼女たちは夕食を共にとりつつ、話を始める。
「それじゃあ、第1回愚痴り会を始めるにゃー」
多摩の音頭により会が始まった。
どうでもいいが、ヴェラと第三艦隊の面々はすでに顔を合わせている。ヴェラがこの基地に来た後の体力測定と基礎知識テストを行っている時にたまたま出会ったのだ。
その話はいずれするとして、話題はやはり先ほどの作戦と呼ぶには穴の多すぎる作戦の話しになった。
「やっぱりおかしいですよ。これほどの規模の作戦を立案するのに偵察の一つもしないなんて」
ヴェラは言った。彼女は賛同の声を期待したのだが、その言葉に対する反応はあまりなかった。
「きっと新しい情報が欲しかったのよ」
如月が穏やかそうに言った。その口調には、有無を言わせぬ響きがあったがもちろんヴェラは駆逐艦の言葉に屈するような者ではない。
「それにしてもです。ここに来て以来、この辺りに展開している米軍の無線を聞いたり国防軍の無線を聞いたりしていますけど、米軍からの催促の無線がかなりありました。どれも、『レッド・スティングレー』の偵察情報をさっさとよこせと言っています」
「米軍の無線って暗号掛かってなかったクマ?」
「暗号は解読するためにありますから」
「いや、答えになってないクマ」
「私のシステムの前ではどんな暗号も平文みたいなものです」
「結構解読の仕方を教えて欲しいクマ」
「あいにく、私の専売特許です」
しばらく、食事の音がするだけになる。ヴェラは咳ばらいをして話しを戻した。
「とにかく、これまで一切偵察をしていないと言うのが妥当でしょう」
「じゃあ、なんで偵察をしないにゃ?」
多摩の疑問に対する答えは実に簡単だった。
「当然、私たちを陥れるためですよ」
皆、唖然とした顔でこちらを見ているのは、先ほどの言葉が思いのほか刺激的だったからに違いない。
当然だろう。まるで映画か小説のような突拍子のない事を言われたのだから。だが、彼女にはそれが正しい考えだと自信をもって言えた。
「馬鹿馬鹿しいとお思いでしょうが、私にはこれが正しいことに思えてなりません」
「何が根拠にゃしぃ?」
「にゃしぃ」についてヴェラは大変興味を抱いたが、再び話が逸れることが予想されたため、彼女は興味を押し殺して根拠を述べた。
「あまり言いたくはありませんが、提督は本土のお偉方に嫌われています。それだけで充分な根拠だと思いますが…」
全員から不快の視線が飛ぶが、彼女が述べたことは事実であると皆が知っていた。しかし、やはり江田のことを悪くは言って欲しくないのだろう。
が、事実は事実である。それを消し去ることは、どんなに自分たちが願おうと本土のお偉方が決めることである以上不可能に近い。
卯月が果敢にも反論する。
「でも、『深海棲艦』の脅威が高まってる今身内で揉めてる時間はないはずだぴょん」
ヴェラはその反論を否定する。
「むしろこういう時だからこそ、内輪揉めをしているんですよ」
「?」
全員が疑問の表情を浮かべる。それを見たヴェラは説明を始めた。
「こういう緊急時は多くの人々にとって出世のチャンスになります。一方で、ここでミスをすればこれまでのキャリアを一瞬で棒に振る事態も起こる諸刃の剣となります。それなりの地位に就ている人物は当然、リスクを回避したくなるものですが、まだまだ上に行きたいと願うのが権力者です。
今回は、私たちを利用しようとする者たちとそれの邪魔をしようとする者たちの2つの勢力、そして江田提督自身を邪魔に思っている者たちの勢力がせめぎ合っている状態です。
おそらく、私たちを利用しようとしている勢力を他の2つの勢力が手を組んで潰そうとしているのでしょう。今回の明らかに異常な立案方法もそれである程度は納得がいきます」
第二艦隊の面々は感心したような表情をしている。彼女はその表情に微かな満足感を感じたが、直ぐにそれを胸の内にしまった。こういう感情は表に出やすい。
