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土方の問いに、リンディら管理局側は、一瞬だが苦い薬を無理矢理飲まされたような表情になった。
そう、彼らは『エスティア』や『タイタンⅣ』からサルベージした資料で時空管理局の内部事情や魔法の存在を知っている。
しかも、現時点で恒星系間どころか近隣銀河までの航行能力まで持っており、偶然とはいえ『エスティア』の船体を手中にした以上、いずれ次元の海にも船出してくるだろう。
それも、XV級はおろか、最新型のXX級すら軽く凌ぐ『ヤマト』のような宇宙戦艦で。
そうなれば、次元の海は地球連邦に奪われかねない!
地球連邦の管理世界編入と戦力を接収すべきだ。
こう考え主張する者は多数派ではないが存在する。
だがリンディ達は反対している。
地球防衛軍は十分交渉できる相手であり、局員を救出保護している以上、喧嘩腰の交渉は逆効果だ。
また、彼らの言うとおり、2度も絶望的な危機を切り抜けてきたのなら、地球連邦はすぐに次元の海に本格進出できる状況ではないだろう。
だが、こちらが強引な事をすれば、局員に大量の死傷者が出かねない。
『ヤマト』がガトランティス艦隊にもたらした、波動砲による一瞬の間の一方的な殲滅。
そして『ヤマト』と、随伴している二回り小さな紡錘型の戦闘艦の艦首部にも波動砲の砲口がある。
あんな中型の量産艦にも波動砲がある事実に、リンディ達は沈黙せざるを得ない。
中型艦が地球でいうところの巡洋艦なら、当然、量産型の宇宙戦艦も存在しているはず。
(管理局が向こうの地球を武装解除するなど、自滅行為。分子レベルまで分解させられてしまうわ)
内乱鎮圧ならともかく、“侵略者”相手に
非殺傷戦闘などあり得ないのだから。
とはいえ、質問には答えなくてはならない。
「‥‥過去にはその方針をとっておりましたが、現在、具体的には直近30年間は、強制的な手段はとっておりません。地球連邦に対しても同様の方針をとるつもりですが、敢えてお願いしたいのは、魔法の存在の公表はしばらく控えていただきたいという事です」
それを受けて土方は返す。
『我々としても、ガトランティス帝国や、今回の暗黒星団帝国等の侵略に備えなければならない状況で、時空管理局との交流は、まずクライド・ハラオウン氏をお返しする事から着実に進めなければならないと考えておりますし、時空管理局と次元世界の存在についても、適当な時期に公表するつもりです。‥‥魔法については我々の間でも対立する議論があるので、慎重に扱うつもりです』
「私共も異議はありません、土方閣下」
リンディとしても異存はない。
クライドがいる地球が第97管理外世界の未来なのかはわからないが、干渉するにはあまりに危険過ぎる世界だ。
地球連邦以外にも、ガトランティス・ガミラス・暗黒星団という強力な軍事国家が割拠する、まさに宇宙戦国世界だ。
うかつに手を出したら死ぬ。本当に。
管理局内には、管理世界拡張派と称される派閥が存在するが、拡大された世界で管理局と現地住民の流血抗争が多発したため問責されたり、JS事件後に吹き荒れた粛清人事で強硬派高官の多くは更迭や追放の憂き目に遭ったため、大勢は現状維持だ。
お山の大将でいられた時は終わった、という事か。