‥‥今度は自分が訊く番だ。
「土方司令。私からも一つ伺ってよろしいでしょうか?」
『‥‥聞こうか』
ひと呼吸置いて、再び口を開く。
「『エスティア』も含めて、我々時空管理局の艦船は次元跳躍機能がついています‥‥そして、地球防衛軍は難破した『エスティア』を回収し調査している。それを問うつもりはありません。
立場が逆なら、管理局も同じ事をしますから」
『‥‥‥‥』
「助けていただいた身で、失礼なのは承知でお尋ねします」
『‥‥(頷く)』
古代は緊張気味に、嶋津は面白そうな表情になる。
「地球防衛軍と地球連邦は、『エスティア』から得た技術をどのように使うつもりなのでしょうか?」
『‥‥ふむ』
自陣営の艦が調査され、データを取られているのは穏やかではない。
特に次元跳躍機能は、使い方次第では侵略の道具になりかねない。
『貴官の懸念はもっともだ。‥‥次元跳躍機能は我々が戦ってきたガミラスやガトランティスが用いた様子もない。ガトランティスのような侵略を好む国家なり組織の手に渡れば、いくらでも悪用されるだろうからな』
「‥‥‥‥」
『しかし、我々は侵略される悲哀をさんざん味わい、反撃に際しては敵国の本星を破壊した。その苦い教訓から、地球連邦は国是を定めた。
①いかなる国家・勢力とも対等かつ平和的な関係を築く。
②いかなる国家・勢力の支配・管理を拒否する。
③いかなる国家・勢力に対する支配・管理は行わない。
それは時空管理局や管理世界に対しても同じだ。絶滅戦争を経験した世代がいる間はもちろん、後の世代にも語り継いでいくつもりだ。我々はガミラスやガトランティスと同じ愚は冒さない』
土方はそこまで言ってひと息つき、再び口を開いた。
『‥‥〈エスティア〉から貰った技術のうち、居住設備は我が軍のものより高水準だった。
それは今後の新造艦や近代化改装に役立てさせてもらうが、次元跳躍機能や魔導推進機関、〈アルカンシェル〉という広域殲滅砲については手つかずも同然だ。ガトランティスとの戦争もあるが、概念が全く異なるんだからな』
土方の答を受け、フェイトは頭を垂れる。
「お言葉承りました。‥‥不躾な質問をしてしまい、申し訳ありません」
『構わんよ。向こうに戻ったら、そのまま話してくれると有り難い』
土方も機嫌を崩した様子はない。
(‥‥フェイトを気に入ったか、オヤジ殿は)
嶋津も内心でほくそ笑むのだった。
――数日後、ヤマト右舷展望室――
『ヤマト』艦内に隊内一斉通信による嶋津の声が響く。
『我々は明日には大マゼラン銀河に入り、七色星団とサンザー星系を経由して、1週間から10日後を目処にイスカンダルとデスラー艦隊に合流する予定だが、域内は元々ガミラスの縄張りだ。残留ガミラス軍や例の盗掘者達と遭遇する可能性はかなりある。仮に遭遇したのが盗掘者であっても、可能な限り戦闘を避けてイスカンダルへの到達を優先する。皆には一層気を引き締めて自分の役割に当たってほしい‥‥』
嶋津の声を背に、フェイト・シャリオ・ティアナの3人は、もう窓一杯に広がる大マゼラン銀河に見入っていた。
「いよいよですね‥‥」
「うん、いよいよだ‥‥」
大マゼラン銀河もさりながら、『ヤマト』と僚艦が帯びた任務の全容が明らかになる――。
次回、“アニキ”登場。