彼女はさらに続けた。
「しかし、それはある程度に過ぎません。確実に納得するには、もう一つの勢力が必要です」
「それで、その勢力っていうのは何ぞ?」
再び睦月が尋ねる。相変わらず、特殊な喋り方をすると考えながらヴェラは自動的に返答した。
「海外勢力です」
「海外?」
「そうです。最近の情勢からアメリカと見てほぼ間違いないと思います」
「でも、今はどこの国も『深海棲艦』撃破のために協力してるにゃ」
ヴェラは思わず笑ってしまった。多摩は、ムッとした表情を浮かべている。その動作はどこか猫のようだ。
「何がおかしいにゃ!」
「…いえ、すみません。確かに、各国は『深海棲艦』撃破のために協力し合っています。しかし、それを全て鵜呑みにはできませんよ。
あくまで、『深海棲艦』への対処だけでそれ以外は平時となんら変わりありません。
今、これまでの秩序が崩壊しつつあります。『深海棲艦』はこの世界に新秩序を生み出すはずです。たとえ、奴らが全滅したとしてももう過去と同じ世界、秩序が復活することは二度とありません。
ではその新秩序の元で、誰が次の覇権を握るかを決める必要が当然あります。今、その覇権にもっとも近いところにいるのは、この戦争でもっとも戦果を挙げている国、つまり日本です。
現在の覇権であるアメリカは、当然阻止したいはずです。なぜなら、一度覇権を握れば今後も握り続けたいと願うのが人間だからです。
今回の件は、そんなアメリカの思惑と日本の勢力の思惑が一致したためになってしまたのでしょうね」
「そんな…」
睦月が信じられないと言いたげに言った。
ヴェラは冷ややかに答える。
「人類存亡の危機であったとしても、国家という体制が決して心を一つにすることはありません。少なくとも、国同士では…」
嫌な雰囲気ができてしまった。なぜ、こう人と話すのが苦手なのかとヴェラは考えた。こんなことなら、レーダーを見ながら敵と戦った方がよっぽどマシだ。
この気まずい雰囲気を崩したのは、これまでほとんど話していなかった弥生だった。
「そう言えば…ヴェラさん走ってるんだってね…」
すかさず卯月が茶々を入れてくる。
「駆逐艦より体力が無かったことがよっぽど恥ずかしかったんだぴょん」
ヴェラは顔が赤くなるのを感じた。
「ほほ〜、図星のようですな〜」
今度は睦月が茶々を入れる。
「うるさいですね、別にいいじゃないですか!」
ヴェラは怒りの声を上げたが、僅かに上擦ってしまった。こんな声で怒られてもさして怖くないし、むしろそれをネタにさらに追撃を仕掛けることが可能になってしまった。
「ヴェラさーん、声が上擦ってますよ〜」
如月からの追撃。
きっと先ほどの会話の復讐だ。
その後も色々と言葉による追撃により彼女の精神(と言うよりプライド)はズタズタにされたのは言うまでもない。もちろん、先ほどまでの高論ぶった説明が原因である以上、身から出た錆ではあったが。
ヴェラは顔を赤くしたまま、体を縮こませて言葉の空爆を塹壕内の兵士よろしく堪え忍ぶしか無かった。
猛爆はそれからしばらく続いたが、やがて真面目な話に切り替わり明後日の作戦の詳細を詰める作業を始めた。
その作業が終わる頃には、駆逐艦娘たちの消灯時間が近付いていたのでそこで今回の愚痴り会はお開きとなった。
ヴェラは第二艦隊の面々とは宿舎が違うため食堂で別れた。
彼女たちが立ち去った後、しばらくは何をするでもなく食堂内の人々(この食堂には艦娘以外にもこの基地に配属されている兵員の多くが食事に来る)を見ていたが、やがて立ち上がり自分の宿舎に戻ろうとした。
が、ちょうど入ってきた瑞鳳とバッタリと会ってしまった。食堂はこの時間になると暇を持て余している非番の兵員たちのためにバーに早変わりする。このバーには艦娘たちの飲酒も許可されていた。
