宇宙警備隊長・冴子   作:EF12 1

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話数もかなり増えましたので、地球帰還を機に一旦幕を引きます。
以降は新たなページとする予定ですが、腹案は2案です。

①時空管理局との接触~対デザリアム帝国戦編

②時系列を巻き戻し、嶋津冴子がフリゲート『ユウガオ』艦長だった頃の話

なお、私は夏が大っ嫌いなので、更新ペースはガタ落ちするかも知れません。


いざ帰らん②

     ――『ヤマト』士官会議室――

 

 

「すっかり懐かれたな、おばさん」

「‥‥るへー。ほともはほんひふほいふうんらお(るせー。子供は本質を見抜くんだよ)」

「つまり、自分がおばさんだと認めたんだな?嶋津」

「‥‥お前らな‥‥」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

 

スターシャを表敬訪問すべく『ヤマト』に移乗してきた嶋津冴子だが、スターシャはガミラス星崩壊以降の心労が祟って『ヤマト』移乗直後に伏せってしまい、嶋津はガラス越しの挨拶を余儀なくされていた。

その後、改めて古代兄弟、真田らと会ったのだが――。

 

嶋津は腕の中の赤子――サーシャ――に両頬を引っ張られていた。それも思いっきり。

その様を見た真田は面白がり、古代 守は嘆息。

サーシャの世話を焼く森 雪と同席していた古代 進は複雑な笑顔を浮かべていた。

 

――つい最近まで美貌の女性艦長と謳われた嶋津冴子だが、ガトランティスとの戦闘で右頬に深傷を負い、その後も傷痕を隠す素振りもなかったため、美貌転じて剣呑な風貌に変わり果てていた。

 

しかし、嶋津に抱かれているサーシャは、初対面の凶貌に臆するどころか、キャッキャと笑いながら彼女の頬を引っ張り始めた。

そこらのクソガキが同じ事をしようものなら、手加減なしのデコピンかアイアンクローが来そうなところだが、相手が相手ゆえか、当の嶋津もされるがままになっているので、どうでも良くなっていた。

 

だが、嶋津冴子という女はそこまで殊勝な性格ではない。

 

「ほーら、サーシャ、おじちゃまのとこへお帰り」

「あい」

「おじ‥‥!??」

 

進の笑顔が引きつった。

嶋津からおじちゃま呼ばわりされたことより、当のサーシャがそれに応えた事に大きなショックを受けているようだ。

 

(まだ20歳だってのに‥‥)

 

衝撃から立ち直れない進を見た嶋津は、してやったりとばかりの邪な笑みを浮かべる。

 

((悪党め))

 

真田と守は同じ感想を抱いた。

 

「10歳差ならともかく、同い年でもう親な連中もいるんだ。

実際とうに“叔父ちゃん”なんだから、地球に戻るまでに慣れとけ」

 

恨めしげな眼差しを向ける進に、嶋津はしれっとした顔で追い討ちをかけた。

この件に関しては兄も弟を助けず、傍らにいる森 雪も複雑な表情になった。

 

(どうしよう。今のうちに何とかしないと、私までおばちゃん呼ばわりされちゃう)

 

‥‥許婚者が叔父ちゃん呼ばわりされる事には異議を挟まなかった‥‥。

 

“ハートフル”な触れ合いの一方で、現実的な話も進む。

 

守から驚いたのはイスカンダル人の乳幼児期の短さだ。

 

スターシャら純粋なイスカンダル人は、地球時間で約1年足らずで、地球人の15~16歳相当にまで発育するという。心身とも。

 

「それは驚いたが、老化のスピードも速くないのか?」

 

嶋津が疑問をぶつける。

成長の速度が速い以上、老化も速いと考えるのは当然だ。

 

「イスカンダル人の成長速度が速いのは、地球時間に換算すると1年もない。その後の成長と老化は地球人とさほど変わらないらしい。

‥‥だが、サーシャはイスカンダル史上唯一の、異星人との混血児だからな‥‥」

「そうなのか!?」

 

