ラブライブ! A Return Hero A Return Legend 作:リベリオン
っていうかここに至るまでに本当に長かったな……振り返れば現在に至るまでになんやかんやあった。燃え尽きたり追い討ちをかけられたり現在の形になるまでに何度もやり直したり……。
そんなこんなで現在に至るまでにいくつか没になったネタがあったので、あとがきの方では没ネタについて紹介していこうかなと思います。
第1話 懐かしき再会
羽田空港から東京モノレールに乗り、京浜東北線から山手線に乗り換えて歩く事1時間近く。
手にしたスマホがルート案内を終了し、俺は目の前の建物を見上げた。
何の変哲も無い、ごく普通の庭付き一戸建ての一軒家。壁に埋め込まれたネームプレートには「天城」の名が彫られてある。
「7年ぶり……か」
懐かしさに笑みが零れた。
俺……天城羽鐘が生まれ育ち、9歳まで過ごしてきた生家。父親が海外に転勤する事になってこの家を出たのが7年も前になる。
日本で暮らしたいと言う俺の無茶な頼みを両親は意外とすんなり受け入れてくれ、先に戻った母が諸々の手続きや手はずも整えてくれた。けど父を1人にするのは不安だからと俺とは入れ違いでまたニューヨークにある家に戻る段取りになっている。
明日転入先の学校に同伴してもらった後、俺はこの家に1人暮らしだ。
多少の不安はある。でもこれは俺が望んだ事だし、なにより――。
「アイツの願いだからな……」
そう呟いて、俺はパーカーのポケットからあるものを取り出した。
それは大型の南京錠のような形をした錠前。けど肝心の鍵穴は無く、その代わりに大きな赤い瞳と3本の鋭い黄金の角を生やした顔が前面パネルにデザインされている。あちこちが摩れて色あせた部分もあり、相当使い込まれていることが容易に理解できる。
これはアイツの生きた証だ。自身の存在と引き換えにコレらを託して消えた○○○の。
――いつかこれが必要になる時が来る。その時はお前が使ってあいつらを守れ。
そう言い残してアイツは消えた。アイツが居なかったら俺もアイツと同じ未来をたどっていたんだと思う。
……つまらない感傷だったな。久しぶりに家を見て少し感傷的になってしまった。
錠前を再びパーカーのポケットに収め、俺は門を開けて玄関のインターホンを押す。
家の掃除は業者を手配して済ませてあり、俺個人の荷物も既に届いているらしい。タンスやベッドなどの大型家具は向こうに持っていくには大きすぎるからと残して、あるいは売ったり処分したりして、必要なものは改めて買いなおしたとのことだ。
「ん、来たわね羽鐘」
「うん」
ドアが開き中から俺の母親でスタイリストの天城実花が姿を見せる。スタイリストと言う職業柄か不明だが、10代半ばの息子を持つ1児の母親だが外見は30代前半に見えるほど若々しい。向こうの友達は「これが東洋の神秘か!」って衝撃受けていたほどだ。
「ごめん母さん。何から何まで手配してもらって」
「親としてこの位はしてあげるわよ。それに昔の友達とも会って話せたからね」
俺のわがままに付き合ってくれたことにお礼を言うと、母さんは笑い飛ばした。
友達……か。俺にも小さい時からの友達が3人居るんだよな。
そう思って振り返り、家の向かいにある建物を見つめる。
今風の建物であるウチと異なり、少し時代を感じさせる店舗兼住居。あそこに住む女の子が幼馴染の1人だった。
きっかけは……さすがに覚えていないな。けれど母親同士が旧知の間柄で、それが縁で仲良くなったらしい。
「はは~ん…?」
「な……なに?」
懐かしさに目を細めていたら、母さんがニヤニヤ笑って俺を見た。その笑みが不気味で少し警戒してしまう。
「穂乃果ちゃんのこと思い出してたんでしょう?」
「まあ……そうだけど」
「だったら会いに行ってあげなさいよ。今この時間、神田明神で皆トレーニングしてるらしいから」
「皆? トレーニング?」
「いいからほら、行って来い!」
意味が分からず聞き返すが、母さんはそれ以上何も説明せずに俺を蹴り出した。
