「‥‥済まない、もう一度言ってくれないか?フェイト」
義妹から告げられた内容に、クロノ・ハラオウンは十秒近く呼吸を忘れた末、もう一度尋ねる選択をした。
唖然としていたのは『クラウディア』のブリッジクルー一同もだ。
それに対し、スクリーンに映る嶋津は予定調和だという表情だ。
『クライド・ハラオウン艦長‥‥クロノのお父さんが生きてて、地球防衛軍に保護されてるの‥‥先日私もクライド艦長と通信で話をしたんだ』
フェイトの言葉に続いて、スクリーンに画像が展開されたが、それはベッドで身を起こした男のもの。
「‥‥‥‥」
怪我のせいか、顔にやつれが見られるものの、男の風貌はクロノによく似ていた。
「‥‥父さん‥‥」
画像に見入っていたクロノは絞り出すように呟いた。
「‥‥クライド艦長‥‥」
クロノの側にいた副長のカリウス三佐も呻くように呟いた。
そこに嶋津の声が響く。
『‥‥およそ2ヶ月前、我々は侵攻してきたガトランティス帝国と戦っていましたが、その最中、大破状態で漂流する、見たこともない艦船を発見しました。
確認したところ、管理局の次元航行艦《エスティア》と判明し、同行していた工作艦で艦体の回収と内部の捜索を行ったところ、倒れていたクライド・ハラオウン氏を発見し、保護しました。
‥‥後日、直接面会しましたが、彼はリンディという奥さんと、クロノという息子さんがいると話していました』
「――――」
絶句するクロノに、フェイトが畳み掛けるように語りかける。
「‥‥それでね、クロノ。私もクライドさんと直接交信させてもらったの。
義母さんとクロノの指揮で闇の書事件が解決したことや、双子の孫のおじいちゃんになっている事を話したら、目を丸くしてたけど、嬉しそうだったよ」
「そうか‥‥」
眼を赤くして話すフェイトの背後で、
「――繋がったぞ、古代」
「では、第2段階に入りましょうか」
真田と古代が密談を交わしていた。
――病室――
『クラウディア』ら管理局艦隊との合流に成功したため、一旦戻ったスターレット・タランティノは移乗の準備に追われていた。
とはいえ、彼はまだ1人では歩けないため、アナライザーによって車椅子に乗せられていた。
「ありがとう、アナライザー」
「ドウ致シマシテ」
礼を言うスターレットに、アナライザーは執事のような仕草で応える。
「そっちの準備は進んどるか~?」
診察室から佐渡が来た。
「準備ハ終ワリマシタ。後ハオ嬢様方デスネ」
アナライザーが答えたところに、執務官補制服姿のシャリオとティアナが入って来る。
「私たちはスタンバイOKです。元々手ぶら同然でしたし」
「そうじゃったかな?‥‥間もなく『クラウディア』から迎えの船が来るからの」
「ありがとうございます」
一同を代表する形で、シャリオが謝意を口にした。
しかし、彼女たちには懸念がある。
自分たちではなく、直属の上官に。
(フェイトさんがここで移乗したら、クライド艦長としばらく通信できなくなるのよね‥‥)