不屈ノ爪〜The Iron Clow〜   作:明るい脳筋

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お待たせしました。
さて、戦闘シーンはまだ先になると言ったな。あれは嘘だ。
と言う訳で、戦闘シーンぶち込むます。描写は下手くそですが、生暖かい目で見ていてください。
タイトルから分かると思いますが、新キャラ登場です。ついでに、艦娘が一切出ません。主人公も出ません。全て人間サイドです。艦これの小説なのにね。すみません、ふと思いついたので書かせてもらいました。

あっ、そうだ。世界観については、そのうち設定として書かせて頂きます。ヴェラ・ガルフが聞いたことはだいたいそんな感じだと思ってください。
では、始めます。



第3話 艦長テレス・C・カーバー

パラオで世界事情を聞き始めたヴェラ・ガルフの話から少し離れ、もう1人の人物の話をしよう。

それは、太平洋の洋上にいる1人の男の話である。

 

 

アメリカ海軍第3艦隊所属タイコンデロガ級打撃巡洋艦レイク・エリー。そのCIC。肌寒い室内は、薄暗く唯一と言っていい光源であるディスプレーの光が、乗員たちの顔を不気味に照らしている。

CICの真ん中辺りで、男が仁王立ちして乗員たちを見ている。

男の名は、テレス・C・カーバー。このレイク・エリーの艦長である。カーバーは、時々乗員に話しかけたりしながら艦隊の航行を電子の目を使って見つめていた。

現在、第3艦隊は5隻の輸送船を護衛している。

旗艦であるキティホーク級2番艦空母コンステレーション(コニー)を中心とした輪形陣で、カーバーの乗るレイク・エリーはコニーの右舷側を航行していた。

コンステレーション自体は、2003年に退役したものの反攻作戦『ライジングストーム』の失敗により、ニミッツ級空母が全滅したため引っ張り出して来た艦だった。

それはさておき。

CIC内のカーバーの元に1本の連絡が伝えられた。

「艦長。SH-60BシーホークLAMPS(軽航空機多目的システム)Mk-Ⅲが帰投しました」

「分かった。パイロットにゆっくり休むよう言ってくれ。…次はもう出しているか?」

「はい。2番機もすでに予定哨戒海域に到達し、哨戒活動を行っています」

「そうか…。ご苦労だった、行っていいぞ」

「ハッ。それでは、失礼します」

そう言うと、連絡を伝えに来た乗員は敬礼をして立ち去った。

「ずいぶんと穏やかな航海ですね」

レイク・エリーの副長であるトマス・マイクル中佐が、カーバーに話しかけてきた。

「そうだな。ここ数ヶ月では珍しく、ヤツらのテリトリーに入っても潜水艦はおろか、哨戒機すら見ない」

「連中、こちらの戦力にビビって出てこれないんじゃないですか?」

「そうだといいが、そいつは無いだろうな。こっちの戦力は、空母1隻、巡洋艦2隻、駆逐艦5隻の10隻にも満たない小艦隊だ。ヤツらがビビる訳がない」

「分かってますよ。しかし、ヤツらのテリトリーに入って1日になりますが、1機の哨戒機も来ないのはおかしいですよ」

「確かにそうだが、こちらの運がいいだけだろうさ。あと1時間もしないうちに騒がしくなるだろう」

トマス中佐は、半信半疑の様子で頷いた。

 