い、いきなり息子を蹴り出すか……? 文句を言おうと思っても母さんは「ごゆっくり~♪」とヘンに気を使ってそのままドアを閉めてしまう。
「……俺、家に上がれてすらいないんだけど」
せめて荷物を置かせてもらいたかったが……仕方ない。まずは母さんの言った神田明神まで行ってみるか。
それにしても……。
「神社で何やってるんだ? 穂乃果の奴……」
神社でやる事が思い浮かばず、俺は首を傾げるのだった。
/
「はぁ~……」
目の前にそびえる坂を前にし、坂下から頂上を見上げて思わず溜め息が零れた。
神田明神、正確に言えば明神男坂と呼ばれる長い階段。ニューヨークに居た頃もこんな感じの階段はあったが上り下りはかなり足に来る。その分トレーニングには最適なんだが。
まあ飛行機の長旅で身体が凝っているし、運動にはちょうど良いか。そんな軽い考えで階段を軽やかに駆け上がっていく。
「ん……?」
途中、踊り場で軽くステップを刻みながら坂を上っていくと、頂上の方から音楽が聞こえてきた。
神社で何かイベントをやっているのだろうか……その割には人がいないけど。
内心首を傾げ、ステップをやめてまっすぐ階段を登っていく。
「頂上っと……」
そして頂上までたどり着くと、目と鼻の先で数人の女の子が曲に合わせてダンスをやっていた。
まだ練習中なのだろうか、金髪の女の子の手拍子に合わせて振り付けを合わせている。
「凛、少し走りすぎてるわよ」
「はいにゃ!」
半テンポほど他よりもテンポが先走っていた子に金髪の女の子が注意すると、された子はすぐに他とタイミングを合わせようと調整する。
――ってジロジロ見るのは失礼だな。早く穂乃果を見つけるか。
「(って言うか俺、昔の穂乃果しか覚えてないぞ)」
……迂闊だった。時折電話でやり取りは続けていたが、最近の写真とかは互いに持っていなかったと思う。
この分だとあと2人の幼馴染も今の姿が分からないし……さすがに7年前の記憶は頼りにならないよな。
「……………」
「(うっ……不味い。完全に怪しまれている)」
ぼけっとその場に立っていたせいか、日陰で休んでいた女の子の視線が怖い。
どうしよう……いつまでもここに突っ立っているわけにもいかないしな。不審者扱いされる前にさっさと周囲探して――。
「――羽鐘くん!?」
「え?」
歩き出してすぐに誰かに声を掛けられた。
声のした方向へ目を向けてみると、3人の少女が目を見開いて俺を見つめている。
――その姿を見て、幼い頃の記憶が重なった。
「穂乃果……それに海未とことり……か?」
変わっていたらどうしようと言う心配は杞憂だった。
3人の幼馴染――オレンジの髪をサイドアップにした女の子が高坂穂乃果、ベージュの長髪の子が南ことり、そして青い長髪の子が園田海未だ――は自分たちの名を呼ばれて徐々に顔を輝かせる。
「久しぶり「「羽鐘くんっ!!!!」」――ぃっ!?」
俺の言葉に被せるように叫ぶや否や、穂乃果とことりが同時に飛びついてきた。
驚きのあまり俺はその場に硬直し、海未は隣に居た2人の行動に変な顔になる。
嬉しかったのは分かる。何しろ直接会うのは7年振りになるのだから。だから多少の事は大目に見る。
けど人間限度と言う物があるわけで、要するに2人を支えきれない。
ドスンッと受身も取れずに背中を地面に強打。突然の叫び声に衝撃音で他の人たちも何事かと俺たちに視線が注がれる。
「穂乃果! それにことりも何をしているんですか!!」
「ちょ、ちょっとあなたたち何をしてるの!?」
突然俺に抱きついてきた2人を見て、海未と先ほど指導していた金髪の女の子が俺たちの格好を見て叫んだ。当然と言うべきか、この場に居たということは彼女たちは穂乃果の知り合いと言う事なんだろう。
「いつ帰ってきたの!? どうしてほのかたちがここに居るってわかったの!?」
「来るなら来るって連絡入れてよ~!」
けど2人ともそっちに気を回す余裕も無いのか、俺の上に乗ったまま矢継ぎ早に質問する穂乃果とことり。それとことりは頬ずりするのをやめような? 皆見てるから。
「し…質問する前に退いてくれないか。2人とも」
