――次元航行艦『タイタンⅣ』遭難現場――
『タイタンⅣ』とガトランティス艦の残骸、犠牲者の遺体は時空管理局の手で引き続き回収が進められているが、いつガトランティス艦やそれに準ずる戦闘艦艇が出現するか解らない情勢のため、現場を囲むようにサーチャーを配置しつつ、断続的に作業を進めていた。
――『クラウディア』――
「やはり、捗ってはいませんか‥‥」
『申し訳ありません‥‥しかし、ガトランティス軍の艦艇がいつ現れるか予想がつかない状態では、作業班に無理をさせるわけにはいきません』
作業の進行状況を確認するクロノ・ハラオウンに、捜索・回収作業指揮官のロン・エー・タン三等海佐が申し訳なさそうに応える。
「私も同じ判断です。慎重に進めて下さい」
クロノも執務官として相応の場数を踏んできたから、現場の労苦はわかっているつもりだ。無理な督促はしない。
『ガトランティス艦は全て主機関や補機等の重要部分を原型を留めぬまでに破壊されていました』
「そうですか‥‥」
クロノは微かに表情を引き締める。
「機関部のデータが得られないのは仕方ありません。集められる限りのデータ収集と、犠牲者及び敵艦クルーの遺体回収をお願いします。本艦は作業支援と周辺監視、遺体及び資料の搬送と、地球防衛軍艦船が現れた際の交渉にあたります」
『地球防衛軍‥‥《ヤマト》ですか?』
「宇宙戦艦『ヤマト』、巡洋艦『テシオ』‥‥ですが、他にも同航している艦があるかも知れません。
言語体系も第97管理外世界とほぼ同じですから、交渉は十分可能でしょう」
『では、交渉は全てお任せします』
通信を終えたクロノは溜め息を一つつく。
『ヤマト』らとうまく合流できて、フェイトたちを返してもらえたとして、それで完結する問題ではない。
ガトランティス帝国という飢えた猛獣みたいな連中の存在が明るみになった以上、彼らや同じような勢力から世界を守るためには、今の戦力では甚だ心もとない。
彼らに引けをとらないだけの戦闘力を持つハード、迅速的確なロジスティクス、局員、特に武装隊員には殺し殺される覚悟を持たせなければならない。
(‥‥現実は何もかも足りない)
ハード、ロジスティクス、殺し殺される覚悟、何もかも。
(飛躍し過ぎてはいるが、地球防衛軍と提携できないか‥‥?)
これから合流するかも知れない相手は、第97管理外世界でいうところの日本人らしい。
ならば、自分やフェイトも十分コミュニケーションがとれると思う。
いきなり喧嘩腰でやり合うような事にはなるまい――。