ラブライブ! A Return Hero A Return Legend   作:リベリオン

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ついに来たエリチカ誕生日!

ってことで自分なりに生々しい描写を初っ端からぶち込んだり、色々やりました。一部囲ってるのでそういった物が苦手な人はスルーしてください。


いつか繋がるどこかの未来 絢瀬絵里編

※※※※※※※※※

 

「……んん」

 

 なんかスースーするな……。起き抜けに抱いたのがそんな感覚だった。

 まだ夏の名残が残るこの季節に少し寒さを覚えれば、その原因を確かめようと眠っていた脳が活動を始める。

 けれど同時にそんな些細な事どうでもいっか、みたいな魔が差してこのまま惰眠を貪ろうと言う甘美な誘いもキッパリ跳ね除けづらい。

 どっちを取るか天秤にかけていたら、あれ、と。傍に人の気配を感じ取る。

 惰眠を貪る事に傾きかけていた天秤が、新たに加わった要素によってひっくり返った。

 

「あ。おはよう、羽鐘」

 

 目を開けて視線を横にやると、起きた俺に微笑む彼女。

 

「絵里……さん」

「「さん」…って。なぁに、寝ぼけてるの? 昔の呼び方なんて」

「あぁ、うん……ごめん絵里」

 

 クスリと微笑む彼女に眠たい目を擦りながら謝り、どうなってるんだっけと昨日の事を思い出した。

 えっと、明日……つまり今日は大学が休みだから、昨日はウチでご飯食べて、借りてきた映画を見て、その後ヤッてそのまま寝たんだ。見れば隣に居る絵里も昨日の情事の後のままで何も着ておらず、カーテンの隙間から差す朝日が彼女の金髪を輝かせて、まるで絵画のような神秘さを漂わせている。

 

「今何時なの……?」

「えっと…9時を少し過ぎたところね」

「先に起きてたなら起こしてくれても良かったのに」

「だってぐっすり眠っていたから。羽鐘の寝顔、見ていてずっと飽きなかったけど羽鐘にしては随分遅いお目覚めね?」

「昨夜あんな激しく求められれば、誰だって寝過ごすよ」

 

 昨夜のことを思い出して、やれやれと溜め息混じりに呟く。

 彼女と付き合い、デートだってしたし子供じゃないんだから当然こうして何度も肌を重ねた。

 ただここで予想外だったのが、彼女の性欲の強さだ。

 最初の頃はそうでもなかったのに、肌を重ねるうちに回数が増え、より激しく求めてきて来るようになってきて……今となっては最初こそ俺がリードしても、途中から絵里の方が積極的になる。

 けどそんな風に言われるのは彼女としては不服らしく、むっと頬を膨らませた。

 

「なによ、人のことそんなにエッチみたいな言い方して」

「だって俺がギブって言っても、ゴム使い切っても求めてきたじゃ……」

「……? どうかした?」

「いや…そう言えばロシア人って性欲強いって聞くから、絵里もやっぱりそうなのかなって」

 

 ふと思い出したことを呟くと、絵里の顔がかあっと赤くなっていった。

 聞いたのか読んだのかは忘れたが、確かロシア人、特に女性はそう言ったものに積極的だとかなんとか。

 ならクォーターとは言えロシア人の血を継いでいる絵里も、やっぱりそうなのかなと。

 

「なに言ってるのよ、そんなわけないでしょバカ!」

「じゃあ絵里がエッチってこと……ちょっ、ひはいひはい」

 

 口にしようとした言葉は俺の頬を引っ張った絵里によって阻まれてしまう。

 ごめんと謝っても絵里は許してくれず、顔が赤いまま俺を見ていたが、ふと下のほうに目を落とすとにやぁっと笑った。

 

「ふぅん……? そんなこと言いながら、羽鐘だって朝からこんなに元気じゃない」

「え……あ、いやこれは」

 

