宇宙警備隊長・冴子   作:EF12 1

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新三本の矢
矢が命中したかを確認せず次の矢を放つのはヘボ射手どころか味方に刺さりかねん。

射手を選んだ我々が愚かだっただけなのね。


都市帝国攻防戦①

   ――ガトランティス帝国都市要塞――

 

「テロン艦載機編隊、我が戦闘機隊と接触します!」

「テロン艦隊、進路を本要塞下部に向かいます!」

「虫けら共が!下部砲座群、砲撃用意!」

 

怒気に満ちた口調で、サーベラーは対艦戦闘を命じる。

その顔は目元を除いて外科治療シートですっぽり覆われており、キシ○ア・ザビみたいな状態になっていた。

 

――テロン艦隊は極めて破壊力の高い新型対艦ミサイルでダガーム艦隊のほとんどを葬り、一気に首都星に接近してきた。

ゲーニッツもこれで敗れたのだろう。

 

すかさず回転装甲帯砲で迎え撃とうとしたが、地球艦隊は艦載機を発進させながら一気に艦首を下に向け、射界の外に出てしまった。

都市に関心を示さなかったのは予想外だったが、下部フェーザー砲と衝撃波砲を侮ってもらっては困る。

フェーザー砲は長砲身なので、戦艦の装甲をも貫徹するし、衝撃波砲の威力は我が軍の戦艦のそれを凌ぐ。見るがいい、この都市要塞の偉大さを。

 

「テロン艦隊、下部に回り込んできます」

「砲撃開始!蟲けらどもを近づけてはならん!」

「はっ!!」

 

要塞下半球のクレーターから、長砲身を4本スクエアに配置した迎撃砲座が多数迫り出し、ビームの矢衾が地球艦隊に降り注いだ。

 

 

       ――『ヤマト』――

 

「小惑星表面に砲座らしきもの多数!!」

「来るぞ!波動障壁用意!」

 

地球艦隊は『ヤマト』を中心に、戦艦の傘の下に巡洋艦以下の艦を茶筒形に配置して強襲揚陸艦を守る態勢をとった。

この作戦の要は突入部隊にあり、戦艦は敵の攻撃を吸収するのが任務だ。

 

 

      ――『テシオ』――

 

「敵首都要塞砲撃開始!来ます!」

「波動障壁展開!総員何かに掴まれ!!」

 

嶋津冴子が対衝撃防御を命じた数瞬の後、味方戦艦群をすり抜けたビームが『テシオ』の周辺でも煌めき、斜め前の駆逐艦が爆発炎上し、落伍していった。

 

「『アレン・サムナー』落伍します!!」

「戦艦は全て健在!しかし『ヤマト』『イリノイ』に火災が発生しています!」

 

先頭の『イリノイ』と、目立つ『ヤマト』は集中砲火に見舞われ、艦橋基部付近から火煙が噴き出ていた。

都市要塞からの砲火は間断なく続き、傘になっている戦艦は次第に傷を深くしていく。

 

また、“傘”も全ての砲火を吸収できているわけではなく、巡洋艦以下の艦からは早くも落伍したり爆沈するものが出ていた。

 

ここまで地球艦隊は反撃らしい反撃を行っておらず、要塞から撃たれるがままになっていた。

 

「虫けらめ、何を考えている‥‥?」

 

サーベラーは、治療マスクの下で苦虫を噛み潰した表情になった。

テロン艦隊は反撃せず、こちらに撃たれるがままだ。

しかし、こちらの有効射程ぎりぎりのところにいるため、思うような戦果もない。

地球艦隊には確実に損傷を与え、中小型艦の何隻かは完全撃破したが、『ヤマッテ』を始めとする戦艦群は損傷しながらも未だ健在だ。しかも指揮系統にも何ら混乱がみられない。

 

「これだけの砲火を集中しながら、なぜ戦艦を撃破できないのです!?」

 

苛立つサーベラーは年配の士官を詰問するが、士官は顔色一つ変えない。

 

「こちらの有効射程いっぱいの位置にいるため、威力が減殺されていることもありましょうが、地球戦艦の防御が予想以上に強固だったこともあるでしょう」

「‥‥貴官の言い様は極めて不愉快ですが、現実を受け入れましょう。

ではなぜ、蟲けら共は反撃してこぬのじゃ!?」

 

サーベラーは不快感を露わにしたが、ここで口論する事を避けた。しかし、地球艦隊が反撃してこない事は明らかに不審だ。

その時だ。

 

「敵小型艦、前進してきます!」

「一部の艦から高エネルギー反応!‥‥これはハドウホウですっ!!」

「な‥‥!」

 

こちらが『ヤマッテ』以下の地球艦隊に砲火を浴びせている間に、分離された小型艦群は独自の行動をとって距離を詰め、あの決戦兵器を使おうとしているのだ。

 

「目標変更!あの蟲共を掃き捨ていっ!」

「ダメです、こちらの有効射程外です!装甲帯砲からも射界外です!」

「命中せずとも良い!奴らの照準を狂わせるのじゃ!」

 

敵護衛艦のハドウホウは、1隻あたりの威力こそ小さいが、複数で撃てば1個艦隊を屠るだけの破壊力はある。

 

それがこの首都に向けられれば、どれだけの被害になるのか――。

 

「敵の艦首は‥‥下半球に向いています!」

「!!?」

 

サーベラーの目が見開かれた。

 

もし敵戦艦が一斉にハドウホウを撃てばこの首都星とてひとたまりもなかろう。

しかし、残骸は隕石と化して地上に降り注ぎ、地球人とてただでは済まない。

だからこそここに首都星を置いたのだ。

 

だが、敵の狙いはこの首都星自体の破壊ではなく、下半球の擬装地殼を撃ち抜く事にあるというのか?

 

「一体、何を‥‥!」

「照準、間に合いません!」

 

観測士が叫ぶように報告した直後、スクリーンは閃光に覆い尽くされた。

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