宇宙警備隊長・冴子   作:EF12 1

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三つ巴③

暗夜のごとき宇宙空間にぼんやりと浮かぶ蒼き星イスカンダル。

そこから程近い宙域に無数の光点が明滅していた。

 

「何たるザマだ!」

 

舳先(?)をイスカンダルに指向している艦隊――デザリアム帝国マゼラン方面艦隊――旗艦『プレアデス』艦橋に、司令官デーダーの怒声が響き渡る。

 

機雷網を除去しようと護衛艦を前進させたまでは良かったが、敵ガミラス艦隊や艦載機も前進してきた。

 

そして艦載機は機雷網を易々と突破して機雷を始末しようとする我が護衛艦に攻撃を加えてきた。

さらに敵は中小型艦主体の艦隊を前進させ、機雷網を縫うように正確な砲撃を放ってはこちらの護衛艦を次々と撃破していく。

 

(忌々しいが、奴らの技量の高さは認めるしかあるまい)

 

デーダーは舌打ちしながら戦闘機隊をガミラス艦載機隊に当たらせるとともに、巡航艦(巡洋艦)からなる第12部隊に前進を命じた。

 

デザリアム軍の艦船は防御重視で、巡航艦以上の大型艦はこれまでの交戦国の艦船と比較しても防御力が高い。

 

一方、ガミラス艦は見たところ機動力は高いが、防御力はさほどではない。

機雷網がある以上、こちらに突撃してくることはできまい。

砲撃戦で奴らの戦力を削り取ってやる。

 

スクリーンには、統制射撃を始めた第12部隊と、その先で爆発する敵の機雷と艦艇が移った。

 

「第3部隊は前進用意!」

 

デーダーは大型巡航艦からなる第3部隊にスタンバイを指示する。

 

第12部隊の巡航艦が標準タイプなら、第3部隊のそれはふた回り大きな大型艦で、攻防力は倍以上だ。

第3部隊で敵機雷網に穴をあけてやる。

 

「第3部隊、前進――」

「左手から、別動ガミラス艦隊と地球艦隊がイスカンダルに接近します!」

 

反転攻勢に出ようとした時、忌々しい報告が入った。

我が別動隊を叩き、イスカンダリウム採掘船団を追い払ったガミラスの別動隊と、ガトランティスのズォーダーを斃したという地球の小艦隊が一気にイスカンダルに接近してきた。

 

「うろたえるな!」

 

浮き足立った幕僚をデーダーは一喝し、新たな命令を下す。

 

「第8・第11部隊を差し向けろ!奴らを近づけさせるな」

 

隷下の部隊に迎撃を命じたデーダーだが、最優先事項は正面にいるデスラー率いるガミラス本隊の排除だ。

第8・第11部隊はその間『ヤマト』らを足止めしてくれれば良い。むろん、撃滅でもかまわない。

 

「本艦と第1・第2部隊を前進させよ!」

 

デーダーは意識を前方の目障りなガミラス艦隊に向け直した。

 

 

 

   ――『ヤマト』医務室――

 

『コスモタイガー隊発進!繰り返す。コスモタイガー隊発進せよ!』

 

相原通信長の艦内放送が響くなか、フェイト・T・ハラオウンは佐渡と共にいた。

 

モニターにはイスカンダルが蒼くぼんやりと映っているが、同時に数多くの光点が明滅している。

 

「あの光が灯る度に、何人か何百人かの命が失われとる‥‥嫌な光景じゃ」

「‥‥皆さんは、もう何年もこういう戦いを迫られていたんですか?」

「好むと好まざるとに関わらずな。

‥‥もう戦争はこりごりなんじゃがのう」

「‥‥‥‥」

 

長嘆息をついた佐渡に、フェイトも無言で同意する。

 

一度に多くの人命が失われる戦闘は、現在の管理世界では10年に一度あるかないかの世界レベルの紛争くらいだが、こんな問答無用で呆気ないものではない。

 

フェイトは既に十分なショックを受けていたが、この世界の人達のやり方を一方的に非難するほど狭量でもなかった。

 

彼女が一時期定住し、今も実家がある第97管理外世界もまた、核爆弾に代表される質量兵器の宝庫で、地域によっては今も武力紛争が起きているのだから。

 

しかし、今目の当たりにしているのは、敵を無力化するのではなく、命を奪う戦闘だ。

 

地上戦や空中戦とも違う宇宙空間での戦闘。

 

今手を組んでいる地球とガミラスも、つい1年あまり前までは宇宙戦争で敵対し、地球は短期間ではあるがガトランティス帝国とも宇宙戦争を繰り広げてきた。そして――。

 

(管理世界にもこの宇宙規模の戦争が飛び火するのかな‥‥?)

