血界戦線~The Irregular at Magic High School~(改)   作:オゼル

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~PART Ⅶ~

4月23日 国立魔法大学付属第一高校 周辺

 

「平和ですねぇ~」

 

「平和だな」

 

一校から少し離れた場所でキャロルとレオが車の中で退屈そうな顔で待機していた。

 

「本当にブランシュが動くんですかね?」

 

「奴の話を聞いたかぎりその可能性は高い、今はまだ待つしかないさ」

 

「けど、中の討論会はどうなってるんでしょうね?」

 

「さぁな、それに聞こえたとしても私たちには関係のない話だ」

 

「そんなもんですかねぇ」

 

レオはそんな会話をしながら、昨日の事を思い出していた。

 

 

その日、レオとキャロルは以前、利用したカフェでカモフラージュの為の会話をしながら、ある人物を待っていた。

 

「それで、うちの妹は俺の事をトータスナイトなんて呼ぶんですよ」

 

「トータスナイト、亀の騎士か、亀の種類は何なんだ?ウミガメ、リクガメ、ワニガメなんか強そうだな、噛む力は相当なものだぞ」

 

「いや、そんな急に亀の種類はなんだって言われても」

 

「すいません、レモンティーを一つ」

 

「んっ?・・あの人、確か」

 

(こちらをあまり見ないでください、あくまで自然にです)

 

すると、前に2人と接触した人物が同じ帽子を被り、2人の後ろの席に座り自然に注文を取ると、鞄から本を取り出し読みはじめ、あの時の様に小声で2人に声を掛ける。

 

(急に話しておきたい事があると日本支部の連中に言われて、来てみれば何の用だ?)

 

(実は昨日、学校の方で少し騒動がありまして)

 

(騒動?)

 

(はい、当校に所属している複数の生徒が有志同盟を結成して、放送室を占拠、学校の差別を無くすなどの声明を流したんです)

 

(そりゃまた、ずいぶん大事だな)

 

(差別って、魔法科高校でどんな差別があるんですか?)

 

レオナルドは牙狩の人間が話した、差別という言葉に疑問を感じ、その事について聞くと

 

(はい、魔法科高校では一科生二科生という制度がありまして、入試の際のテストでそれが決まるのですが)

 

(一科生に二科生?それって何が違うんですか?)

 

(実際はそこまでの違いはありません、一科生の中で諸事情により退学した場合の補充要員と魔法科高校は全国的に指導教員の不足などの事情によって、魔法実技を受けられるのは一科生だけ、それぐらいの違いしかないんです)

 

(それで何で差別なんか?)

 

(先ほども申し上げた通り、一科生に空きが出た際に二科生から補充されたり、魔法実技が受けなれない、そして入試の結果で下位の者が二科生になる、そういった事から一科生の中には二科生の事をウィードと蔑み、自分たちをブルームと呼び優越感に浸っている生徒が多数いるんです)

 

(ブルームにウィード?なんでそんな呼び方になってるんですか?普通なら一科生、二科生って言いそうだけど)

 

(これもお恥ずかしい話なのですが、当校の制服には花の紋章が施されています、唯その紋章は一科性にしかなく)

 

(あぁ、花が有る無いで区別されてるからブルームにウィードか・・あれ、でもなんでそんな分かりやすい区別つけたんですか?同じ生徒なら二科生にも紋章を付ければ少しはその差別もマシになりそうだけど)

 

(実は、二科生が設立された際に発注された追加の制服が発注ミスで紋章を付けづに用意されてしまい、当時の官僚も自分たちのミスを認めようとせず、そのまま今に至ります)

 

(・・・・・・)

 

「お待たせしました、こちらレモンティーになります」

 

「ありがとうございます」

 

話の途中で、店の店員がレモンティーを持ってきて、牙狩の人間はそのレモンティーを受け取る。

 

店員がいる状態で話は出来ないので、3人とも会話を一時中断していたが、牙狩の人間の言葉にレオはどう言えば良いのか分からず、無言になってしまい、キャロルはそれを呆れながら聞いていたのか、店員が離れると口を開き、

 

(とりあえず、ブルームだウィードなどというこちらには関係ない且くだらない話はその辺にしておいて話を戻せ、なんでその雄姿同盟の放送が私たちに関係があるんだ?)

