――ガミラス総旗艦『ドメル』――
名将の名を冠した戦闘空母の艦橋で、デスラーはスクリーンに映る敵艦隊を睨み据えていた。
その双眸には憤怒が宿る。
母なる星を奪い去り、今またこの愛しき星をも傷付け、スターシャを窮地に立たせている輩は存在を抹消しなけれならない。
「敵艦隊前衛、デスラー機雷群への砲撃を始めました!」
「ガーラント、シュパー艦隊を前衛に。攻撃隊は敵掃宙隊を叩け!」
デスラー機雷は自軍の艦載機や艦艇が接近・接触しても起動・起爆しない。
ゆえに艦載機は機雷網を難なく抜けていく。
更に、前衛に出たガーラントとシュパーの艦隊には砲撃上手の指揮官が多い。
その射撃上手な艦隊を前に出し、敵艦隊の出鼻を挫く。
――スターシャを守る。これだけは我が命に代えても成し遂げてみせる――。
そこへ、通信兵が報告する。
「コルサック・シュルツより通信!『我等、“ヤマト”及ビ航宙巡洋艦4ノテロン艦隊ト共同シ、盗掘船団護衛艦隊ヲ攻撃。旗艦ヲ含ム過半を撃破。間モナク合流ス』です」
ブリッジの空気が一瞬で変わる。
「間違いなく『ヤマト』が含まれているのか!?」
「はっ!『ヤマト』の古代 進なる者と直接会話したとの事です」
側に控えるタランの念押しにも通信兵は肯定した。
「総統!」
「ん!盗掘者どもの本隊を挟撃する。機動部隊は第2次攻撃隊の準備を急ぐのだ。中衛艦隊前へ!」
デスラーの顔に不敵な笑みが浮かんだ。
――イスカンダル星より5万キロの宙域――
「前衛艦隊、敵の機雷網に接触した模様です!」
メインモニターには、機雷に触れたのか次々と爆発する護衛艦が映っている。
「姑息な‥‥!やはり仕掛けておったか」
『プレアデス』艦橋のデーダーは渋面を作った。
機雷網はかなり広範囲らしく、迂回を試みた艦も爆発炎上する。
「機雷は自律行動型のようです」
「‥‥小賢しい真似を。第4から第7護衛隊を前面に出して機雷を片付けろ!」
迂回して時間稼ぎを許したら、またイスカンダルを逃しかねない。
機雷網に穴を開けて正面突破するのが最善だろう。
しかし――。
「敵艦載機、機雷網を抜けてきます!」
ガミラス艦から発進してきた多数の小型機が機雷の間隙を縫ってこちらに向かってきた。
味方機雷の起爆対策は怠りないようで、機雷が爆発する様子はない。
「これから発進する艦載機は発艦後、対艦爆装を解除(投棄)せよ。敵艦載機を妨害するのだ!!」
敵艦載機を主力部隊に近寄らせてはならない。距離を詰めて艦隊戦に持ち込んでやる。
ガロウズを斃した連中は宙母を持っていないという。奴らの相手はデスラーを排除してからだ。
「掃宙作業を急げ!」
デーダーの視線の先には高度を上げてくるガミラス艦隊があった。
(亡国の君主が味な真似を‥‥。ここが貴様らの終焉の場だ)
無用な流血は避けるようメルダース総司令から指示されているが、それはマザータウンの住人に対してだ。邪魔者に容赦するつもりは一切なかった――。
――『テシオ』艦橋――
「シュルツ艦隊より入電!デスラー総統の本隊と連絡がとれた模様ですが、本隊はアンノウン艦隊と戦闘に入った模様です!」
同行のコルサック率いる艦隊がデスラー率いる本隊とコンタクトできたようだ。
嶋津冴子は即座に反応する。
「面舵30、最大戦速で前進。コスモタイガー隊は対機動兵器装備で待機。イスカンダルと通信はまだ繋がらないのか?」
「3隻それぞれの周波数で呼びかけていますが、相変わらず強力なジャミングに遮られています!」
「呼びかけ続けろ!」
嶋津の分厚い面の皮に汗が流れる。
あくまで我々の目的はスターシャと古代 守の救出であり、戦闘は本意ではない。
しかし、既に彼らの仲間を思い切り叩いてしまった。
我々を認めれば即座に攻撃してくるだろう。
「三沢」
「はい!」
嶋津は観測士席の三沢を呼んだ。
「拡散波動砲の影響がイスカンダル星に及ばない拡散範囲を算出しておけ」
「わかりました!」
三沢のみならずブリッジ全体に緊張感が走った。
戦闘が長期化すればスターシャ達に危害が加えられる可能性が高い。
それだけは何としても回避しなければならない。
戦闘が避けられない以上、敵に痛撃を与えなければならないが、それは地球を新たな戦乱に巻き込むことになりはしないか?
嶋津のみならず、各艦首脳は一様に内心で苦悩を深めていく‥‥。