宇宙警備隊長・冴子   作:EF12 1

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理不尽

── 『ニムカ』 ──

 

ラスコー級最後の1隻が爆散するのを、ナスカと幕僚は言葉もなく見詰めていた。

 

「直衛艦、全滅‥‥!」

「くっ····」

 

ブリッジクルーが泣きそうな声で部隊壊滅を告げる。

ナスカは己の足下が崩れていく感覚に襲われた。

それは、順調に昇進してきた軍での地位が失われる事を示していたから。

我が帝国は全能なる大帝の決定が最終結論だ。

大帝は絶対的な支配者だが、武人の思いにも理解を示して下さる懐深い方だから、一度の失敗ですぐ粛清するような事はなさらないが、問題はサーベラー丞相だ。

あの女の優秀さは認める。粛清された前丞相とは打って変わって、実務面は順調に進んでいるのだが、失敗した者に対する処遇が冷酷過ぎるのだ。

このままでは間違いなく俺は処罰か粛清だ。

 

(‥‥一時の恥辱を忍んでも、奴にとりなしてもらうか)

 

ナスカはそう考え付いた。

デスラーは大帝が対等の相手と認めた客将。彼の口添えならサーベラーも黙るだろう。

そう決心したからには直ちに実行すべし!

 

「作戦中止!退却して予備部隊と合流する!揚陸隊も反転させよ!!」

 

ナスカは続航中の揚陸艦にも退却を命じ、予備戦力たる数隻の駆逐艦・潜宙艦との合流を決意した。

 

(デスラーに頼むにしても手ぶらでは侮られる。戦力をすりつぶしても『ヤマト』を葬らねば)

 

太陽系外縁に舳先を向けた『ニムカ』の前方で時空震が発生したのはその直後だった。

 

 

── 『テシオ』 ──

 

「敵空母、退却します!」

「守備隊の救護が優先だ。救命艇降下用意!」

「了解!」

 

嶋津が救命艇の準備を命じた直後、観測士が驚いた声を上げた。

 

「敵空母のすぐ前方で時空震発生!」

「敵の増援か!?」

「‥‥ワープアウトとも違う反応です。規模は単艦レベル!このままでは衝突します!」

 

果たせるかな、敵空母の進路上に大型艦船らしき反応が現れた直後、小さな閃光が煌めいた。

 

「敵空母と新たな艦船らしき目標が衝突した模様」

「‥‥間違いないか?」

 

一体何が起きたのか。にわかには理解できなかったが、やることはかわらない。

 

「敵空母の進行方向が変わっています。このままでは1時間足らずでマケマケの守備隊の真上に落着する確率が40ないし50%です!」

「操舵不能か····闖入者の方は!?」

「こちらはマケマケに落ちる可能性はありません。ゆっくりですが冥王星軌道に向かっています」

 

何があったかわからないにせよ、1時間以内に守備隊員全てを収容するのは無理だ。

!

「守備隊員の救護と収容が最優先だ、敵空母を破壊する! 部隊全艦、主砲及び艦首砲一斉射撃用意!!」

 

先が長い『ヤマト』に、太陽系内でこれ以上消耗させるわけには行かない。

 

「撃て!」

 

敵空母に引導を渡したのは『ナデシコ』の二射目だった。

 

「敵サン、きっと理不尽だと叫んだでしょうね」

「まあな。でも日頃の行いの報いさ」

「‥‥‥‥(あなたがそれを言いますか?)」

 

カルチェンコの無言ツッコミをスルーし、嶋津は関心を切り替える。

 

「闖入艦に呼び掛けろ。接舷準備!」

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