 

(はい、騒ぎ自体はすぐに収まったのですが、後日、放課後に生徒会長とその雄姿同盟による討論会が開かれることになりました)

 

(だから、その雄姿同盟も討論会も、私たちには関係ないだろ)

 

さすがにキャロルも苛ついてきたのか、口調が少し乱暴になっていく。

 

(落ち着いて下さい、話はここからです。実はその雄姿同盟のメンバーが反魔法国際政治団体・ブランシュの下部組織エガリテに所属するメンバーが殆どでして)

 

(!・・なるほど、つまりその討論会でブランシュが何か仕掛ける可能性があると・・・待て、まさか私たちに騒ぎが起きた際に手を貸せなんて馬鹿な事を言うつもりはないだろうな?)

 

(いえ、ライブラのあなた方に介入などさせられるはずがありません、ただ・・)

 

(ただ、何だ?)

 

(こちら側が得た情報でまだ確定はできませんが、ブランシュにブラッド・ブリードが接触した可能性があります)

 

(えっ!?)

 

(なんだと?)

 

ブラッド・ブリードという言葉に2人の緊張感が高まる。

 

(ですので、あなた方には最悪の場合に備えて討論会の日に当校の近くで待機して頂きたいのです)

 

(なるほど、話は大体わかった、それでお前達牙狩日本支部はどうするんだ?)

(はい、こちらでも学校側にはばれないように極秘で監視する予定です)

 

(分かった、当日は私たちも監視しておく、それでその討論会は何時だ?)

 

(明日です)

 

(明日って、ずいぶん急ですね)

 

(こちらとしても騒ぎはなるべく早く解決したいものですから)

 

(都合のいい事に、お目当ての連中が動かないかぎり私たちも暇だ、だが私たちが動くのは最悪の事態が起こった時だけだ、連中がお前達の学校に攻撃を仕掛けても動きはせんぞ)

 

(ちょっと、キャロルさん)

 

(いえ、彼女のいう事は最もです、本来 私たち牙狩やライブラは裏の存在、表だって動く事は避けねばなりません、それに魔法科高校の防衛力は小国の軍隊なら防げますので、テロリストが襲ってきても大丈夫かと)

 

(小国の軍隊ならって・・どんな学校だよ)

 

牙狩の言葉にレオは軽く引いてしまい少し落ち着こうとテーブルにあるアイスコーヒーを飲み始める。

 

(とりあえず私たちもこちらが動く必要があると思った時に動くので、その事は日本支部の連中に伝えておいてくれ)

 

(かしこまりました、では私はこれで)

 

牙狩の人間は残っているレモンティーを飲み干し読んでいた本をしまうと、席を立ち何事も無かったかのように去っていった。

 

「それで、どうするんですかこれから?」

 

「とりあえず、戻って明日の準備をするとしよう」

 

そう言って、キャロルとレオはテーブルに置かれている自分の飲み物を飲んだ。

 

 

そして、現在

 

「まだブランシュに動きありませんね、このまま何事も起こらなければ良いんだけど」

 

「何も起きなかったら、ブラッド・ブリードの情報もつかめないがな」

 

軽口を叩きながらキャロルはガラス瓶に入っているジュースを飲む。

 

「ちょっと不謹慎ですよ、キャロルさん」

 

「冗談だ、真にうけ・・!!」

 

「なんだ!?」

 

突如、学校側から爆発音が鳴り響き、レオが学校の方に目を向けると炎と煙が立ち上っていた。

 

「キャロルさん!」

 

「分かってる!とうとうおっぱじめたか」

 

「どうするんですか?本当に黙って見てるだけなんですか!?」

 

「落ち着けレオ、下手に私たちが介入しても場が混乱するだけ?・・レオ、あのトラック」

 

「えっ?」

 