「やだ!」
「もうちょっとだけこのまま~♪」
「穂乃果! それにことりも! 羽鐘が困ってるでしょう!」
「そんなこと言って~、本当は海未ちゃんだってこうしたいくせに♪」
「なっ…!? し、しませんそんな事! 人前で!」
「じゃあ人が居なかったらやるの?」
「や・り・ま・せ・ん! とにかく羽鐘から離れてください!」
引っ付いてくる2人を海未が強引に引っぺがしてくれたおかげでどうにか自由になれた。
そのまま海未の説教コースに送られた2人に同情するように苦笑いしつつ、ようやく起き上がると海未に声を掛ける。
「海未、あんまり2人を責めないでくれ。ただ嬉しかっただけなんだから」
「それは……そうですが。羽鐘も羽鐘です、帰って来たのなら連絡くらいしてください」
「そうは言ってもついさっき日本に帰ってきたんだから仕方ないだろう? 連絡だってアメリカと日本じゃ時差が開きすぎて取りづらいし」
2人をフォローするように言ってやると、海未もそれを分かっているから困ったようにシュンと小さくなっている2人を見遣った。
アメリカ……正確にはニューヨークと日本とでは13~14時間ほど時差がある。日本が13時ならニューヨークは0時ちょうど。さすがにそんな時間差があると相手に気を使って中々連絡を取りづらい。
……まあ、穂乃果には3年ほど前に久しぶりに連絡を取ってからは時折(ほぼ穂乃果の方からだが)連絡を取り合っていたが。
「えっと……4人で盛り上がっている所悪いんだけど、私たちにも分かるように説明してもらえるかしら?」
その時、あの金髪の人が話に割って入ってきて、俺と海未は「あっ」と声を揃える。
こっちだけで盛り上がってしまっていたが、彼女たちに説明するのをすっかり忘れていた。
すると海未が俺が不審者ではない事を説明し、さらには穂乃果とことりも加わり俺の事を紹介すと、他の人たちも一応納得してくれたらしい。
「えっと……改めて自己紹介させてもらいます。3人の幼馴染の天城羽鐘です。お騒がせしてすみませんでした」
「……………」
「……海未? なんで俺の額に手を当ててるんだ? ことりも別に病気じゃないぞ」
練習の邪魔をした挙句騒がしてしまった事を謝罪すると、どういうつもりか海未とことりがそれぞれ額に手を当て熱を測ろうとしたり、腕を取って脈拍を測ろうとして半眼でツッコミを入れる。
「は……羽鐘くんが礼儀正しくなってる……!」
「昔は穂乃果と一緒に私とことりを散々振り回して、全然謝意の篭っていない謝罪しかしなかったあの羽鐘が……!?」
「羽鐘くん、もしかして頭でも打ったの!?」
「バカにしてんのかお前ら」
酷い言われようにさすがに傷ついて頬が引き攣る。
いや……3人にとって――特に海未とことりにとって――は、天城羽鐘との幼少時代とはそんな感じだった。
あの頃の俺は所謂やんちゃ坊主と言う奴で、同じくお転婆だった穂乃果と一緒にやんちゃする毎日。温厚なことりと恥ずかしがりやな海未の2人を連れまわして……それでよく泣かせては母さんにゲンコツ食らっていた。
「だいたいあれから7年経ってるんだ。俺だって大人になるさ」
まあ、散々な言いよう(聞いていた穂乃果たちの仲間も苦笑いしていた)だったが、それは驚いたからであると強引に納得させる。
「それより皆はここで何を? さっきダンスの練習をしていたみたいだけど……あ、練習の邪魔してすみませんでした」
「いいのよ、そろそろ上がる所だったから。今度学校で行われるオープンキャンパスでやるライブに向けて練習していたのよ」
「オープンキャンパス……ってことは一般の人に見学に来てもらうってことですか。それじゃあ皆さんはダンスクラブの人たちですか?」
「違うわ。にこたちはスクールアイドルよ」
「スクールアイドル?」
黒髪をツーサイドアップにした小柄な女の子の聞き慣れない単語に首を傾げる。
スクールアイドル……意訳すれば学校のアイドルみたいな感じになるだろうが、つまり彼女たちは付近に名を轟かせるほどの人気グループか何かなのだろうか?