 手を離した絵里に言われて自身の下半身を見下ろすと、今日も元気ですとでも言いたげに立派に示す自分の分身。

 けどこれは男にとっては生理現象みたいなもので、別にシたいと言うわけじゃないんだけど……。

 しかし絶賛ご立腹中の絵里にそれを説明しても退いてもらえず、完全に火のついた彼女は艶やかに笑うと俺に覆い被さってくる。

 何も着ていないなら当然隠すものはなく、朝から刺激的なものが惜しげもなく晒されてゴクリと生唾を飲んでしまった。

 

「どうするの?」

 

 なにを、なんて聞くまでもない。1度火のついた彼女を静めるには、彼女の気が済むまで相手をするしかない。

 朝からハードな1日になるなぁ……なんて他人事みたいに考えてから、右手を伸ばして彼女の頬に触れるとそのまま長い口づけを交わすのだった。

 

※※※※※※※※※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ゛ー……」

 

 気のせいか太陽が黄色に見える。

 あの後絵里と3ラウンド連続休みなし付き合わされて、遅めの朝食(と言うか半分昼食だったけど)を済ませた俺たちは原宿に繰り出していた。絵里が原宿にショッピングに行きたいって言い出して。

 

「ちょっと待って、絵里……お願いだからリ○D買わせて」

「仕方ないわねぇ」

 

 へろへろな俺とは対照的に、絵里の方はなんか肌がつやつやしてた。少なくとも体力は俺の方があるはずで、同じくらい消耗したはずなのになんでこんなに元気なのか。

 駅を出る前に絵里に頼んで、構内のコンビニで栄養ドリンクを買って飲んでから、改めて街に繰り出す俺たち。

 まずは一通りウィンドウショッピングした後、カジュアルブランドチェーンの衣料品店に引っ張り込まれて、あれやこれやと着せ替え人形にされてしまっている。

 別に絵里のファッションセンスは疑ってないと言うよりも俺よりもセンス良いし、好みを分かってくれてるんだけど……やっぱり恥ずかしいものがある。

 

「ねえ絵里……別に俺、ダウンジャケット1着くらいでもいいんだけど」

「別にいいじゃない、やっぱりこっちと組み合わせるならこっちの方が……」

 

 やんわり言ってみるものの、夢中になっている絵里は聞いてくれそうになくてがっくり肩を落とす。

 「これなら似合う」「こんな服を着て欲しい」ってことなんだけど……こうされるって事はこの後俺も絵里の服を選ぶ可能性がでてくるわけで。

 正直絵里ってなに着ても似合うから逆に難しいんだよなぁ……もちろん変なチョイスじゃない限り。

 その後、俺が欲しかったダウン他数着を絵里がコーディネートして、俺も絵里に似合いそうなのを何着か選ぶ。ここでポイントなのが「似合いそうな服」と言う事で、「俺が着て欲しい服」を選んでしまえば「へー羽鐘くんってこう言うのが趣味なんだーふーん」と言われるから。

 

 

羽鐘の好み(・・・・・)にしなくて良かったの?」

「ぐっ…な、なんのことやら……」

 

 含んだ笑みを浮かべる笑みに唸って、わざとらしく目を逸らす。

 ショッピングの後、俺たちは原宿で有名なパンケーキの店にやって来ていた。パンケーキの店だけあって女性客がメインで、男性は俺を含め数人しかいない。

 

「惚けたって無駄よ。今日羽鐘が選んでくれた服、私に似合いそうな物を選んでくれてたでしょう」

「ばれてたし……」

「だって選ばなかった方を名残惜しそうにしていたじゃない。それを見れば「あ、本当はこっちがいいんだ」って気づくわよ」

「あっちが良かったってわけじゃないよ。実際どっちも捨てがたいし」

 

 ただ俺の好みに走ればからかわれる事必須で、当然周りだけでなく着る絵里もからかってくるから似合う方をチョイスしたわけだ。結局その目論見は気づかれていたけど。

 

