宇宙警備隊長・冴子   作:EF12 1

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自〇党による憲法改正実現の暁には、こういう2次創作も危うくなるのかなあ‥‥。


非常識事態

  ――ガトランティス帝国・首都防衛司令部――

 

臨時司令部では新たなる悪夢が始まっていた。

 

「うわあっ!何だ!」

「衛生兵と防疫隊を呼べ、大至急だ!」

 

パニックに陥る彼らの足元には黒っぽい大小の蟲が縦横無尽に走り回っている。

中には飛び回るものまで登場し、人の頭や背中に止まったりして、パニックを招くのだが、事態をより深刻化させていたのは、どこからともなく“降って”くる小さな蟲?達だ。

その蟲達は吸血性こそないものの、ガトランティス人にそんな事がわかるわけもなく、彼らは文字どおり恐慌状態に陥った。

さらに

 

『ワハハハハ、ワハハハハハ‥‥!』

 

どこからともなく哄笑が響く。

 

「!?」

 

地球人、特に日本人が見たら“お岩さん”と言うであろう姿になり果てたサーベラーが、ギクリとして天を仰ぐ。

他の者も信じられないような表情を浮かべるが、何割かはそのままアレルギー症状を起こしたのか、失神して倒れた。

 

このように呵々大笑する者は、この帝国に1人しか存在しない。

 

「た、大帝!?」

「そんな、まさか‥‥」

 

周囲を見渡しても大帝の姿があるわけもなく、困惑する者も次々とアレルギー症状で昏倒するか、痛痒みで七転八倒する。

サーベラーも例外ではなく、この痛痒感が和らいだ時には、事態は絶望的になっていたが、同様の事態は他の場所でも起きていた。

 

親衛兵団と地球の突入隊がにらみ合いと罵倒合戦を繰り広げているその時、主動力炉の方向からけたたましい絶叫と悲鳴が聞こえた。

これにはさすがの親衛兵団も不審の色を見せ、ダガームは不快さを隠さない。

 

「何をやっているのだ。奴らは」

 

舌打ちをしながら音声通信を繋ぐや否や、

 

『テロンの生物兵器だ!奴ら徘徊生物を大量に送りつけてきやがった!助けてくれ!!』

 

という絶叫が響き渡った。

 

「何をバカな事を!奴らにそんな技術があるわけ――」

『嘘じゃない!黒い徘徊生物が大量に湧いて出てきたんだ!!』

 

通信機の向こうでは異常な事態が起きているのか?

 

「司令部に確認しろ」

 

ダガームに命じられた通信兵が臨時防衛司令部に照会すると、

 

「司令部には大量の蟲が湧き出てきており、一時恐慌状態」

 

という回答が戻ってきた。

 

「一体、何が起きているというのだ?」

 

防衛戦の総指揮をとるべき司令部が機能しないとは、一体どういう事か!?

 

親衛兵団に困惑と動揺が走った。

 

一方、地球側も敵方の僅かな変化を悟った。

元々、ガミラス相手に劣勢を強いられながら、僅かな隙をついては一糸報いるような戦いをしてきたため、鵜の目鷹の目で敵の僅かな隙をも見逃すまいと狙っていた。

そういう連中を相手にしたことが、親衛兵団の不運といえよう。

 

「何か知らんが、敵さんに乱れがあるぞ。お見舞いしてやれ!」

 

ポンポンという音と共に、またもやグレネードが放物線を描いて、彗星帝国軍親衛兵団に向かって飛んでいった。

 

「!!‥‥しまっ――」

 

狼狽の叫びが上がった次の瞬間、陣地の中でグレネードが次々と炸裂。屈強な兵士が声も上げられず肉片と化する。

 

(Let's go!!)

(Move,move!!)

(行くぞっ!!)

 

ミシェロビッチの合図に続き、宇宙戦士達が走り出す。

 

 

  ――地下都市・某所――

 

――その一室には、中学生くらいの少女がいた。

テーブルにはほのかに湯気を立ち昇らせているマグカップと、やはり湯気が立ち昇る液体が入ったグラスがあるのだが、おかしいのは、グラスの縁には白文鳥が止まっており、その白文鳥が頻りに液体を飲んでいる事と、傍に『女盛』のラベルが貼られた一升瓶が置いてあることだった。

 

《‥‥全て送り込んだぞ。レディ》

「お疲れ様、“ピュア・ハート”‥‥で、今度は何を送り込んだの?」

《各種ゴキブリとカマドウマとザトウムシだ。‥‥地球艦隊からの突入隊が乗り込んできたので、蚊や南京虫の類いは断念した》

「突入隊!?」

 

少女の口調に驚きが混じる。

 

《ああ、『ヤマト』乗組員と空間騎兵隊が突入した。主動力の破壊か大帝ズォーダーの首級狙いだろう》

「それって片道攻撃じゃない!?」

《‥‥そうだな。突入隊員もだが、カピタン(嶋津)達も断腸の思いだろう》

「‥‥‥‥」

《我らができるのはこれまでだ。後は任務成功と隊員の生還を祈るしかあるまいよ》

 

白文鳥が人語を話すだけでもあり得ない光景なのだが、さらにあり得ないのが、その白文鳥が燗酒を飲んでいる事だ。

 

「‥‥‥‥」

 

白文鳥に''レディ''と言われた少女―― 高町雪菜 ――は憂いを隠そうともしなかった。

 

(魔法、か‥‥)

 

雪菜の家系、特に女性は、地球では非公認となっている能力―― 魔法 ――持ちを代々輩出しており、亡き母親もそうだった。

 

大元は雪菜から7代前、高町家の家業だった喫茶店《翠屋》の2代目店主『なのは』に端を発したらしいのだが、詳細を聞く前に母親が他界してしまった。

雪菜の特性は転移系魔法で、亡き母から託されたインテリジェントデバイス『ピュア・ハート』が地球防衛軍、さらにはガトランティス軍の通信回線をステルスハッキングして転移座標を定め、地下都市に生息する害虫を長距離転移魔法でガトランティス帝国首都の中枢に送り込んだのだが、どれだけ奏功したのかはわからない。

 

(所詮、魔法は魔法。事態を決するのは人間の力、か‥‥)

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