宇宙警備隊長・冴子   作:EF12 1

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置き手紙②

  ―― 次元航行艦・クラウディア――

 

 

倉庫を模様変えして、急造の遺体安置所が設営された。

 

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

 

その安置室の一角に設けられた検視室にまた1体、『タイタンⅣ』乗組員の亡骸が検視台に寝かされる。

 

「‥‥‥‥」

 

白衣を纏ったシャマルら医務官と看護士達は黙祷を捧げると決められた作業に取りかかった。

 

収容された遺体はこれで17人目。炎に焼かれたり押し潰されたり、あるいは窒息したりと死因は様々だったが、明らかに子供である遺体が運び込まれた時は涙を流す者もいた。

 

それは遺体を捜し出し収容するスバル・ナカジマら救助隊員も同じだった。

 

フェイト、ティアナら4人が“地球防衛軍”とう組織によって救出されたらしいという情報はスバルらの耳にも届いていたが、『タイタンⅣ』の惨状はその喜びを簡単に吹き飛ばしてしまった。

――瓦礫の中から、かつての同僚エリオやキャロと同年輩の少年少女局員の亡骸を見つけた時は思わず涙し、エネミーAへの怒りと己の無力さに叫び出すところだった。

 

――後年、管理世界のみならず、地球連邦での災害救助活動に従事して名を馳せたスバル・ナカジマも、この時は、己の無力さに涙する駆け出しのレスキュー隊員でしかなかった。

 

 

 

     ――同艦・第1分析室――

 

クロノ・ハラオウンは、回収されたメッセージボードを前に、眉間に縦皺を作っていた。

同じ部屋には技術部所属のマリエル・アテンザもいて、回収物の分析にあたっていた。

 

メッセージボードの素材はエネミーA艦の残骸を利用したものだったが、更なる問題は、そのエネミーA艦を撃破し、フェイトら4人を救出・保護してこの場を立ち去ったらしい第三者――地球防衛軍――だ。

 

残骸リサイクルのメッセージボードにはレーザーで字が刻まれ、末尾にフェイトのサインが焼き付けられていた。

 

「これは第97管理外世界の国際共通語である“英語”そのものだな。‥‥綴りも文法もミッド語と共通面が多いから、読み解くのは難しくないだろうが、問題はこっちだ」

 

そう言うや、クロノはメッセージボードの下半分を指す。

 

「こっちは、なのはとはやての故郷の言語である“日本語”で書かれている。

こっちは文法も異なる上、3つの文字形態(ひらがな・カタカナ・漢字)があるから、解読は難しいぞ。こっちは僕が見る」

 

メンバーの中で、最も地球――第97管理外世界――の文化に通じているのは言うまでもなくクロノだ。

師であるギル・グレアムはかの世界の出身であり、彼の故郷イギリスやヨーロッパ地域を見て回った事がある。

 

また、PT事件と闇の書事件では日本に赴いて捜査を行い、今や海鳴市に居を構えている。

 

が、それゆえにクロノは当惑していた。

メッセージを形成している英語にせよ日本語にせよ、第97管理外世界のそれと全く同一だったからだ。

 

フェイトが書き残したらしいメッセージが読み上げられていくにつれ、一同の表情に驚愕と当惑が何度となく現れた。

 

①エネミーAは『ガトランティス帝国』という、極めて好戦的かつ侵略性が強い専制君主制をとる宇宙国家である

 

②フェイト達を救出・保護したのは“地球防衛軍”所属の宇宙戦艦『ヤマト』を中心とした『第13戦隊』という部隊で、この『ヤマト』が、過日テレザート付近で『クラウディア』が発見した『ヤマト』=アンノウンBである。

 

③『ヤマト』が所属する『地球連邦』は、つい最近、ガトランティス帝国軍に侵略されかけたが、多大な犠牲を払ってかの軍勢を撃退した。

 

④第13戦隊は地球連邦政府から緊急かつ重要な任務を帯びて、地球から約15万光年離れたある星域に赴く途中で、ガトランティス帝国艦が『タイタンⅣ』を襲っていたため、この蛮行を止めるべく戦闘を行い、殲滅した。

第13戦隊はフェイト達の身柄を返還すべく待機していたが、スケジュールの遅れにより任務を果たせなくなる可能性が低くないため、やむなくフェイト達を乗せたまま任地に赴く。

フェイト達の待遇はゲスト扱いで、任務終了後、再びこの宙域に立ち寄る、等の事が書き込まれていた。

 

(一体、どういう事なんだ‥‥)

 

こんな不可思議な事例は、管理局史上初めてと言ってもいいかも知れない。

 

「提督!」

 

その時だ。メンバーに加わっていたランディが声を上げた。

何事かと尋ねるや、一角に重ね合わさるようになっていた金属板を剥がすと、そこには画像を焼き付けたセラミック製らしい極薄の板が複数露わになっていた。

 

「これは‥‥」

 

一同が見たのはベッドに横たわるスターレット・タランティノとフェイト、シャリオ、ティアナの4人の姿が焼き付けられた金属板。

スターレットの腕に伸びる点滴が痛々しいが、思っていたより元気そうだった。

また、フェイト達3人は、シャリオが腕を吊っている他は怪我をしている様子はなかった。

 

「もう少し待っていてくれてれば‥‥」

 

やりきれない表情で言うクルーをクロノは諭す。

 

「軍隊は自国民を守るためにあるものだ。ましてや地球防衛軍は管理世界の軍隊じゃない。気持ちは理解するが、彼らはフェイトを見殺しにしても構わなかったんだ」

 

身も蓋もないが、管理局は地球防衛軍にフェイト達を見殺しにされても、表立った文句は言えないのだ。

 

「ともかく、本局と協議して今後の対応を決めなければならないな。それも迅速に」

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