守以外の面々は意外な表情になった。

 

数百年前には安定した性能の恒星系間航行船を運用していたイスカンダルが、異星人との交流に積極的ではなかったというのは意外。

ガミラスとは極端なまでに対照的だ。

 

「スターシャからの話だが、デスラー自身はあれで、従う者には比較的寛大に臨んでいたようだが、取り巻きにはそれをよしとしない者も少なからずいたようでな。親衛隊が特に酷かった‥‥」

「‥‥‥‥」

「今はどうかわからんが、『ヤマト』と戦っていた頃の奴らは、ナチのSSも真っ青な所業を嬉々としてやっていたようだ」

 

しみじみと語る父親を、サーシャは不思議そうな表情で見ていた。

 

「そういや“かんぴょう”でやり合った青い艦、フネは新しかったが、粘り強さはシュルツ弟の部隊ほどじゃなかったものな」

 

嶋津が思い出したのは、『ヤマト』の出航後に就役した“かんぴょう”こと、フリゲート『ゆうがお』を率いて交戦したガミラス軍の太陽系残留部隊と、デスラーと共に『ヤマト』を追撃してきた親衛隊らしき青いデストロイヤー艦隊。

 

いずれも油断ならぬ相手だったが、どちらが難敵だったかといえば、今回知己を得たコルサックの弟、ヴァルケ・シュルツが率いていた太陽系派遣隊残党の方が上だった。

 

余談だが、“植物”の名がついた新型フリゲート=現・護衛艦で初めてガミラス艦を撃沈したのは、嶋津が率いていた『ゆうがお』だ。

 

『――砲雷長、次弾まだか?』

 

――開戦以来、次々と無念の最期を遂げていく仲間達を目の当たりにし、血涙を流して渇望していた光景が現実のものになったにも関わらず、喜ぶどころか呆気に取られて沈黙したブリッジクルーに向けて嶋津が発したというこの一言は、ただ1人志願して同艦に乗り込んだ物好き極まる従軍記者によって“美貌の女性艦長”のフレーズとともに市井に伝えられたため、冴子は否応なしに注目されることになった。

 

――とはいえ、実態は酷く心もとないもので、『ゆうがお』と僚艦の艦首陽電子衝撃砲は、1門あたりの射程・貫徹力はカタログデータで『ヤマト』の主砲を上回ったが、ガミラス軍に気取られないために大規模な砲撃訓練を行えなかった事が災いして戦闘序盤の命中率は悪く、艦隊司令たる土方 竜から叱責電が飛ぶ始末だったが――。

 

 

 

  ――約30分後――

 

インターホンから船務員の声が響く。

 

『嶋津艦長、古代艦長代理、ハラオウン執務官をお連れしました」

「ん、入ってもらってくれ」

 

古代 進が答えると、ややあってドアが開いた。

 

「――失礼します」

 

緊張気味の声が響き、地球防衛軍の女性用艦内制服の上に士官用ジャケットを羽織ったフェイトが入室してきた。

入室したフェイトだが、見慣れぬ人物がいる事に気づいた。

1人は部隊の長たる嶋津冴子。

そしてもう1人が――。

 

(この人が、古代 守さん‥‥)

 

進と一緒にいるのを見ると、兄弟なんだなと改めて思う。

顔立ちは似ているが、守の方が精悍な印象なのは、やはり戦歴の差か。

 

「紹介しておこうか。こいつが古代 守だ」

「地球防衛軍予備役中佐、古代 守だ。‥‥大まかな事情は真田から聞いた。大変だったね」

「いえ。こちらの方々には良くしていただいています」

 

守から労らわれたフェイトは一礼すると居住まいを直す。

 

「申し遅れました。時空管理局執務官、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンです」

 

管理局員の口調に戻り、踵を揃えて敬礼した。

 

一同が頷き、真田が着席を促した。

 

フェイトが着席すると、嶋津が傍らを指し示した。

 

「‥‥で、その揺りかごに寝てるのが古代 守とスターシャ女王の娘、サーシャだ」

「え?」

 