「素直に私に着て欲しい方を選んでくれてよかったのに」

「どーせ周り気にするヘタレですよー」

「もう、拗ねないでよ……はい、あーん」

 

 言いながら絵里は自分が頼んだアップルパンケーキを一口サイズに切り分けて、フォークで刺すと俺まで持ってくる。

 餌付けか、餌付けでご機嫌取りのつもりかとも思うが、出されたものを食べないのも失礼だから口を開けると、パンケーキが口の中へ。食べてみるとリンゴの甘味にシナモンの香りが加わって、オーブンで焼き上げていることからアップルパイに近い印象を受けた。

 

「んぐっ……結構好きかも、これ」

「そう? 羽鐘のはどうなの?」

「ちょっと待って……はい」

 

 お返しに俺が頼んだココナッツパンケーキを一口サイズで切って、絵里の口へ運ぶ。

 なんかもう、普通に食べさせあいっこしてるけど別に本気で拗ねてたわけじゃないし。

 

「あむっ……うん、こっちも美味しいわね」

「それは良かった」

 

 顔を綻ばせる絵里にこっちも笑みを浮かべる。

 女の子って本当、甘い物が好きだよなぁ……なんて微笑ましく思いながらカフェオレに口をつけようとしたその時――。

 荒々しくドアが開く音と共に数人の覆面を被った男性客らしき集団が雪崩れ込み、手にしていた黒いL字型――どっからどう見ても拳銃だった――を天井に向けてぶっ放した。

 

「全員動くな!」

 

 男の怒号に一瞬店内が水を打ったように静まりかえり、次の瞬間絹を裂くような悲鳴が響く。

 

「きゃああああっ!?」

「うっせえ! 静かにしやがれ!」

 

 見るからに強盗、しかも銀行強盗帰りなのか背負ったバッグからは諭吉さんが何枚か飛び出していた。

 ……なんだって今日に限ってこんな目に遭うんだよ。せっかく絵里とデートしてたのに。

 

「は…羽鐘?」

 

 背後にいた強盗に振り返っていた絵里が、俺の雰囲気が変わった事に気づいて向き直る。

 それはなんと言うか、強盗に巻き込まれたというよりも「まさかやる気じゃないでしょうね?」という危惧。

 

「……絵里、俺が変身したらテーブルの下に引っ込んで」

「お…穏便に、ね?」

 

 うん、穏便に奴らに鉄槌下すよ。そう答えた俺に絵里は大きな溜め息。

 既にドライバーは腰に装着されていて、クウガロックシードも出していつでも開錠できる。念のためにと絵里にはヒマワリロックシードを持たせて、俺は席を立った。

 

「あ…? なんだガキ」

「……変身」

『クウガ!』

 

 ちょうど目の前にいた、サブマシンガンを持っていた男が銃を向けて問うのを無視してアンロックリリーサーを弾く。

 頭上に開いたクラックがアーマーパーツを召喚し、ドライブベイにロックシードをセットし、スライドシャックルを押し込むとカッティングブレードをスラッシュした。

 

『クウガアームズ! 超・変・身! ハッハッハッ!』

 

 ガポンッ、と待機状態のアーマーパーツが頭に落ち、瞬時に全身をライドウェアが覆い、各部が展開する。

 変身の一部始終を見ていた強盗たちは文字通り目を点にしていて、同じように店内にいた誰かが呟いた。

 

「仮面ライダー……幻武……?」

「………ふっ!」

 

 呆然としていた強盗の1人、瞬く間に距離を詰めると腹に1発右拳を打ち込み、瞬時にもう1人をすれ違いつつ首筋に手刀を打ち込んで瞬く間にノックダウンさせる。

 それまでぶっ飛んだ出来事に呆然としていた最後の1人が、ようやく我に返ると手にした拳銃を突きつけてきた。

 

「な、なんなんだてめ――はぎゅっ!?」

 

