宇宙警備隊長・冴子   作:EF12 1

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おじさんとおばさん

        ――大マゼラン銀河――

 

『これからどうするんだ?デスラー‥‥』

 

舳先を並べて佇む『ヤマト』と『ドメル』。

その前部甲板にそれぞれ1人ずつが立っている。

今さらだが、古代 進とデスラー。互いを好敵手と認めあう者同士だ。

 

古代が訊いたのは、無論、デスラーと彼が率いるガミラス艦隊、そして離れた宙域にいる移民船隊の前途。

 

彼らが母なる星を離れなければならなくなった責任は自分達『ヤマト』にもあると思うからこその懸念だ。

 

『心配するな』

 

ややあってデスラーは応えた。

 

『古い文献や記録を調べた結果、我らの先祖が辿ってきた道を逆に行くつもりだ。

たとえ幾年さすらおうとも、必ず新たなガミラスを創り上げてみせる』

「そうか‥‥」

『私が言えた義理ではないが‥‥スターシャとサーシャの事、任せたぞ』

「わかった」

 

 

長年の隣人だったデスラーやガミラス人にとっても、スターシャと、一人娘サーシャの行く末は気がかりに違いないのだ。

 

「サーシャは俺にとっても姪だからな。兄と共に見守るさ」

 

意気込む古代に、デスラーは意味ありげな笑みを浮かべた。

 

『‥‥そうか。色々と驚くだろうが、頼んだぞ。ススム“叔父”さん』

「――おじっ!!??」

 

“叔父さん”と言われて絶句した古代を尻目に、デスラーは含み笑いしながら艦内に消えた。

 

一方、地球側各艦のブリッジは笑いに包まれていた。

無論、デスラーの“ススム叔父さん”にである。

 

20歳そこそこで叔父さんになってしまった古代 進に対する同情が4分、面白いのが6分だが、素直に笑えない者も少数だがいた。

『ヤマト』の真田志郎と森 雪、『テシオ』の嶋津冴子だ。

 

サーシャにすれば、叔父の許婚者である雪は将来の叔母であるし、父親の友人である真田と島津に至っては紛れもなく『真田のおじさん/嶋津のおばさん』だ。

 

特に嶋津は、苦笑しつつもボディブローのごときダメージを受けていた。

 

(独身なのに、まだ20代なのにオバさんかよ‥‥)

 

同年代の女性には、母親になった者も少なからずいるというのに、立場を弁えぬぼやきを雪菜や中島あたりが聞こうものなら、自分の歳を考えろと言われるのがおちだ。

 

  駄 菓 子 菓 子。

 

(サーシャ達の世代が戦争に駆り出されるのだけは、何としても止めないとなぁ‥‥)

 

自分達が手を汚すのは一向に構わない。

これまでさんざんやってきたのだ。今さらどうという事はない。

 

しかし、子供達やこれから生まれてくるであろう世代は戦争に関わらせたくない。

それが叶うのなら、夜叉にでも阿修羅にでもなってやる――。

 

そう決意した嶋津だったが――。

 

「艦長、ガミラス艦隊旗艦、タラン将軍の名で艦長宛に親展電が‥‥」

「私に?」

 

タラン将軍といえばデスラー総統の腹心であり、先程も少し話をしたが、『ヤマト』ではなく私に何の用が??

 

嶋津は怪訝に思いつつも電文に目を通したが、

 

「――はぁ??」

 

あまりに素っ頓狂な内容に間抜けな声を上げてしまった。

 

 

   ――『ヤマト』医務室――

 

(ふう‥‥)

 

フェイト・T・ハラオウンは緊張状態から解放され、ようやく一息ついた。

掌が汗びっしょりだ。

 

(ひとまずは、よかったと言うべきなんだろうな)

 

イスカンダル星が崩壊・消滅したのは残念なのだろうが、救うべき者を全員救出できた事は喜ばしい。

特にサーシャにとっては。

 

(この世界の地球にはお父さんをよく知る人が大勢いるし、お母さんは地球の大恩人。サーシャにとってもいい環境になるはず)

 

自身の体験を踏まえての思いが込み上げる。

 

とはいえ、代々守り続けてきたイスカンダルをこのような形で失い、夫の故郷とはいえ異郷の地で生きていかなければならないスターシャの思いはいかばかりか、これはさすがに推し量る事ができない。

 

管理世界で、このような生き方をする人物は、少なくとも現代――新暦になってから――には存在しない。

ともすれば、人間は己の尺度で量れない者を誤りとみなしてしまいがちだ。

 

それは、スターシャのみならず、この『ヤマト』に代表される地球防衛軍の宇宙戦士達の生き様・死に様にもいえること。

生還率ひと桁の死地に飛び込んでいくなど、管理局では絶対あり得ない。

 

(正直、ここの人達の思考にはついていけないところもあるけど、正否は別として、こういう生き方が現に存在することは認めないと)

 

管理局執務官としてではなく、1人の人間として見る。教えを乞う謙虚な気持ちで。

 

初めてできた親友が住まう世界で得た教訓だ。

 

どのくらいこの世界にいるかはわからないが、その間はとにかく何でも見聞きしてやろう――。

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