宇宙警備隊長・冴子   作:EF12 1

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いざ帰らん①

いざ帰らん

 

  ――『テシオ』艦橋――

 

「しかし、あの連中が『あれ』を視ていたとは予想外でした」

 

ガミラス艦隊と別れ、地球に針路を向けた『テシオ』の艦橋で、舵を握る大村が驚きを隠せない口調で話す。

 

「‥‥奴さん達は太陽系内にも通信傍受ネットワークを巡らしていたからな。こちらの民間放送も傍受してたんだろうさ。

‥‥しかし、よりによって『笑〇』や『〇ザエさん』とかをガン首揃えて見ていたとは‥‥」

「全くです」

 

応えた大村は今にも吹き出しそうな表情だ。

他のクルーも笑いを堪えている者、呆れた表情の者と様々だ。

 

あのガミラス兵達が真面目な表情で大喜利を見ている様を想像するのは、地球人、特に日本人には笑いの壺にきたようだ。

 

「ひょっとしたらデスラー総統も、グラスを傾けながら――」

「‥‥それ以上言うな、三沢」

 

何やら想像した三沢が口にしかけたが、それを遮ったのは艦長の嶋津だ。頬がヒクヒク震え、危うく吹き出しかけていたが――。

 

「‥‥まあ、ガミラスの音楽ファイルとの交換だったんだ。互いの文化を知る事はプラスになりこそすれ、マイナスじゃないさ」

「確かにそうですね」

 

――タランからの申し入れとは、地球・ガミラス双方の民間放送データの交換だった。

 

それ自体に問題はなかったのだが、タランから、もしデータがあれば提供いただきたいと懇願されたのが、よりによって『〇点』『〇ザエさん』『ちびま〇子ちゃん』『ク〇ヨンし〇ちゃん』と知った時、地球側の一同は絶句した。

 

とは言え、文化交流は相互理解に必要不可欠だ。

 

戦争という不幸な出会いをしたガミラスが和解する意思があるというのなら、それを拒む理由はない。

 

嶋津は即座に承諾し、『テシオ』『ヤマト』『オシマ』からデータを集めて提供した。

 

代わりに『ドメル』からもガミラス国内の音楽や娯楽プログラムらしきデータが多数送られてきた。

著作権云々については、地球とガミラスの相互理解のための検討材料という事で納得してもらうしかない。

頭を抱えるのは鬼竜だし。

 

ガミラス側から提供されたそれらは、一旦『オシマ』『ヤマト』のデータベースに収められ、真田のスキャンとチェックを経て視聴可能になるのだ。

 

(‥‥この件はひとまずいいとして、早いうちに表敬訪問しておかないとな)

 

『表敬訪問』。即ちスターシャに挨拶し、再会を果たした古代 守や真田達と共に今後の事を擦り合わせなければいけないのだ。

さらに、偶然にも収容したフェイト・T・ハラオウンらの事も捨て置くわけにはいかない。

 

彼女達をこの世界の戦争に巻き込むわけにはいかない。

 

取り敢えず、彼女達を乗せてガトランティス軍に殺られた『タイタンⅣ』の遭難現場に行くつもりだが、時空管理局とコンタクトできる保証はない。

 

しかし――

 

(迷った時は現場に戻れ、と言うからな)

 

時空管理局の捜索隊と落ち合う可能性もある。

まずは遭難現場に行こう。

 

嶋津はそう決めた。

 

 

 

 

  ――『ヤマト』――

 

古代守一家の受け入れ態勢に入った『ヤマト』は補給艦『オシマ』と接舷し、物資の積み換えを行っていた。

 

‥‥地球人である守はともかく、スターシャは純粋なイスカンダル人であり、サーシャは双方のハーフ。

しかも、それぞれがイスカンダルの王と王女。

VIP中のVIPを迎えたのだから、やるべき事が山積している。

 

ハード面を見る真田は『オシマ』艦長の真山らと協議しながら、必要な設備や什器備品を手配。

ソフト面の責任者である森雪は平田や岬、佐渡らと共に生活環境の確立やメディカルチェックを進めていった。

 

一方、部隊長たる嶋津は各艦首脳と協議し、帰路の選定に携わる。

できれば真っ直ぐ地球に帰りたいが、時空管理局とのコンタクトも必要だし、暗黒星団帝国の追跡やガトランティスとの遭遇戦もあり得るが、そちらはなるべく避けたい。

が、目下の懸念は――。

 

スターシャとサーシャだった。





夏が来て『しまいました』

私にとっては憎しみ(笑)しかない季節が――。
できるものなら『肺魚』みたいに夏眠したいですね(笑)
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