―― 時空管理局本局 ――
本局の一角にある次元航行本部の執務官オフィスで、3人の若い女性が顔を揃えていた。
「じゃ、行こうか」
「はい!」(×2)
リーダーらしき金髪紅瞳の女性が歩き出すと、眼鏡をかけた黒髪の女性と、2人よりやや年少らしき橙髪の女性が続く。
3人――。時空管理局執務官のフェイト・テスタロッサ・ハラオウンにその補佐官たるシャリオ・フィニーノとティアナ・ランスターは、遠方世界で発生した大量殺人事件の捜査に赴かんとしていた。
複数の次元世界で、一地区の住民の大半が殺害されるという猟奇的事件が短期間のうちに発生し、いずれめ手口や経過に共通点が多い事から、管理局は同一犯による次元凶悪犯罪と断定。フェイトらを派遣し捜査にあたらせる事にしたのだ。
―― 本局次元港 ――
「4日間お世話になります」
「艦長のエドウィン・ホーミーです。ようこそ『タイタンⅣ』へ」
フェイトたちと、XV級次元航行艦『タイタンⅣ』艦長のホーミー一佐は敬礼と握手を交わす。
本局から最初の派遣世界までは次元航行艦で約4日を要するのだが、フェイトの義兄クロノが指揮するXV級『クラウディア』の担当域ではないため、同型艦『タイタンⅣ』に便乗する事になった次第だ。
出港早々、フェイトたちはミーティングを始める。
管理局は件の事件を放置すれば次元世界の癌細胞になると予想し、早急なる実行犯の逮捕と背景の解明が急務と理解していた。
「一連の発端は、やはり3年前のヴァイゼンでしょうか?」
「そう考えるのが自然だろうね····」
シャリオの所見にフェイトが同意する。
3年前、第3世界ヴァイゼンで発生した謎の大爆発で、集落が全滅するという事件が発生した。
住民はほとんど死亡したのだが、唯一生存した当時7歳の男児が、
『皆、あの2人組(男女)に殺されたんだ!』
と主張したのだが、彼が言う『2人組の男女』についての裏付けがとれず、捜査は暗礁に乗り上げている状態だ。
「その子の言う2人組の裏が取れなかったのは痛いですね‥‥」
「家族を失ったショックによる記憶障害と判断されたようですが、それは早計だったかも知れませんね」
「うん」
シャリオとティアナが口を揃える。
「その男の子と、改めてお話ししたいね」
「ヴァイゼン警防部に照会してみます」
件の少年に直接会って話を聞くべきと判断したフェイトを見たシャリオは、タブレットを操作し始めた。
――結果を先に書くと、フェイトたちが件の少年と会うまでには、更なる日々を重ねる事になるが、そのきっかけは、彼女たちにとって共通の知人がもたらしたものだ。