カーバーの予測は、それから40分後に的中した。

「コンステレーションより入電!E-2早期警戒機が敵機を補足。本艦に迎撃命令が来ました!」

「お出でなすったな。総員戦闘配置、敵機を撃墜する!」

カーバーは、CIC内の乗員たちに言った。

「敵機我が艦隊の位置を通報中、捕捉された模様!」

通信士が、伝えてきた。

「ECM(電子対抗手段)は?」

カーバーの問いかけに、通信士は言った。

「全艦が作動させていますが、おそらく効果はないかと…」

「クソッ。…迎撃用意は出来たか?」

「SM-2ERSAMはいつでも発射可能です。やれます!」

「OK、これ以上しゃべられないように叩き落とせ!」

「了解。発射用意」

カーバーは、命令を下す。

「撃て!」

「ファイア!」

兵器担当の乗員が復唱し、スタンダード対空ミサイルの発射ボタンを押す。

艦が底から揺れ、凄まじい爆音が響き渡る。

艦の前甲板のMk.41 mod.0 VLS(垂直発射システム)が開き、SM-2スタンダードミサイルが、白煙を噴きながら空に昇っていく。

「SM-2、発射確認。順調に目標に向かっている模様。着弾まで、あと1分です」

カーバーは、頷いて言った。

「OK。そろそろ、次の仕事が舞い込んでくるはずだ。敵哨戒機は艦載機だった。今度は、団体さんで来るぞ」

通信士が言った。

「艦長、どうやらその通りのようです。コニーより入電、敵機多数接近、迎撃せよとのことです」

「言われるまでもない。『深海棲艦』共にイージスの力を見せてやれ」

「アイ・サー!」

CIC内の乗員たちへ、慌ただしく動き出す。すでに、SPY-1Bフェーズドアレイレーダーが何十機もの敵機を捉え、迎撃の用意を行っていた。

乗員の1人が言った。

「敵哨戒機にスタンダード命中!撃墜です!」

一瞬、室内が湧き立ったがそれもすぐに収まり、皆自分の仕事に戻っていった。

たった1機落としただけに過ぎないことは、全員が分かっていたからだ。

レーダーを見ていた乗員が、後ろにいるカーバーを見て言った。

「艦長!敵編隊が射程圏内に入りました。いつでもやれます!」

「よし、他の艦はどうか?」

「ケープ・セント・ジョージ、ステザム、ディケーター、ラッセル、アーレイバーク、マッキャンベル全艦用意よしです」

「分かった。全艦に通達、一斉射用意。カウントは本艦で行う」

「了解。……艦長、全艦から了解来ました。いけます!」

カーバーは、大きく頷き言った。

「カウント、10・9・8・7・6・5・4・3・2・1…撃ぇ!」

「ファイア‼︎」

それは凄まじい光景だった。7隻の艦から一斉に放たれたスタンダードミサイルは、さながらナイアガラの滝が逆に流れ始めたようであった。

発射されたミサイルの何発かは、目標が重複し無駄になってしまったが、彼らにはそんなことはどうでもよかった。

勝つためならば、少しばかりの無駄遣いも致し方ないものだと上層部すら吹っ切れていた。

それ程、人類は追い詰められていたのである。

数分後、発射元から遥かに離れた上空で、何十もの爆発が起こった。

スタンダードミサイルは、全て炸裂し『深海棲艦』の艦載機を一瞬にして全滅させたのだった。

 

「目標、レーダーより消失。敵編隊全滅しました!」

今度ばかりは、大きな歓声が上がった。小さいながらも、敵に損害を与えることに成功したのだ。

しかし、やることはまだあった。

通信士が、カーバーに言った。

「艦長、コニーより入電。敵艦隊を攻撃せよ、です」

カーバーは、ため息をついて言った。

「どうやら、艦載機を攻撃に出したくないようだな。全く、弱腰な指揮官殿だ。よし、対艦戦闘用意。トマホークでもハープーンでもいい、とにかくぶちかませ!」

 

第3艦隊が航行している地点から、約450キロの地点。そこに、『深海棲艦』の機動部隊がいた。

空母ヲ級を中心とした輪形陣を敷いており、ヲ級の周りには旗艦である戦艦タ級1隻、軽空母ヌ級2隻、重巡リ級2隻、軽巡ホ級3隻、駆逐艦ニ級6隻の合計15隻の大艦隊である。

そんな彼女らが見つけたのが第3艦隊であった。空母を含む輸送船団である以上、無視することはできない。

そこで、彼女らは居場所がバレる前に艦載機を発艦させ、攻撃を仕掛けたのだった。

ところがである。攻撃予定時間を過ぎても何の連絡もない。

もちろん、無線封鎖ということも考えられたが、どうもおかしい。

そんな訳で彼女らは、艦隊内でどうするかの検討会を行っていた。

 