この時間に来るのは、飲むために決まっている。
案の定、ヴェラは瑞鳳に誘われ仕方なく同席することにした。
カウンターに座った2人の少女は、この男臭いバーでは異質な存在に違いなかろう。少なくとも、日本本土でこんなことをすれば店から追い出されるか警察のお世話になることだろう。
が、ここは本土から遠く離れた南の離島。それも艦娘の存在をよく知っている兵員たちなので異質であっても、もはやなんとも思わない状態であった。
ここで、このパラオに派遣された兵員たちのことを紹介しよう。
彼らパラオ派遣軍がこの地に来て最初に行ったのが、司令部施設の建設である。
建設作業に当たったのは機動施設隊を発展させた機動設営隊である。やっていることはさほど変わらないが、海外での活動を重視した部隊となった機動設営隊は数週間のうちに司令部施設を作り上げてしまった。それと同時に艦娘の運用に必要なドックに工廠、出撃施設などを僅か2ヶ月で全て完成させてしまった。彼らの仕事は目に見張るほどで、まるで中国のビル建設を見ているようにも思えた。
しかし、彼らと言えど艦娘たちの宿舎や食堂その他の多くの施設を作りきることはできず、現地の建物を徴発するしかなかった。
彼ら機動設営隊が本土に帰還するのと入れ替わりにやって来たのが現在もこの基地の防衛及び警察力を提供している海兵旅団第Ⅲ大隊B中隊である。
海兵旅団は、国防軍がまだ自衛隊と呼ばれていた時期に何度か取り沙汰された部隊構想である。その主な内容は自衛隊内に実戦部隊を生み出すというものだったが、結局資金不足と国民感情を考慮して中止されていた。ところが、自衛隊法及び憲法第九条の一部改正により再び日の目を見ることとなったのだ。
この地に来ているB中隊は、旅団の中でも特にガラの悪い所謂『極悪中隊(バッドカンパニー)』と呼ばれる(お分かりかと思うが、B中隊のBはBadのBではない)連中である。
当然、江田は艦娘たちと彼らの接触による問題を危惧したが、これがどういう訳か杞憂で済んでしまった。
B中隊からすれば艦娘たちは女性と言うより娘に近いものだったらしく、この離島に配属され気持ちが沈んでいた彼女たちを元気付けようと多大な努力を行った。
その結果、B中隊と艦娘たちの間に奇妙な絆のようなものが出来上がっていた。このことに江田が気付いたのはヴェラがこの地に来る僅か一ヶ月ほど前だったらしい。
このように、艦娘たちと兵員たちの関係は非常に良好である。他の基地ではそう簡単ではないようだが、境遇が似ている者同士協力していこうというところだろうか。
話を戻そう。
ヴェラはカウンターに置いたグラスを見ていると、瑞鳳が話しかけてきた。瑞鳳はグラスを回しながら言う。
「提督が、この作戦は妙だと言ってました」
「江田提督が?」
「はい」
別に驚くことではあるまい。軍隊に少しでもいたことのある者なら誰でもキナ臭く感じるだろう。
「どう言っていましたか?」
瑞鳳はしばしためらったが言った。
「私たちを…陥れようとしている輩がいる…と」
やはりあの男もそう感じたか。想定済みとは言え改めて自分の立ち位置をよく心得ている男だと、ヴェラは感じた。
「それを聞いて、あなたはどう思いましたか?」
瑞鳳は再びためらう。そして、ヴェラに聞こえるか聞こえないかギリギリの声で言った。
「私は、提督の言うことを信じてる。信じているけど…」
「あまりにも突拍子が無い…と」
「はい…」
ヴェラはカウンターのグラスを持ち、仰いだ。少し温くなった液体が、彼女の喉を通る。
それから考えたように黙ったあと口を開いた。
「私も、江田提督と同意見です」
瑞鳳は驚いた表情を浮かべ、目を見開いている。正気かとでも言いたげな表情だ。ヴェラはその表情に可笑しさを覚えながらも真面目な顔で言った。
「先ほども第三艦隊の皆さんとそのことを話してたんです」