守の側に金属の外装をした揺りかごらしき物体があり、その中で金髪の赤子が寝息を立てていた。

 

因みに揺りかごには『ヤマト謹製』と書かれたエッチング板が貼り付いている。

 

(本当に何でも造っちゃうんだ、『ヤマト』は‥‥)

 

フェイトが着ている制服もまた、ヤマトの艦内工場で縫製させたものだ。

 

「君に来てもらったのは、これからの行程を説明するためなんだ」

 

嶋津が話を切り出した。

 

「我々は大マゼラン銀河を離れて太陽系に戻るが、その途中、君たちが乗っていた船の遭難現場に立ち寄る予定でいる」

「――!」

 

フェイトが顔を上げた。

 

「時空管理局と接触できる確証はないが、捜索隊が来ている可能性はあるからな。接触できればその場で交渉し、君たちを帰すようにしたい」

「ありがとうございます」

 

フェイトは即座に謝意を表した。

彼らは自分達を助ける義務がないにも関わらず、危険を冒して助けてくれ、任務と並行して帰還のために努力してくれているのだ。

ガトランティス軍と交戦状態にあったことを割り引いても、だ。

 

今後の管理局と地球連邦・地球防衛軍の関係に思いを巡らせないわけにはいかない。

 

管理局サイドとすると、地球防衛軍やガミラス帝国軍、暗黒星団帝国軍のような、魔法に依らない質量兵器オンリーの軍隊は脅威だが、魔法文化がないのならば当然の事だし、何よりハード面では到底敵わないのだ。

 

それにメンタル面でもだ。

地球防衛軍は、敗北は地球の破滅と知っているから、死兵になることをためらわない。

 

ガトランティス帝国首都星内部への突入戦がいい例だ。

極論すれば、こちらの100人中99人が斃れても、敵の100人を皆殺しにし、こちらが1人立っていれば勝ち。

戦力の3割が失われれば壊滅判定という近代戦のセオリーを無視しているのだ。

 

(――いや、そのセオリー自体、あくまで同じ人間同士の戦争だからこそ通用するもので、ガトランティス帝国のように、奴隷か死、あるいは死滅しか選ばせない相手には、セオリー自体が成立しない)

 

自分達の尺度で彼らを野蛮人扱いするのは思い上がりも甚だしい。

 

しかし、少なくとも目の前の彼らは、きちんと話し合える相手だ。

相互理解を進めていけば、必ず共存できるはずだ。

 

むしろ、問題は管理局や管理世界の一部に蔓延る魔法至上主義・魔導師ランク主義だ。

残念ながら、魔法資質がない者や低い者を劣等種族視する者も少なからず存在する。特に本局には。

 

(でも、この世界の戦いに必要なのは、強力なハードと十分に訓練された兵士、真っ当な戦術指揮ができる前線指揮官、有効な戦略を立て、戦争を指導できる軍首脳と政治指導者。魔導師資質など何の意味もないんだ)

 

本格的に接触し交流した最初の相手が『並行世界で未来の』地球人なのは幸運だったのだろう――。

 

「――どうした?」

 

嶋津冴子の声で現実に戻された。

 

「も、申し訳ありません!」

 

少しアワアワしたが、深呼吸して再起動する。

 

「私には異存ありません。現場までの移動については全面的にお任せします」

 

いずれにしろ、ここは彼らの艦なのだ。全面的に任せるしかない。

 

ならば、早いうちにもう一つの懸案を詰めるに限る。

 

「もう一つ、よろしいでしょうか?」

「何かな?」

 

一同の視線が集まった。

フェイトは姿勢を正して続けた。

 

「クライド・ハラオウンの件で、ご相談したいのですが‥‥」




話題(?)の『ハイスクール・フリート』を何話か視ました。

飛行機が存在しない世界との事ですが、

①飛行船を撃墜するために長10センチ高角砲を開発したのだろうか?
②陽炎級に長10センチじゃ単装でもトップヘビーにならない?

という下らない疑問が浮かんでしまいました。
歳は取りたくありませんね。
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