宇宙警備隊長・冴子   作:EF12 1

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ボス現わる

   ――『テシオ』――

 

「我が隊直上80宇宙キロにワープアウト反応1!‥‥超大型!!」

「「!!?」」

 

観測士・三沢亜理沙の緊迫した声に、一同は思わず天井を仰ぐ。

 

「解析と進路を割り出せ!」

「やっています!」

 

大村が件の物体を解析するよう命じたが、三沢は既に着手していた。

 

「解析しました!‥‥全長約8キロ以上、最大幅約3キロのこけし形です!」

「超大型戦艦か!?」

「(同じ勢力の戦闘艦だとすれば、さっきの連中とはあまりにも違い過ぎるが‥‥)」

 

とはいえ、ガミラス軍の円盤型高速空母の例もあるから、断言はできない。

 

そんな事を考えている内に、そいつはゆっくりとイスカンダルの方向に向かう。

確かに頭でっかちな“こけし”のような形をしており、下部にはスラスターが5つ開口しており、噴炎が煌めいていた。

 

「艦長、あの物体から超重力反応が出ています!」

 

コンソールを操作しながら三沢が報告を続ける。

あれだけのサイズなら、何らかの防弾対策はしているだろう。

だが、その前に――。

 

「‥‥暫定的にあれを『こけし』と呼称する」

「わかりました!」

(――えぇぇぇ!? 大事な事なのに、簡単に決めていいんですか?艦長!)

 

一言で初見の物体の呼称を決めてしまった艦長に、三沢は内心でツッコんだが、副長以下の先輩クルーは元より、艦長に最も遠慮なく物言う『ヤマト』の真田技師長からも異議は出なかった。

 

‥‥緊迫した場面でも艦長にツッコむ三沢もしっかり“感染”していたのだが‥‥。

 

「『こけし』が立ち上がるぞ!」

 

スクリーンの中でそいつはゆっくりと直立していくのだが、松島が言うとおり、こけしが立ち上がるよう見える。

 

立ち上がった『こけし』は頭頂部を更に迫り上げていった。

そこが司令塔なのだろう。

 

「胴体部分に円型のゆるい盛り上がりが少なくとも3ヶ所あります」

「それが主砲か‥‥?」

 

嶋津が呟く。

格納式なのだろうが、あれが主砲の蓋だとすればかなりの大口径だ。

まともに食らったらひとたまりもあるまい。

 

「「‥‥‥‥」」

 

『テシオ』艦橋に重苦しい空気が立ち込める。

――と、その直後だ。

 

「“こけし”から通信が入っています!」

「‥‥繋げ」

 

いよいよ(盗掘集団の)現場監督とご対面か‥‥。

 

嶋津はスクリーンに視線を移した。

 

 

 

『――卿らの戦いぶりに敬意を表する』

「‥‥‥‥」

 

スクリーンに映った人物の顔立ちは、ガミラス人やイスカンダル人、ガトランティス人や、コルサックらザルツ人、あるいはビーメラ星の蜂人種とも違っていた。

 

血色ゼロの蒼白いスキンヘッドに隈取りのような目許に眉毛は見当たらない。

こういう人種もいるのかと新鮮な驚きもあるが、警戒心を抱かざるを得ない。

何より、味方が殺られたのに怒りの色がないのが不気味だ。

 

「‥‥それはどうも」

 

皮肉を込めて返すが、相手は表情を変えずに言葉を繋ぐ。

 

『卿らの名を聞いておこうか』

「‥‥他人の名を訊ねるのなら、まずそちらから名乗っていただきたい」

 

向こうがこちらの事を知っている以上、こちらも相手を知らなければならない。

 

真田と島がついているとはいえ、古代はまだ沸点が低いし、デスラーは安全装置が外れた爆弾。

ましてや目の前の相手は、ガミラス星に穴を開けていた連中の責任者の可能性が高い。

 

『ふむ、貴官の言い分が正しいな。‥‥私は暗黒星団帝国軍、第3機動艦隊司令官メルダース』

「私は地球防衛艦隊、独立第13戦隊司令官代理の嶋津 冴子」

『大ガミラス帝国軍中将のタラン』

 

ガミラス側で名乗りをあげたのはタランだ。

メルダースはあくまで部隊指揮官であり、総統たるデスラーが直接話す必要はないと判断したのだろう。

 

とはいえ、タランもまた憤怒に身を震わせているのは確実で、どんな結末になるのか、考えるだけで頭が痛くなる。

 

『‥‥‥‥』

『‥‥‥‥』

 

TF13のブリッジクルー、『ヤマト』の古代も懸念を隠せない表情をしていた。

 

そしてその懸念は正しかった。

 

『ガミラス‥‥あの穴だらけの醜い星から逃げ出した放浪者どもか?』

「!?」

『!!?』

 

メルダースは揶揄しながらタランに応じた。

 

空気が凍てつく。

 

(こいつ、経緯を知っててわざと言ってやがるんじゃないのか?)

 

内心で毒づいた嶋津は渋面になり、古代は怒りの表情になった。

 

ガミラス星を無人にした責任の半分は地球側にあるから、メルダースを非難する資格はないのだろうが、互いの命運を賭けて戦った結果であり、関係ない奴らに論評されたくないという思いは、地球・ガミラス共通だった。

 

まあ、当事者に客観的な評価や分析をしろというのは無理な注文なのだが。

 

それはさておき、やるべき事はしなくてはならない。

嶋津は口を開く。

 

「メルダース司令にお尋ねしたい」

『何かな?』

 

軍命を受けた者として、新たな勢力の情報は可能な限り多く集めなければならない。

 

「ガミラス星の地下物資を採掘していたのは、貴官ら暗黒星団帝国軍か?」

『そうだ。ガミラス星のガミラシウムとイスカンダル星のイスカンダリウム採掘は我が帝国の事業である』

「‥‥‥‥」

『‥‥‥‥』

 

予想していたとはいえ、いい気分はしない。

 

「その、ガミラシウムとイスカンダリウムを採掘し、何に使うのか?」

『我が国に敵対する国家や勢力を滅ぼす為の戦争に使う』

 

当然だろうと言わんばかりの表情でメルダースは答えた。

 

『我々は無意味な戦闘はしない。

イスカンダリウムの採掘を妨げられない限りは、だがな‥‥』

(虎の尾踏んだ――!)

 

こりゃダメだ。血を見ずには収まるまい‥‥。

 

 

    ――『ヤマト』医務室――

 

嶋津とメルダースのやりとりは、『ヤマト』医務室でもモニターされていた。

 

「む‥‥」

「何て事‥‥!」

 

佐渡は憮然とした表情になり、フェイトは憤りの声を上げる。

自分達の世界でも収奪がなかったわけではないが、ここ数十年間は、ここまで強引な勢力は存在していない。

 

(力が全てだというのか。暗黒星団帝国も‥‥!)

 

暗黒星団帝国=アンノウンCであることをフェイトはまだ知らずにいたが、先程から見聞きする限り、艦艇の性能は地球防衛軍やガトランティス、ガミラス等とほぼ同レベルにあるようだ。

つまり、管理局の艦船では太刀打ちできない。

 

何としても戻らねばならない理由がまた一つできてしまった。




三菱自動車の燃費偽装疑惑から日産自動車傘下入りまでの一連の流れ。

手際の良さに、両社がシナリオを作っていたんじゃなイカ、とすら思えてしまいます。
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