 何か言おうとしたみたいだが最後まで聞いてやる義理もないので、バク転しながら顎先目掛け爪先で蹴り上げる。

 見事に放物線を描き、強盗たちは1人残らず昏倒するのだった。

 

 

「では、ご協力感謝します。仮面ライダー殿」

「いえいえ、ご苦労様です」

 

 あれからすぐに警察が駆けつけて、気絶した強盗たちは残らず引き渡されて御用。怪我人もおらず、無事事件は解決。

 パトカーが遠ざかっていくのを見届けてから息を吐き、キャストパッドを閉じてロックシードを取り出すと変身が解除される。

 

「協力って言うか、デートの邪魔されてムカついたから叩きのめしたんだけどなぁ……」

 

 なんて正直に言ってしまえば呆れられるだろうか、そう考えて苦笑いしてしまう。

 まあそんな事どうでもいっか、と片付けて背を向けると――一瞬にして人波が押し寄せてきた。

 

「仮面ライダー! あの仮面ライダーですよね! 初めて見ましたサインください!」

「都市伝説かと思ったけど実在したのか! 写真取らせてもらってもいい!?」

「握手! 私は握手をー!」

「えーっと……」

 

 店内にいた巻き込まれた人たちがぐるりと囲み、あれやこれやと矢継ぎ早に言ってくる光景に冷や汗が流れる。あ、コラ! 勝手に写真撮らないでくれる!? SNSに上げようとしないでって!

 最初の頃は奇異の目を向けられたり、警察にも敵と思われていたのも今は昔。

 『アキバの守護神、仮面ライダー幻武』なんて都市伝説まで出来上がり、こうして変身すればまるで有名人が近くにいたかのように……いや実際有名人か。伝説のスクールアイドルμ'sやA-RISEに並ぶ人気の。

 って言うか久しく変身してないのに、みんな良く覚えてたな……なんて変なところで感心してた。いやそれよりも。

 

「あ、あの、すみません、人を待たせているから解放して……」

 

 なんとか声を上げるが囲む人たちはまったく聞いてくれず、俺はどうしたものかと困り果ててしまう。

 が、突然誰かが俺を持ち上げてよく見たらそれはインベスで、周りも俺もぎょっとする中インベスは気にする風でもなく俺を神輿みたいに担いでどこかに向かっていく。

 

「お、おい! なんだお前!? まさか絵里が寄越した……ゆらっ! 揺らすな!」

 

 取り囲んでいた人たちもワッショイワッショイと俺を運ぶインベスに目を点にしてその場に突っ立っていて、誰1人追いかけようとしない。

 怪物に誘拐される仮面ライダー……なんて中々シュールと言うか、下手に突っ込めば襲われかねないと言う危険を考えているのか。なんにしてもあそこから抜け出せたのは有り難いけど。

 インベスはすたこらとどこかに走っていって、路地裏に入るとそこで俺を下ろしてくれた。

 

「ご苦労さま、わざわざごめんなさいね」

 

 そう言ってインベスを召喚した主――つまり俺が貸したロックシードを持っていた絵里――がインベスに笑いかけ、インベスはそれに手を上げて応じると頭上に開いたクラックを通ってヘルヘイムに帰っていく。

 

「まったく……余り無茶なことして心配させないで」

「ご、ごめん……。でもあの頃に比べたらこのくらい――」

「どっちみち心配させてるのは変わらないでしょ?」

「……はい」

 

 ジト目で指摘されてしまい、俺は小さくなりながら謝るしかない。もしかしなくても今の絵里は少々ご立腹気味で、その3割くらいは俺が原因なんだけど。残りは全部強盗たちが悪い。

 

「いくら大丈夫って思っても……やっぱり心配なのよ。もしもがあったら」

「うん…ごめん」

 

 不安の色を宿した絵里にもう1度謝る。こんな顔をさせてしまったのは俺の軽はずみな行動のせいだから。

 結構根に持つよなぁ……と思いながら改めて絵里の反応を窺う。

 こっちが反省しているのを分かってくれたのか、はあ…と溜め息。

 

