――イスカンダル王宮――
「‥‥‥‥」
スターシャはスクリーン越しに4人の人物と相対する。
左の2人はとうに顔馴染み。1人は良くも悪くも永年の隣人。
もう1人は義理の弟にあたる青年。
右側の2人は初対面。
1人は夫の長年の友人で戦友だという女性士官。もう1人は招かれざる闖入者。
「繰り返します。イスカンダリウムは差し上げますので、暗黒星団帝国軍・ガミラス帝国軍・地球防衛軍は直ちに戦闘を中止して下さい!」
『‥‥英断に感謝する、女王陛下』
『スターシャ‥‥』
メルダースは満足げに頷き、デスラーは何か言いたげだったが、スターシャの決断を尊重したのか、異議はさし挟まなかった。
そして、地球側は――。
「ご決断を尊重します。こちらの準備は整っていますので、一刻も早いお越しを」
嶋津冴子はスターシャに告げて敬礼した後、回線を『ヤマト』に切り換える。
「‥‥任せていいか?真田」
『元よりそのつもりだ』
『ヤマト』もスタンバイはできているようだ。
「偵察機と戦闘機隊は引き続き警戒!スターシャ達を収容するまで気を抜くなよ」
『了解!!』
通信を終えて着席した嶋津だが、胸の奥には不安感が広がっていた。
スクリーン越しとはいえ、スターシャの目から、先ほどまでの躊躇がなくなっていたのが気になっていたのだ。
(‥‥‥‥)
ガミラスとも対等の立場を貫いてきたイスカンダルが、いくら生命の危機があるとはいえ、宇宙戦争に手を貸しかねないイスカンダリウム譲渡に無条件で応じるのか?
が、今は受け入れが最優先だ。
嶋津は掌を拳で軽く叩く。
「よっし!これが済んだら、歓迎会の企画を考えよう!!」
「はい!」
明るく言う嶋津に、ブリッジクルーも唱和した。
と、その時だった。
ブリッジにアラームが鳴り響き、
「イスカンダル星の南半球で地殻崩壊発生!!」
(――ここまで来て!!)
無情な報告に、嶋津は唇を噛みながら立ち上がった。
――『ヤマト』――
第1艦橋は一転、凍り付いた。
「真田さん、これは!?」
「自爆じゃない。急激なエネルギー反応は検知されていないからな」
古代の問いに真田は即答した。
「じゃあ、イスカンダル星自体がもうダメに‥‥」
「崩壊は止まらない。あと20分足らずで地殻や海は完全に消滅し、イスカンダリウムと内核の成分が融合して大爆発が発生する。離脱しなければ我々も危ないぞ!!」
「そんな!」
真田の見立てに雪が悲鳴を上げる。
「相原、コスモタイガーを直ちに呼び戻せ。それと、イスカンダルとの回線再接続!」
山本達への帰還指示と並行して、兄達への最後の説得を試みようとしたが、
「イスカンダルとの回線、繋がりません!」
「何!? ゴルバの妨害はないのか?」
「ジャミングは確認できません!」
ゴルバからの妨害でないなら、最早イスカンダル自体の問題しかない。
「兄さん‥‥」
「古代‥‥」
弟と親友の呻きが期せずして共鳴した。
「2202」いよいよ動き出しました。