キャロルは自分たちの横を通り過ぎたトラックを見て違和感に気づき、

 

「あのトラックの中をお前の眼で見てくれないか」

 

「はっ、はい!」

 

キャロルに言われ、レオがトラックの中を義眼で透視すると

 

「あっ!武器を持ってる連中が数名います・・あれ?なんか中の2人が錠剤を呑もうと」

 

「頭下げてろ!」

 

「えっ?わぁぁ!!」

 

トラックの中の様子をレオがキャロルに告げると、突然キャロルは車のアクセルを踏みそのままトラックに突っ込んでいき

 

「ぎゃあぁぁぁぁ!!」

 

トラックと車が激突し、キャロルは車のドアを蹴破り、何事も無かったかの様にトラックの荷台まで歩き荷台のドアを開けると、中ではブランシュのメンバー衝撃の衝突で倒れ何が起こったのか分からず混乱していた。

 

「なっ、何者だ!貴様!ぐぁっ!」

 

荷台の中に乗り込んだキャロルに向けて銃口を向けたが、キャロルはその銃を蹴りではじき落とし、男の頭頂部めがけて、足を突き落とす

 

「貴様!ぐっ!」

 

「この、ぐげっ!」

 

キャロルは横にいた男めがけて持っていた空き瓶を投げつけ、もう一方の男の襟首を掴み、自分の近くに引っ張り、そのまま男を頭突きで倒す。

 

「このっ!」

 

「はあっ!」

 

「なっ!うわっ!」

 

後ろにいた男が、キャロルを取り押さえようと手を伸ばしたが、キャロルは逆に男が伸ばしてきた手を掴み、そのまま背負い投げの要領で男を床に叩き落とす。

 

「動くな!」

 

キャロルが正面に目を向けると、最後に残った男の一人が自分に銃を向ける光景が映る。

 

「少しでも動けば撃つぞ!」

 

「・・・はぁ、時間がないんだ無駄な事はするな」

 

だが、キャロルはそれを気にも留めず男に向かって歩き始め

 

「動くなと言っているだろ!」

 

男はキャロルの行動に動揺が隠せず、衝動的に銃の引き金を引き、銃弾がキャロルに向かって飛んで行くが、

 

「遅い」

 

「なっ!?」

 

「眠っていろ」

 

「がっ!」

 

キャロルは飛んできた銃弾を避けると、その光景を見て驚愕している男の顎を蹴り上げる。

 

「こいつか」

 

キャロルは床に落ちていた、男達が飲もうとしていた錠剤を拾い上げ荷台から降りるとトラックの運転席まで歩いていく。

 

「いっ、いきなりなんて事するんですか!キャロルさん」

 

「気にするな、それよりも付いて来いレオ」

 

「えっ?」

 

「早く!」

 

「はっ、はい!」

 

キャロルに怒鳴られ、反射的にレオは返事をすると、車から降りてキャロルの後を付いていく。

 

「うっ、うぅ」

 

「出ろ!」

 

「うわっ!」

 

運転席では運転手が衝撃のショックでエアバックに顔を埋めている男がいたが、キャロルはトラックのドアを開けると、男を運転席から引きずり出す

 

「一度しか言わないからよく聞け、この薬はなんだ?」

 

キャロルは男に先ほどの錠剤を見せ、その事について問い詰める。

 

「きっ、貴様ら、何のつもりだ?一体どこの?がっ!」

 

キャロルは男の襟首を掴んでいる手の力を強め先ほどよりも鋭く眼光を開かせる。

 

「一度しか言わないと言ったはずだぞ、この薬は何だ?」

 

「そっ!・・それは、リーダーが突入の際に飲めと言われた薬だ」

 

「学校に突入した連中もこれを飲んだのか?」

 

「いっ、いや、その薬は数が少ないから、最初に突入したメンバーが攻撃を開始したら、それを飲んで突入しろと・・」

 

「そうか、分かった」

 

「がっ!」

 

キャロルは男をトラックの荷台の壁に叩きつけ、男はそのまま気を失い、その場に倒れこむ。

 