「……して」

「へ?」

「だから…ぎゅって抱きしめて、キスしてくれたら許してあげるわ」

 

 ……なにその可愛らしいお願いは。いや、俺は良いんだけど。

 

「朝にあんなにキスだって何だってしたのに……?」

「わ、悪いっ!? それとも許されたくないの!?」

「い、いや、そう言うわけじゃないけど……」

 

 顔を赤くしながら言う絵里に、恥ずかしいならそんなお願いしなくても……なんて思ったが、そんなこと言えばますます機嫌を損ねかねない。

 俺ってとことん絵里に頭上がらないなぁ……なんでなんだろ。と内心首を傾げながら、彼女の要望を叶えることにする。

 

「んっ……ふぁっ、んん……ちゅっ……」

 

 抱きしめて唇を重ねると焼き切れそうなほど熱くなっていて、絵里も背中に手を回しながらより強く深く求めてくる。

 絵里から伝わってきた熱が俺の理性を燃やしていき、このまま欲望に飲まれてしまおうか……と一瞬考えた所で理性を振り絞って唇を離した。

 互いの交じり合った唾液が名残惜しそうに糸を引き、熱っぽい絵里の瞳が俺を見つめている。

 

「もうおしまいなの……?」

「外で、しかもこんな場所でこれ以上はまずいって」

 

 日も高い上に、こんな場所でするほど特殊な趣味は持ち合わせていない。

 説き伏せると絵里は残念そうな顔をしながらも渋々納得してくれた。

 角から通りの様子を窺うと、俺を探している人は見える範囲には居らず、安堵すると絵里と一緒に通りに出てくる。

 

「……あ」

「どうしたの?」

「いや、あの店の飲食代、払うのすっかり忘れてたって思い出して……」

 

 警察への引渡しや囲まれた事のごたごたで払い忘れたことを思い出し、どうしようと考え込む。

 今から戻って払いに行くか? そうなるとまた囲まれそうだし……。

 

「それなら大丈夫よ、羽鐘が囲まれてる間に店長と話していて、「恩人に代金を求めるわけにはいかない」って言ってたから」

「本当に? なら良かった……で、いいのかな?」

「仮面ライダーが食い逃げした、なんてよりはずっといいんじゃない?」

 

 くすりと笑う絵里に「まあ、そうだけど…」と若干言いよどむ。

 けど絵里のおかげで助かった。「店に押し入った強盗を見事捕らえた仮面ライダーがまさかの食い逃げ!」なんてゴシップが載ればいい笑い者だ。

 ふとスマホの時計を見ると5時30分を回っていて、明日は大学もあることを考えると何をするにしても微妙な時間になってくる。

 

「この後どうする? なんかごたごたしちゃったけど……」

「こんな時間だし……電車のこともあるし、今日はもう帰りましょうか」

 

 いつもならどこか良さそうな店を探して夕食でも、と行くところだけど、昨日から家を空けていた絵里としては留守番している亜里沙ちゃんが心配だろう。

 と言う事で駅で切符を買って電車に乗り込み、秋葉原駅で降りると絵里を家まで送っていく。

 しかし、変身したのなんていつ以来かな。3回目のラブライブ! 以来だっけ。

 実際もう大ショッカーの脅威は去ったし、仮面ライダーの存在も必要ない……と思うんだけど。

 

「(実際には終わってなかったからなぁ)」

 

 2回目のラブライブ! の最中にこの世界での拠点を壊滅させたと思ったら、実は残党が居ました……なんてオチが起きたのも事実。

 本当に全てが終わったのか? 自分自身にそう問いかけても「終わったんだ」とはっきり言えないでいる。

 これ以上俺が戦う必要はあるだろうか? だけどもしまだ大ショッカーがこの世界に何かを遺していたのなら、それを摘み取るのも俺の役目だと思う。

 けどそれはいつ終わりを迎える? そもそもそれに終わりがあるのか……。

 