「まさかスクールアイドルを知らないわけ?」
「すみません……聞いた事ないです」
「仕方ないわねー。それじゃあ何も知らないアンタに、にこにーが分かりやすく教えてあげるわ。感謝しなさい」
そう言って黒髪の人は腰に手を当てて、スクールアイドルという物について説明を始めた。
スクールアイドルとは文字通り学生で結成されたアイドルで、芸能プロダクションに所属しているわけではない普通の高校生たちによって活動しているらしい。今日本では全国各地にスクールアイドルが存在し、スクールアイドル専門のショップも出来るほどの盛り上がりを見せているそうだ。
「要するにアマチュアのアイドルグループって解釈でいいですか?」
「そんな感じね。中にはプロダクションに所属しているアイドルグループもあるけど、それは基本的に例外だし」
なるほど。と矢澤さんの解説に納得して何度も頷く。
にしてもアマチュアとは言え……幼馴染たちがまさかアイドルになっているとは知らなかった。
「どう? 驚いた?」
「ああ。驚いた……けど」
「けど?」
ドヤ顔で訊いてくる穂乃果の顔についてはスルーして、俺は海未を見る。
「な…なんですか?」
「いや……」
あの海未がアイドルになった。っていうのは失礼なのは重々承知だけど……。
「……ぷふっ」
「なんで笑うんですか!?」
「ふふっ……だ、だってあの海未がアイドルだぞ? 無縁とは言わないけどあんな恥ずかしがり屋だった海未がアイドルとして人前に出るって……」
「いっ、言わないでください! 私だって恥ずかしいのを我慢してるんです!」
顔を真っ赤にして反論する海未。こうしてみると昔のままでこの3人は変わってないんだなぁと実感できた。
「でも海未ちゃん、弓道部の練習中に鏡を見てこっそり笑顔の練習を――」
「ことりー!?!?」
にこにこ笑いながら何かを言おうとしたことりだったが、耳まで真っ赤にした海未の絶叫がかき消した。
そのやり取りに懐かしさを覚えて笑みが零れる。そうそう、これだよこれ。昔から海未はからかいやすくてこんな感じで振り回されていたんだよな。
しかし母さんめ……穂乃果たちがスクールアイドルをやっていて、しかもここで練習しているのを知っていてわざと行かせたな。
「ねえねえ羽鐘くん、日本にはいつまで居られるの?」
「母さんから聞いてないのか? 俺今度からこっちで1人暮らしするんだけど」
「「「ええぇっ!?」」」
「母さんから何も聞いてないのか?」
3人の反応に俺は首を傾げて問いかけた。穂乃果はブンブン首を横に振って、何も聞いてないと意思表示する。
「てっきり日本でやるダンスの大会に参加するのかとばっかり……」
「大会に参加するだけだったらあの家使わないって。今度から近くにある……えっと、UTXだっけ? そこに――」
「UTX!?」
説明しようとしたら黒髪の子と茶髪の女の子がなぜか食いついて詰め寄られる。
「UTXってことはA-RISEがいる学校じゃない!」
「あ、あのっ! よかったらサイン貰ってきてもらえませんか!?」
「え? えっと……」
「こらこらにこっち、それに花陽ちゃんも。彼が困ってるよ?」
A-RISE……ってなんだ? 2人が興奮する理由が分からずただ戸惑うばかりだった俺を、シュシュで紫の髪をツインテールにした女の子が仲裁に入ってくれる。
なんだかこれ以上居るとますますややこしい事になりそうだと予感を抱いて、俺はくるりと背を向けた。
「とりあえずここで長話もなんだから、練習終わって気が向いたらウチに来てくれよ。俺も荷物とか片付けておきたいし」
「羽鐘くんのウチ!? 行く! 絶対行く! ことりちゃんたちも行くよね!?」
「うん! 話したいことたくさんあるもん!」
「お邪魔でなければよろしいですか……?」
「邪魔なわけないだろ。じゃあまた後で。皆さん、お騒がせして重ねてすみませんでした」
「あ、ああいえ。ご丁寧に……」
もう一度彼女たちに謝罪して、元来た道を戻る。上から「あとで絶対行くからねー!」と穂乃果の声が降って来て、俺は微笑を浮かべるのだった。
さて……お客さんが来るなら飲み物とか用意しないといけないか。確か途中にコンビニがあったと思うけど……あと俺の部屋、人が入れる状態なのか?
~没ネタコーナー~
その①「最初は鎧武のみだった」
最初に書いてみようと決めた当初はラブライブと鎧武のみのクロスでした。まあ敵やら変身するライダーやらはこの時点で既に決まっていて、単純に鎧武オンリーとは行きませんでしたけど。
当初、鎧武を見ていなかった(発表当時「フルーツだって!? 冗談だろ!? どこのご当地ヒーローだよ!」とpgrしていた)けど、レビューとかの評判見て気になりだして、バトライドⅡでバロンの強さ(それでもマイフェイバリットなアギトに及ばない(だってストームの巻き込みとシャイニングの連続斬り強すぎるんだもん))に惚れ、見ればよかったと後悔。最終回だけは何とか見てますます後悔。
ちょうどその頃になってラブライブにも興味を持ち、ここで読んでいる内に気付けばスクフェスもやり始めたり。
そうする内にラブライブで書いてみたいなーと思い始め、けど普通の日常だけじゃなんともと思った結果、鎧武は相性良さそうだし本編終了後ってことで構想を練ってみることに。
とはいえその頃はまだSAOに集中していて片手間程度。他にも構想練っている作品が何個かあって、これは優先順位低かったですけど。ただコンセプトそのものはこの時点で固められ、現在にも引き継がれています。
が、そんな折鎧武&ドライブの映画が発表。しかも本編の後の話。
その内容を知って、この案は即刻没になったのでした。まる。