「キャロルさん、その薬の事知ってるんですか?」

 

「知らん」

 

「えっ!?じゃあ何でこんな無茶な事を?」

 

「ブラッド・ブリードが接触した連中がテロ活動を起こす際に薬を飲もうとした、最悪のシナリオに備えて飲む前に防いだだけだ」

 

「最悪のシナリオって?」

 

「はぁ・・あのな、異界存在のブラッド・ブリードが外の奴らと接触したんだぞ、しかも連中は血脈門で向こう側とこちら側を容易に行き来できる、どういう意味か分かるな」

 

「えっ・・・あっ!もしかして向こうの技術をブランシュに流した・・とか?」

 

「その可能性があるので事前に防いだというわけだ」

 

「そう言えばさっきの人もリーダーに突入の前に飲むように言われてたって、言ってましたもんね」

 

「思っていたより事態は深刻かもしれんな、ブランシュの基地に乗り込むぞ」

 

「えぇっ!?今からですか」

 

「当たり前だ」

 

キャロルは携帯を取り出し、どこかに電話をかけると

 

「あぁ、私だ、すまないがお前が以前言っていたあのスーツを持って今から言う場所に持ってきてくれないか?」

 

「あの、誰にかけてるんですか?」

 

レオは電話先の相手が気になり、キャロルに相手の事を聞くが、

 

「後で話す、待っていろ、そうだ、そこに持って来てくれ・・なに?早くても2時間・・・分かった、兎に角急いでくれ」

 

キャロルは電話を切るとレオの方に目を向け

 

「とりあえず待ち合わせ場所で待機だ」

 

「待ち合わせ場所で待機って、何処でですか?それに電話の相手もまだ聞いてませんよ!」

 

「分かってる、その事も含めて車の中で話すから急いで乗り越め」

 

「もう、ちゃんと分かるようにお願いしますよ」

 

そう言ってレオも車に戻り、2人はその場をすぐ後にした。

 

「そうだ、これから私たちがブランシュの日本支部に奇襲をかけるので、そちらにはその後処理などを行ってほしい、増援?いや、ブラッド・ブリードがいる可能性も否めない、そちらは現在、主力を先の熊本で失っているんだ、今は戦力を温存しておいてほしい、分かったでは後は頼む」

 

ブランシュの日本支部に向かっている車の中でキャロルは牙狩日本支部に話を付けると、電話を切る。

 

「それで、さっきの話ですけど」

 

「あぁ、待機場所と電話相手の事だろ、とりあえず待機場所はブランシュの日本支部からそう遠くない森林地帯だ、それと電話の相手は以前言っていた協力者のオタク、これで良いか」

 

「そんな淡々に言われても・・まぁ、向こうでこういうのには慣れましたけど」

 

「とりあえず急ぐぞ、連中の隠れ家はここから目と鼻の先だからな」

 

そう言って、キャロルは車のアクセルを踏む

 

一方、第一校では

 

「とうとう始まったか」

 

校舎の裏である女生徒が学校内の騒動を見ていた。

 

「しかしそろそろ例の部隊が出てもおかしくないのだが、しくじったか?」

 

「おい!そこのお前」

 

すると、いつの間にか女生徒の後ろにテロリストの一人が銃を向けて迫ってきた。

 

「俺と一緒に来い!人質になってもらうぞ」

 

「はぁ・・・こんな奴に接近を許すとは、私もまだまだだな」

 

「何を言ってる!とにかくこっちに・・えっ?」

 

突然、男の前にいた女生徒が目の前から消え、男が間の抜けた声を出すと

 

「邪魔だ」

 

「がっ!」

 

先ほどの女生徒が男の後ろに現れ、男の顔を校舎の壁に押し付け、その衝撃で壁にヒビが入り、男はそのまま気を失う。

 

「さすがにここで死人を出すと目立つのでな、命までは取らん、感謝するんだな」

そう言って女生徒は討論会があった講堂に一度目を向け

 

「少しぐらい真由美の演説を聞いてやるべきだったかな」

 