「ヤハリ、モウ一度艦載機ヲ送ッテ見ヨウ。危険デハアルガ、致シ方アルマイ」

好戦的なヲ級が言った。しかし、それを咎める者がいた。

「ソウ急クナ、今ハ落チ着イテ状況ヲ見守ルベキダ」

タ級である。なんだかんだ言っても、旗艦である彼女の言葉は大きいのである。

ヲ級は、反論を試みた。

「シカシ、今ハ絶好ノちゃんすダ。コレヲ逃ス手ハナイ」

しかし、タ級は聞く耳を持たず、言った。

「イヤ、ヤハリ艦載機ノ報告ヲ待トウ」

こうして、議論は打ち切られた。彼女らは、帰って来ることのない艦載機たちを待った。

彼女らは、イージス艦の存在を知ってはいた。その戦闘力が侮れないものであることも知っていた。

しかし、彼女らは相手がイージス艦であることを知らなかった。

そして、気付いた時にはもう遅かった。

 

レーダーに反応があった。それに気付いたヲ級は、そのレーダーに映る高速で接近して来る物が味方出ないものだとすぐに察した。

ヲ級は、すぐに味方に警告する。

「敵ダッ!迎撃ノ用意ヲシロ!みさいるトカ言ウヤツガ来ルゾッ!」

タ級が、驚いた顔をして言った。

「ナニ⁉︎いーじす艦ガイタノカ!」

それが意味する所は一つ。

「クソッ、艦載機カラ連絡ガ無カッタノハソレガ理由カ!」

ミサイルは、急速に接近してくる。あまりの速さに、迎撃は間に合いそうも無い。

タ級は全艦に、回避命令を出した。全艦が動き出し、ジグザグに回避行動を開始する。

が、今接近して来ているBGM-109Bトマホーク(TASM)にとっては、回避運動など全く意味を成さなかった。

最大射程460キロメールのトマホークは、慣性誘導に従い目標に接近し、最終的に自らの弾頭に搭載したレーダーが作動し、アクティブレーダーホーミングにより目標に突入する。

TASM自体は退役していたが、『深海棲艦』の脅威により復帰。現在も使用されている。

『長すぎる槍』の1発目が目標にしたのは、ヲ級だった。ヲ級は、必死に回避しようとしたが槍はその動きに平然とついて行き、ヲ級に突き刺さり轟然と爆発した。

この爆発により、いつでも発艦できるように待機していた艦載機に引火し、ヲ級を内側から吹っ飛ばした。

一瞬で果てたヲ級の姿を見た彼女らは、自分もそうならないように死に物狂いで回避行動をする。

それが何の意味もないことはすでにわかっていたが、あまりの恐怖にそうせざるを得なかった。

その後も飛来するトマホークは、無慈悲に『深海棲艦』たちに突き刺さり続けた。

爆音が響き渡ること20分。

そこには、『深海棲艦』だった破片が散らばり、海の碧がどす黒く変色していた。

 

「レーダーより反応消失。敵艦隊を撃破した模様です」

レイク・エリーのCIC内は、熱気に満ち溢れていた。誰もが頬の肉を緩ませている。

彼らは、『深海棲艦』を完膚無きまでに叩き潰したのだ。今日の戦闘だけで、これまでのキルマークを越えるに違いなかった。

カーバーは、艦内インカムを使い言った。

「皆、よくやってくれた。諸君らの素晴らしい働きのおかげで、我々はここ数年得ていなかった勝利を手にした。感謝する。

しかし、この戦闘には勝ったが、この戦争に勝った訳ではない事を忘れないようにしてくれ。

この勝利が、諸君らに慢心として身につかずに、自信として身につくことを期待する。以上」

戦闘は終わり、再び穏やかな航海に切り替わった艦隊は静かに陽が落ちつつある海を進んだ。

CICから、艦橋に上がってきたカーバーは窓の外の夕陽を眺める。

晴れ渡った空は、夜の月と明日の太陽を約束してくれているように、カーバーは思ったのだった。




できた〜。
無茶苦茶な戦闘シーンで申し訳ありません。これが私の限界です。
まぁ、いいや。
さて、今回のメインキャラのテレス・C・カーバー大佐。沈黙の艦隊を読んだ人なら分かると思いますが、ヴェラ・ガルフ艦長のテレンス・B・カーバー大佐をモデルにしています。この世界の設定で言えば、パラレルワールドのカーバー大佐と言ったところでしょうか。
なんだかキャラ崩壊のような気もしますが、きっと気のせいです。
次は、主人公を出す予定です。
はてさて、これからどうなっていくことやら。まぁ、あまり期待しないで見ていてください。
最後に、このような作品を見ていただき、ありがとうございました。
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