宇宙警備隊長・冴子   作:EF12 1

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取リ急ギ報告致シマス①

取リ急ギ報告致シマス①

 

   ――『ヤマト』フェイト達の居室――

 

「そうでしたか‥‥」

 

シャリオ・フィニーノとティアナ・ランスターは、フェイトから地球側との協議の結果を聞い立ところだった。

 

「局の船と、暗黒星団帝国軍やガトランティス軍が接触しない事を祈るしかないですね‥‥」

「今のところ追跡されている気配はないようだけど、暗黒星団帝国は、どうやら地球の事も知っているようなんだ」

「!‥‥そうなんですか‥‥」

 

地球防衛軍側は、自分達を戦争に巻き込む事を苦にしていた。

 

「あの宙域で局の船と接触できれば、私達は帰還できる。それはとてもありがたい事ですけど‥‥」

「クライド・ハラオウン提督は帰還できないままなんですよね?」

「うん‥‥」

 

自分達が『タイタンⅣ』遭難宙域で管理局の艦に移乗すれば、地球にいるというクライドが帰還できる機会はそれだけ遅れてしまうのだ。

管理局と接触できず、このまま地球に行けばクライドと接触できるが、今度は自分達が帰還できなくなるかも知れない。

 

(地球と通信できるようになったら、クライドさんと話せないだろうか‥‥?)

 

コンタクトして、リンディやクロノの話題をふるのが最適なのだろうが、そこまで地球防衛軍に手間をかけさせる訳にはいかない。

『ヤマト』の幹部クルーや嶋津が話せる人物だとしても、だ。

 

「‥‥まあ、あそこ(遭難現場)に戻っても、局の艦と合流できる保証はないからね。取りあえずは自分達の事だね」

 

――フェイトが呼び出されたのは、それから約20分後だった。

 

 

      ――『テシオ』艦橋――

 

『ヤマト』通信長・相原義一が告げる

 

『回線、繋がりました!』

「ん!」

 

嶋津が頷いた直後、メインスクリーンの画面が乱れ、数秒後に見慣れた2人の顔が現れる。

 

直後、TF13各艦のブリッジクルーは全員起立し、踵を揃えて敬礼した。

 

イスカンダルの危機を伝えてきたデスラーは、かつて遷都戦争(地球侵略作戦)の折に敷設した銀河系間通信伝達システム(デスラーズネット)の無条件譲渡を申し出、通信惑星(衛星)の設計図やプロテクト解除手順も地球側に提供。

 

これを元に地球防衛軍は注意深く通信惑星の掌握作業を進め、ようやく大マゼラン銀河までの通信網を管理下に移し、TF13にコンタクトしてきたのだ。

 

『皆、元気そうだな』

 

第一声を発したのは艦隊司令官服姿の鋭い目をした人物。地球防衛軍連合艦隊司令長官のポストにある『鬼竜』こと土方 竜。

 

その隣には、地球防衛軍司令長官・藤堂平九郎がおり、その後ろには参謀総長、芹澤虎鉄と数人の幕僚が控えている。

嶋津が一歩踏み出した。

 

「取り急ぎ報告します。‥‥イスカンダルに向かう途中でガトランティス帝国軍残党と、また、現地でガミラス星崩壊の原因を作った『暗黒星団帝国軍』を名乗る艦隊ならびに戦闘要塞との戦闘により、合わせて18名の重軽傷者が出ましたが、入院加療中の4名を除いて任務に復帰。残る4名も1週間以内に復帰可能です」

 

嶋津の報告に、画面のむこうがどよめいた。

藤堂と土方も表情が厳しくなる。

 

『暗黒星団帝国とやらの正体はどこまで解明しているのだ?』

「彼らの出自は不明ですが、典型的な人間形の知的生命体です。そして、彼らはガミラス、ガトランティス、地球の事を知っておりました」

『何!?』

 

画面越しでも向こうの空気が凍りついたのがわかった。

真田が続いて口を開く。

 

『暗黒星団帝国軍の兵士の遺体を複数回収し、検視と解剖を実施したところ、いずれも、脳髄以外は極めて精巧なアンドロイド、典型的なサイボーグでした』

 

 

 

『戦死・殉職者はいないのだな?』

「我が隊からはゼロですが、ガミラス軍は暗黒星団帝国軍との戦闘で少なからず戦死者が出ました」

 

嶋津はここで一息つき、最重要の報告にかかった。

 

「‥‥イスカンダル星ですが、ワープにより地殻に致命的なダメージを受け、暗黒星団帝国軍要塞もろとも崩壊・消滅しました。

スターシャ陛下は、サーシャ王女殿下及び古代 守とともに脱出し、『ヤマト』に乗艦しました。

‥‥サーシャ殿下と古代守の健康には問題ありませんが、スターシャ陛下は連日の心労と過労のため、現在ヤマトにて入院加療中です」

 

『ご苦労だった。イスカンダル星が失われたのはとても残念だが、戦死者を出さず、サーシャ王女を含む3人を救出できたのだ。ここまでは成功と判断してよかろう』

『‥‥詳しい事は帰還してから聞こう。‥‥古代(守)は元気か?』

「はい。本人より報告させます」

 

嶋津が言葉を切った直後、スクリーンの左側に古代 守と、可愛い寝顔のサーシャを抱いた雪が現れた。

 

『元・駆逐艦『ゆきかぜ』艦長、古代 守であります。これは娘のサーシャです』

 

2人、特にサーシャを見た藤堂と土方は一瞬表情を綻ばせたが、すぐに厳しい表情に戻った。

 

『一度はイスカンダルの土になるつもりでしたが、恥ずかしながら、帰る運びになりました』

 

無念の思いを口にする守。だが、藤堂と土方は揃って顔を横に振った。

 

『いや、生きて親の務めを果たすのは正しい生き方だぞ。古代』

『恥じる必要はない。胸を張って帰って来い』

『‥‥ありがとうございます』

 

――と、今度は土方から切り出し始める。

 

『暗黒星団帝国とやらだが、ひょっとしたら、既に太陽系外縁まで来ているかも知れん』




イギリスのEU離脱を問う国民投票で改めてわかったのは、『理だけでは人は動かない』でした。

大惨事‥‥第三次世界大戦のきっかけにならないといいんですが。
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