女生徒はそう言うと、何処へともなく去っていった。

 

 

ブランシュ日本支部 アジト 付近 森林

 

ブランシュ日本支部がアジトとしている廃工場から近くの森林でキャロルとレオは車を止め、例の協力者が来るのを待っていたが、時刻はそろそろ男が言っていた2時間に迫っていた。

 

「まだですかね、そのオタクの人?」

 

「もうすぐのはずなんだが、どこかで道草でも食ってるんじゃないだろうな?」

 

「あっ、あれそうじゃないですか?」

 

「んっ?やっときたか」

 

2人が協力者の到着を待っていると、一台のバンが近づいてきて、二人の前で止まりバンから一人の男が降りてきた。

 

「ごめんごめん、予想より準備に手間取っちゃって」

 

「あの、キャロルさんこの人がその協力者ですか?」

 

「そうだ、紹介しよう滝谷だ、私がライブラに入る前もブラッド・ブリード関連で協力してもらった事があるやつでな、見た目は普通だがなかなか使えるやつだぞ」

 

「そっ、そうですか、でもオタクって前に言ってたような」

 

「あぁ、あれか・・・まぁ、その事については付き合っていくと分かるから」

 

「はぁ?」

 

「君が、キャロルちゃんの同僚だね、よろしく滝谷真だ」

 

「あっ、どうもレオナルド・ウォッチです」

 

「それで滝谷、あれは?」

 

「後ろに積んである、手入れも万全だからいつでも使えるよ」

 

「そうか、とりあえず作戦として、私が中にいる連中を無力化した後、何事もなければ戻るが、万が一ブラッド・ブリードが出現した場合はレオ、お前が滝谷と一緒に突入、忌名を確認したら、すぐにその場からにげろ、良いな」

 

「はい」

 

「滝谷、レオはブラッド・ブリード戦においてなくてはならない存在だ、最悪の場合は私を見捨ててでもレオを守れ」

 

「了解」

 

「それでは行くとする」

 

「あれ?」

 

「どうした?レオ」

 

「いや、あの車 なんか廃工場に向かってきてるような」

 

キャロルと滝谷がレオが指さした方に目を向けると、確かに一台の車がスピードを落とさず廃工場に向かっていた。

 

「あのままじゃ、ぶつかりますよ」

 

「何考えてるんだ、乗ってる人たちは」

 

「いや、あれは」

 

レオと滝谷はスピードを落とさず廃工場に向かって進む車を見て慌てるが、キャロルは何かに気づき、

 

「魔法式?」

 

滝谷は車全体が魔法式全体で包まれる所を目撃し、そのまま車は門に向かって進み、門を突き破り廃工場内に入っていった。

 

「ええっ!?」

 

「あの衝撃で傷一つないなんて、硬化魔法の一つかな?」

 

「そんな事よりテロリストの拠点に正面からあんな堂々と攻め込むなんてどこの馬鹿だ?」

 

車は廃工場前で止まると、中から複数の男女が降りてきた

 

「あれ?あれって、魔法科高校の制服じゃないですか?それじゃあ」

 

「おいおい、学生がテロリストの拠点に攻め込んで来たのか?非常識にも程があるぞ」

 

「どうするのキャロルちゃん、君も乗り込む?」

 

「・・・・・行くしかないだろ、最悪の場合、連中と魔法科高校の生徒が鉢合わせするかもしれん」

 

そう言って、キャロルはバンの後部に足を進めて行く。

 

 

そして、一高での騒動を鎮圧した達也達が、ブランシュ殲滅の為、妹である深雪とクラスメイトである千葉エリカ、西城・レオンハルト、そして3年の部活連会頭 十文字克人、そして2年生の剣術部所属の桐原武明がブランシュ日本支部の拠点である廃工場に攻め込み、ほぼすべてのメンバーを撃退し、リーダーである司一も当初は達也を自身の洗脳用魔法で達也を仲間に引き入れようとするも失敗、追い詰められその場から逃げ出すも結果は追い詰められ、一高の生徒である壬生紗綾邪香を洗脳し利用した事に怒る桐原に右腕を切り落とされる。