「なにを考えてるの?」

「へっ…いや、大したことじゃないんだけど……」

 

 考えに没頭する余り口数が減っていたらしい。絵里の問いかけに我に返って、俺は慌てて答える。

 けどそんな見え透いた嘘、絵里にはお見通しだったらしい。「羽鐘」と呼びながら1歩先を行く。

 

「羽鐘の彼女はそんな言葉で納得できる人だったかしら?」

「…ですよねー」

「それに、幼馴染みの穂乃果たちに比べたら敵わないけれど、羽鐘と5年も付き合っているもの。嘘ついてることくらいわかるんだから」

「言わないとダメ……だよ、ねぇ」

 

 振り返った絵里の目は真剣で、はぐらかすなんて許さないと物語っていた。

 こうなると頑として譲らないのが俺の彼女と言うもので、仕方無しに話すことにする。

 

「本当に全部終わったのかなって、そう考えてたんだよ」

「それって……大ショッカーとの?」

「うん。実際に壊滅させたって言ってもこの世界での拠点であって、本当の意味でショッカーは消えてない。事実残った残党がニューヨークで襲ってきた事だってあったから」

 

 けど、その時に今度こそ壊滅させた……と思っても、心のどこかでは本当に全部が終わったのか? と引っかかっていた。

 あれから5年。世界は特に何事もなく日々を過ごしている。でも水面下でもしかしたら……と。

 もちろん奴らがまたこの世界を襲った時は、俺は迷うことなく変身するつもりだ。また1人(厳密には違うけど)だけど、独りよがりだった最初の頃と違って、今は信じてくれている大事な人たちがいるし。

 

「もしかしたらまだどこかに、ショッカーの残党が潜伏して機会を窺ってるかもしれない」

「……それで? そう考えているって事は、どうしたいか答えが出ているんでしょう?」

「うん……」

 

 ただ、それを選ぶと言う事は……絵里に辛い事を強いるかもしれない。

 

「もし何処かで、奴らのせいで苦しんでいる人が居るのなら、俺はそこへ行ってその人たちを助けたいって思ってる」

「それってつまり、人助けってこと?」

「そんな大層なものじゃないよ。これは……そう、あの戦いに飛び込んでいった俺の後始末……そんな感じ」

 

 もし本当に終わっていなかったなら、それを終わらせるのが俺の務めだと思ってる。

 

「……はぁ」

 

 話を聞いていた絵里は暫く黙った後、大きく溜め息を吐いた。

 

「行かないでって言っても、聞かないんでしょう?」

「本気で泣いて言われたら……流石に」

「意志弱いわね……」

「いや、そんなことされれば鈍らない普通!?」

「だったら本当に泣いて行かないでって言ってもいい?」

 

 ぐっ……なんて卑怯な。冗談っぽく言っている様に見えるけど、それは紛れもなく本心なんだ。

 俺だって本音を言えば絵里と一緒にいたい。でもこれは俺の不始末を片付けるためのもので、それに絵里を巻き込みたくはない。

 もしショッカーとの戦いになればどんな危険が及ぶか……それは絵里だって身に染みているはずだ。

 

「……浮気なんてしたら、絶対許さないわよ」

「なんでそんな話になるの……?」

「だって羽鐘、女の子に好かれやすいじゃない。私たちだってそうだったし」

「いやいやいや! なんで絵里と付き合ってるのに他の子が来るの!?」

「穂乃果たちも諦めてないから釘刺してるんじゃない!」

 

 えぇー……確かに穂乃果たちも未だにアプローチ続けて来てるのは事実だけど。けど遊びに行くために旅をするわけじゃないんだけどなぁ……。

 

「そんな事しないって、本当に」

「どうかしら……」

「だったらどうすれば納得してもらえるのさ」

「……結婚して」

 

