宇宙警備隊長・冴子   作:EF12 1

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焦慮

        ――『ドメル』――

 

敵要塞から放たれた超高エネルギー砲は、ガミラス艦隊右翼を斬り裂いた。

間髪入れずに要塞からは追い討ちの対空・対艦砲が放たれ、艦載機やデストロイヤー艦が次々と爆発四散していく。

 

「被害状況をまとめろ!」

「損傷のひどい艦は放棄。総員退艦させろ!艦長もだ!!」

「‥‥‥‥」

 

タラン以下の幕僚が右翼部隊の被害状況把握に奔走する中、デスラーは敵要塞――『ゴルバ』――を睨み付けていた。

 

今のが敵の主砲とすれば、少なくとも波動砲やフル規格のデスラー砲ほどの威力はない。

しかし、あれだけの巨体だ。それなりの規模の機関を持っているだろう。

威力はそこそこでも短時間で連射されれば我々もイスカンダルも壊滅してしまう。

デスラーは即断した。

 

「全軍後退せよ。デスラー砲発射用意!目標は敵要塞主砲のカバーだ」

 

敵要塞の装甲がどれだけのものかはわからないが、あれは砲身を迫り出してから発射した。

砲身を覆っている箇所は可動部もあり、相対的に防御力が低い可能性もある。

 

デスラーの指示を受け、『ドメル』の飛行甲板が回転するや、デスラー砲の砲身が迫り上がってくる。

 

『ヤマト』との戦闘で失われた2代目座乗艦『デウスーラⅡ』のものほどの出力はないが、独自の技術改良で集束率を高める事で初代座乗艦『デウスーラ』ののものを上回る射程と装甲貫徹力が得られた。

 

この技術は地球にはまだなく、ガミラスの技術レベルはなおも地球を上回っている。

 

現在、工厰艦で機能を絞ったデスラー砲艦の建造に着手しており、いずれはデスラー砲の統制砲撃も行うつもりだが、スターシャ達の身に危機が迫っている今は出し惜しみするわけにはいかない。

 

「エネルギー充填急げ!」

 

デスラーの前にデスラー砲のトリガーが迫り上がってきた。

 

ガトランティス製の2号艦ではなく、1号艦についていたものと同型のガミラス式トリガーである。

 

ゆっくり歩み出てトリガーを握る。

 

「総員対ショック防御!」

 

タランが発射間近であることを告げた。

閃光遮断技術も地球より進んでいるため、ゴーグルを着ける必要はない。

 

「――発射!」

 

トリガーが引かれた一瞬後、デスラー砲から光の奔流が放たれた。

 

 

        ――『テシオ』――

 

「効いてないだと!?」

「そんな‥‥」

 

閃光が鎮まった後、何事もなかったかのようにその場にあり続けるこけし(ゴルバ)を目の当たりにしたブリッジは騒然となった。

 

「うろたえるな!‥‥三沢、こけしの表面をサーチしてみろ」

 

一喝した嶋津は、三沢に敵要塞の装甲表面を確認するよう指示する。

 

(小型化されたとはいえ、デスラー砲の収束率は波動砲を上回り、装甲貫徹力も十分あったはずだ。それすらも跳ね返されたとなると、『ヤマト』の波動砲でもこのままでは通じない。

どこかに付け入る隙はないか‥‥)

 

嶋津も内心では焦っているのだが、艦長たる者、いかなる窮地に立たされても部下の前で取り乱してはならないのだ。

 

(向こうも人間なら、どこかにウィークポイントがあるはずだ。どこにある‥‥?)

 

嶋津はスクリーンの中の“こけし”を睨み続けた。

 

「イスカンダルの大気圏まで、残り200秒を切りました!」

 

嶋津らが焦る中、TF13は着実にイスカンダルへの距離を詰めていた。

 

「艦長、“こけし”から全周波通信です」

「繋げ」

 

回線を繋いだ瞬間、メルダースの嘲笑が響いた。

 

『愚か者め、その程度の砲撃で傷つく“ゴルバ”ではない!』

 

嘲笑が止んだと思った瞬間だった。

 

「こけし‥‥『ゴルバ』がガミラス艦隊に攻撃を再開しました!」

 

『ゴルバ』から大小様々な火線が伸び、ガミラス艦隊前衛に襲いかかる。

 

機動性重視で軽装甲のデストロイヤーが耐えられるわけもなく、次々と爆発炎上し始めた。

 

この光景に焦慮を深めるTF13首脳陣だが、またも事態が動く。

 

「艦長宛にメルダース司令官から入電です!」

「読め」

 

頷いて読み上げるよう促す。

 

「『我が軍は無用の戦闘は望まぬ。地球時間で15分間猶予を与えるので、スターシャ女王と貴官らの同胞を収容して立ち去れ』‥‥イスカンダルにも立ち退きの最終勧告が送られました」

(随分と上から目線な言い草じゃないか‥‥!)

「ふざけやがって、何様のつもりだ!!」

 

パク通信長が読み上げた電文に嶋津は内心で吐き捨て、松島砲雷長は怒りの声を上げる。

 

これが地球宛なら

 

『我が靴を舐めやがれ』

 

と切り返すところだが、事はイスカンダリウム絡みであり、決定権はスターシャにある。

 

焦りを深める一同を嘲笑うかのように、ゴルバは再び無限α砲を放ち、マザータウン北方に火柱が上がった。

 

 

「く‥‥!」

 

マザータウンの北方に巨大なキノコ雲が上がるのを、デスラーは憤怒と屈辱にまみれた表情で見ていた。

 

あの砲撃は間違いなく最後通告だ。

 

(許さぬ‥‥)

 

ガミラス人にとっては癒しであり不可侵であったイスカンダルが、スターシャのいる星がいいように蹂躙されているのをなす術なく見るなど、デスラーには死に勝る屈辱以外の何物でもなかった。

 

だがどうする?

『ゴルバ』はデスラー砲にもびくともしなかった。

『ヤマト』の波動砲でも有効打を与えられるかどうかわからない。

と、その時だ。

 

「総統、ルントシュテル将軍から極秘通信です」

 

タランがメッセージカードを手に近づいてきた。

 

(!!?‥‥)

 

カードを手にしたデスラーは一瞬瞠目したが、すぐ平静に戻る。

 

「‥‥よろしい。許可すると伝えろ」

 

ルントシュテルの一族からは時々外交官を輩出し、イスカンダル王家からの信頼も厚かった。

当代はれっきとした軍人で、派手さはないが堅実な用兵手腕を持った宿将だ。

 

ルントシュテルからの提案は、確かに有効なものだった。

代償としてルントシュテルと部下達が犠牲になる可能性が高いが、この局面では最善の策だ。

 

(私は臣下に恵まれた‥‥)

 

命を捧げる覚悟の臣下と兵士に心中で感謝しつつ、デスラーは顔を上げた。

 

「ゴルバの動きを見落とすな。3発目を撃つ時が奴の最期だ!デスラー砲を準備しろ!!」

「はっ!」

 

ゴルバがテロン隊とスターシャに送った勧告は傍受している。

そちらの動きを見た上で攻撃を仕掛ける算段だ。

だが、その一か八かの策は実行されることはなかった。

マザータウンから全周波通信が放たれたのだ。

 

『全ての戦闘行為をやめて下さい。イスカンダリウムは差し上げます‥‥』





沖縄での『あの』事件、21年前に起きた同様の事件の時よりマスメディア、特に在京テレビ局の報道が静かに思えますが、やっぱ『タカイチ』ってるのでしょうかね‥‥?
伊勢志摩サミットが終わった後どうなりますやら。
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