ヴェラは先ほどの愚痴り会の内容を詳らかに話した。もちろん、ヴェラに対する言葉の空爆の内容は除いている。
「…そうだったんだ。確かに、ヴェラさんの考えにも一理ありますね…」
「しかし、所詮は一民間人(艦娘は国際法で民間人として扱われる。提督という仕事も、指揮はするものの名誉職に近い内容で艦娘たちへの命令はあくまで『要請』であり、艦娘たちには拒否権もある。しかし、基本的にはこの『要請』は拒否することはできず、艦娘自らの命が危険にさらされる『不合理な要請』のみに拒否権が生じる。艦娘の立場はどちらかというと軍属に近い)の戯言ですから」
「それでもヴェラさんの考えは筋が通ってる。もしかしたら本当にそうかも…」
沈黙が2人の周りを包む。
突如として、汗の匂いが鼻腔をついた。2人は隣を見る。
そこには、1人の男がグラスを持ちながら笑みを浮かべながら座っていた。軍服の襟章は少尉を示していた。
2人共、この少尉のことは知っていた。海兵旅団第Ⅲ大隊B中隊第ニ小隊長仲林 亮平。
中隊きっての札付き将校。この部隊に配属される前に上官を殴ったり嫌味ったらしい上官を戦車で轢いたなどなど、信じられない噂の絶えない男だ。さらにタチの悪いことに、この男その噂を否定することをしない。
こう聞くとあまり好感の持てる男ではないが、いざ話してみるとこの男が非常に気さくな人間であることが分かる。
今回もこちらに寄って来たのは何やらあまりいい話をしていないことを聞きつけてのことだろう。
案の定、仲林は陽気そうな調子で言った。
「よぅ、お二人さん。何しけた話してんだ?ここではそんな陰気クセェ真面目な話はご法度だぜ」
言葉だけ聞けば少しばかり怒っているようにも聞こえなくもないが、彼の顔に浮かんでいる表情はどことなくこの会話を楽しんでいるように見える。
2人は素直に頭を下げて話題を変えることにした。
「それもそうですね。そう言えば、今日は加古さんと呑んでないんですか?」
ヴェラの問いに仲林は困ったように言った。
「俺もそのつもりで来たんだが、今日は手が離せんようだな」
「それじゃあ、一緒にどうですか?」
瑞鳳の言葉に仲林は待ってましたとばかりに飛びついた。
「喜んで同席させていただきます、女王陛下」
そう言うと、仲林はニヤリと笑い仲間を2人の元に集め始めた。ヴェラは、今日は寝れないことを瞬時に悟ったのだった。
同日山岳部標準時6時33分。アメリカはアイダホ州の州都ボイシより州間道路84号線をおよそ50マイルつまり約80キロ砂漠を進み、そこからさらに脇道に入り10マイル、約16キロ進んだところに『機関砲野郎(ガンファイターズ)のふるさと』であるマウンテン・ホーム(峠のわが家)空軍基地がある。
この基地の司令部施設はガンファイターズ大通りに沿った基地/航空団司令部ビルディングだ。
その二階に第366航空団司令であるジョージ・エリオット准将のオフィスがある。
彼の朝は早く、毎日5時頃には目を覚まし10キロほどのジョギングと基地内のジムで体を動かしたのち、濃く火傷をしてしまいそうになるほど熱いブラックコーヒーを飲みながら1日の仕事を始めることを好んだ。こうすることで、何かとストレスの多いこの仕事を穏やかに始められるからだ。
しかし、今日の彼は穏やかとは程遠い気分でいた。
彼の目の前にある命令書は明白であると同時に極めて厄介なものだった。
3日後に部隊を纏めてパラオに送れだと?まったく正気の沙汰ではない。
もちろん、できないことはない。
しかし、少なくとも1ヶ月は先になると言ったのはどこのどいつだ?だいたいまだ偵察情報もないにも関わらず、ここまで話を進めたこと自体がおかしな話だ。
エリオットはため息をついた。苛立っていても始まらない。時間はほとんどないのだ。