 困ったように言うと、返ってきた絵里の予想だにしない答えに頭が真っ白になった。いや、真っ白になったと言うより、考えが丸ごと全部すっぽ抜けたような。それはもう「すぽーん」なんて擬音が似合うぐらい。

 

「……これってまさかの逆プロポーズ?」

「そ…そういうのじゃないわよっ! それとも私と結婚したくないの!?」

 

 いや、別にそんなわけじゃないけど。もちろん俺だって将来は絵里と結婚して、家庭を築いて……なんて事を考えもしたがってなに考えてるんだ俺は。あまりにも突拍子のない方向へ話がずれてる。

 

「俺たちまだ学生だよ?」

「分かってるわよ! 別に今すぐってわけじゃなくて……と言うか私、勢いに任せてなんだかとんでもないこと言ってる? 言ってるわよね?」

「よしストップ! ちょっと深呼吸して落ち着こうか!」

 

 みるみる顔が赤くなって蒸気を発しそうなほどになる絵里の肩をとっさに掴んで、それ以上考えないようにさせる。

 なんかもうグダグダだよなぁ……なんでこんな話になったんだっけ?

 

「今すぐじゃなくていいの。羽鐘の旅が終わったら、その時は……」

「待って、絵里。その先は俺に言わせて欲しいんだ」

 

 言いかけた絵里の口に指を当てて遮る。

 ムードとかそんなもの全くない……いや、そもそも旅に出るって話の延長から、結婚するしないの話に行くなんてどんな流れだって突っ込まれるだろうけど。

 当然指輪とかも何も用意してない。って言うかプロポーズの台詞も何もない。ずさん過ぎて呆れるしかない。

 でも絵里が言おうとした先だけは、俺が言わなくちゃいけないと思うんだ。

 

「本当に全部が終わった、その時には……俺と――――」

 

 

 サクラハリケーンの後部に荷物を固定し、ドライブ中に落ちないか念入りに確認すると「よしっ」と俺は頷いた。

 こういう時、本当にロックシードって便利だ。ロックビークルはそれ自体のエネルギーで稼動するし、食事はヒマワリロックシードで代用できる。おかげで荷物は驚くほど少なく、ちょっとした日帰り旅行に行くかのような身軽さだった。実際1泊2日で回れる場所から最初は行くつもりなんだけど。

 徹底的に経費削減をして、変身して寝るのも考えたんだけど「ちゃんとした場所で寝なさいよ!」って絵里に怒られたから、当面は宿泊施設を利用する予定だ。

 

「家の事は絵里がしてくれるし、大丈夫だな」

 

 まだ俺の部屋で寝てるであろう絵里と亜里沙ちゃんのことを思い浮かべながら呟くと、ヘルメットを被りグローブを嵌めようとして、ふと手首につけた2つのブレスレットに目が留まる。

 絵里と亜里沙ちゃんがお守りにと作ってくれたブレスレット。ちょっと女の子っぽいっデザインだけど、結構気に入っていた。

 ご利益は……確実にあるだろう。作った後に希さんと一緒に願掛けしたというからパワーは間違いなく篭ってるはず。

 

「……………」

 

 信じて待っていてくれるなら、絶対に帰ってこないとな。

 心の中で呟いてから、俺はグローブを嵌めてサクラハリケーンのスタンドを立てた。

 ある程度手で押して家から距離をとると、サクラハリケーンに跨る。

 

「……行ってきます」

 

 ギアとクラッチを操作し、スロットルを捻るとサクラハリケーンが走り出した。

 

 

 

 

 

 まずは西から回っていくか――!




この話、実はちょっとだけ続きます。まあきっかけはサンシャインなんですけど。

なんでか自分の中では絵里は攻めなんだよなぁ……希も条件付で攻めなんだけど。おかげで羽鐘が総受けになってしまった。おのれディケイドry

まーそんなこんなで自分はこんな感じで絵里の誕生日をお祝いします! 改めておめでとう!





















































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