 

フェイトはそこでかぶりを強く振る。

 

(いや、一連の事件の捜査が始まった以上、管理局も無関係とは言えなくなってるんだ‥‥)

 

ガトランティス軍艦隊による自然世界崩壊や管理局艦船襲撃は本局の次元航行部隊本部で捜査が始まっている。

捜査の結果、実行犯や容疑者が明らかになれば、その者を捕縛するのは当然だ。

しかし、相手が国家、それも極めて好戦的かつ侵略的な連中だとしたらどうなるのか?

 

(確か、アンドロメダ座銀河は、天の川銀河よりも星の数が多いという。そんな銀河系全域を侵略し支配する国家を相手どるなんて、今の管理局にできるんだろうか?)

 

‥‥相手が悪過ぎる。

ガトランティス軍が血に餓えた獣みたいな集団であることは、自分達が身をもって知っている。

 

対抗できる武装・装備と戦力を整え、屠るつもりで臨まなければ、間違いなく返り討ちだ。

 

管理局の武装隊員で、命のやり取りができる者はシグナムやヴィータら極少数派だし、そもそも敵は強力な艦船や機動兵器を駆ってくる。

 

(魔法によらない武装を質量兵器と呼び、強く規制している今の管理局では対処できない――)

 

これまでの管理局の方針が大きく誤っていたとは思わないが、ガトランティスや目の前のアンノウンBは一顧だにしないだろうし、地球防衛軍も同じだろう。

 

それに――。

 

管理局はこれまで、相手より圧倒的に優位な戦力で臨むことができた。

JS事件とてそうだが、今度ばかりは真逆だ。

 

コルサックというガミラス軍の老将の言葉が事実なら、管理局とガトランティスの戦力比は絶望的なまでに大きいだろう。

 

地球防衛軍がガトランティスを退け得たのも、ガトランティスがアンドロメダ座銀河と天の川銀河の距離を技術的に克服できないまま、最小限の戦力で攻め込んだからかも知れない。

 

ともあれ、ガトランティス帝国や地球防衛軍の事を知っている管理局員は自分だけだ。

この事を伝えるためにも、自分等は何としても生還しなければならない――!




オリジナルキャラ並びに原作キャラ独自設定

嶋津 冴子(しまづ さえこ)

役職
哨戒巡洋艦『テシオ』艦長 兼 第666警備隊長→独立第13戦隊司令官代行

階級
地球防衛宇宙軍中佐→大佐

年齢
29歳(2172年3月生)

概要
ガミラス戦役前期からの戦歴を持つ中堅の宇宙戦士で、数少ない女性戦闘士官の1人。

身長178センチと女性としては長身で、宝塚の男役トップスターと見紛う端正な容貌だったが、ガトランティス戦役終盤で右頬に深傷を負い、傷痕を残したまま軍務に復帰したため、宇宙海賊のような風貌になった。
同期に古代 守がおり、真田志郎や大山敏郎とは古代を通じて知己を得た。

近しい者の証言ではオンとオフの差が激しく、私人としての生活力は小学生レベル。
16歳下の同居人兼被保護者の協力で辛うじて人並に生活できている。

★イメージモチーフはエメラルダス(宇宙海賊クイーン・エメラルダス)で、容姿はフェイト・T・ハラオウン(魔法少女リリカルなのはForce時)と彼女の母親プレシア・テスタロッサに似ているが、頭半分以上背が高く、瞳と髪は漆黒。

イメージCV:戸田恵子(アンパンマン「アンパンマン」/マチルダ・アジャン「機動戦士ガンダム」等)
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