彼は机にある電話の受話器を手に取り、相手が出るのを待った。1回目のコールで相手は出た。
『はい、准将』
彼の補佐官であるアンドリュー・ガルシアス軍曹が眠そうな声を発した。エリオットはその声に愉快な気分になった。朝の早い指揮官の補佐官は苦労が多いのだ。
エリオットは笑みを浮かべながら言った。
「アンディーか?仕事を頼みたい」
『はい』
軍曹の声はすでに張りのあるものに変わっていた。
「『レッド・スティングレー』が予想より大幅に早まった。3日後にパラオに「FAST-1」を送れるように運用群のレベッカ大佐に展開計画を作成するように言ってくれ。それと、休暇中の要員を全員呼び戻してくれ。あと、今日の飛行計画を全て変更し『レッド・スティングレー』用の訓練計画に変えるように言っておいてくれ」
『分かりました。他にご用件は?』
彼はしばらく考えたのち言った。
「他には特にない…いや、待て1時間後にブリーフィングをしたい。それまでに展開計画の概要をまとめておくように言ってくれ」
『分かりました。以上でいいですか?』
「あぁ、それでいい。それじゃあ、頼むぞ」
エリオットはそれだけ言うと、受話器を置いた。
そして、しばし考え再び受話器を持ち上げ次の通話に移った。
時間はいくらあっても足りなかった。
サウスダコタ州エルスワース空軍基地に存在する第28爆撃航空団に所属する第34爆撃飛行隊(BS)はマウンテン・ホーム空軍基地の広さの問題により、書類上は第366航空団所属にも関わらずこのエルスワース空軍基地にいた。
B-1Bランサー6機で構成される『サンダーバーズ』の飛行隊長パトリック・マクミラン中佐は、士官クラブでのポーカーに興じていたが彼を呼びに来た軍曹のおかげでせっかくの勝ち戦を放棄することになってしまった。
彼を呼びつけたのが、この基地の司令官であるクルーガー准将でなければマクミランはその呼び出しをしばらくの間無視できたが、クルーガー准将は時間に厳しい人物である以上それは叶わなかった。
准将のオフィスに入ると、彼を呼びに来た軍曹はすぐに外に追い出された。それほど重要な話かと他人ごとのように考えたマクミランに、准将は言った。
「先ほど、マウンテン・ホームから君に連絡があった。すぐに荷物をまとめてこっちに来いとのことだ」
マクミランは頭を高速で回転させなければならなかった。
マウンテン・ホームに戻れ?それも今すぐに?どういうことだ。
疑問の表情が出ていたのであろう。准将は答えを提供してくれた。
「『レッド・スティングレー』が早まったらしい。全部隊が5日後にはパラオの基地に降り立つとのことだ」
ずいぶんと急な話だが、彼にとっては嬉しいことだった。ここでは、どうもお客さんのように扱われているように思えたからだ。
マクミランは准将にサッと敬礼すると言った。
「了解しました。第34爆撃飛行隊、命令に従いマウンテン・ホーム空軍基地へ移動を開始します」
准将は笑みを浮かべ頷くと言った。
「行ってこいパット。クソッタレ共を叩き潰してこい」
マクミランは准将の口から出た汚い言葉にニヤリと笑い答えた。
「任せてください准将。この基地の連中に獲物が残るように祈っていてください」
「あぁ、そうさせて貰おう」
マクミランは再び敬礼し、准将のオフィスを出て部下たちの元に向かった。これから忙しくなることが予想できたが、彼にはそれも悪くないように思えたのだった。
終わったぁ。
今回は機関砲野郎たちと『極悪中隊(?)』に出てきてもらいました。
エリオット准将とマクミラン中佐のモデルは『パトリック・マクナラハン』シリーズの主人公とその恩師の方です。
パクリですけど、結構好きなので名前を変えて出てきてもらいました。
さて、次は戦闘を起こしますよ。うまく描写できないでしょうけど。
最後にこのような作品を読んでいただきありがとうございました。