―― 『テシオ』艦橋 ――
「敵中型戦艦の撃沈を確認‥‥敵駆逐艦2、回頭して向かってきます!」
観測士の三沢が『ヤマト』の砲撃による敵戦艦の撃沈と、コスモタイガーによる攻撃の傷が浅い駆逐艦2隻が立ち向かってきた事を告げる。
「『ヤマト』は向かって左側、我々(巡洋艦4隻)は右側の艦をやる。照準を外すなよ」
ガトランティスの駆逐艦はターレット型砲塔のため速射が利く。『ヤマト』はともかく、巡洋艦や補給艦に接近されると厄介だ。
『ヤマト』の46サンチ主砲6門と15.5サンチ副砲3門、TF13の巡洋艦4隻が持つ20.3サンチ主砲24門と、艦体側面に固定された磁力砲(レールカノン)―― 劣化ウラン弾を装填 ――が煙の尾を引きながら向かってくるガトランティス駆逐艦に指向された。
空間監視に留まっている古代機と山本機からのデータを元に『ヤマト』のメインコンピューターが砲撃データを算出し全艦にリンク。
哨戒巡洋艦である『テシオ』『クズリュウ』は他にガトランティス艦隊が存在するかを監視していた。
「砲撃開始まで20秒」
ガトランティス駆逐艦は盛んに発泡してくるが、無論届かない。
ガトランティス軍は、本来は空母艦載機が槍、艦艇は楯の性格が強く、戦艦も長距離砲は艦橋固定砲のみだが、多数装備されたターレット砲塔は中~近距離戦になると、地球艦にとっては脅威になる。
逆に地球艦は、砲門数で劣る代わりに射程とパンチ力で上回るので、アウトレンジで叩くに限る。
「砲撃開始点です!」
「――撃て!!」
遮二無二の前進を図るガトランティス駆逐艦に、『ヤマト』『テシオ』『チョウカイ』『クズリュウ』『アシタカ』、33門の陽電子衝撃砲から放たれた光の矢衾が浴びせかけられた。
『ヤマト』に撃たれた1隻は艦橋を吹き飛ばされ、舷側を抉られて大爆発を起こした。
巡洋艦4隻から集中砲火を浴びたもう1隻は、炎上しつつも前進を続けたが、20秒長く生き延びただけだった。
TF13は2隻の残骸を横目に、炎上する白い船との距離を詰めていく。
残った1隻は少し逡巡しているようだったが、ほどなく煙の尾を引きながら逃走していった。
嶋津が白い船の人命検索を指示しようとしたその時、
「白い船と『ヤマト』に通信が繋がりました!」
「‥‥モニタリングだ!むこうからの通信はデータか? 音声か?」
「お待ち下さい。‥‥っ!これは!?」
通信をモニタリングしていたパクが驚きの声を上げる。
「どうした!? 通信長」
「も、申し訳ありません。接続します!」
パク通信長がせわしなくキーボードを操作すると、艦橋に『ヤマト』相原通信長の声とノイズが響き始めた。
『‥‥ちら、地球防衛軍所属、宇宙戦艦ヤマト。こちらの言葉がわかるのですか!?』
『ザ‥‥、はい、理解できます』
「日本語だって?」
「マジかよ‥‥!」
「静かに!」
ノイズ混じりだが、若い女性の声で比較的明瞭な日本語での応答に、ブリッジが色めき立つ。
『改めてお答えします。こちらは時空管理局所属、次元航行艦《タイタンⅣ》。突然攻撃を受け、本艦は甚大な損傷を被りました』
(····時空管理局だと!?)
嶋津は内心で驚きの声を上げる。
まさか、この宙域でまたも時空管理局の難破船と遭遇するとは思いもしなかった。
ともあれ救助だ。
『ヤマト』に生存者の保護と救助を、本隊(巡洋艦)とコスモタイガー隊は周辺の監視と警戒を指示する。
『生存者は何名ほど確認できますか?』
『‥‥今確認できるのは、ブリッジに私を含む女性3名。うち1名は負傷しています』
『わかりました。救助隊を向かわせます』
ほどなく『ヤマト』から真田率いる捜索隊が発進した。
コスモタイガー隊は数機を警戒に残して帰還させ、補給と整備を実施。
そして――。
『さぁさ、アナタ達ぃ。おやつの時間よ♪』
真山艦長の声に続き、宙飛ぶ芋虫こと補給艦『オシマ』の左右に巡洋艦が横付けし、消費弾薬や物資の移送を始めた。