 

「これで敵は全部か?」

 

「おそらく」

 

「だがそれにしても、やり過ぎだ」

 

十文字は周りの状況を見て、そんな言葉を吐くと、ブランシュのリーダーである司一は残った左手で這いずりながら達也達を睨み付ける

 

「よくも・・やってくれたな、魔法師共」

 

「まだそんな事を吐く気力が残っているとはな」

 

「あまく見るなよ・・こちらにはまだ、奥の手が残っているんだ」

 

「奥の手?」

 

「あれを使えぇぇぇ!!」

 

司の叫びを聞き、わずかに意識が残っていたブランシュのメンバー2人が懐から一錠の薬を取り出し、それに気づいた達也達が止めようとしたが、間に合わずその2人は薬を口に含みそのまま飲み込む。

 

「ぐっ・・があぁぁぁぁぁ!!」

 

そして薬を飲んですぐに2人とも狂った様にその場で苦しみ出す。

 

「何を飲ませた!」

 

達也は自身のCADを司に向けるが、司は先ほどとはうってかわり、狂喜に満ちた笑みを浮かべ

 

「何を飲ませただと?そうだな、しいていえば」

 

苦しみもがいて男達の動きが止まり、男達はそのままゆっくりと起き上がるが、

 

「お前達では到底理解できない人智を超えたものさ」

 

顔は動脈が浮かび上がり、目は焦点が定まっておらず、異様な雰囲気を出していた。

 

「殺せ!皆殺しだ!」

 

司の命令を聞いたのか、それともただ本能的に動いたのか2人の男は達也達に襲いかかる。

 

「この!」

 

桐原は向かってきた男の腕を切り落とそうと刀を振るうが

 

「なにっ!?」

 

「桐原!」

 

「があっ!」

 

刀は男の腕の中間で止まり、激痛が走るはずが男は何事もなかったかのように桐原の首を押さえつけ、そのまま地面に叩きつけ、桐原はその衝撃で気を失ってしまい男はそのままとどめをさそうと腕を振り上げるが、

 

「ふんっ!」

 

突如、壁のようなものが男に勢いよくぶつかり男を吹き飛ばす

 

(あれが十文字家のファランクスか・・だがそれより、あれは何だ?)

 

達也は尋常ではない男達の変貌を見てさすがに焦りを見せる。

 

「がああぁぁっ!」

 

男達2人が達也と十文字に襲いかかろうとするも十文字はファランクスを展開し男を二人共、壁に押さえ込むも

 

「なにっ!」

 

(ファランクスを押し返しているのか!?)

 

男達は信じられないことに両腕でファランクスを押し返していた。

 

「はははっ!恐ろしいだろう魔法師!冥途の土産に教えてやろうこれは」

 

「!?」

 

司は自信の勝利を確信したのか、声高らかに男達が飲んだ薬の事をしゃべろうとした時、突如、天井をぶち破り何者かが両者の間に降り立つ。

 

「薬の名称はエンジェルスケイル、人間では耐えきれない快楽受けきれるように器を変える際に知覚の鋭敏化、瞬発的な回復力と筋力の増加、簡単に言えば安易に超人的な能力を持った狂戦士を生み出す麻薬の一種、販売ルートは全て潰したはずだが、まぁ良い」

 

「なっ、何だお前は?」

 

「「・・・・・・」」

 

3人と強化された男達の前には西洋の鎧を思わせるようなアーマーと鷹を連想させるマスクを被った人物が立っており、その鎧の人物は黒い弓を司に構え

 

「その事も含め、お前には洗いざらい吐いてもらう、覚悟しろ」

 

マスク越しから見える目で司を睨み付けるのだった。

 




キャロルが装着しているアーマーについては、鎧はFate Grand/Orderのランサーアルトリアやオルタランサーの第1段階時に着ている鎧と酷使しており、マスクについては
通常のランサーアルトリアが獅子、オルタランサーが竜の様な仮面をつけていたので、それの鷹版と思って下さい。
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